「ございますでしょうか」の使い方
接客シーンやビジネスシーンなど、さまざまなシーンで「ございますでしょうか」と聞かれたり、使ったことがある人も多いのではないでしょうか。しかし、「ございますでしょうか」と聞いて、なんとなく違和感を感じたり、正しい敬語か不安に感じている人もいます。ここでは「ございますでしょうか」の使い方についてご説明します。
「ございますでしょうか」の意味
「ございますでしょうか」の使い方を考える前に、意味について理解しておく必要があります。「ございます」は「ある」の丁寧語で、「でしょうか」も丁寧語です。
「ございますでしょうか」は、敬語が重なった表現なので間違った敬語ですが、普段でもよく使われているため、定着しつつあります。しかし、敬語を気にする人には不快感を持ってしまう人もいるため、使い方には注意が必要です。また、目上の人に対しても、違う表現で言い換えたほうが無難です。
「ございますでしょうか」の使い方
「ございますでしょうか」は「ございます」が元々は「ある」の敬語表現のため、他人のことに対してではなく、自分のことに対して使われる場合が多いです。例えば、「この商品の在庫はございますでしょうか」「何か質問はございますでしょうか」というように使われます。
ビジネスシーンでは「ございますでしょうか」の他にも、語尾に「ますでしょうか」を付けた使い方をすることがあります。例えば、「お願いできますでしょうか」「お伝えいただけますでしょうか」はよく使われるフレーズです。
このように語尾に「ますでしょうか」を使った敬語がよく使用されているので、「ございますでしょうか」も違和感なく使ってしまうことがあります。しかし、「ございますでしょうか」は「ございますか」と言い換えることもできます。過剰な敬語は相手に対して逆に失礼になってしまう場合があるので、使い方には注意が必要です。
メール
ビジネスシーンでは、取引先や社内メールなど、メールを使用して相手に用件を伝えることが多くあります。そのため、メールでも「ございますでしょうか」は使ってしまいがちです。しかし、メールの場合は文章が残ってしまうため、「ございますでしょうか」は、あまり使用しないほうが無難です。
メールは相手の表情が見えませんが、伝えたい文章を考える時間が持てたり、見直して手直しできるというメリットがあります。会話の中で使ってしまう場合は仕方がないことですが、メールの場合は、送信前にしっかりと確認をして、間違った表現がないか確かめることが大切です。
「ございますでしょうか」の言い換え
「ございますでしょうか」を他の言い方に変えたい場合、言い換え表現はどのようになるのでしょうか。ここでは「ございますでしょうか」の言い換え表現についてご紹介します。ぜひご覧ください。
ございますか
「ございますでしょうか」の言い換え表現で最も適しているのは「ございますか」です。「ございますか」を使用する場合は二重敬語の心配もいりません。例えば、「この商品の在庫はございますでしょうか」は「この商品の在庫はございますか」と言い換えることができます。
また、「何か質問はございますでしょうか」も「何か質問はございますか」と言い換えができます。「ございませんでしょうか」を使用するよりも、「ございますか」を使ったほうが、スッキリしているし、丁寧すぎる印象もありません。
もし、「ございますでしょうか」を使用する場面で、使用することに不安や違和感を感じてしまった場合は、「ございますか」に言い換えたほうが無難です。
ございませんでしょうか
「ございますでしょうか」の言い換え表現として、「ございませんでしょうか」もよく使われる表現です。例えば、「この商品の在庫はございませんでしょうか」「何か質問はございませんでしょうか」と言い換えられます。
しかし、「ございませんでしょうか」には否定的な意味も含まれているため、使用には注意が必要です。人によっては不快感を感じてしまう人もいます。また、「ございませんでしょうか」も「ございますでしょうか」と同様に、敬語表現としては違和感や不快感を感じられてしまうことがあります。
おありでしょうか・ありますでしょうか・ありますか
「ございますでしょうか」と似た表現で、「おありでしょうか」「ありますでしょうか」「ありますか」という表現があります。「ございますでしょうか」と、「おありでしょうか」「ありますでしょうか」「ありますか」の違いは一体何なのでしょうか。
ここでは、「ございますでしょうか」と「おありでしょうか」「ありますでしょうか」「ありますか」の違いについてご紹介します。
おありでしょうか
「おありでしょうか」は「おあり」と「でしょうか」で丁寧な表現となっています。「ある」は敬語表現では、尊敬語が「おありになる」丁寧語が「あります」「ございます」です。「でしょうか」も丁寧語なので、この場合も敬語が重なった状態といえます。
おありでしょうかとございますでしょうかの違い
「おありでしょうか」と「ございますでしょうか」の違いは何でしょうか。「おありでしょうか」の「おあり」は「ある」の敬語表現です。「ございますでしょうか」の「ございます」も「ある」の敬語表現です。
そのため、「おありでしょうか」と「ございますでしょうか」は言い方が違うだけで、使い方や意味にはたいして違いはありません。もし、どちらを使うか迷ってしまった場合は、その時の言葉の流れに合った方や、言いやすい方を選びましょう。
しかし、「おありでしょうか」も「ございますでしょうか」も、人によっては違和感や不快感を感じてしまうことがあるため、使用には注意が必要です。
ありますでしょうか
「ありますでしょうか」も「あり」と「ます」と「でしょうか」がくっついた言葉です。この場合は、「ます」と「でしょうか」が丁寧語なので、二重敬語と解釈できます。「ありますでしょうか」の「あり」は「存在する」という意味があります。
「ありますでしょうか」も、一見丁寧な言葉使いに感じ、耳にすることのある表現ですが、間違った敬語表現なので、使用は控えたほうが無難です。
ありますでしょうかとございますでしょうかの違い
「ありますでしょうか」と「ございますでしょうか」の違いは何でしょうか。この場合、「あります」と「ございます」が元は「ある」の敬語表現のため、言葉が違うだけで、意味や使い方には変わりがありません。
「おありでしょうか」と同様に、「ありますでしょうか」と「ございますでしょうか」もその時の会話の流れなどで使い分けをしましょう。ただし、「ありますでしょうか」も、場合によっては違和感や不快感を相手に与えてしまうことがあるので、注意が必要です。
ありますか
「ありますか」は「ある」の丁寧語です。先程の「おありでしょうか」や「ありますでしょうか」よりは丁寧さに欠けると感じる人も多いのではないでしょうか。
丁寧語は尊敬語や謙譲語のように相手を高めたりへりくだる役割がなく、丁寧な気持ちを表現する方法です。そのため、目上の人には不向きな表現ですが、目上の人以外ならば、誰に対しても使えます。
「ありますか」は例えば近所の人や同僚など、立場や身分などが、自分に近い人に対して使われることが多いです。
ありますかとございますでしょうかの違い
「ありますか」と「ございますでしょうか」の違いは何でしょうか。「ございますでしょうか」が使用に注意が必要なのに対し、「ありますか」は二重敬語ではないため、正しい敬語表現と言えます。
ただし、丁寧語なので、敬意を表したい目上の相手に使用する場合は失礼になってしまう場合があります。もし、目上の人に対して使いたい場合は、同じ意味で使われる「おありですか」という表現に言い換えて使ったほうが無難です。
「ございますでしょうか」の敬語での使い方
「ございますでしょうか」は敬語ではどのように使うことができるのでしょうか。「ございますでしょうか」の敬語での使い方についてご紹介します。
敬語の種類
敬語には相手を敬い高める尊敬語、自分がへりくだることで相手を高める謙譲語Ⅰ、自分の行為や物事を丁重に表現する謙譲語Ⅱ、丁寧に述べる丁寧語、美しく上品な表現をする美化語があります。
「ある」の尊敬語が「おありになる」、丁寧語が「あります」「ございます」です。このことから、「ございますでしょうか」は丁寧語です。
尊敬語
「ございますでしょうか」は尊敬語として使われることがありますが、「ございます」も「でしょうか」も丁寧語です。尊敬語は、「おありになりますか」や「おありですか」と使います。目上の人など、敬意を払わなければいけない相手に使わなければいけない場合は、使い方に注意が必要です。
「ございますでしょうか」は間違いなのか
「ございますでしょうか」は接客シーンやビジネスシーンなどでよく聞くフレーズです。「ございますでしょうか」を実際に使ったことのある人も多いのではないでしょうか。しかし、「ございますでしょうか」は敬語が重なった状態なため、使う側も聞き手側も違和感を感じてしまうことがあります。
「ございますでしょうか」は間違った敬語表現なのか不安に感じてしまうと、使うことにためらってしまいます。ここでは、「ございますでしょうか」がなぜ間違いと言われてしまうのか、ご説明します。
二重敬語
二重敬語とは、一つのフレーズの中に敬語を二つ重ねて使ってしまうことをいいます。先程も申し上げたように、「ございますでしょうか」は、「ございます」という丁寧語と、「でしょうか」という丁寧語が重なった言葉です。
丁寧語が一つのフレーズの中に二つ重なって使われているため、「ございますでしょうか」は二重敬語となり、間違った敬語表現ということができます。過剰な敬語表現は相手がばかにしていると感じてしまったり、失礼になってしまうことがあります。
最近では「ございますでしょうか」は、よく使われるフレーズでもあるため、あまり気にならないという方もいます。しかし、使う相手によっては不快に感じる人もいるため、「ございますか」と言い換えて使ったほうが無難です。
失敗を恐れずに敬語を使おう
「ございますでしょうか」は誤った敬語表現ということが分かりましたが、気をつけていても丁寧に伝えようと思って、つい口から出てしまうことがあります。
敬語表現には使い方に注意が必要な場合もたくさんありますが、敬語を意識し過ぎてぎこちなくなってしまったり、自分の意思が伝えられなくなってしまうよりは、間違って使ってしまっても、しっかりと自分の意思を相手に伝えることが大切です。
はじめから敬語をしっかり使えるという人は少ないですし、長年敬語を使っていても間違えてしまうことはあります。失敗をすることで学ぶことはたくさんあります。敬語の使い方には注意を払いつつ、間違えてもしっかりと自分の伝えたいことを伝えるようにしましょう。