「しております」の例文・使い方・言い換え|敬語/ご無沙汰

ビジネススキル

「しております」の例文

「しております」という表現を聞いたことがある人は多いでしょう。この「しております」を使った文章は多く、ビジネスシーンにおいてよく使われる表現です。ここでは、「しております」についての意味や使い方、例文についてご紹介します。

「しております」は謙譲語

「しております」とは、「している」の謙譲語です。自分がへりくだることにより相手を立てる言い方で、「して」は「する」が変形したもので、「おる」の連用形と丁寧語助動詞の「ます」で、「おります」と合わせて「しております」となります。

また「します」よりも、「しております」という表現は、行為を継続しているという意味が強く、目上の人に使う表現です。

ご無沙汰しております

手紙やメール、話言葉でも「ご無沙汰しております」という挨拶はよく使います。「ご無沙汰しております」の「ご無沙汰」とは、「沙汰」がお知らせとか便りという意味で、それに接頭語の「ご」と「無」をつけた言葉で、しばらく便り(知らせ)がなかったことを意味します。

この「ご無沙汰しております」という言葉は、長く訪問していない、会っていない、連絡していないという目上の人に使います。例えば、久しぶりに訪問する顧客や取引先、上司などに「ご無沙汰しております。○○社の○○です。この度は~」と冒頭の挨拶として使われます。

どのくらいの期間か

では、この「ご無沙汰しております」という挨拶は、どの程度の期間会っていない、または連絡していない相手に使うべきなのでしょうか。はっきりとした期間は決まっていないですが、おおよそ2~3か月ほどを目安にすると良いでしょう。

「ご無沙汰しております」と「おひさしぶりです」

「ご無沙汰しております」と「おひさしぶりです」は、どちらもしばらく会ってなかった人に会うときに言う言葉です。友達や同僚などの近しい関係の人であれば、「おひさしぶりです」を使うことで、相手に会った喜びやしばらく連絡しなくて申し訳ないという意味を伝えることができます。ただし「ひさしぶりです」は相手に軽い印象を与えてしまいます。

一方、「ご無沙汰しております」は、ビジネスシーンにおいて、上司や取引先や顧客など目上の人に対しても使える言葉です。相手と自分の関係性をよく考慮した上で、「ご無沙汰しております」と「おひさしぶりです」を使い分けるようにしましょう。

「ご無沙汰しております」というメールへの返信

ビジネスシーンでよく使われる「ご無沙汰しております」という挨拶ですが、この挨拶にはどういった言葉で返せば良いのでしょうか。「ご無沙汰しております」と来たメールには、「こちらこそ、ご無沙汰しております」とか「こちらこそ、しばらくご連絡をせず申し訳ありません」というように返信しましょう。

感謝しております

目上の人へ感謝の気持ちを伝える場合に「感謝しております」という言葉を使います。感謝の気持ちを伝えるには、ただ「ありがとう」だけでも良いでしょうが、ビジネスシーンにおいて取引先や顧客、上司などに感謝の意を伝える場合には、より丁寧な言葉遣いをしなければなりません。「感謝しております」を使った例文は以下のようになります。

(例文)
「このたび、弊社の商品である○○を選んでいただき、誠に感謝しております。」
「このたびは、このような盛大な会にお招きいただき、感謝しております。」

なお、「感謝しております」という表現は、さまざまなシーンで使うことができますが、状況によっては「感謝申し上げます」のように言い換えて使うと良いでしょう。

「感謝しております」の類語

「感謝しております」という表現は、ビジネスシーンにおいてお礼の言葉としてよく使われる言葉ですが、お礼の言葉として他の表現もいろいろあります。例えば、以下のような表現があります。

(類語)
「心より御礼申し上げます」
「お世話になっております」

「感謝してもしきれません」
「おかげ様で助かりました」

ビジネスシーンでは、取引先や顧客へ感謝の気持ちを伝えることは多いです。ワンパターンな感謝の気持ちの伝え方ではなく、これらの表現を駆使して、さまざまな表現をできるようにしましょう。

拝見しております

「拝見しております」という言葉も、ビジネスシーンにおいてよく使われます。「拝見しております」とは、「見ています」という言葉の敬語表現です。親しい間柄の友人や同僚であれば、「見ています」で良いですが、上司や取引先、顧客など目上の人に「見ています」では、失礼にあたるため、丁寧な表現である「拝見しております」と言うようにしましょう。

以下に「拝見しております」の例文をいくつかご紹介します。
(例文)「いま、拝見しております。もうしばらくお待ちください。」「はい、拝見しております。」

「拝見しております」の別の表現

「拝見しております」という表現と同じような言葉に、「見せていただく」というものがあります。「見せていただく」は、「見る」という動詞と「いただく」という謙譲語が組み合わさった表現で、「拝見しております」とは「見る」の謙譲語である「拝見」という言葉をつかっています。

どちらも、目上の人に使って良い表現ですが、近しい上司や先輩であれば「見せていただく」、それ以上の顧客や取引先や上司であるときは「拝見しております」をつかった方が良いでしょう。

しておりますため

「しております」という表現は、「している」の丁寧な表現ですので、他の動詞と組み合わせて使うことができます。例えば、レストランなどに入ろうとしたところ混雑しているという場合に、店員から「ただいま、大変混雑しておりますため、1時間ほどお待ちいただいております。」というように、「しております」という表現を使います。

ほかにも、「お問い合わせの件につきまして、ただいま弊社で検討しておりますため、もうしばらくお待ちいただけますでしょうか。」というように、「しております」とさまざまな言葉を組み合わせることができます。

「しております」の敬語での使い方

「しております」と「しています」は、どちらも丁寧な表現ですが、敬語の種類が違ってきます。「しています」とは、「する」と「いる」という動詞に丁寧語の「ます」がついた形です。

一方、「しております」は、「する」という動詞に「いる」の謙譲語である「おる」に丁寧語の「ます」がついた言葉で、「する」の他にも「動詞」と「おります」の組み合わせで、相手への丁重さを表現できます。ただし、動作主体へへりくだっているのではなく、聞き手への丁重さを表すための言葉で、ビジネスシーンにおいてはよく使われる表現です。

謙譲語

「しています」も丁寧語ですので、近しい人であれば「しています」という表現でも問題ありません。しかし、ビジネスシーンで上司や取引先や顧客といった目上の人に使う場合には、謙譲語の仲間である「しております」という言葉を使った方が丁寧で、適しています。

「しております」という言葉は、例えば「お待ちしております」とか「探しております」などのときに使いますが、「しております」ではなく例えば「考えております」「おもっております」というように、動詞にあわせて「おります」を付け加えることで、同じように謙譲語としての表現が可能です。

基本的には、「しております」という表現は目上の人に使います。それ以外で使うと、場合によっては嫌味に取られる可能性もあるため、よく考えて使うようにしましょう。

継続の敬語である「しております」

「しております」は、「する」と「おる」が組み合わされてできた敬語表現ですが、動作が継続する状況であることもあらわします。「する」という動詞と「おります」のため、行為が現在進行している、継続しているという状況を表します。

「しております」の使い方

ここまで「しております」の意味や使い方についてみてきましたが、実際に「しております」を使った文をご紹介します。

文章

「しております」を使った文章例は以下になります。

(例文)
「あれから、わたしは元気に暮らしております。」
「わたしは、この間の案では○○案が良いとおもっております。」
「現在、弊社の○○は、○○株式会社にお伺いしております。」

「このたびは、大変なご迷惑をおかけしまして、大変恐縮しております。」
「本日はまことにありがとうございました。またのご利用を心よりお待ちしております。」
「次回の会議は、〇月〇日に実施するよう予定しております。」
「年末年始については通常の時間で営業しております。」

「しております」の言い換え

「しております」は、前述にもありますように、「する」と「おります」を組み合わせた言葉であり、ビジネスシーンにおいて目上の人に対して使える謙譲表現です。そして他にも「しております」と同じく丁寧な表現の言葉に「しています」という表現があります。

例えば、「お待ちしております」は、「お待ちしています」でも意味は同じですが、「おります」の方がより丁寧な印象となります。相手が対等な立場だった場合などは、「おります」を使わずに「います」と表現する方が、相手も気を遣わずに済む場合もあります。自分と相手の関係性をよく考えて、「おります」と「います」を使い分けるようにしましょう。

「います」と「おります」の使い分け

「しています」と「しております」は、ビジネスシーンでよく使われる似たような言葉ですが、どのように使い分けたら良いのでしょうか。ここでは、「います」「おります」の使い分け方についてみていきます。

1.「います」は丁寧語

「しています」の「います」とは、「いる」がもとになっており、そこに丁寧語の「ます」を付けた敬語表現です。「しております」の「おります」は、「おる」という「いる」の謙譲表現で、「いる」は丁寧語、「おる」は丁重語と呼ばれるものに分類されます。

2.目上の人へは「おります」を使う

ビジネスシーンで、顧客や取引先へ使う表現としては、「しています」より「しております」の方が、丁重語で適した表現になります。そして、「しております」という表現では、その行動が継続しているという意味をもちます。

3.「います」と「おります」の例文

では「しています」と「しております」の使い方の違いをみていきます。以下に「しています」と「しております」例文をご紹介します。

(相手:対等)「では、お待ちしています。」
(相手:目上の人)「それでは、お待ちしております。」

(相手:対等)「ご無沙汰しています。」
(相手:目上の人)「ご無沙汰しております。」

(相手:対等)「今後の活躍を期待しています。」
(相手:目上の人)「今後のご活躍を期待しております。」

「おります」を使った敬語表現

「います」と「おります」の違いについてみてきましたが、「おります」という言葉を使った表現はいろいろあります。ここでは、「おります」を使ったよく使用される言葉について、間違った敬語表現であるか正しい敬語表現であるかをご紹介します。

「させていただいております」は正しくない

「させていただいています」という言い方をする人がいますが、これは間違った敬語表現です。「させていただく」とは、「させてもらう」の謙譲語です。この表現は、相手に許してもらいたい場合や、自分の行為によって相手が利益となるときに使われます。

しかし、「させていただいております」となれば、この行為を継続するという意味になり、また「おります」という謙譲語を使っているために二重敬語となってしまいます。そのため、「させていただいております」という表現は間違った使い方です。この場合は、「させていただく」だけで使うようにしましょう。

「いたしております」は正しい

「いたしております」という表現もよく使われます。この「いたしております」とは、「している」の敬語表現で、「する」と「いる」という二つの動詞が合体してできています。

そして、「いたしております」は「いたす」と「おります」を合体させた言葉で、一見二重敬語のように見えますが、ここでの「おります」は敬語表現の中でも、動作の継続を意味するものですので並列的使用により、敬語として間違った言葉ではありません。

「申し上げております」は正しい

「申し上げております」という言葉も、「申し上げる」という謙譲語と、動作の継続を表す敬語である「おります」が合体してできた表現であることから、正しい敬語表現となります。

「しております」の意味や使い方を覚えましょう

いかがでしたか。「しております」という表現は、謙譲表現で「おる」という謙譲語と「ます」の丁寧な表現が合わさった言葉だということがわかりました。また、「する」が「して」となっていますが、ここを他の動詞にすることによって、いろいろな言葉で「おります」を使うことができます。

ビジネスシーンにおいて、この「しております」という言葉はよく使われますので、意味や使い方を覚えておくと役立つことが多いです。「しております」を使った表現、「感謝しております」「拝見しております」「ご無沙汰しております」など、ビジネスシーンでよく使うフレーズの使い方をしっかりと覚えておきましょう。

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