「よろしくお伝えください」の使い方とは?
「よろしくお伝えください」という言葉は、ただの挨拶として使う場合もあれば、「よろしいように」良い言葉で伝えてほしいという場合でも使われます。普段の生活やビジネスシーンでもよく使われていますし、手紙やメールでもよく見かけます。
そして、よく使われるだけに、さまざまなケースで使い方が変わってきます。それでは、「よろしくお伝えください」をどのように使うのが正しいマナーなのか、詳しく見ていきましょう。
敬語では?
敬語として「よろしくお伝えください」と使う場合は、「ください」の部分を謙譲語の「いただけますか」に変えて、「よろしくお伝えいただけますか」にします。
基本的に「よろしくお伝えください」は、敬語にして使う場合でも、伝えてほしい相手のことを「気にかけています」という意味を持たせることが多いです。よろしいように伝えてもらうためにも、言葉使いを正しくして、気持ちを込めて言うことが大切です。
ビジネスでは?
ビジネスで「よろしくお伝えください」という言葉は、アポイントを取れなかった相手への挨拶としてや、実際にお会いした方よりも上の立場の方へ挨拶を伝えたい場合に使われます。また、取引先の担当者へ伝言をお願いするときにも、丁寧な表現としてよく使われています。
ビジネスシーンであっても、あまり軽く使ってしまうと、社交辞令として流されてしまう場合もありますので、しっかり相手に伝えてほしいときには、真剣さが伝わるように言いましょう。
手紙やメールでは?
手紙やメールで「よろしくお伝えください」と書く場合は、締めの一言として使う場合が多いです。ビジネスシーンでも普段の個人的な手紙でも、次に繋げるための挨拶として使いやすい言葉です。
手紙やメールの場合では、「他の方へ」や「皆様へ」などとぼかして書かずに、伝えてほしい相手の名前を書くと丁寧ですし、伝えてもらいやすいのでおすすめです。ただし、重要な案件の場合は、相手に直接連絡するようにして、あくまで挨拶の一つとして使いましょう。
お礼として使う
お礼として「よろしくお伝えください」と使う場合は、お世話になった本人へ直接お礼を言えないケースが多いので、丁寧に言葉を選ぶ必要があります。また、軽く使ってしまうと社交辞令として受け止められてしまい、最悪の場合は本人に言葉が届かない可能性もあります。
きちんとしたお礼は後から改めて、直接本人へ言うのがマナーです。伝言だけで終わらないようにすると好印象になります。
謝罪として使う
謝罪として「よろしくお伝えください」と使う場合は、謝罪したい本人には直接会えないケースでよく使います。そのため、慎重に言葉を選んで、謝罪の内容をしっかり本人に伝えてもらうよう、誠意をもって「よろしくお伝えください」と使うようにしましょう。
謝罪は基本的に本人へするものですので、伝えてもらって終わりにせずに、時間を空けてからもう一度謝罪しに行くことをおすすめします。
「よろしくお伝えください」の返事の仕方は?
「よろしくお伝えください」と言われた場合の返事の仕方は、ケース毎に変わりますので注意が必要です。社交辞令や軽い挨拶なのかどうか、ビジネスでの特別な用事があるのかどうか、しっかりと見極めて返事をしましょう。
どのケースでも、返事だけしておいて伝えないままというのは、失礼ですので気をつけましょう。それでは、返事の仕方をそれぞれのケース毎に説明します。
社交辞令の場合は?
「よろしくお伝えください」と、共通する友人や仕事仲間に向けて軽く言われた場合は、社交辞令の場合が多いので、笑顔で会釈しながら「はい」などと短く答えるのが一般的です。社交辞令かどうかは、相手の言い方や態度などを見たり、具体的な話があるかどうかで判断します。
社交辞令の場合でも、伝えてほしいと言われた相手に、そのまま「よろしく」と言っていた旨を伝えましょう。その人を「気にかけています」という意思表示ですので、伝えないのはマナー違反になります。
別れ際の軽い挨拶の場合は?
別れ際の軽い挨拶として「よろしくお伝えください」と言われる場合は、いつも集まっているグループへの挨拶として使うケースが多いので、返事も軽い挨拶として返しましょう。この場合は、一人一人へ伝える必要はなく、次にグループで集まるときに話題に出す程度で構いません。
たいてい「他の皆様にもよろしくお伝えください」という言い方をされますが、誰かを名指しして言われた場合は、「わかりました、伝えます」と丁寧に返事をします。
ビジネスや大切な相手の場合は?
ビジネスシーンや大切な相手からの「よろしくお伝えください」は、たとえ社交辞令に聞こえたとしても、必ず「かしこまりました」と敬語で返事をします。さらに、伝える相手の名前と内容を復唱して、「今後ともよろしくお願いいたします」と添えることができれば印象も良くなります。
特にビジネスシーンでは、重要な仕事のきっかけともなる可能性があるので、すぐに伝えるべき相手に連絡して伝えましょう。丁寧な返事をしてすぐに伝えることができると、相手からの信頼も得やすくなります。
メールや手紙の場合は?
メールや手紙で文末に「よろしくお伝えください」と書かれている場合は、挨拶としての意味が強いので、そのことについて特に返事をする必要はありません。返事をしたい場合は「○○のことを気にかけていただき、ありがとうございます」と書くとスマートです。
ただし、挨拶ではなく伝言として具体的な内容が書いてあれば、「伝えます」と返事をするようにしましょう。
相手別「よろしくお伝えください」の使い方は?
相手によっては「よろしくお伝えください」の使い方が変わります。目上の方に使う場合、ビジネスで使う場合、友人の場合など、それぞれの相手でどう使い方が変わるのか見ていきましょう。基本的な使い方を知っておくと、その場の状況に合わせて変えることができるので、相手への印象がよくなります。
敬語に直したり、くだけた表現にしたりと、幅広く使い分けができると、「よろしくお伝えください」という言葉がもっと使いやすくなります。
目上では?
目上に対して「よろしくお伝えください」と言うのは、マナー違反となる場合があります。これは、使い方によっては「良い伝え方をしてください」という命令形になるからです。あくまでも挨拶の一つとして、押し付けがましくならないように気をつけましょう。
目上の方に軽い気持ちで伝言を押し付けることは、マナー違反となります。さらに、目上の方にはより丁寧な言い方をする必要がありますので、「よろしくお伝えいただけますか」という謙譲語に直しましょう。
ビジネスの相手では?
ビジネスでは、取引先との会話で「よろしくお伝えください」と使うことが多いものですが、実際に会っている方の部下へ向けて使うことは、あまり良くないとされています。上司にとっては、部下への伝言に使われたと思われてしまいますので、気軽に使ってしまうことのないよう注意が必要です。
重要な案件の場合は、「よろしくお伝えください」とは使わずに、「○○さんにはお世話になっています」と話題に出すだけにして、自分から連絡をとるようにするのがスマートです。特にお得意先の上司と会話をするときには、マナーを大切にして使いましょう。
友人では?
友人へ「よろしくお伝えください」と使う場合は、実際に会っている相手と親しい間柄の相手へ向けて使うようにしましょう。それほど頻繁に会わない関係では、伝える機会があまりないので、ただの挨拶のつもりがかえってプレッシャーになってしまいます。それとなく相手との関係性を聞いておくと安心です。
「よろしくお伝えください」の言い方も、手紙やメールであればそのままでいいのですが、会話でなら「よろしく伝えておいて」とくだけた言い方がおすすめです。軽い挨拶として使いやすい言葉です。交友関係をスムーズにするためにも、使い方には気をつけましょう。
お世話になっている方へは?
普段からお世話になっている方へ向けて、「よろしくお伝えください」と相手に言う場合は、社交辞令と受け取られないように、しっかりと気持ちを込めて言いましょう。プレゼントを渡してもらうようお願いするときに、よく使われます。
後から自分でメールや電話などで改めて連絡を入れるようにすると、印象に残りやすいのでおすすめです。お世話になった方には、それにふさわしい丁寧な対応を心がけると、人間関係がスムーズになります。
メールや手紙の相手には?
メールや手紙で「よろしくお伝えください」と書く場合は、文の終わりに挨拶として書くことが一般的です。たいていは、何か伝言をしてほしいというよりも、「あなたの周りの人も大切にしています」という意味を込めて書きます。
「皆様」と書くよりも相手の名前を書くほうがより丁寧になりますが、挨拶としてあまり長くならないように気をつけましょう。重要な内容を伝えたい場合は、本人に直接伝えるようにして、メールの相手に負担をかけないように注意します。
プレゼントを届けたい相手には?
直接プレゼントを渡せない場合に、相手と親しい方へ「よろしくお伝えください」とお願いすることもあります。誰からのプレゼントなのかをはっきりさせるために、必ず名前を伝えてもらうようにしましょう。本来なら自分でプレゼントを渡すのがマナーですが、やむをえない事情がある場合は、丁寧にお願いする言葉として「よろしくお伝えください」はよく使われます。
ビジネスシーンでは、何かのお礼としてコーヒーチケットなど小さなプレゼントをすると喜ばれます。本人へ直接渡すよりも、人づてでもらう方が嬉しい場合もありますので、機会があれば活用してみましょう。
「よろしくお伝えください」の例文
「よろしくお伝えください」という言葉は、いろいろなシーンで使うことを説明してきましたが、いざ使うとなるとどのように使えばいいのか迷われる方もいらっしゃるでしょう。ビジネスや趣味の集まりなどでも活用できますし、手紙やメールの挨拶としても使いやすい言葉ですので、正しいマナーで使いこなせるように、普段から慣れておくことをおすすめします。
実際に「よろしくお伝えください」という言葉をどのように使うのか、例文を紹介しましょう。
「くれぐれもよろしくお伝えください」
「くれぐれもよろしくお伝えください」は、仕事上での案件をプロジェクトリーダーなどに知らせる場合に、他のメンバーや上司にもしっかりと伝えてほしいときに使います。
他にも、お世話になった方へ直接挨拶できない場合に、感謝の気持ちを必ず伝えてほしいときにも使うことが多いです。ただし、強い催促と受け取られてしまうこともありますので、使い方には気をつけましょう。
「皆様にもどうぞよろしくお伝えください」
「皆様にもどうぞよろしくお伝えください」は、ビジネスで顧客への挨拶をするときに、便利に使えます。顧客の家族・友人であったり、同僚であったり、周りへの宣伝を促すために活用しましょう。営業トークとして気軽に使って構いません。
他にも、趣味の集まりや、セミナー・会食に誘われたときに、参加を楽しみにしていますという意味でも使えます。集まりから途中で抜けるときにも、代表者への別れ際の挨拶として使うこともあります。
「末筆ながら、皆様へよろしくお伝えください」
手紙やメールの場合は、基本的には「末筆ながら、皆様へよろしくお伝えください」と書きます。「皆様」よりも、伝えたい相手の名前を書くとさらに丁寧になります。
相手との関係性によっては、具体的な話題を出すことは避けて、挨拶の一つとして「よろしくお伝えください」と使いましょう。あまり具体的な伝言にしてしまうと、相手に気を遣わせてしまいますので、注意が必要です。
「欠席いたしますが、よろしくお伝えください」
「欠席いたしますが、よろしくお伝えください」は、ビジネスや冠婚葬祭など重要な集まりに欠席する場合によく使われます。参加したかったという気持ちを伝えるために、丁寧な謝罪と一緒に使うようにしましょう。
「○○さんにもよろしく伝えてね」
共通の友人であれば「よろしく伝えてね」と、くだけた表現がいいでしょう。ただし、友人の場合でも大切な事柄を伝言するのは避けて、軽い挨拶として使うことをおすすめします。
伝言というのは、伝え方によっては誤解を生む場合がありますし、重要な話なら伝える側にもプレッシャーがかかりますので、なるべく自分で連絡するのがマナーです。
正しい言い方で上手に使いこなそう!
「よろしくお伝えください」という言葉の意味や使い方などを、例文と合わせて解説してきましたが、いかがでしたか。
返事としては、軽く受け止める場合もありますが、ビジネスシーンでは重要な意味を持つこともあるので、相手がどのように使っているのかを見極めることが大切です。
主に挨拶の一つとして使うことが多いのですが、「よろしくお伝えください」という言葉は、先への展開に繋げていくこともできる便利な表現ですので、状況に応じて賢く使いこなしましょう。