「お体に気をつけて」の使い方・敬語・例文|年賀状/手紙/仕事

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「お体に気をつけて」の意味とは

メールや手紙で相手を気づかうとき、文末に「お体に気をつけて」という表現を目にしたことは誰でも一度はあるのではないでしょうか。しばらく会えない友達に「体に気をつけてね」と再会を願って声を掛けることもあります。

しかし、普段何気なく使っているこの「お体に気をつけて」の言葉の意味や正しい使い方を理解している人は意外と少ないのではないでしょうか。「お体に気をつけて」の意味や使い方、正しい敬語表現と例文などを紹介します。

「気をつけて」の意味

「気をつけて」の意味は、日本語表現辞典weblio辞書によると「気をつける」に助詞の「て」の付いた形となっていて、動作を形容して「注意、用心してことに当たる」といった意味となるか、「注意、用心をするように」と相手に呼びかける場合などに用いる表現、とあります。

したがって、「お体に気をつけて」の意味は、「体調に注意してことに当たるように」、「体に注意、用心をするように」という意味になります。

相手に対し注意喚起や注意を促す。友達などの親しい仲や後輩、部下に対してなら注意を促す言葉をかけることは間違いではありません。しかし、目上の人に向けて「お体に気をつけて」と注意喚起をするのはいかがなものでしょうか。

相手の体調を気づかうつもりで書いた「お体に気をつけて」の言葉が、目上の方に対しては上から物を言っている、偉そうで失礼な表現になってしまいます。

「気をつける」に助詞「て」の付いた形。動作を形容して「注意、用心して事に当る」といった意味となるか、「注意、用心をするように」と相手に呼びかける場合などに用いる表現。

https://www.weblio.jp/content/%E6%B0%97%E3%82%92%E3%81%A4…

「気をつけて」の使い方

それでは「気をつけて」を丁寧な言葉にするために「お」を付けて敬語表現にすれば目上の方にも失礼に当たらないのでしょうか。

「お気をつけて」は敬語表現になり「気をつけて」よりは柔らかい印象を与えて、一見正しいように思えます。しかし、「気をつけて」に「お」を付けて敬語表現にしても、やはりそのままでは相手に対し注意喚起や注意を促す表現になってしまいます。

より丁寧な表現にするには「お気をつけて」の後にもう一言添えて、「お気をつけください」や「お気をつけくださいませ」または「お気をつけになってください」とするのがいいでしょう。

「お体」と「お身体」の違い

「お体に気をつけて」とメールや手紙に書くときに「お体」なのか「お身体」なのかどちらが正しいのか迷ったことはありませんか?どちらの表現も日常ではよく目にしますが、どちらもよく目にする分、正しい表記はどちらなのか気にります。

特に目上の人にメールや手紙を出すときには、失礼のないように誤字には特に気をつけたいところです。ここで「お体」と「お身体」の違いを見てみましょう。

「体」とは一般的に物理的な肉体のこと、からだそのものを指します。したがって、人間だけでなく動物や虫、物体など幅広く使います。常用漢字ではからだは「体」と表記するのが正しいとされていますので、新聞や公的な文章では「おからだに気をつけて」の「からだ」は「体」と表記します。

身体

「身体」と書くときは、一般的には肉体のことだけではなく心を含めた「からだ」のことを指し、人間に対してだけ使われる漢字です。しかし、常用漢字では「身体」はしんたいと読み、からだとは読みません。そのため新聞や公的な文章では「お身体に気をつけて」と表現することは間違いになります。

手紙やメールで「おからだに気をつけて」と書くときには、肉体そのものだけでなく心身ともに健康であることを願っているという意味で使うため「身体」と書くのが一般的です。また、手紙やメールでは「お体」と書くよりも「お身体」と書く方が、より丁寧で改まった表現とされています。

常用漢字では「からだ」と読むことはなく、一般常識としては「お身体」の方が正しい使い方とされる、たいへんややこしい話です。

「お体に気をつけて」の使い方

「お体に気をつけて」のそれぞれの単語の意味を詳しく紹介しましたが、次は年賀状や手紙、仕事での使い方やメールでの使い方など、シーン別の使い方を紹介します。本文の最後、締めの文章で相手を気づかう言葉を添えると、さらに印象が良くなります。

年賀状での使い方

年賀状では送る相手の一年間の健康を願って、「お体に気をつけて」と言うような健康に関する一言を文末に入れることが一般的です。寒さの厳しい時季であり体調を崩しやすいときなので次のような使い方がおすすめです。

・「まだまだ厳しい寒さが続きます、お体に気をつけてお過ごしください(ませ)。」
・「寒さが厳しい折、お風邪など召しませんようくれぐれもお体に気をつけてお過ごしください(ませ)。」

書き手が男性の場合は「~ください。」と書きます。女性の場合は「~くださいませ。」と書いた方が女性的で柔らかい印象を与えます。

手紙での使い方

手紙をもらったとき、「お体に気をつけて」などの健康や体調を気遣う言葉で締めてあると丁寧な印象を受け、うれしい気持ちになります。手紙では季節や相手の状況に合わせて「お体に気をつけて」を使いましょう。

・「風邪が流行っております。くれぐれもお体にお気をつけてお過ごしください(ませ)。」
・「何かと忙しい時期ですがご無理なさらぬよう、お体に気をつけて元気でお過ごしください(ませ)。」

仕事での使い方

ビジネスのシーンでも異動や退職する上司や、お世話になった相手に対して「お体に気をつけて」と言葉を掛けることは少なくありません。口頭で直接伝える場合や寄せ書きで言葉を伝える場合には、手紙ほど改まった表現をしなくてもいいでしょう。

・退職や転勤する上司に対して「大変お世話になりました。どうかお体に気をつけてください。」
・親しい間柄なら「お体に気をつけてください」としても失礼にあたりません。

メールでの使い方

メールでの「お体に気をつけて」の使い方は手紙での使い方と基本的には同じです。季節や相手の状況に合わせて、用件のあとの結びの文章で使いましょう。

「お体に気をつけて」を敬語で言うと?

シーン別に「お体に気をつけて」の使い方などを紹介しましたが、ここであらためて「お体に気をつけて」の敬語表現を確認しましょう。

「お体に気をつけて」はなぜ失礼にあたるのか

目上の人に「お体に気をつけて」と言うことがなぜ失礼にあたるのでしょうか。相手の健康や無事を願っての言葉ですから、本来なら「気にかけてくれてありがとう」と感謝されることはあっても、相手に不快な印象を与えることはないはずです。

しかし、一見問題のないように見えるこの「お体に気をつけて」という言葉は、先に紹介したように相手に注意喚起を促す言葉であり、「お」が付いていても正しい敬語とは言えません。

敬語とは、話し相手や手紙の相手に対して敬意を表す言語表現のことをいいます。さらに敬語には相手に対して敬意を表現する尊敬語、自分をへりくだって表現する謙譲語、丁寧に表現する丁寧語の3つに分類されます。

「お体に気をつけて」を目上の人に使う時

「お体に気をつけて」と目上の人に使う時は、言葉の前に「くれぐれも」や、「何卒」と言った言葉を添えるとより丁寧な印象になります。また、言葉の後にもください(ませ)と一言添えて、「何卒お体に気をつけてくださいませ。」というような文章にするとよいでしょう。

「お体に気をつけて」を使った例文

手紙やメールでは「お体に気をつけて」の後に、「お元気で」や「ご活躍をお祈りします」という言葉が続くことがあります。比較的使用する頻度の高い、「お元気で」と「ご活躍」の2つの言葉を使った例文を紹介します。

手紙やメール以外にも年賀状でも使える表現なのでぜひ身に付けたい言い回しです。

お元気で

手紙の末文に、「体に気をつけて元気でね、また会いましょう。」と言うような文章を添えることがあります。親しい間柄ならそのままの文章でいいでしょう。目上の相手には失礼のないように丁寧な言葉で伝えましょう。

・「まだまだ寒い日が続きます。くれぐれもお体に気をつけてお元気でお過ごしください(ませ)。」
・「またお会いしましょう。お体に気をつけて、どうぞお元気で。」

ご活躍

ビジネスのシーンでは退職や転職をする相手に、健康とこれからの活躍を願って言葉をおくることもあります。こちらも手紙やメール以外に年賀状でも使用できる例文です。

・「どうぞお体に気をつけて、新天地でのさらなるご活躍をお祈り申し上げます。」
・「ご多忙のことと存じますが、くれぐれもお体に気をつけて、益々のご活躍をお祈り申し上げます。」

「お体に気をつけて」の類語はどんな言葉がある?

目上の人に手紙やメールを送る機会は一度だけではないでしょう。年賀状や暑中見舞いなどは毎年送る物ですから、「お体に気をつけて」と同じような意味の言葉、類語を覚えておくと文末に添える言葉のバリエーションが広がります。

「お体に気をつけて」の類語とそれを使った例文、そして体調を崩して入院中や病気療養中の相手に送る、お見舞いに添える言葉とそれを使った例文を紹介します。

お大事にしてください

体調不良や病気、ケガなどで療養中の相手の健康状態を気づかうときや、早い回復を願う表現として「お大事に」という言葉を使うことは日常ではよくあることでしょう。

病院での診察終わりに、お医者さんから「お大事に」と声を掛けられたことは誰でも一度はあるのではないでしょうか。「お大事にしてください」を使った例文を紹介します。

「お大事にしてください」を使った例文

目上の人に伝えるときには「お大事にしてください」ではなく、「お大事になさってください」と伝えるのが敬語表現としては正しい使い方です。また、お大事にの前に「どうぞ」や「どうか」などの言葉を一言添えるとより丁寧で柔らかな印象になります。

・「どうぞ、お大事になさってください。」
・「お体、お大事になさってください。」
・「一日も早い回復をお祈りしています。どうぞお大事になさってください。」

ご自愛ください

普段の会話ではあまり使う機会はありませんが、手紙やメールでは意外と使う機会のある「ご自愛ください」という言葉は、自身の体を大切にしてくださいという意味で、「お体に気をつけて」の類語になります。

「ご自愛ください」を使った例文

「ご自愛ください」という表現は男性、女性関係なく目上の人に使える便利な表現方法なのでぜひ身に付けたい言葉です。「ご自愛ください」を使った例文を紹介します。

・「何かとご多忙とは存じますが、くれぐれもご無理などなさらぬようご自愛ください(ませ)。」
・「こらからも暑さが続きます、くれぐれもご自愛ください(ませ)。」

この「ご自愛ください」の「自」には自身の体という意味が含まれているため、「お体に気をつけて」のように頭に「お体」を付けて、「お体ご自愛ください」とするのは間違いです。

一日も早い快復を祈ります

相手が病気療養中の場合や、入院中の相手にお見舞いの手紙やメールを送るときは「お体に気をつけて」と伝えるよりも、病気が早く治りますようにとの願いをこめて「一日も早い快復を祈ります」などの言葉を文末に添えます。

ところで、かいふくには「回復」と「快復」の2種類の漢字があります。「回復」は「一度悪い状態になったものが元の状態になる。または一度失ったものを取り戻す。」という意味で、「快復」は患っていた病気が治ることを意味します。したがってお見舞いには「快復」の字を使います。

「一日も早い快復を祈ります」を使った例文

「一日も早い快復を祈ります」を使った例文を紹介します。目上の人に使うときにはご快復や、お祈りなどと表現する方が丁寧な印象を与えます。

・「一日も早いご快復をお祈り申し上げます。」
・「一日も早いご快復とご退院をお祈りいたします。」
・「一日も早いご快復を、心よりお祈り申し上げます。」

一日も早い全快を祈ります

「一日も早い全快を祈ります」という言葉は、病気療養中や入院中の相手に早く元気になってもらいたいとの気持ちを伝える言葉です。「快復」と同じような意味ですが「全快」と表します。「全快」とは病気や傷が完全に治ることや全治することを意味します。快復よりも、より元気になってもらいたいという気持ちが強いように感じます。

「一日も早い全快を祈ります」を使った例文

「一日も早い全快を祈ります」を使った例文を紹介します。使い方は「快復」と同じです。

・「一日も早い全快を、心よりお祈り申しあげます。」

「お体に気をつけて」その気持ちを正しく伝えよう

今回は「お体に気をつけて」の正しい使い方と言葉の意味、敬語表現やシーンに合わせた例文などを紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

親しい仲や面と向かって直接伝える場合は、そのまま「お体に気をつけて」と伝えてもニュアンスや言葉の温度で十分に気持ちは伝わりますし、失礼だと感じる人は少ないでしょう。しかし、手紙やメールでは相手の健康を気づかって掛けた「お体に気をつけて」の言葉でモヤモヤとした気持ちにさせてしまうこともあります。

敬語はとてもややこしく、面倒だと感じる人もいるでしょう。しかし、ビジネスのシーンでは間違った敬語を使う相手に対して、「常識のない人だな」、「この会社は新人の教育もできないのか」とマイナスの評価をされることも少なくありません。

「お体に気をつけて」という言葉はさまざまな場面で使えるとても便利な言葉ですので、正しい使い方をマスターして相手を思いやるその気持ちを正しく伝えましょう。

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