「ご無沙汰しております」の意味と目上の人への使い方・敬語・例文

ビジネススキル

「ご無沙汰しております」の意味と使い方

久しぶりに会う相手に対して使われる「ご無沙汰しております」ですが、日常生活はもちろんのこと、ビジネスのシーンでも用いられる言葉です。しかし、何気なく使っていて意味をあまり知らないという方も多いのではないでしょうか。

今回は、何気なく使われている「ご無沙汰しております」という言葉に関して、「ご無沙汰しております」の意味や正しい使い方、例文などをご紹介いたします。正しく「ご無沙汰しております」をマスターしてビジネスの場でも恥をかかないように心がけましょう。

まずは、「ご無沙汰しております」の意味や使い方についてみていきましょう。

「ご無沙汰しております」の意味は?

「ご無沙汰しております」の意味とは、どのような意味が込められているのでしょうか。まず、「ご無沙汰しております」の「沙汰」という言葉に注目してみましょう。「沙汰」というのは、「便り」や「知らせ」という意味があります。

また、「ご無沙汰しております」には「無」という言葉も使用しているので、意味としては「便りや知らせがなかったですが、お久しぶりです」という一言に直すことができます。

しかし、「わざわざ便りも知らせもなく、お久しぶりです」という言葉では長くて伝えづらいため、「ご無沙汰」という言葉が生まれました。また、ご無沙汰の「ご」は相手を敬う謙譲語を使っているため、相手を立てて、自分を下にしている表現となります。

どれくらいの期間で使える?

「ご無沙汰しております」は、会ってからどれくらいの期間を空けて使うのがいいのでしょうか。さすがに2~3日や1週間程度では、不自然な使い方ですので、相手と自分にとって久しぶりではない限りは、多用しないほうがいいでしょう。

「ご無沙汰しております」は、しばらく連絡をしておらず、久しぶりの気持ちを伝えたいので、だいたい2~3ヶ月以上の期間が空いているのであれば、「ご無沙汰しております」を使うのにはちょうどいい期間でしょう。

また、1年や5年、半年など期間が空いた場合は「大変ご無沙汰しております」と使うのが一般的です。さらに別の言い方では「長い間、ご無沙汰しております」という言葉でもいいでしょう。

メールでの「ご無沙汰しております」

メールで「ご無沙汰しております」を使う場合は、どんな使い方をすればいいのでしょうか。メールで「ご無沙汰しております」を送る場合、メールはもちろんのこと、電話、手紙などを使った連絡手段を取っていない場合に使いましょう。

また、ビジネスの場合では長い間連絡をとっていない時に「ご無沙汰して申し訳ありません」といった挨拶と謝罪の気持ちを表現した使い方もあります。また、「長い間、ご無沙汰しております。」という一文も、「長い間連絡を取らずに申し訳ない」という気持ちを伝えるためにも使われます。

年賀状での「ご無沙汰しております」

年賀状での「ご無沙汰しております」はどんな時に使ったらいいのでしょうか。まず、毎年年賀状をおくっている場合は「ご無沙汰しております」は使えないでしょう。なぜなら、毎年のように送っているからです。

年賀状での「ご無沙汰しております」を使う場合は、何年も年賀状を久しく送っていない時に「長らく、ご無沙汰しております。」使うのが望ましいといえるでしょう。

手紙での「ご無沙汰しております」

手紙での「ご無沙汰しております」も年賀状と同じです。手紙での「ご無沙汰しております」と挨拶を添える場合も、年賀状と同じように手紙を久しく送っていない場合は「ご無沙汰しております」と書くのが望ましい表現です。

現在では、手紙よりもメールでの連絡手段が多いですが、先生や自分の尊敬する方など、久しく会っておらず、目上の相手にかしこまった手紙を送りたい場合は、手書きの手紙を送ると良い印象を持たせることができます。また、手紙のいいところは、メールでの連絡手段を持たない相手にも有効な方法です。

英語にも「ご無沙汰しております」はあるの?

最近のビジネスでは国際交流が求められるシーンも増えました。では、英語には「ご無沙汰しております」という表現はあるのでしょうか。英語には、日本語のように『謙譲語』や『丁寧語』『尊敬語』などの敬語を細かく使い分けることはありません。

しかし、英語での交流であっても挨拶は大切ですので、英語での「ご無沙汰しております」は『I haven’t seen you for a long time.』(アイハヴントシーユーフォーアロンアタァイム)と表現しましょう。翻訳すると「長い間、ご無沙汰しております」という意味となります。

「ご無沙汰しております」の目上の人への使い方

目上の方には「ご無沙汰しております」はどう使えばいいのでしょうか。続いては、目上の方に対して使う「ご無沙汰しております」について解説していきます。目上の方に「ご無沙汰しております」をどう使ったらいいのかわからないという方は、ぜひ参考にしてみてください。

目上の人には「ご無沙汰しております」でOK

「ご無沙汰しております」を目上の方に使うのは、正しい使い方です。なぜなら、「ご無沙汰しております」は謙譲語だからです。謙譲語は、自分よりも相手を上に立てて自分はへりくだった表現の敬語となります。

また、「ご無沙汰しております」は相手を敬う意味の「ご」と「おります」が使われていますので、必然的に謙譲語の表現になります。基本的には上司や先生、教授、社長など、自分よりも立場が上の方に使うのが望ましい使い方です。

「ご無沙汰しております」の後に一言添えると好印象

ただ「ご無沙汰しております」という挨拶だけでは、少しそっけない気もするでしょう。「ご無沙汰しております」は、単体でも使うことはできますが、「ご無沙汰しております、お変わりありませんか」や「ご無沙汰しております、その後いかがでしょうか」など「ご無沙汰しております」に一言気遣いの言葉を添えるだけでも、言われた側の印象は変わります。

印象良く「ご無沙汰しております」を使いたいのであれば、「ご無沙汰しております」+「一言」を使うと好印象になりますので、使う機会があれば試してみましょう。

目上の人に対して「お久しぶりです」はNG!

「ご無沙汰しております」と同じく、久しく連絡をとっていない時に使うのは「お久しぶりです」という言葉です。しかし、目上の人には「お久しぶりです」は使ってはいけません。「お久しぶりです」というのは、「~です」という丁寧語が使われているので、丁寧な言い方と思われますが、自分よりも立場が上の方には失礼な表現になってしまいます。

同僚や部下、友人や家族に対しては「お久しぶり」と使っても大丈夫ですが、目上の人方には必ず「ご無沙汰しております」と挨拶するのが正しい使い方といえるでしょう。

相手に「ご無沙汰しております」と言われたら?

目上の方に対しては、自分から「ご無沙汰しております」と挨拶するのが一般的ですが、自分よりも先に相手から「ご無沙汰しております」と言われたらどう返事をするのでしょうか。

自分よりも先に相手から「ご無沙汰しております」と言われた場合は、「こちらこそ、ご無沙汰しております」と返事をしましょう。もちろん、「ご無沙汰しております」という返事の仕方でも大丈夫です。しかし、基本的には相手から挨拶をさせてしまうのは、失礼なことですので、久しい相手に気づいたらなるべく自分から「ご無沙汰しております」と挨拶するようにしましょう。

「ご無沙汰しております」の例文

「ご無沙汰しております」という言葉の意味や使い方のポイントはおさえられたでしょうか。では、実際に「ご無沙汰しております」を使ってみましょう。この項目では、「ご無沙汰しております」を使う例文をさまざまな一言と一緒にピックアップしてみました。

先生や上司、教授との会話はもちろんのこと、手紙や年賀状、ビジネスメールなどでも使える一文ですので、「ご無沙汰しております」を使う時は、ぜひ参考にしてみてください。

大変

・「大変長い間、ご無沙汰しております。」
・「大変、ご無沙汰しております。」

大変というのは、物事が重大であることという意味以外にも、「非常に」「たいそう」という意味も持っています。そのため、「大変、ご無沙汰しております」は通常の言葉で言い直すと「大変お久しぶりです」という言葉となります。また、「大変長い間」という言葉を付ける場合は、5年~10年ほどの月日が経った場合に使うといいでしょう。

お元気ですか

・「ご無沙汰しております、お元気ですか」
・「ご無沙汰しております、お加減はいかがでしょうか」

「ご無沙汰しております、お元気ですか」は、久しぶりの相手に健康状態を知ることができる一文です。また、「お加減はいかがでしょうか」も相手の健康状態を知りたい場合に使う言葉ですので、「お元気ですか」をより丁寧に表現したい場合に使うといいでしょう。

さらに、相手から「ご無沙汰しております、お元気ですか」と言われたら「こちらこそ、ご無沙汰しております、元気です」と自分の健康状態を答えるようにします。

お変わりありませんか

・「ご無沙汰しております、お変わりありませんか」

「お変わりありませんか」という言葉も相手の健康状態と安否を確認するための一言です。相手が以前に会った時よりも何か変わったことはなかったかを聞く時にも使える一文です。また、相手から「ご無沙汰しております、お変わりありませんか」と言われたら、「こちらこそ、ご無沙汰しております、特に変わりはありません」など、自分の最近の状況を報告してみましょう。

いかがお過ごしですか

・「ご無沙汰しております、いかがお過ごしですか」

「いかがお過ごしですか」という言葉も、相手の安否状態を確認する時に便利な一言です。通常の言葉だと「どのように過ごしていますか」という言葉となります。「ご無沙汰しております、いかがお過ごしですか」は、相手の生活状況が気になる時や、どんなふうに過ごしているのか気になる場合に使うといいでしょう。

申し訳ありません

・「ご無沙汰しておりまして、申し訳ありません」
・「長らくご無沙汰しております、申し訳ありません」

目上の方に、連絡を取ると言っていたのに相手に連絡を入れていなかった場合、謝罪の気持ち一緒に伝える場合の一文です。また、尊敬する方や自分よりもずっと上の立場の方にも連絡をしていなかった場合に「長らくご無沙汰しております、申し訳ありません」と一言添えるとかしこまった表現となるでしょう。

失礼いたしました

・「ご無沙汰しており、失礼いたしました」
・「長らくご無沙汰してしまい、失礼いたしました」

「失礼いたしました」という一言は、相手に対してより丁寧な言い方にしたい場合に付けると良い一言です。「ご無沙汰しており、失礼いたしました」は、通常の言葉にすると「長い間会っていなくて失礼しました」という意味になりますので、『会っていないことを失礼なのではないか』と感じた時に使うといいでしょう。

また、必ずしも「失礼いたしました」と付け加える必要はなく、相手を敬う自分の気持ちでその時に使う一言を選ぶことをおすすめします。

「ご無沙汰しております」の敬語

「ご無沙汰しております」は、敬語ですが、実際には『丁寧語』『謙譲語』『尊敬語』のどのジャンルになる敬語なのでしょうか。また、「ご無沙汰しております」の類義語や別の言い換え方はあるのでしょうか。

ここからは、「ご無沙汰しております」の敬語はどのジャンルの敬語になるのか、「ご無沙汰しております」の類義語や言い換え方はどんな言葉になるのかをご紹介いたします。 

「ご無沙汰しております」は謙譲語

敬語の使い分けの中で「ご無沙汰しております」はどの敬語の種類にあたるのでしょうか。『丁寧語』『尊敬語』『謙譲語』の中で「ご無沙汰しております」は、謙譲語になります。謙譲語は、目上の方に対して使う敬語で、目上の人に対して自分を下にしたい場合に使います。

主に「ご無沙汰しております」を使う相手は、会社の上司・社長・先輩や学校だと先生や教授など、自分の立場よりも上の方に対して使いましょう。

「ご無沙汰しております」の類義語は?

「ご無沙汰しております」に類義語は、あるのでしょうか。「ご無沙汰しております」の類義語は「お元気でしたか」「息災でしたか」「お久しぶりです」などがあります。「息災でしたか」という言葉は、難しい言葉ですが「何事もない」「無病息災」の意味があります。

「ご無沙汰しております」の言い換え方は?

・「久しくご無音続きで、恐縮に存じます。」
・「久しくご連絡も差し上げず、申し訳ないです」

「ご無沙汰しております」のを別の言葉で言い換えた場合は、「ご無音続き」や「ご連絡も差し上げず」などの言葉が使われます。どちらも、連絡をしなかった場合に使うといいでしょう。

同僚や友人には使ってもいい?

「ご無沙汰しております」は、友人や同僚にも使える言葉なのでしょうか。「ご無沙汰しております」は日常生活において誰にでも使えて、失礼のない敬語ですので、同僚や友人、知人、家族など誰に使っても差し支えはありません。

また、友人や家族に対して使う場合は、「お久しぶり」や「元気ですか」など普段使う言葉でもいいでしょう。もし、友人でも相手が年上の目上の人であった場合は「ご無沙汰しております」を使うのがおすすめです。

「ご無沙汰しております」を正しく使おう

いかがでしたでしょうか。「ご無沙汰しております」使う相手を選ばないのもこの敬語のいいところです。もし、久しく会っていない目上の方や上司に会ったら「ご無沙汰しております」と挨拶をしてみましょう。

基本的に「ご無沙汰しております」は、目上の方に使うことが多いため、目上の人のみにしか使えないというわけではありません。「ご無沙汰しております」は、目上の人だけでなく友人や同僚に対してもスタンダードに使えますので、長く連絡をとっていない久しい相手がいたら挨拶として使ってみることをおすすめします。

ぜひ、「ご無沙汰しております」の正しい使い方をマスターして、ビジネスシーンや挨拶の場で使ってみてはいかがでしょうか。

タイトルとURLをコピーしました