「お願いしたく存じます」の意味と使い方・例文・正しい敬語なのか

ビジネススキル

「お願いしたく存じます」の意味と使い方

「お願いしたく存じます」の成り立ちは、「お」に示される謙譲語、「したい(願い)」を示す助動詞をはじめ、後は「存じる」=「思う」「知る」の謙譲語、「ます」=丁寧語となり、「お願いしたく存じます」の根本的な意味合いは「お願いしたいと思います」という表現を指します。

「お願いしたく存じます」は謙譲語が2つ含まれているため、厳密には2重敬語になりますが、一般的に多く使われているのでとりわけ問題はないでしょう。相手に何かを依頼する時や、お願いをする場合につかいます。

その際の注意点ですが、自分がどれだけ急いでいても相手にその焦燥を伝えないようにすることです。納期があったりと焦る気持ちはわかりますが、相手が大切な顧客の場合、圧迫するような雰囲気が伝わらないように、気持ちをなるべく抑えて丁寧にお願いしましょう。

ビジネスでの「お願いしたく存じます」

取引先の相手やお客様など目上の人に対して使えます。一方で、同僚や目下の人に対して使用するには少々堅い印象なので、注意しましょう。目上の人に物を頼むときに「よろしくお願いします」と言うよりも、「お願いしたく存じます」と言った方が、何となく丁寧な感じがする上に、相手も頼まれたことを快く了承することができます。

そして、「お願いしたく存じます」という言葉はビジネスシーンでよく使われる言葉ですが、実は女性向けの敬語というようなお話があります。男性は使わない方が良いという事ではありませんが、女性の方が丁寧に敬語を伝える事が得意とされています。

「お願いしたく存じます」は上司や顧客に対して、してほしいことをお願いする場合に使用するのが望ましいです。

メールでの「お願いしたく存じます」

メールでの「お願いしたく存じます」の使い方の場合も先述のビジネス用語の場合と同じく、基本的には「目上の人や初対面の人に対する敬意を払う上で、自分の主張を丁寧な口調をもって伝える」という姿勢になります。

メールの場合では、その文面の全体が相手にとっても自分にとっても「文章として残る形」になるため、会話表現で「お願いしたく存じます」と言う場合に加えて、さらに文法的なミスをしないよう注意することが大切です。

・その件につきましては、どうぞ週末までにお願いしたく存じます。
・事業プランの見直しにつきまして、ぜひ早期にお願いしたく存じます。
・ご連絡させていただきました案件につきまして、早期のご返信をお願いしたく存じます。

「お願いしたく存じます」の言い換え

「お願いしたく存じます」という言葉は多くのビジネスシーンでも普通に使われている表現ですが、場合によっては「お願いしたく」という部分がやや話者の主観的な気持ちを表すため、言い換えの表現を取ることがあります。

・お願いさせていただきます
・ぜひよろしくお願いいたします
・○○させていただければ幸いです。

このように、「お願いしたく」の部分をあえて省略しておき、代わりに「幸いです」や「よろしくお願いします」といったさらに無難な敬語表現に置き換えておくことによって、誰にとっても心地よい響きの表現が可能となります。

「お願いしたく存じます」の例文

日本語を覚える場合はまず、実践的にその言葉を例文や会話表現などで使用し、「自分の言葉・表現」として身に付けておくことが大切です。そうすることによって、あらゆる言葉・表現をいろいろな場面で流用することが可能となるため、日常的な場面からビジネスシーンにおける使用まで、さまざまな表現の使い分けが可能になります。

・翌週の受験に使う教室についてですが、早期の設営をお願いしたく存じます。
・ローンカードがまだ自宅に届かないのですが、なるべく早くのご対応をお願いしたく存じます。
・あなたには、こちらの案件をお願いしたく存じます。

恐縮ではございますが

「恐縮ではございますが」という言葉は主に、「相手に対して謙譲表現としての敬意を払う上で、自分の主張をなるべくへりくだった姿勢で伝える」といった、ビジネス用語として実に多くの場面で使われる日常的な表現となります。

・恐縮ではございますが、なるべく早期にお願いしたく存じます。
・恐縮ではございますが、そちらの案件の送信をお願いしたく存じます。
・恐縮ではございますが、会場のご変更をお願いしたく存じます。

このように、「恐縮ではございますが」という表現を冒頭に付けることによって、「お願いしたく存じます」という表現もさらに丁寧な敬語表現として相手に伝えることが可能になります。

恐れ入りますが

「恐れ入りますが」という表現も先述の「恐縮ではございますが」の場合と同じく、「相手を敬う気持ちを十分伝える上で、相手と自分の立場・関係性に配慮する上であまりにも恐れ多い」といったかなり低姿勢な敬語表現となります。

・恐れ入りますが、必要書類の郵送をお願いしたく存じます。
・恐れ入りますが、ご採点をお願いしたく存じます。
・恐れ入りますが、場所の移動をお願いしたく存じます。

差し支えないようでしたら

「差し支えないようでしたら」という表現は、まず相手の状況を確認することを踏まえた上で「それでもご対応できましたら」、「わたしの要求に応えることが可能でありましたら」といった、これも謙譲表現による言葉の使い方として認められます。

・差し支えないようでしたら、なるべくお早目のご連絡をお願いしたく存じます。
・差し支えないようでしたら、プリントアウトをお願いしたく存じます。
・差し支えないようでしたら、ご出席をお願いしたく存じます。

よろしければ

「よろしければ」という表現は「よければ」という意味合いを持つ比較的「身近な敬語表現」として認められます。

・よろしければ、○○会へのご参加をお願いしたく存じます。
・よろしければ、司会進行役をお願いしたく存じます。
・よろしければ、主任補佐をお願いしたく存じます。

このように、「よろしければ」という言葉の意味合いにも「差し支えないようでしたら」の場合と同じく、まず「相手の状況を確認した上で、それでも対応可能であれば」といったへりくだった姿勢が見受けられます。

お忙しいところ申し訳ありませんが

「お忙しいところ申し訳ありませんが」という表現は、ビジネスシーンでも日常生活でも多くの場面で見られる慣用句的な表現となるでしょうか。

この表現にしてもまず「相手の状況」に配慮した上で、「自分がこれから要求することへの対応が可能でしたら」といった謙譲表現が見受けられます。「できましたら」などの補足の言葉が付け加えられる場合が多く見られます。

・お忙しいところ申し訳ありませんが、できましたら早期のご返却をお願いしたく存じます。
・お忙しいところ申し訳ありませんが、資料のご返却をお願いしたく存じます。
・お忙しいところ申し訳ありませんが、会へのご出席をお願いしたく存じます。

ご面倒をお掛けいたしますが

「ご面倒をお掛けいたしますが」という表現はその文字どおりに、「自分の要求への対応をしていただいて申し訳ないですが」といった遠慮と謝意を伝える際の表現として認められます。この際でも「お忙しいところ申し訳ありませんが」の場合と同じく、「できましたら」などの補足の言葉が付け加えられることがあります。

・ご面倒をお掛けいたしますが、できましたらビデオのご返却をお願いしたく存じます。
・ご面倒をお掛けいたしますが、可能でしたら、もう少し詳細なご説明をお願いしたく存じます。
・ご面倒をお掛けいたしますが、再度のご郵送をお願いしたく存じます。

ご検討を

「ご検討を」という表現はその言葉どおりに「何らかの特定の物事についての検討・懸案をよろしくお願いします」という旨を伝える言葉であり、この際でも「お願いしたく存じます」という言葉が付け添える形で使われます。

・事業プラン見直しのご検討をお願いしたく存じます。
・新しい図書館利用についてのご検討をお願いしたく存じます。
・環境設備改善のご検討をお願いしたく存じます。

お手すきの際でかまいませんので

「お手すきの際でかまいませんので」という言葉は特に「企業側から顧客に向けて個別に使われる言葉・表現」として認められますが、もちろんビジネスシーンでは自社と先方との間で普通に使われる日常表現としても認められます。

・お手すきの際でかまいませんので、書類の郵送をお願いしたく存じます。
・お手すきの際でかまいませんので、提出物のご提示をお願いしたく存じます。
・お手すきの際でかまいませんので、その件につきましてのご返信をお願いしたく存じます。

可能でありましたら

「可能でありましたら」という表現は主に「おそらくできないかも」という予測を先に立てた上で、それでも「可能である場合は○○してください」という、やや難局に遭遇している場合に使われやすい言葉・表現として認められます。

・可能でありましたら、○○銀行からのご入金をお願いしたく存じます。
・可能でありましたら、家庭教師をお願いしたく存じます。
・可能でありましたら、ご旅行先からでもご連絡をお願いしたく存じます。

ご協力を

「ご協力を○○します」という表現はビジネスシーンも日常生活でも一般的に使われている表現であるため、「お願いしたく存じます」という言葉との組み合わせによる表現が頻繁に見られることになるでしょう。この「ご協力を」というのは「ご支援をお願いします」と同じ用法で使われます。

・事業促進へのご協力をお願いしたく存じます。
・ボランティア活動へのご協力をお願いしたく存じます。
・支援金へのご協力をお願いしたく存じます。

「お願いしたく存じます」の印象

「お願いしたく存じます」という表現には先述しましたように、話者のやや主観的な表現(「お願いを聞いてほしい」という意図)がそのまま伝わるため、可能であれば別の敬語表現が取られることが期待されます。

「○○してもらう」や「○○してほしい」という表現をする場合には、できるだけ「相手の状況や心情に配慮する必要」があるため、その配慮を忘れた上で「お願いしたく」という言葉をそのまま言ってしまっては、相手にとっては「話者の高圧的な態度」がその言葉の印象として伝えられます。

印象のよい表現

先述の続きとなりますが、「お願いしたく存じます」の最も簡単な言い換え表現としては、「お願いします・お願いいたします」と言うのがベターな表現として認められます。

「お願いしたく存じます」という言葉の骨子の意味はもちろん「○○してください・○○してほしい」という要求になるため、簡潔にその旨を伝えることによって、余計な印象を相手に与えることなく、スムーズにその意図を伝えることができるでしょう。

「お願いしたく存じます」は正しい敬語なのか

一般的に「お願いしたく存じます」という表現は、目上の人に対する表現として認識してかまいません。それでも場合によっては「お願いしたく」という部分がやや主観的な内容・響きに聞こえるため、その部分だけを別の表現に置き換える工夫も大切になります。

「お願いしたく存じます」という言い方は文法的に問題ないですが、上記の理由をもって少々「敬語表現と日常表現のミックスされた表現」によって、アンバランスな印象を与えることがあります。とくに書き言葉で「存じます」を使った文章では、「したく」の部分も「いたしたく」と置き換えることにより、さらに整った丁寧な言い方になるでしょう。

「存じます」の使用方法

「お願いしたく存じます」を「お願いしたいと思います」と言い換えることはできますが、「思います」が省略された「お願いしたいです」という言い方は、自分の意思を主観的に伝えているだけで、相手の判断を仰ぐ感覚が抜け落ちていることにより、やや稚拙な表現になってしまいます。

また、「したい」という部分だけを丁寧語に換え「お願い致したいです」という表現は、一般的な敬語表現に置き換える場合に使用されません。

この場合、「思います」という表現を「存じます」や「幸いです」などの一般的に多く使用されている敬語表現に置き換えてしまい、どんな場面でも立派に通用する文法表現にすることがベターでしょう。

「お願いしたく存じます」は間違いなのか

「お願いしたく存じます」という表現は、一般的に使われる場合は特に問題ありませんが、特にビジネスシーンなどで求められる正確な敬語表現に置き換えて表現される際には、さらに的確な表現をすることが必要です。

「お願いします」と「存じます」との間に「したく」という主観的な表現がどうしても目立ってしまうため、この「したく」の部分をあえて表現しない方法が必要になるでしょう。

その場合、先述でご紹介しましたように、「幸いです」や「ぜひ」などの言葉を冒頭、あるいは末尾に置き、「ぜひよろしくお願いします」や「○○させていただければ幸いです」などといった、さらに丁寧な敬語表現をすることが求められます。

上司にも使える「お願いしたく存じます」

先述でご紹介しました「お願いしたく存じます」という表現についてですが、「お願いしたく存じます」という言葉は絶対に使ってはいけない表現ではなく、むしろ多くのビジネスシーンで実際に使われている表現として認められています。

上司に使うこともできる表現ですが、しかしその場合は「それまでに上司との接点をあらかじめ持っておき、それなりの信頼関係をしっかり結んでいる状態であること」がまず必須となるでしょうか。

いきなり「お願いしたく存じます」と初対面の人に対して言う場合は、やや稚拙なボキャブラリであることがそのまま印象として受け取られる場合があります。

「お願いしたく存じます」の英語表記と意味

「お願いしたく存じます」という言葉を英語に直す場合、まず「お願いします」という単純な表現に直してから英語表現を検索することになるでしょう。

・please(よろしく、どうぞ、お願いします)
・ask you(お願いします、頼みます、依頼します)
・help me(助けてください、お願いします)
・can you cooperate?(ご協力お願いできますか)
・I would like to receive your support(支援してください、ご協力お願いします)
・sustenance(支える、指示、お願いします)
・aid(援助する、支える)
・livelihood(支持、支援、支え)
・would like to ask you(お願いしたく存じます)
・backing(支援、協力、後援)

「お願いしたく存じます」の英語表現と意味(1)

先でご紹介しました「お願いしたく存じます」の英語表記を参考にして、「お願いしたく存じます」の意味合いを含めた英語の例文をいくつかご紹介します。

・I would like to ask you for a review of the business plan.
「事業プラン見直しについて、ぜひお願いしたく存じます。」
・We would like to ask you to consider improving the use of the library.
「図書館利用の改善についてのご検討を、お願いしたく存じます。」
・We would like to ask you to improve the security aspect of the pool.
「プールのセキュリティ面の改善を、お願いしたく存じます。」

「お願いしたく存じます」の英語表現と意味(2)

先述しました「お願いしたく存じます」の英語表現に引き続き、さらに具体的な「お願いしたく存じます」の例文をご紹介します。

・When expressions like “I would like to ask” are used in business scenes, it is necessary to replace them with more appropriate honorific expressions.
「「お願いしたく存じます」という表現はビジネスシーンで使われる場合、さらに適切な敬語表現に置き換える必要があります。」
・The expression “I want your support” includes a somewhat subjective expression of “I want to”.
「「お願いしたく存じます」という表現は「したい」というやや主観的な表現が含まれます。」

「お願いしたく存じます」を正しく使いましょう

いかがでしたか。今回は「お願いしたく存じます」の意味と使い方・例文・正しい敬語なのかと題して、「お願いしたく存じます」の正確な意味合いと使い方のご紹介をはじめ、いろいろな場面で使われる「お願いしたく存じます」の用例をご紹介しました。

「お願いしたく存じます」という表現は基本的に「使ってはいけない表現」ではないですが、的確な敬語表現として使用する場合には、「お願いしたく」と「存じます」との言葉のニュアンスの間に「主観的な表現」と「敬語表現」とがミックスされ、アンバランスな敬語表現となります。

この場合、「お願いしたく」の「したく」の部分を省略し、「ぜひよろしくお願いいたします」や「○○させていただければ幸いです」などのすっきりした表現に置き換え、「主観的表現」の印象を与える余分な部分を省略する工夫が必要となるでしょう。

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