「拝見」の意味と使い方・例文・敬語・類語|拝見させていただく

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「拝見」の意味と使い方

ここでは、拝見という言葉について詳しく見ていきます。拝見するという敬語は謙譲語になります。謙譲語とは、自分を下げて相手を高めるような時に使う言葉のことをいいます。ですので、謙譲語を自分以外に対して使うとすごく失礼です。

例えば、先生や上司など目上の人に「こちらの書類は拝見されましたか」と聞いてしまうと、上司を下げて自分を高める表現になってしまいますので、注意しましょう。拝見の正しい使い方は「拝見します」です。「拝見」の意味と使い方について、以下で詳しく見ていきましょう。

「拝見」の例文

ここからは、「拝見」の例文を紹介していきます。

拝見させていただく

「拝見させていただきます」という使い方は敬語表現としては間違いになります。「拝見」と「させていただく」という二つの謙譲語がくっついた言葉となっているので、二重敬語になってしまいます。ですから、敬語表現としては正しくない使い方になります。

「させていただきます」という表現は敬語として頻繁に使われています。例えば、「御社サイトをいつも拝見させていただいております」という文章は、一見すると丁寧な言い回しに思えますが、敬語を多く使い過ぎてしまうと逆に相手に不快な印象を与えてしまう恐れがあります。この表現では、敬語の表現としては回りくどく感じる方もいるでしょう。

「御社サイトをいつも拝見しています」でも十分相手に敬意を持った文章になります。

拝見する

拝見するという表現は正しい使い方になります。これだけで、見せていただくという意味になります。正しい使い方として「明日、御社に伺いまして、資料を拝見します」や「弊社の者がうかがいまして、資料を拝見します」などがあります。もう少し、具体的にみていきましょう。

ビジネスシーンでの拝見しますの正しい使い方

取引先の方が急ぎで来られて、上司が席を外していたので代わりに部下の自分が書類に目を通すことになった時は、まず「本日はありがとうございます。書類を拝見します」と言います。書類を見るのが自分なので、当然、謙譲語の「拝見する」を使います。

ここで注意したいのが、自分が目を通した後、上司にも書類に渡すのを先方に伝える場合です。「後ほど、〇〇も書類を拝見しますので、お預かりしてもよろしいでしょうか」という表現は間違いになります。

書類を見るのは自分の上司なので、「拝見する」という使い方はしません。正しくは、「後ほど、〇〇も書類を見ますので、お預かりしてもよろしいでしょうか」になります。

また、逆に上司が社外の人に「部下の〇〇に拝見させます」という使い方も間違いです。主語である書類を見人が自分になっていません。「拝見します」は自分が見るときにだけ使える表現です。

拝見しました

拝見しましたという表現は、目上の人に見ましたということを伝える場合に使います。「見せていただきました」という表現ですと回りくどいので、「拝見しました」という言葉が適切です。

正しい使い方としては「先日お送りいただいたお手紙を早速拝見しました」や「ご出産したとのメール、ただ今拝見しました。本当におめでとうございます」などがあります。

ビジネスシーンでの拝見しましたの正しい使い方

職場で相手から送られてきたメールを見て返信する時に、「メール見ました」と返信すると、目上の方や取引先の方から失礼な印象を持たれかねません。こういう場合は、「お世話になっております。メール拝見しました。ありがとうございます」というような返信が常識的と言えるでしょう。

自分の行いを下げて伝える印象が目上の人や取引先にも伝わり、好印象になります。「自分がメールを確認した」という自分側の内容なので「謙譲語の拝見した」を使いましょう。

同じように仕事で資料を見た場面でも、上司に「資料を拝見しました。素晴らしい内容だと思いました」と伝えるのが良いでしょう。「自分も資料を確認した」という内容なので、「謙譲語の拝見した」を使います。

拝見しております

「拝見しております」という言葉は「見ています」という表現を丁寧にした言葉です。会社の中や接客時などのビジネスの場では、正しい言葉使いとして「拝見しております」という言葉を使用します。

正しい使い方としては「いつも、拝見しております」があります。また、「拝見しております」は「見せていただいております」と言い換えることができます。

拝見いたします

拝見するという意味の敬語を使う時に、つい「拝見いたします」と言ってしまいがちですが、それは厳密には間違った使い方になります。「拝見いたします」という使い方は、二重敬語になってしまいます。

「拝見」という言葉が既に「見る」の謙譲語となっています。そこへ、「する」という言葉の謙譲語である「致す」という言葉が入ってくると、謙譲語に謙譲語がついてしまい二重敬語となってしまいます。結果、大変回りくどい表現になってしまいます。

「拝見」の敬語

ここからは、拝見という言葉を見るという言葉の敬語という観点から見ていきます。見るという言葉の敬語は、尊敬語と謙譲語と丁寧語によって変わってきます。尊敬語とは目上の人に対して使います。つまり、相手を敬うということですので、仕事では会社の上司や目上の方に対して使うのが一般的でしょう。

謙譲語

拝見という言葉は見るの謙譲語で、自分が見る行為をへりくだっていうときに使います。自分側の内容を話す際に使うというところがポイントです。尊敬語は相手の内容に対して使いますが、謙譲語は自分側の内容に対して使うところが、尊敬語との相違点です。

尊敬語と謙譲語では、自分側か相手側の内容なのかによって使い方がかかわります。ですので、謙譲語の主語は必ず私ということになります。見るの謙譲語は、「拝見する」の他に「見せていただく」があります。

「見せていただく」の例文として「この書類を見せていただいてもよろしいでしょうか」があります。相手に対して自分が書類を見ることへの許可を聞いているので、謙譲語を使います。相手に対して事後報告の場合は「こちらの書類を見せていただきました」と、自分が書類を見たことへの報告なので、やはり謙譲語を使います。

尊敬語

見るという言葉の尊敬語は「ご覧になる」です。目上の人に対しては、「ご覧くださいましたか」や「ご覧ください」といった風に使うのが正しい表現です。また、見られるも見るの尊敬語ですが、見られるよりもご覧になるの方が丁寧な表現になるので、覚えておきましょう。

「課長、昨夜の新聞ご覧になりましたか」と「課長、昨夜の新聞見られましたか?」では、どちらも正しい尊敬語ですが、ご覧になりましたかの方がより丁寧に聞こえることが分かります。

丁寧語

丁寧語を使う時は「です」や「ます」を使います。日常の中で一番使いやすい敬語と言えるでしょう。もう少し丁寧に伝えたい場合は「ございます」を使います。使い方は「会議室はあちらです」をさらに丁寧にすると「会議室はあちらでございます」という表現にになります。

丁寧語は尊敬語や謙譲語に比べると、丁寧な言葉遣いをするためのものなので、謙譲語のように自分側の内容かどうかに関係なくさまざまな場面で簡単に使える敬語だと言えるでしょう。見るの丁寧語は「見ます」になります。

ただ、ビジネスシーンにおいて「見ます」という言葉を使う場面は少ないでしょう。会社での上司や目上の方との会話では謙譲語や尊敬語が多く使われています。

「拝見」の類語

ここで、拝見の類語についてみていきます。拝見の意味を大きく4つにわけて、それぞれの類語を挙げていきます。

目で認識するという意味

目で認識するという意味での類義語は「拝観、観覧、見て取る、観る、視る」などになります。

書かれているものを解釈するという意味

書かれているものを解釈するという意味での類義語は「紐解く、読書、書見、閲覧、多読、拝読」などです。

注意して観察するという意味

注意して観察するという意味での類義語は「眺めいる、ご覧になる、照覧、見つめる、見守る、見入る」などです。

注意して知覚するという意味

注意して知覚するという意味での類義語は「目する、眺める、見つめる」などです。

拝を使った言葉

ここでは、拝見と同じように拝を使った言葉をみていきます。拝を使った言葉には「拝聴、拝読、拝借、拝謁、拝見、拝覧」などがあります。以下で具体的に見ていきましょう。

拝読

拝見は見るという言葉の謙譲語です。これに対し、拝読という言葉は読むのへりくだった言い方になります。つまり、拝読は読むという言葉の謙譲語です。正しい使い方としては「先生が執筆されたご本を拝読し、とても心が動かされました」などです。

拝借

拝借とは皆さんから借りる、という意味で使われます。「さあ、お手を拝借」という言葉がありますが、これは、皆さんの手を借りて手拍子を打ってもらうという意味になります。

拝聴

拝聴は、聞くという言葉のへりくだった言い方になります。つまり、聞くの謙譲語は「拝聴」を使うということになります。正しい使い方としては「先生の講演を拝聴することができて、大変光栄でした」などです。

拝見と拝読の使い分け

ここで、拝見と拝読の使い分けについてみていきます。拝読は、文字で書かれたものを読む場合にだけ使います。資料に、図や表などの文章以外の視覚的な情報がある場合は拝見を使いますが、文章のみの場合は拝読を使いましょう。送られたメールに目を通した場合は、じっくり読みましたという意味で、拝読しましたを使うのが適切です。

また、「メールを拝見する」と「メールを拝読する」は、ビジネスシーンにおいて、同じように目上の方へのやりとりに使われます。

さらに、拝受という言葉があります。メールは届いているけれどまだ読んでいない、もしくは、内容に対してすぐに確認ができない場合は、まずはメールが届いた事を伝えたい時に「メールを拝受しました」と伝えることができます。この言葉によって、相手にメールが届いたことがわかるので、とても便利な表現です。

拝謁

拝謁(はいえつ)は、身分の高い人に会う事をへりくだって言う言葉です。正しい使い方としては「国王に拝謁する」があります。

拝覧

拝覧は、見ることをへりくだって使う言葉です。正しい使い方としては「ご自由にご拝覧ください」があります。

拝観

拝観は、神社や仏閣、宝物を謹んで観覧する時に使う表現です。正しい使い方としては「本殿を拝観する」があります。

拝見を英訳すると

ここで、拝見という言葉を英訳するとどのような言葉になるかみていきましょう。拝見の英訳にはいくつかの言葉があります。拝見という言葉を英訳した代表的なものとして、read、look on、watch、see、lookなどが挙げられます。また、形式ばった丁寧な表現としては have the honor of seeingというものもあります。

ちょっと拝見しますという意味合いでは、Let me have a lookやShow me, pleaseなどの表現があります。同じ拝見しましたという意味でも、英語に直すと、さまざまな表現の仕方がありますので、以下で、read、look at、watch、seeの使い方について、例文を使いながら、具体的にみていきましょう。

read

readは、書かれている、もしくは、印刷される何かを解釈するという意味合いで拝見というという言葉を使用する時に使います。「あすのご予定を拝見しました」を英訳すると、I read the tomorrow of your schedule.になります。また、「この本を拝見しました。」を英訳すると、I read this book.となります。

look at watch

look atやwatchは、注意して観察するというような意味合いで拝見という言葉を使用する時に使います。「私はこの絵を拝見させていただきます」を英訳すると、I will look at this painting.となります。

see

seeは、目で認識する、または目で認識する力を持つというような意味合いで拝見という言葉を使用するときに使います。「私はこの書類を拝見しました」を英訳すると、I saw this document.になります。

敬語を正しく使いましょう

ここまで、拝見ということばについてみてきました。拝見という言葉は、ビジネスシーンを中心に目上の方との会話の中に多く登場する言葉といえるでしょう。正しい使い方を身につけて、失礼に当たらないよう上手に使いこなしていきましょう。

敬語の使い方は時にとても難しく感じることがあります。だからこそ正しい敬語を使えば、相手の自分に対する印象もとても良くなります。尊敬語は相手側の言葉、謙譲語は自分側の言葉と覚えておけば、混乱することもありません。拝見という言葉を使いこなして、相手にスマートな印象を与えるようにしましょう。

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