「いらしてください」の敬語・例文・いらっしゃってくださいとの違い

ビジネススキル

日本語の学習方法について

日本語を学習する際に大切なことは、「どれだけ実践的に言葉やその表現を学び、その覚えた言葉と表現を実際の会話文や文脈によって使用できるか」ということで、これは実際に覚えた言葉を使っていくことによって学び取ることができます。

逆に言えば、「実践的に言葉を学習せず、せっかく覚えた言葉でも使わなければ表現として活用できない」ということになるため、覚えた言葉は必ず「実践的に学習する・使っていく」ということを心掛ける必要があるでしょう。

実践的に学習することが大切

先述しましたように、日本語に限らず言葉というのは「実際に使って覚える・学習する」ということが最も大切で、これは英語をはじめ、各国の言語を学び取る際でも非常に大きな役割を果たすことになります。

特に日本語を覚える際にはこの「実践的に学習する」ということが大切で、日本語には他の国の言語に比べて「場合や状況によって使用する表現方法が大きく変わる」という性質があるため、日本語を学習する場合は早期からこの「実践的に覚える・学習する」ということを心掛けることが大切です。

「いらしてください」の意味と使い方

さて、「いらしてください」の意味と使い方についてのご紹介ですが、「いらしてください」という言葉は基本的に「来てください」という意味を持ちます。「特定の場所まで来てください」という際の敬語表現としてこの「いらしてください」が使われるのが一般的で、特にビジネスシーンでも日常生活においても、普通に使われる場面が見受けられます。

・どうぞ会社までいらしてください。
・ぜひ、お気を付けていらしてください。
・忘れ物のないよう、十分注意していらしてください。

この「いらしてください」の活用法には実に多くの場面や状況による使い分けが見られますが、とにかく「○○まで来てください」ということがメインの意味になるため、その意味合いを外さない形で相手に用件が伝えられます。

「いらしてください」は「居らす」の敬語表現

もともと「いらしてください」という言葉は「居る・居(お)らす」という言葉の変則した言葉としても知られます。この場合の「居る」というのは「そこにいること」をそのまま示す言葉として認められ、「来てください」の意味合いの延長に認められる「すでにそこに相手が居ること」を想定して使われる言葉となります。

「いらしてください」は「来てください」の敬語表現

先述で「居らす」という言葉と「いらしてください」の意味合いの由来についてご紹介しましたが、それでも現代において一般的に「いらしてください」の意味は「来てください」という言葉の意味に直結する形で認められます。

この「来てください」という言葉を日常生活ではなくビジネスシーンで使用する場合には、通常の「来てください」という普通の表現を敬語表現に改める必要があるため、この「いらしてください」が「来てください」の代わりに用いられる言葉となります。

「いらしてください」の敬語

「いらしてください」の敬語についてですが、まず「いらしてください」という言葉そのものには「居る・来る・行く」というそれぞれの言葉の尊敬語表現が含まれます。これは常に「いらしてください」という言葉が「相手の言動に対する敬語表現」となることに理由があり、相手の言動への敬意を示す表現はほとんど尊敬語になることに起因します。

つまり「いらしてください」という言葉そのものが「居る・来る・行く」の尊敬語表現として一般的に認められ、「いらしてください」という言葉をビジネスシーンで使用する場合は、どの場面でも通用する立派な敬語表現となります。

「いらしてください」の例文

先述でもご紹介しましたが、日本語を学習する場合には必ず「例文や会話などで実際に覚えるべき言葉を使い、さまざまな場面を想定した上でその言葉の意味合いや用法を学習していく」という姿勢が重要になります。

・ぜひ、お気を付けていらしてください。
・可能であれば、電車かバスでいらしてください。
・○月○日までにいらしてください。

「いらしてください」という言葉は場面や状況によって非常に多く使われる(使い分けられる)言葉として知られていますが、たいてい上記のように「○○という場所に、どのようにして、いつ頃に、来てください」という形で示されます。

お出でになってください

「お出でになってください」という言葉も「いらしてください」とほぼ同じほどの割合で使われる言葉になります。「お出でになってください」の意味も「いらしてください」と同じく「どうぞ来てください」と相手に訴え掛ける際に使われます。

・ぜひ末日までにお出でになってください。
・どうぞお気軽にお出でになってください。
・ご機会がありましたら、ぜひお出でになってください。

「お出でになってください」が使われる場合は特に「気軽に来てください」という、日常生活で使われる柔らかい側面が見られます。

またいらしてくださいね

「またいらしてくださいね」という表現も「いらしてください」にある「来てください」の意味合いを踏まえた上で、「もう一度来てください」と「改めて」の意味合いが含まれます。

・この度はご参加ありがとうございます。またぜひいらしてくださいね。
・今日は楽しかったです。またいらしてくださいね。
・今日ここまでいらしていただいたのでマップもご存知でしょうから、またいらしてくださいね。

いらしてくださいました

「いらしてくださいました」というのは特に応対の際に用いられる言葉としてあるため、もうその場所に相手が来ている状態で使われる歓迎の言葉として認められます。また「誰かがすでに来ている」ということを、別の人に伝える際にも使われます。

・今日はようこそいらしてくださいました。
・本日は悪天候の中、ようこそいらしてくださいました。
・○○さんがいらしてくださいましたよ。

ぜひ

「ぜひ(是非)」という言葉はその言葉どおりに、まず「是と非である正しいこと・正しくないこと」をはじめ、「善悪を段々すること」を指す言葉となります。つまり、「相手にとっての都合を考慮する際に、その用事をしようとするときに良い方法・悪い方法を考慮した上で、好きに計らって来てください」という形になります。

・ぜひパーティへいらしてください。
・演奏会が催されますので、ぜひお楽しみにいらしてください。
・今日のために準備をしてきましたので、ぜひいらしてください。

「ぜひ」という言葉にはこのように、「相手に来てほしい」という気持ちがさらに積み上げられた形で言われる場合がよく見られ、「どうしても来てほしい」という話者の気持ちが優先されます。

いらっしゃいます

「いらっしゃいます」という言葉はその字面のとおりに「もうすでにそこに来ている・いること」を指す意味合いを持ちます。

・彼はすでにいらっしゃいます。
・彼女のご両親が教室にいらっしゃいます。
・社長はいま社長室にいらっしゃいます。

この「いらっしゃいます」という言葉もビジネスシーン・日常生活において多くの場面で使われるため、ぜひ「いらしてください」の用例とワンセットで把握しておきましょう。

いらっしゃってください

「いらしてください」というのはそもそも「いらっしゃってください」という言い方が省略された形となります。つまり「いらしてください」と言う場合は、「いらっしゃってください」と相手に言っていることになります。

ただ「いらっしゃってください」と言う場合には少し語調が複雑になるため、簡単に相手に伝えることに配慮した上で、「いらしてください」とわかりやすく伝えられるようになりました。

・ぜひお気を付けていらっしゃってください。
・忘れ物のないようにいらっしゃってください。
・どうぞご自宅からいらっしゃってください。

居(お)らっしゃいます

「いらっしゃる」、「いらしてください」というのは基本的に「入(い)る」という言葉と「居る」という言葉の2つの言葉の意味合いを兼ねた使われ方がされており、相手(訪問者)が特定の場所に入ること・居ることを想定した上で使われる言葉となります。

そのため、昔に日本で使われていた「居られる」という言葉の原型となる「居(お)らる」や「居らす・おわす」という表現を前提にした上で、「すでに訪問者がここに居ること」を話者の方で想定しておき、その「場所・家屋に入ること・居ること」の意味合いを含めた上で「居らっしゃいます・いらっしゃいます」という使われ方がなされます。

居られます

先述の「いらっしゃいます」という言葉を漢字表記した場合には、「入(い)らっしゃいます」と「居らっしゃいます」という2種類の表記が可能となります。しかし現代ではほとんどこのような表記がなされず、ただ「いらっしゃいます」と平仮名表記で相手に示すのが通例となっています。

「お越しください」と「いらしてください」

「来てください」という旨を伝える場合、日常的に最もよく使われる敬語表現としては「お越しください」という言葉が有名でしょう。

「お越しください」という言葉も「いらしてください」と同じく「来てください・来てほしい」という気持ちを相手に伝える言葉となり、その上で語調も非常に柔らかであるため、「いらしてください」よりも多くの場面で使用されます。

「ご足労ください」と「いらしてください」

「ご足労下さい」という言葉の意味は「いらしてください」と同じく、「来てください・来てほしい」という旨を相手に伝えることになります。しかし、ビジネスシーンでこの言葉を使うのは相手に対して(場合によっては)失礼な表現となります。

もともと「ご足労」という言葉の意味は「相手がはるばると遠い所から来てくれることにより、その来てくれるまでの時間の浪費や疲労を労うための言葉」としてありましたが、現代では他に「ご足労」の意味合いを示すさらに上級の敬語表現があるため、そちらの方の敬語表現を使うことが求められます。

「ご訪問ください」と「いらしてください」

「ご訪問ください」と「いらしてください」についてですが、「ご訪問ください」という言い方はビジネスシーンではほとんどなされず、また客観的な表現ともなるため、話者の気持ちが相手に直接的に伝わりにくい場合が出てきます。

・○月○日まで、その公共機関をご訪問ください。
・お約束どおりに弊社までご訪問ください。
・○○氏の自宅の方をご訪問ください。

「ご訪問ください」と言う場合には特に、「自分がいる場所ではなく、別の場所へ相手を誘導する」という場合に使われることが多くみられるため、「ぜひ来てください」という「いらしてください」の根本的な意味合いに配慮する場合には別の表現が取られます。

「いらっしゃってください・おいでください」の違い

「いらしてください」と「いらっしゃってください・おいでください」の違いについてですが、まず「いらしてください」と「いらっしゃってください」の違いは「省略しているかいないか」の用法の違いだけが認められ、意味的な違いはありません。

「おいでください」という言葉の場合は、「おいで」という言葉が相手と話者とのそれなりの親近感がうかがえるため、特に初対面の人やビジネス用語として使用されることはほとんどないでしょう。

「いらしてください」の漢字はあるのか

先述でもご紹介しましたが、「いらしてください」という言葉を漢字に直す場合、「入(い)らしてください」と「居らしてください」の2種類の表記に分けられます。一般的には「入(い)らしてください」という表記の方が使われますが、どちらの表記を取っても間違いではありません。

しかし現代用語としてはそのまま「いらしてください」と平仮名で表記するのが正しく、わざわざ漢字表記に直すことは(場合によっては)間違いと見なされることがあります。そのためテストでどうしても漢字で書かなければならないというような状況以外では、普通に平仮名表記するのが無難でしょう。

「いらしてください」の英語表記と意味

「いらしてください」という言葉を英語に直す場合、基本的には「来てください」という意味合いを持つ言葉に置き換えてから、それに見合った英単語を調べることになります。

・please come(来てください、いらしてください)
・please enter(入ってください、いらしてください)
・please come and see me(会いに来てください、いらしてください)
・please visit(ご訪問ください、いらしてください)
・let’s meet(ぜひお会いしましょう、いらしてください)
・will invite you(ご招待します、いらしてください)
・please take a step(ご足労願います、いらしてください)

「いらしてください」の英語表現と意味(1)

先でご紹介しました「いらしてください」の英語表記を参考にして、「いらしてください」の意味合いを含めた例文をいくつかご紹介します。

・Please do not hesitate to visit our company before July 15th.
「ぜひ7月15日までに、会社までいらしてください。」
・Please come and join us at the joint company briefing tomorrow.
「明日の合同企業説明会に、ぜひいらしてください。」
・Please join us at the party to be held at her house.
「彼女の家で開催されるパーティへ、ぜひあなたもいらしてください。」

「いらしてください」の英語表現と意味(2)

先述しました「いらしてください」の英語表現に引き続き、さらに具体的な「いらしてください」の例文をご紹介します。

・Next time, please come and visit our corporate information meeting held at our company. I think there is probably more benefit than expected.
「今度、弊社で開催する企業説明会にぜひいらしてください。おそらく想定以上の特典があると存じます。」
・Please come and visit the kids’ party to be held at Disneyland on August 10th. A lot of fun is prepared.
「8月10日にディズニーランドで開催される子ども会にぜひいらしてください。たくさんのお楽しみが用意されています。」

「いらしてください」の英語表現と意味(3)

先述の具体的な「いらしてください」の英語表現に引き続き、今度はいろいろな場面で使われる「いらしてください」の用例をご紹介します。

・The meaning of the word “Please come” means that you have two kinds of meaning: “Please go ahead” and “Please enter”.
「「いらしてください」という言葉の本意は、「来てください」と「入場してください」という2種類の意味合いが認められます。」
・It is good to use the word “Please come” as a business term, but it is more natural to say “Please join” or “Please visit”.
「「いらしてください」という言葉をビジネス用語として使うのはよいですが、「ご参加ください」や「足を運んでいただき」と言う方が自然です。」

「いらしてください」の正確な用法を覚えましょう

いかがでしたか。今回は「いらしてください」の敬語・例文・いらっしゃってくださいとの違いと題して、「いらしてください」の敬語・例文・いらっしゃってくださいとの違いについての正確な情報のご紹介をはじめ、「いらしてください」のさまざま用例をご紹介しました。

「いらしてください」という言葉はビジネス用語としても日常用語として非常に多くの場面で使われており、その分だけ使用法も多くの状況に合わせて使い分けられることになります。

特にビジネスシーンで使われる場合には「相手に対して失礼にならないこと」を配慮する必要があるため、「いらしてください」以外の別の敬語表現の使い方もしっかり学んでおくことが大切になるでしょう。

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