日本語の理想的な覚え方
日本語を覚える際にはまず「日本語の文法を徹底的に覚える」から始まり、その上で日本語として用意されているいろいろな文字・語句・言葉表現・慣用句・俗語などを、何度も反復練習によって培っていくことが必要となります。
日本語は英語や諸外国語と違って、基本的に「1つの言葉に1つの意味が与えられている」というベースがあるため、それぞれの言葉を1つずつ覚えていく形になります。
たとえば英語では「make」という単語に「作る・する・させる」などの複数の意味合いがあるのに比べ、日本語では「する」はそのままの意味、「させる」は使役動詞としてそれだけの意味、「作る」は「工作する」という意味合いを持つため、それ以上の意味合いを複数同時に持ち合わせることはありません。
実践的かつ反復的に学習すること
先でも少しご紹介しましたが、日本語を覚える場合でも「反復練習によってそれぞれの言葉の意味合い・用法を確実に覚え込む」ということが大切です。反復練習することによって「1つ1つの言葉を隈なく使いこなせるようになり、それぞれの用法を多角的に把握できる」という特典が付いてきます。
「携わる」の意味と使い方
さて、「携わる」という言葉の意味と使い方についてですが、基本的に「携わる」という言葉は「○○に関係する・○○に従事する・○○を扱う」などといった「関連」や「関係」を示す言葉となります。
この「関係」や「関連」を示す言葉は非常に多くの分野で使われているため、日常生活でもビジネスシーンでも、それぞれの場面において分け隔てなくその活用が見られることでしょう。
どの場合でも「携わる」という言葉の正確な意味合い・用法を間違わずに使い分けることが大切で、特にビジネスシーンでは正しい敬語表現とともに「携わる」の意味合い・用法をマスターしておきましょう。
仕事
先述の続きとなりますが、「携わる」という言葉は「関わる」や「関係する」、また「従事する」といった意味内容を含みます。そのため、特に仕事の関係で使われる「携わる」という言葉の意味合いには「○○に従事している」、「○○を担当している」などといった、仕事上における「関係・関連」の意味合いで使われます。
・彼は人事課に携わっております(関わっております)。
・彼女は外資系の仕事に携わっています(従事しています)。
・彼らは国際関係上の仕事に携わっております(従事しております)。
このように、「携わる」という言葉の箇所をそのまま「関係している」や「従事している」という表現に置き換えてもその文意は伝わります。
「携わる」の類語
「携わる」の類義語についてですが、この場合も基本的には「関わる・関係する・関連する・従事する」などの意味合いを持つ言葉がその類義語として扱われます。
担当する/関わる/関与する/参与する/関連している/親密な仲にある/それを扱っている/仕事としている/参加する/交流している/交わる/結び付いている/つながっている
これらの言葉がピックアップされますが、どの言葉にも「○○との関わり」や「○○に従事している」、または「連結していること」や「影響を受けていること」などの意味合いが含まれます。
関わる
「関わる」という言葉の意味合いはこの「携わる」の意味合いを考慮する場合、とても多くの場面で扱われるほど近い意味合いを持つ言葉となります。特にビジネスシーンで「携わる」と言えば、それはそのまま「関わっている・その仕事に関係している」などと認識されるため、「携わる=関わる」という理解でもかまわないでしょう。
・彼は人事の担当官として関わっています。
・彼女はこのプロジェクトにおいて、環境報告部長の任務に関わっています。
・彼らは後方支援対策として、街宣・宣伝に関わっています。
関与する
「関与する」という言葉も基本的には「関わる・携わる」という意味合いと同じ用法で扱われます。この場合も「関与」の箇所を「携わる」の意味内容に置き換えても文意は伝わるでしょう。しかし一般的に「関与」という言葉は「関わって何らかの働きを加える・与える」という意味合いから、マイナスイメージで使われる場合があるため注意しましょう。
・彼はその案件に深く関与しています。
・彼女はその事件に綿密な関与の可能性があります。
・彼らはその組織の一員として関与していました。
参加する
「参加する」という意味合いで使われる場合の「携わる」の意味合いは、特に「腰掛け程度の、軽い関わり合い」のことを指す場合と、「重要な会議などに出席し、それが原因で何らかの原因追及が行なわれる」などの「関与」の場合と同じ意味合いでの「携わる」の用法が見られます。
・彼らはシンポジウムの結論を聴きに、後日開催された○○演説会に参加しました(携わりました)。
・彼女は議会議席を承認するためにミーティングに参加しました。
・彼は論文発表会についての勉強をするために、その勉強会に参加しました。
影響を被る
「携わる」という言葉は基本的に「関連・関係・従事する・参加する」などの意味がありますが、その延長において「何らかの物事にその関わりが影響する」といった形で使われる場合があります。
この場合は「○○に携わる」という形での用法ではなく、「携わったことによって、その余波が周囲の人たちに影響する」という形で使われるため、先述のような例文ではほとんどその内容が示されません。
これは文意上のニュアンスや、文脈において「影響していること」が読み取られる形となるため、表記上の内容よりも文意・文脈によって「その携わったことによる影響の余波」について考察することになるでしょう。
「携わる」の敬語
「携わる」という言葉は基本的に敬語表現ではありませんが、ビジネスシーンで使う場合、このままの「携わる」という語形で使用しても問題はありません。その場合でも、前後の文章表現・会話表現によって敬語のニュアンスをきちんと持ち合わせている形にしておくことが大切です。
一般的には、「関わっておられました」、「ご担当されています」、「従事されておられます」、「携わられておられます」などの「おられます」や「御(ご)」という言葉を付け足す形で「携わる」の敬語表現が取られます。
関わられておられる
先述でもご紹介しましたが、「関わっておられる・関わられておられる」などの言い方は、「携わる」という言葉の上級の敬語表現として使われます。
特に改まった場面で「携わる」の意味合いが使われる場合は、この「関わっておられる・関わられておられる」などの敬語表現が使われ、その相手はたいてい上司や尊敬する人となります。
ご担当されておられる
先でご紹介しました「関わっておられる・関わられておられる」の表現に引き続く形となりますが、この「ご担当されておられる」という表現も主にビジネスシーンで使われる敬語表現として認められます。
・彼は経済部門をご担当されておられる。
・彼女は論文の採点をご担当されておられます。
・彼らはこの国のリーダーとして、政治部門をご担当されておられます。
このように、内容や場面が特に改まった場合において使われる最上級の敬語表現として扱われ、この場合でも「携わる・関係する」などの意味合いがそれぞれの表現に含まれます。
「携わる」の読み方
「携わる」の読み方はそのまま「携(たずさわ)る」となります。日本語には多くの造語や当て字表現などが見られますが、この「携わる」の場合は特に他の読み方は見当たらないため、そのまま「たずさわる」と読んでかまいません。
「携わる」の例文
日本語をはじめ、各国の言葉やその表現を学ぶ際には「例文や会話表現を用いて、その言葉を実践的に覚える・把握する」という姿勢がとても大切です。この「携わる」という言葉にも実にいろいろな表現方法があるため、いろいろな場面・状況を設定した上で、さまざまな使い方・用法を学び取りましょう。
高校野球
高校野球で「携わる」という言葉の意味合いが使われる場合は、まず「高校野球に関わるいろいろな仕事の分野に就くこと」や、高校野球で実際に野球をすることなどがあげられるでしょう。
・彼は高校生のときに、実際に高校野球のチームに携わっていました。
・彼女は高校野球チームに携わる形で、スコアラーをしていました。
・高校野球に携わる仕事として、野球場の清掃員として働いていました。
復興
「復興に携わる」という言葉は日常でもよく聞かれる表現でしょうが、この場合の「携わる」の意味合いは「関わる・従事する・参加する」などの、先述でもご紹介しました「携わる」の意味内容をそのまま表します。
・彼は○○震災の折りに、実際に現地に赴いてボランティア活動と復興に携わっておりました。
・彼女は支援金を募金するという形で、復興に携わっておりました。
・彼らは地域復興のために、街宣運動に毎日携わっています。
写真
この場合も「写真・写真撮影に携わる物事や仕事」についての意味合いになりますが、高校野球に携わる仕事の場合と同じく、「写真を扱った仕事」の多くがこの「携わる」という言葉で表現されるでしょう。
・彼は記念撮影をする仕事に就いていることで、写真関係の仕事にずっと携わっています。
・彼女は写メを趣味としており、その趣味を生かすことによって、写真(画像)プログラマーの仕事に携わっています。
・彼らは写真が好きなため、全国の写真が掲載される雑誌編集の仕事に携わっています。
子どもたち
「子どもたちに携わる」と言う場合は基本的に「子どもの世話をすること」や「子どもがいる場所に出入りすること(そこで仕事をすること)」などが含まれてくるでしょう。この場合も「携わる」の意味合いは「関係する・従事する」などの仕事関連の用法が多く見られます。
・彼は子どもが好きなので、養父として○○幼稚園の仕事に携わっています。
・彼女は昔からの夢を叶え、今は保母さんとして子どもたちの世話に携わっています。
・彼らは地域ボランティアの一環で、子どもたちの夏休み映画会の企画に携わっています。
「携わる」の尊敬語
「携わる」の尊敬語についてですが、先述でもご紹介しましたように、「携わる」という言葉はそのまま敬語表現として扱うことができ、特に敬語表現としてさらに表現を改める場合は、補足する言葉を付け足して相手に伝えられる場合が多くなります。
基本的に尊敬語表現というのは「相手の言動を褒める言葉・相手に一方的な敬意を払って示す表現」となるため、その場合は「御(お)」という言葉を接頭辞に冠して使われることになるでしょう。
・課長は本日、新しいご企画の運営に携わっておられます。
・部長はこの度、中国まで資本管理の一環に携わるため、来週末まで席を外しておられます。
・社長はこの度、協力会社さまとの打ち合わせに携わられるため、九州へお出掛けになられております。
丁寧語
丁寧語というのは一般的に「です・ます調」によって相手に伝えられる、「丁寧な言葉遣いによって示す敬語表現」として認められます。尊敬語表現や謙譲語表現などと比べた場合、その表現方法は比較的簡単であるため、最もポピュラーな敬語表現として使われているでしょう。
・彼は外資系の仕事に携わっています。
・彼女は現在、論文の構成作業に携わっています。
・彼らは大学入試の会場管理に携わるため、現在、東京に出掛けています。
「携わる」の英語表記と意味
「携わる」という言葉を英語に直す場合、それぞれの英単語の意味合い・用法に配慮した上で以下のようにピックアップされます。
・engage(働く、頼む、従事する、携わる)
・rely(依頼する、関わる、携わる)
・ask(頼む、依頼する、関わる、携わる)
・relationship(関係する、関連する、携わる)
・connection(つながる、携わる、関連する)
・relevance(関係性、関連、携わる)
・link(つながり、関連する、携わる)
・connecting(関連、連絡、携わる)
・use(使う、従事する、関係する、携わる)
・need(必要とする、携わる、関係する)
・hire(雇う、関わる、従事する、携わる)
・take(使う、関わる、関係する、携わる)
「携わる」の英語表現と意味(1)
先でご紹介しました「携わる」の英語表記を参考にして、「携わる」の意味合いを含めた英語の例文をいくつかご紹介します。
・They were engaged in fund-raising activities as part of their volunteer activities.
「彼らはボランティア活動の一環として、募金活動に携わっていました。」
・She is involved in scoring the thesis work.
「彼女は論文の採点作業に携わっています。」
・Besides his work, he is involved in the administration of English conversation school.
「彼は仕事の傍ら、英会話塾の運営に携わっています。」
「携わる」の英語表現と意味(2)」
先述しました「携わる」の英語表現に引き続き、さらに具体的な「携わる」の例文をご紹介します。
・Thank you for coming to our booth today and thanking you for participating in many business activities.
「本日はお忙しい中ご来場くださり、また多くの事業参加に携わってくださったことを感謝いたします。」
・The director serves as an overseas business trip and is not seating today in order to engage in a meeting with a foreign-affiliated company.
「部長は海外出張を兼ねて、外資系企業との会議に携わるために、本日は席を外しております。」
「携わる」の英語表現と意味(3)
先述の具体的な「携わる」の英語表現に引き続き、今度はいろいろな場面で使われる「携わる」の例文をご紹介します。
・Although the word “engage” is basically treated as honorific expression, depending on the situation, supplementary words need to be added.
「「携わる」という言葉は基本的に敬語表現として扱われますが、状況によっては補足的な言葉を付け足す必要があります。」
・The words “engage” and “participate” have the same meaning, but “involvement” has a negative image.
「「携わる」と「関与する」という言葉は同じ意味合いを持ちますが、「関与」にはマイナスイメージがあります。」
「携わる」の正確な意味と用法を覚えましょう
いかがでしたか。今回は「携わる」の意味と使い方・類語・敬語・読み方・尊敬語|仕事と題して、「携わる」の意味と使い方・類語・敬語・読み方・尊敬語についての正確な情報のご紹介をはじめ、いろいろな場面で使われる「携わる」の用例をご紹介しました。
「携わる」という言葉は基本的にいくつもの言い換え用の言葉を持ちますが、特に「関与する」という表現との間には微妙なニュアンスの違いが見られます。「関与する」という言葉は一般的に「事件に関わっている」などのマイナスイメージが付されるため、場合によっては使い分けが必要となるでしょう。
日本語にはこのように、同じ意味合い・用法を持つ言葉でも「状況によっては使えない言葉・使うのが好ましくない表現」が見られるため、それぞれの状況や場合によって正確な言葉の使い分けが大切になります。