「つきましては」の意味と使い方
「つきましては」という言葉の意味は、「○○について」という言葉の敬語表現となるため、そのまま「○○につきまして(○○について)」という意味がまず見受けられます。その上で、「つきましては」という言葉には「これから○○について話します」という継続的な働きが見られ、「○○についてなのですが」という用法になります。
・今回のコンサートにつきましては
・ギターの種類につきましては
・先日にお送りさせていただきました書類につきましては
このような形で、「○○について述べます」ということを相手に伝えた上で「その述べる内容を先に提示する」という形になります。
特定の物事を指して言う言葉
「つきましては」という言い方で始まる表現では、「○○につきまして」という「○○の内容」を先に相手に伝えておき、そのことについてこれから述べるという話法を採ります。
・絵具につきまして
・会話につきまして
・音楽につきまして
このように「○○につきまして」という言葉が必ず接頭辞のように付くため、その「○○についてどのような主張をするのか」という点にポイントが置かれます。
「ついて」の敬語表現
先でもご紹介しましたが、「つきまして」という言葉は「○○について」という言葉の丁寧語表現となります。丁寧語というのは基本的に「です・ます調」によって相手に伝えられる「当たり障りのない丁寧な言葉による敬語表現」として認められますが、この「つきましては」という言葉も同じく、丁寧な言葉遣いによる敬語表現となります。
そのため、ビジネスシーンでも多くの場面において使われており、特に「○○についてなのですが」と言う場合には「○○につきまして」と、自然に改まった表現の仕方がなされます。
したがいまして
「したがいまして」という言葉の意味は、「前述の内容を承けて、その内容にしたがいまして」という「前述ありき」の表現となります。
この「したがいまして」の意味合いも「つきましては」と非常に近い意味合いを持ち、「前述について」や「前述がこうであるから、それにしたがってこう考えます・こうなります」などと、前述の内容から延長させる形での主張となります。
そのようなわけで
「そのようなわけで」という言葉の意味も「したがいまして」や「つきましては」と同じく、「前述の内容を承けてこのように考えます・なります」といった「前述ありきの表現」となります。
・教科書の購入期間に遅れてしまいました。そのようなわけで、わたしは彼に教科書を課してもらうことにします。
・実験は失敗しました。そのようなわけで、これからまた改めてチャレンジします。
・彼らと会うことはできませんでした。そのようなわけで、今度は携帯電話を持参しようと考えています。
このように、前述を受けて「それがこうなるから、こうします」などといった「前述ありきの表現」となります。
メール
ビジネスシーンでは多くの連絡のやり取りが「電子メールでのやり取り」になることが多く、その場合でもこの「つきましては」という表現が非常にたくさん使われています。
・先日のビジネス計画の考案を終えました。つきましては、こちらの資料をご確認願います。
・つきましては、先日の会議の報告についてですが
・つきましては、今後の事業運営の懸案ですが
このように、ビジネス上の連絡交換において「○○について」という箇所はほとんど「○○につきまして」という形に置き換えられて相手に伝えられます。
会話において
「つきましては」という言葉は特にメールなどの文面だけでなく、会話でも頻繁に使われます。特にビジネスシーンでの改まった場面においては、「○○について」という部分はほとんど「○○につきまして」という形で置き換えられます。
・それではお手元の資料を拝見いただきたく願います。記載にあります今後の予算の見とおしにつきましては
・明日の会議に使用します会場設営につきましては
・今後の事業運営につきましては、いまご覧いただいておりますサブプランの方を採用いたします。
このように、多くの相手に説明する際などに使われることが多く、この場合も「○○について△△のようになります・考えます」などの経過説明や状況説明が行なわれます。
ビジネス用語
基本的に「つきましては」という言葉はビジネス用語として認められることが多く、一般的な日常生活でほとんど使われることはないでしょう。
また「○○について」という言い方にしても「○○のことだけど」や「△△なんだけれど」などと柔らかくかみ砕いた表現で相手に伝えられる場合が多いため、「ついて」のさらに敬語表現として認められる「つきまして」という言葉はほとんど使われることがありません。
使って覚えることが大事
これは日本語をはじめ、各国の言葉をきちんと覚える際に必要な姿勢となりますが、言語を学習する際には「その言葉や表現を実際に使って学習する」ということが非常に重要です。そうして覚えることによって「自分の言葉」としてその覚えるべき言葉を捉えることができ、さらに使用・活用できる範囲が大きく広がることにつながるでしょう。
「つきましては」は丁寧語
先でもご紹介しましたが、「つきましては」という言葉は形容表現であり、またその敬語表現のうちでも「丁寧語表現」の部類に入ります。「つきましては」という言葉・表現法がそのままビジネス用語として認められるのはこの「敬語表現であること」が理由となるため、初対面の人に対して無礼のないよう振る舞う際でも普通に使われることが多くなります。
「つきましては」の類語
「つきましては」の類語についてですが、日本語を覚える際にはこの類語・反対語などの関連語を一緒に覚えることが非常に大切になります。そうして覚えることによって「その言葉を多角的に把握すること」が可能となるため、さらに使用できる分野が大きく広がることになります。
ついて/それで/ですから/であるからして/であるから/そのため/それにより/そこで/このため/そのため/このことから/このことにより/これによって/だから/したがいまして/関しまして
このように、「つきまして」の関連語・類語は非常にたくさんあげられ、これらの類語のうちでも特に「これによって」や「したがいまして」などの意味合いが取られることが多いでしょう。
「つきましては」の例文
日本語を覚える際には「実践的に覚えることが大切」と先述でご紹介しましたが、この「実践的に覚えるため」には自分で例文を作り、その中でさまざまな場面を想定して「1つの言葉を覚える」という試みが非常に大切になります。
・彼らが話している主張の骨子につきましては
・コンピューターの機能制御につきましては
・彼と彼女との関係につきましては
・会社の運営につきましては
・この頃の彼の主張につきましては、どうしても民衆に受け入れられない傾向が見られました。
・先日に作品を納品させていただきました。つきましては、その作品の公表の仕方についてなのですが
「つきまして」が使われる場合には「○○について」と言う場合と、「○○しました。つきましては(したがいまして)」という2種類の使用法が認められます。
「つきましては」の漢字表記
「つきましては」の漢字表記についてですが、これは「○○に就(つ)いて」という言葉の漢字表記と同じく、「就きましては」となります。「就く」という言葉の基本的な意味には、「ちょうどよい」、「それにしたがう」、「近付く」、「向く」、「向かう」、「なる」などの意味合いがあり、つまり「前述の内容にしたがう・付く」と形容が見られます。
「つきましては」の敬語
「つきましては」の敬語についてですが、これは先述のとおり「つきまして」という言葉がすでに「ついて」の敬語表現(丁寧語表現)となっているため、特に敬語表現として改める必要はありません。
多くのビジネスシーンでもこの「つきまして」という言葉がそのまま使われており、それぞれの場面で「○○について」の敬語表現として認められます。
「つきましては」は内容の機転を示す
先述でご紹介しました「つきましては」の例文を見ればお分かりのことでしょうが、「つきましては」という言葉は前述から後述への「機転を示す働き」を持っています。「○○させていただきました。つきましては、○○についてこのようにしたいのですが」などと、前述の内容を承けてさらに○○したい」という新たな意見提示をしています。
この「新たな意見提示」を示す際に用いられる言葉として「つきましては」という言葉が1つ認められ、その後に伝えられる主張・文意がその場合の主意となります。
「つきましては○○」と主張を伝える
先述の続きとなりますが、「つきまして」という言葉は「前述を先に相手に伝えておき、その前述を承けた上で次に○○したいのですが」などと、「次の新しい意見提示」をする際に使われる言葉となります。
つまり「つきましては」の後にくる内容は「その話者の主張部分」となるため、会話においても文語表現においても、その話者がそのとき本当に相手に言いたかった「主意」が示されることになります。
「つきましては」で改行はするべきか
よく「つきましては」で改行はするべきかという疑問があげられますが、これは「必ず改行しなければならない」というわけではありません。「改行した方が相手にとって読みやすいこと」や「自分の主張が相手に伝わりやすい」といった特典が付くため「できれば改行した方がよい」となります。
しかし一般的に「つきましては」が使われる場合には、多くの場合に改行されていることが多く、その場合も「自分(話者)の主張したい主意をはっきり相手に伝えるための工夫」として見受けられるでしょう。
「つきましては」の用法
「つきましては」の用法についてですが、まず文法的に言えば「つきまして・つきましては」という言葉は「○○について」と同じく接続詞としての扱いとなります。ただし「○○について」の場合は名詞の後に付属する接続詞となるのが基本ですが、この「つきましては」の場合は文頭にいきなり置かれることもよくあります。
「おかれましては」
「おかれましては」という言葉の基本的な意味合いは、「○○に関して」や「○○について」という、主に「そのものの状態を示す際に使われる言葉」となります。この「おかれまして」という言葉は基本的に「つきましては」の意味・用法とは異なりますが、その文法上の用法としては非常によく似ています。
・貴社におかれましては、大層ご尽力のご様子で
・先方におかれましてはご機嫌麗しく
・そちらの講演におかれましては
このように、「○○の状態を把握した上で、何らかの意志表示をする」といった「前述を承けての後述内容」となります。
「関しましては」
先述でもご紹介しましたが、「関しましては」という言葉の意味合い・用法は「つきましては」の意味・用法と非常に近いです。「関しましては」という言葉の意味は直接的に特定の物事を指し、「そのことに関しては」という表現になります。
「○○について・つきましては」という表現もこれと同じく、直接的に「特定の物事について○○です」という意見提示をするため、「○○に関して」という言葉の意味合いを自然に含ませる形になります。
「つきましては」の英語表記と意味
「つきましては」という言葉を英語に直すと、それぞれの英単語の意味合い・用法に配慮する上で以下のようにピックアップされます。
・with a view to(という観点から、につきましては)
・it is proposed(ご提案ですが、つきましては)
・about(について、つきましては)
・regarding(に関して、につきましては)
・with regards to(につきましては、について)
・in(において、について、つきましては)
・toward(に対して、につきましては)
・against(に対して、対抗して、つきましては)
・as for(における、について、につきましては)
・for(のために、にとって、につきましては)
・on(において、につきましては)
「つきましては」の英語表現と意味(1)
先でもご紹介しました「つきましては」の英語表記を参考にして、「つきましては」の意味合いを含めた英語の例文をご紹介します。
・Everyone knows about his ability.
「彼の能力につきましては、皆も承知しています。」
・This matter has already been settled.
「この件につきましては、すでに解決済みです。」
・Therefore, we will show you how to publish the documents we submitted.
「つきましては、提出させていただきました書類の公表の仕方をご紹介します。」
「つきましては」の英語表現と意味(2)
先述しました「つきましては」の英語表現に引き続き、さらに具体的な「つきましては」の例文をご紹介します。
・It is already on the verge of bankruptcy if you overlook the management of the company. For that reason, consideration of breakthrough measures is necessary.
「会社の運営を俯瞰するとすでに倒産寸前の状態にあります。つきましては打開策の検討が必要です。」
・Publications are popular. Let’s consider expanding the sales field.
「出版物は好評です。つきましては販売分野の拡大を検討しましょう。」
「つきましては」の英語表現と意味(3)
先述の具体的な「つきましては」の英語表現に引き続き、今度はいろいろな場面で扱われる「つきましては」の例文をご紹介します。
・There is a method of expressing “About this” and a method of presenting opinions at the beginning in usage of “regarding”.
「「つきましては」の用法には、「について」という表現法と、冒頭において意見提示する方法があります。」
・The word “as for” is a honorific expression, so it will not be rude in any situation.
「「つきましては」という言葉は敬語表現となるため、どの場面で使用しても失礼にはなりません。」
「つきましては」の正確な用法を覚えましょう
いかがでしたか。今回は「つきましては」の意味と使い方・類語・例文・漢字表記・敬語と題して、「つきましては」の意味と使い方・類語・例文についての詳細情報のご紹介をはじめ、さまざまな場面で使われている「つきましては」の用例についてご紹介しました。
「つきましては」という言葉はビジネスシーンにおいても非常に多くの場面で使われており、「○○について」という言葉の丁寧語による敬語表現として認められます。そのため、どんな場面で使われても「相手に対して失礼に当たること」はないでしょう。
また「つきましては」の用法においては、「○○について」という用法と、冒頭に置く形で「新しく主張を提示する方法」とがあるため、場面に応じてその用法を使い分けることが必要となります。