「遅ればせながら」の意味と使い方・敬語・例文・漢字表記|お誕生日

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「遅ればせながら」の意味と使い方

「遅ればせながら」は、簡単にいうと「遅れてしまいましたが」ということになりますが、社交辞令の場面などでは、都合よく使いまわせる便利な言葉でもあります。ここでは「意味」や「使い方」など例文を挙げながら、ご紹介していきます。

遅ればせながらの読み方

「遅ればせながら」は「おくればせながら」と読み、「後ればせながら」と表記する場合もあります。「後ればせながら」も「おくればせながら」と読みます。

遅ればせながらの意味

「遅ればせながら」も「後ればせながら」も、意味は「遅くなってしまって」という「言い訳したい気持」と、「申し訳ありませんでした」という「釈明の気持」を込めたフレーズが合体してできた言葉です。

「遅ればせながら」を分析してみると、「遅く」という「副詞」と「なって」という動詞と「ながら」という接続助詞が合体していることが分かります。この3つの言葉が一つになって、「遅れましたが」を丁寧に表現した言葉が「遅ればせながら(後ればせながら)」です。

「遅ればせながら」の敬語

ここでは「遅ればせながら」の敬語はあるのか、あるとしたらどんな言いまわしか、その点について検証してみようとおもいます。

「遅ればせながら」に敬語的いいまわしはある?

「遅ればせながら(後ればせながら)」は「遅れましたが(後れましたが)」の丁寧語ですので、「遅ればせながら(後ればせながら)」自体が「敬語体」です。したがって「遅ればせながら(後ればせながら)」の敬語的な言い回しはありません。

その代わり「遅ればせながら(後ればせながら)」は、お祝いの席やお悔やみの席、またビジネスシーンなどでも、いろいろの場面で使われますので、意味や使い方を知っておくと大変役に立つ言葉でもあります。

いろいろの場面での例文をしょうかいしますので、今後の参考にしてください。

「遅れ」と「後れ」どっちが正しいか

多くの人が「遅ればせながら」と「後ればせながら」のどっちをつかったらよいのか、迷うようですが、結論をいうとどちらも間違いではありません。

強いて言うならば「遅れ」は、時間や速度が遅れるという場面で使います。つまり「早く」すべきだったことに対して「遅く」なってしまった、という意味で使う場合には「遅ればせながら」を使う場合が多いです。

反対に「後れ」は、人や物事の「後まわし」になってしまった場合につかわれるということです。人や物事のやるべき「適期」を逃してしまい、「後手」に回ってしまった場合などは「後ればせながら」を使った方が良いでしょう。

「遅ればせながら」を敬語調で使った例文:お祝い事

ここでは、「遅ればせながら」を使った丁寧な言い回しの例文を紹介します。「遅ればせながら」を祝い事で使う場合は、「直接」はあまりなく、「手紙」「メール」がほとんどです。以下に手紙やメールでの例文を紹介します。

例文:このたびの初孫さんのお誕生、心よりお祝い申し上げます。早速伺ってお祝いを申し上げたいとおもったのですが、多忙を口実に遅くなってしまいました。「遅ればせながら」心ばかりの祝い品を送らせて「いただきました」。ご笑納くださいませ。

「遅ればせながら」例文:贈答品を送る場合

「遅ればせながら」は、使う場面の多い言葉ですが、社交の場でも頻繁に使われます。以下がその使い方です。

例文:いつもお気遣いをいただくばかりで恐縮におもっております。「遅ればせながら」本日当地の名物の「桃」を送らせていただきました。今年は例年より時期が大分遅れているそうで、美味い桃が出るのを待っていたら、今日になってしまいました。ご賞味くださいませ。

「遅ればせながら」の例文:ビジネス

「遅ればせながら」をビジネスシーンで使う場合の例文を紹介します。

例文:先日お問い合わせをいただきました件について、「遅ればせながら」ご返答申し上げます。お問い合わせの内容について、当社では今のところ該当する商品がございません。ご期待に添えず大変申し訳なくおもっております。

当社といたしましても、皆様のあらゆるご要望に応えるべく努力いたしますので、今後とも当社製品をご愛用くださいますようよろしくお願い申し上げます。

「後ればせながら」例文:祝い事

ここでは祝い事における「後ればせながら」の使い方を紹介します。

例文:「後ればせながら」お誕生日おめでとう。もう20歳になったそうで、叔父さんもビックリです。気に入って貰えるかどうか分らないけど、今若者の間で人気のスニーカーだと聞いたので送ります。サイズはお母さんに教えてもらいました。

「後ればせながら」例文:ビジネス

「後ればせながら」をビジネスシーンで使う場合の例文を紹介します。

例文:かねてよりご要望をいただいておりました件について、「後ればせながら」ご返答申し上げます。いろいろ検討いたしました結果、今回はご期待に添えない旨お知らせいたします。

「遅ればせながら」仏事での例文:手紙やメール

「遅ればせながら」をお悔やみごとの場面で使う場合は、手紙やメールの他に、「直接」相手に向かっていう場合もあります。ここでは「遅ればせながら」を、お悔やみの場で使う場合、「手紙」「メール」「直接」のそれぞれでの使い方を紹介します。

手紙やメールでの使い方は、
例文1:先日御尊父様のご不幸の報を聞きました。丁度海外に出張中で失礼しておりますが、「後ればせながら」心よりご冥福をお祈り申し上げます。

例文2:先日実家より○○君の訃報を知らせてきましたが、丁度当地に出張中で「電報」のみにて失礼いたしました。四十九日迄はお家で供養されていると聞きましたので、「遅ればせながら」○○君の遺影にお花でもとおもい、「志」を送らせていただきました。

「遅ればせながら」を直接使う場合の例文

お悔やみに関する場面での「遅ればせながら」は、手紙やメール以外でも、相手に向かって直接使う場合があります。ここではそういう場合の使い方を紹介します。

例文1:このたびは誠にご愁傷さまでした。通夜式にも告別式にも出られず、本当に申し訳なくおもっております。「遅ればせながら」仏さまにお参りさせていただきたく参りました。

「後ればせながら」を直接使う場合の例文

「後ればせながら」を手紙やメール以外で使う場合には、どんな使い方があるでしょうか。ここでは直接言葉として相手に伝える場合の使い方を紹介します。

遅れてお悔やみに伺った場合、
例文1:このたびはご愁傷さまでございます。丁度あの日は旅行に出かけておりまして、旅先で訃報を聞いたものですから失礼いたしました。「後ればせながら」お線香を上げさせていただきたくお伺いいたしました。

「遅ればせながら」の漢字表記

「遅ればせながら」を漢字で表すと「遅れ馳せ乍ら」となります。「後ればせながら」も同じように「後れ馳せ乍ら」となります。

「遅れ馳せ乍ら」も「後れ馳せ乍ら」も、ともに「遅れ・後れ」と「馳せる」と「乍ら」の3語が合体してできた言葉です。

「遅れ」は、時間的な「早い・遅い」の「遅い」の意味になり、「後れ」は「何かを実行する適時」を逃したという意味で使います。

微妙な違いですが、「遅ればせながら」より「後ればせながら」を使う方が無難だという説もありますが、基本的には感覚的な問題といえます。つまり使いたい方を使っても大きな間違いにはならないということです。

「遅ればせながら」の例文

「遅ればせながら」はいろいろの場面で使いますが、ここからは具体的な場面での例文を紹介します。参考にしてください。

「遅ればせながら」の例文:あけまして

「遅ればせながら」は年賀状の返事などでよく使われます。つまり年賀状を出し忘れていたところ、相手から先に年賀状が届いた場合などに、「遅れてしまいましたが」という言い訳のハガキを出す場合がよくあります。

そんな場合の例文は以下のとおりです。

例文1:あけましておめでようございます。早々に年賀状いただき恐縮におもっております。実は義母が昨年の12月に亡くなりまして、暮の25日がお葬式だったものですから、喪中のはがきも出せず失礼してしまいました。

寒中お見舞いともおもいましたが、「遅ればせながら」新春のご祝詞を申し上げます。本年も何とぞよろしくお願い申し上げます。

「後ればせながら」の例文:あけまして

「後ればせながら」を新年の挨拶時などで使う場合の例文を紹介します。「後ればせながら」は、「適機」を逃した場合などによく使われる言葉ですので、例文は次のとおりです。

例文:あけましておめでとうございます。「後ればせながら」新年のご挨拶をもうしあげます。ご連絡が遅くなり申し訳ございません。昨年の12月に急きょ引っ越しまして、なかなか落ち付かずに年賀状も失礼してしまいました。

当地は田舎ですが、自然も豊かで結構住み良いところです。こちらにお出かけの節はぜひ立ち寄りくださいますようお待ち申し上げております。

「遅ればせながら」の例文:お誕生日おめでとう

「遅ればせながら」を誕生日祝いなどで使う場合の例文を紹介します。誕生日などの場面では良く使われる言葉なので、例文を参考に有効に使ってください。

例文1:先日は20歳のお誕生日だったそうでおめでとうございます。「遅ればせながら」お祝いを申し上げます。叔父としてお祝いをしたいとおもったのですが、何を買ったらよいか分りません。少しばかり送りますので、○○の好きなものを買ってください。

例文2:この度はお誕生日おめでとうございます。喜寿だったと聞いております。亡父の親友としてわたしも可愛がっていただき、子供の頃の記憶は今も鮮明です。「遅ればせながら」寸志を送らせていただきました。

生涯現役を目指している小父さんですから、いろいろとご活躍のこととおもいますが、小母さんと二人で温泉旅行でもとおもい「旅行券」にしました。お誕生日本当におめでとうございます。

「後ればせながら」の例文:お誕生日おめでとう

「後ればせながら」を誕生日祝いなどで使う例文は次のようになります。メールなどでの例文を紹介します。

例文1:昨日は誕生日おめでとうございます。「後ればせながら」お祝いをいわせてもらいます。そろそろだなあ―とおもっているうちに、昨日は忙しくてついうっかりしてしまいました。もう20歳になったんだね。これから大変だよ。頑張ってね。

例文2:「後ればせながら」お誕生日おめでとう。もう幾つになったのかな。女性に年齢を聞くなというから聞かないけど、姉さんも心配してた。叔父さんとしても早く早く朗報を聞きたいね。期待してる。

「遅ればせながら」の例文:新年

「遅ればせながら」の使い方はいろいろありますが、ここでは「新年」に関する例文を紹介します。

例文1:寒中お見舞い申し上げます。「遅ればせながら」新年のご挨拶を申し上げます。早々に年賀状をいただきましたが、昨年の12月に母を亡くしまして、新年のご挨拶を失礼させていただきました。本年も変わらない御厚情よろしくお願い申し上げます。

例文2:仰春、皆さまにはお変わりなくお過ごしのこととお喜び申し上げます。「遅ればせながら」新年のご挨拶を申し上げます。当社も社名変更し、新たなスタートを切りました。今後とも今まで以上にご交誼のほどよろしくお願い申し上げます。

「後ればせながら」の例文:新年

「後ればせながら」を新年に使う場合の例文を紹介します。

例文1:謹賀新年、昨年中は一方ならぬお世話になりました。「後ればせながら」新年のご挨拶を申し上げます。早々に新年のご挨拶をとおもいながら、身辺に少しトラブルがあり、その解決に奔走していまして、今日まで失礼をしてしまいました。

トラブルもなんとか解決できホッとしているところです。本当に申し訳なくおもっております。本年も旧年と変わらずご交誼のほどよろしくお願い申し上げます。

「遅ればせながら」の例文:お礼

「遅ればせながら」は、誰かになにかをして貰った時、「お礼」が遅れた場合に良く使われる言葉です。例文(メール&手紙)は下記のとおりです。

例文(メール):この度は成人式のお祝いありがとうございます。実家より今日「お祝い品」が届きました。「遅ればせながら」心より感謝申し上げます。これからは、成人になったという自覚をもって心して生活してまいります。このたびは本当にありがとうございました。

例文(手紙):伯母さま、先日はお誕生日のお祝いを送ってくださり、本当にありがとうございました。「遅ればせながら」感謝とお礼を込めて手紙を書きました。伯母さまは、私にとっては第二のお母さんみたいなものだとおもっています。

小学校時代2年間も伯母さまの所に居候させてもらったこと、決して忘れません。私の誕生日もいつも忘れずに覚えてくれているのは伯母さまだけです。本当に本当に感謝しています。

「後ればせながら」の例文:お礼

「後ればせながら」をお礼の場面で使う時は、次のようになります。

例文(メール):毎日大変暑い日が続きますが、皆様お変わりありませんか。先日は大変立派なメロンをお送りいただきありがとうございました。本当に美味しいメロンでした。「後ればせながら」当地の名産品を少し送らせていただきました。今後ともよろしくお願いいたします。

「遅ればせながら」の例文:おくやみ

「遅ればせながら」はお悔やみの場面でも良く使います。例文を紹介します。

例文(メール):この度は御尊父様におかれましてはご愁傷さまでした。通夜式も告別式も参列できず申し訳ありませんでした。「遅ればせながら」お線香を少し送らせていただきました。お寂しくなったこととおもいますが、家長として頑張ってください。

「後ればせながら」の例文:おくやみ

「後ればせながら」も「遅ればせながら」同様に、お悔やみでは良く使われる言葉です。例文は以下になります。

例文(手紙):拝啓、先般お子様のご不幸を聞き、胸のつぶれるおもいでした。貴殿の心中察して余りあります。「後ればせながら」志を少し送らせていただきました。

訃報を聞いたのがつい先日でしたが、遠方なので当方に訃報の知らせが届いたのが、告別式を過ぎて一週間も経った昨日でした。直ぐにでも飛んでゆきたいおもいですが、気持ばかり送りましたので、仏様に花でも供えてやってください。

「遅ればせながら」は適所で生きる言葉です

「遅ればせながら」も「後ればせながら」も、日常生活の折々や社交場さらにはビジネスシーンでよく使われています。「今更ではありますが」という意味で、便利に使いまわされますが、適所て使うことによって生きる言葉でもあります。

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