「重々承知」の意味と使い方・例文・言い換え方法・敬語表現

ビジネススキル

「重々承知」の意味と使い方

「重々承知」という言葉の意味と使い方についてですが、これはその言葉どおりに「何度も重ね重ね承知する」という意味合いになり、普通に「承知する」という意味合いに比べて、さらに「よくわかった」、「これ以上ないくらいに承知した」などの意味合いを表します。

「重々」という言葉が接頭辞のように付くため、「重ね重ね」の意味合いが「重々承知」にはあり、その「重ね重ね」の用法をもって「至高の理解・承知」という意味合いを相手に伝えます。

重々

「重々」という言葉は基本的に「よくよく」や「十分に」という意味合いを持つため、「それ以上ないくらいの理解・了解」をそのまま相手に伝える形となります。

・そのことは、重々、内密によろしくお願いします。
・その件につきましては、重々承知いたしております。
・今回の仕事において「経済的支援が重要」であることは、重々承知しております。

このように、「重々」という言葉には「よくよく理解している」や「十分に○○してください」などといった、自分に対する「よくよく」の意味合い」と相手に対する「十分に」という用法が使い分けられます。

承知

「承知」という言葉の意味合いは「相手の言い分で伝えられる主旨を理解し、その要件にきちんと応対すること」や「相手の要求や言い分をしっかり聞き分けてやること・引き受けてやること」などを指します。

上記を踏まえた上で、「重々承知」という言葉の直接的な意味合いには、「相手が伝えてきた要件をよくよく理解した上で、その要件にしっかり対応する」といった「理解から対応」までの意味合い・用法が付け加えられます。

重ね重ね

「重ね重ね」という言葉は基本的に「重々」とほぼ同じ意味合いになります。この「重ね重ね」という言葉・用法は日常用語としてもよく使われており、慣用句的な表現として古くから日本において認められています。

・その件につきましては、重ね重ね、承知いたしております。
・彼女のことですが、重ね重ね、よろしくお願いいたします。
・先日のことにつきましては、重ね重ね、お詫び申し上げます。

このように「重ね重ね」の意味合いには「一度ならず二度までも」の意味合いと同じく、「何度も何度も同じ物事について○○する」といった「反復・重複」的な意味合いが込められています。

しつこいくらいの承知

「重々承知」という言葉は実に聞き慣れた言葉・表現になりますが、少し冷静にその意味合い・用法を見てみると、相手にとっては「しつこいくらいに承知している・もうこれ以上ないくらいに理解しています」といった、半ば立腹感が伝えられる場合の用法にさえ見て取れます。

もうそのことについては何度も聴いたから、改めて二度も三度も言わなくても大丈夫、といった相手の感情的な意図を含ませた表現とも見て取れる場合があります。

「重々承知しております」と言われた際には、「十分に理解しています」という意味合いの他に、「もうそのことについて何度も言われなくても大丈夫です」といった「感情的表現」が汲まれていることにも注意しましょう。

過去に何度も確認している状態

「重々承知」という言葉の基本的な意味には、「そのことについて過去に何度も経験しているため、改めてそのことについて言われなくてもわかっている」といった、この「改めて言われなくてもよい」という心情が込められる表現としても見受けられます。

先述しましたように、「重々承知」という言葉の用法は一般的には「よく理解しております」とした「相手を安心させる表現」によって使用される場合が多いですが、「もう過去に何度も経験して理解しているから、改めて言わないでください」とした意見表明の言い換え表現としても使われる場合がうかがえてきます。

メール

ビジネスシーンでは要件のやり取りに際して、主に電子メールで連絡交換する場合が非常に多く見られます。

この場合にも「重々承知」という言葉が多用される例がありますが、このビジネスシーンで使用される「重々承知」という言葉の意味合い・用法では主に「十分に理解していますから安心してください」といった、相手への安心を促すための使用法になるでしょう。

特に「過去において約束された物事」や「過去において依頼されていたこと」などへの対応において、「重々承知しております」といった形で「その件には必ず対応します」といった相手への約束の確約が示される場合が多く見られます。

「重々承知」の例文

日本語を学ぶ際には多くの場合、「例文を使ってその言葉を学習する方法」や「いろいろな場面を想定した会話表現において、その覚えるべき言葉を実際に使って学習する方法」などが効率的な方法とされます。

この実践的な学習方法によって「重々承知」という言葉の意味合い・用法をしっかり学んでおき、いざビジネスシーンや日常会話などでその言葉を使う機会にあった際には、間違わずに正確な表現ができるようにしておきましょう。

重々承知しております

「重々承知しております」という表現は、「重々承知」という言葉を使う際でも特に頻繁に使われている表現として認められるでしょう。

・わかりました。その件につきましては、重々承知いたしております。
・今後の事業計画におきまして経済的支援が必要なことは、わたくしども、重々承知いたしております。
・今度の実験に新しい科学媒体が必要となることは、現段階において重々承知しております。

重々承知しました

「重々承知しました」という言い方は、主に「今言われたことを理解する場合」をはじめ、「過去において取り交わした約束に対する対応」ではなくむしろ「臨場的にその言われた内容への対応をしっかりします」といった、即座に相手の要求に応える際に用いられる言葉となります。

・そのご要求につきまして、重々承知しました。
・その会場へは車ではなく電車で行かなければならないということ、重々承知しました。
・今度の現代文のテストには辞書を持ち込んでよいとのこと、重々承知しました。

このように、相手から言われた内容・告知された内容に対して「すぐに対応する」といった姿勢で使う言葉として「重々承知しました」という言い方がされ、「重々承知しております」という表現はそれよりも遠い過去における約束事への対応がメインとなります。

「重々承知」の言い換え方法

日本語を覚える際にも外国語を学習する場合でも、その覚えるべき言葉の「言い換え用の言葉」を一緒にインプットしておくことがとても大切です。言葉というのは「その場の状況によっていくらでも用法が変わり、その際に必要とされる言い方・類義語・別の言葉」を多彩に取り揃えておくことによって、コミュニケーションがスムーズになる場合があります。

百も承知

「重々承知」という言葉の代わりにこの「百も承知」という言葉が非常に多く使われる場合があります。「百も承知」という言葉は古くは江戸時代頃からでも使われていた「日本古来の慣用句的表現」として有名であり、その意味合いは「重々承知」と同じく「もうその件についてはよくわかっている」という姿勢を示す形になります。

・その件についてはもう百も承知だ。
・百も承知のことを、そう何度も言わないでくれ。
・受験に大事なことが英語の勉強ということは百も承知している。

このように、「百も承知」という言葉は「重々承知」の場合よりも「相手と対等の立場にある場合」に使われる言葉として多用されます。

耳にタコができる

「耳にタコができる」という表現も日本では古くから使われてきた「慣用句的な表現」として認められます。この「耳にタコができる」というのは「何度も同じことを聞かされ続けて、もういい加減飽きてしまった」という姿勢をそのまま相手に示す形になります。

・「バイクに乗るときにヘルメットをかぶれ」という言葉は、もう耳にタコができるくらいに聞かされた。
・同志社大学を受験する際に英語が大切というのは、もう耳にタコができるほどに聞かされ続けました。
・「彼らのように強くなれ」という父親の言葉は、今となってはもう耳にタコができました。

がってん承知

「がってん承知」という言葉は「重々承知」の意味合いにある「何度も聞かされて理解しています」などの意味合いからは少し外れ、ただ「(その話者の)理解・対応の側面で絶対大丈夫」という強い意志を伝える場合の言葉として認められます。

・「○○をしてください。」「がってん承知。」
・「今度こそは優勝してほしい。」「がってん承知。」
・「今度の新しいプランは理解していますか。」「がってん承知しています。」

承知の助

「承知の助」という言葉についてですが、この言葉は古くは江戸時代の流行語として知られた言葉であり、この場合でも「承知する」という意味合いが重点的に扱われた上で、「何でも承知してくれる、利便性の高い人」のことを直接的に指して言う言葉として理解されていました。

この場合に使われる「承知」の意味合いでも、「重々承知」の意味合いや用法が深く影響する形で使われていて、「どんなことにしても、その人ならば必ず対応してくれる・理解してくれている」といった、「重々承知」の意味合いをそのまま指す用法で使われていた時期がありました。

「重々承知」の敬語表現

「重々承知」の敬語表現についてですが、この「重々承知」という言葉は多くのビジネスシーンでもそのまま敬語として使うことができます。まず「重々」という言葉には、その話者のへりくだった姿勢が相手に伝わり、その自分の立場をわきまえた姿勢も同時に相手に伝えることができる「丁寧な表現」が含まれます。

一般的には「大変お忙しいことは重々承知いたしておりますが、できましたら○○の件につきまして、ぜひよろしくお願いできませんでしょうか」などと、前置きの形でも「重々承知」という言葉の用法は使われます。

丁寧語

丁寧語というのは一般的に「です・ます調」をその語尾に付けた、「誰にとっても当たり障りのない丁寧な表現によって示される敬語」となります。「重々承知」という言葉を丁寧語に直す場合でも、この丁寧な表現をそのまま取って付ければOKです。

・その件につきましては重々承知しています。
・彼らの計画は重々承知しています。
・その大学の受験がむずかしいことは、重々承知しております。

尊敬語

尊敬語というのは一般的に「相手の言動に対して敬意を払う敬語表現」のことを指し、「話者が相手に対して一方的に尊敬の念を示して表現される敬語表現」のことを意味します。この「重々承知」という言葉を尊敬語表現に直す場合には、多くの場合、その相手の行動において「よくよく」や「十分」という意味合いが付け加えられる表現となります。

・社長はその件につきましては、深くご許容されておられるご様子でした。
・課長のこの度のご対応におきましては、我々にとって十分なご配慮を表されました。
・部長はこの度のご提案につきまして、十分なご理解をお示しになられました。

上記の例文の表現中にある「深く」や「十分」という言葉が、「重々承知」のうちの「重々」を示し、「許容」や「配慮」などの言葉が「承知」の内容を示しています。

謙譲語

謙譲語というのは一般的に「話者と相手の立場や関係性を問わず、話者が自発的に自分の姿勢や立場をへりくだらせて相手に敬意を示す敬語表現」として認められます。そのため「重々承知」という言葉を謙譲語表現に直す場合は、「自分の言動をへりくだらせた上でその内容を伝える」という形になります。

・この度の事業プランにおける要点につきましては、重々承知いたしております。
・お客さまのご用件につきましては、重々承知させていただいております。
・○○さまの御ニーズを重々承知させていただきました上で、今回のプランをご検討させていただきます。

「重々承知」と「百も承知」の違い

「重々承知」と「百も承知」の違いについてですが、これは先述しましたように「百も承知」という言葉の意味合いにはまず「相手と自分との対等の立場が築かれた上での言葉のやり取り」という土台が想定されます。

その上で、「もうその件については何度も聞かされて知っている・承知している」という姿勢を示すことから、「重々承知」と言う場合と比べてやや「ぞんざいな姿勢をもって相手に自分の考えを伝える」といった形になります。そのため、目上の人・上司に伝える場合には、「百も承知」より「重々承知」の方が使われるのが自然です。

「重々承知」の英語表記と意味

「重々承知」という言葉を英語表記する場合、それぞれの英語の意味合い・用法に配慮する上で以下のようにピックアップされます。

・serious conscience(深い理解、よくよく知っていること、重々承知)
・deep understanding(深く理解していること、重々承知)
・be very aware of(重々承知、よく気が付いていること)
・listen many times(何度も聴いていること、重々承知)
・heavy consciousness(重々承知、深い認識)
・complete grasp(完全なる把握、深い理解、重々承知)
・understand enough(十分に理解する・重々承知)
・knowing enough(十分に知っていること、重々承知)

「重々承知」の英語表現と意味(1)

先でご紹介しました「重々承知」の英語表記を参考にして、「重々承知」の意味合いを含めた英語の例文をいくつかご紹介します。

・Regarding the matter, I am fully aware of it.
「その件につきましては、重々承知しております。」
・I understand enough about this case.
「今回の事件については重々承知しています。」
・We fully know that economic support is necessary.
「経済的支援が必要なことは重々承知しております。」

「重々承知」の英語表現と意味(2)

先述しました「重々承知」の英語表現に引き続き、さらに具体的な「重々承知」の例文をご紹介します。

・It is important that I learned English a lot since I have studied English necessary to enter Waseda University.
「早稲田大学に入学するために必要な勉強が英語ということは、もうずっと以前から重々承知していることです。」
・Every employee is fully aware of the need for a new strategy for the business plan.
「事業プランにさらに新しい戦略が必要であることについては、すべての社員が重々承知しています。」

「重々承知」の英語表現と意味(3)

先述の具体的な「重々承知」の英語表現に引き続き、今度はいろいろな場面で使われる「重々承知」の例文をご紹介します。

・The expression “heavy consciousness” is used in many business scenes, but the word “hundred innocence” is rarely used.
「「重々承知」という表現は多くのビジネスシーンで使われますが、「百も承知」という言葉はほとんど使われません。」
・The word “heavy consciousness” is used as it is as a form of honorific expressions.
「「重々承知」という言葉は、そのままの語形で敬語表現によっても使われます。」

「重々承知」の正確な意味と用法を理解しましょう

いかがでしたか。今回は「重々承知」の意味と使い方・例文・言い換え方法・敬語表現と題して、「重々承知」の意味と使い方・例文・言い換え方法・敬語表現をメインにその詳細情報のご紹介をはじめ、いろいろな場面で使われる「重々承知」の用例をご紹介しました。

「重々承知」という言葉はもうずいぶん古くから日本で使われてきた表現ですが、この言葉は現代においても、多くのビジネスシーンや日常生活において多用されている慣用句的表現として認められます。

多くの場面で多く使われている言葉であるからこそ、その言葉の成り立ちや基本的な意味合い・用法をしっかり覚えておき、いざと言うときに「間違わずに正確に使い分けられる能力」が必要となります。

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