「お忙しいところ」の意味と使い方!
「お忙しいところに」という言い回しや表現を聞いたり用いたりすることは多いのではないでしょうか。「お忙しいところ」というこの表現、どのような意味合いでどんな場面で使われる言葉であるか、きちんと使えていますか。また、誤った使い方をしてはいないでしょうか。
こちらの記事では「お忙しいところ」という表現について、「お忙しいところ」を用いる場面や使用用途、「お忙しいところ」の持つ意味合い、また、「お忙しいところ」という表現の使い方の注意点や、敬語表現などについて見ていきましょう。
お忙しいところはどんな場面で?
「お忙しいところ」とはどのような場面で用いられる言葉でしょうか。この表現が使われる場面を少し描いてみましょう。この言葉は先方や相手の手をわずらわせたりお借りする場面、また、何かをお願いする場面、相手のご都合をお伺いしたい場面、ざっと思い浮かべてみると、「お忙しいところ」とは多岐にわたって用いられる表現です。
場面場面に応じて言葉の意味合いも変わってくる表現でもありますが、では、場面に応じた「お忙しいところ」の使い道と表現、意味合いなどについて見ていきましょう。まずは「お忙しいところ」の表現が本来持つ意味合いについて見てみましょう。
お忙しいところの意味合い
では、「お忙しいところ」とはそもそもどのような表現で意味合いをもつ言葉なのでしょうか。幾つか例文を挙げながら見ていきましょう。「お忙しいところに誠に恐れ入ります」、「お忙しいところにお手数をお掛けしまして申し訳ありません」、「お忙しいところにわざわざ足をお運び頂きまして心より感謝いたします」と挙げてみました。
どの一文にも共通して言えるのは、「お忙しいところ」と先方や相手に配慮、遠慮した意味合いを持つ側面がある言葉だということではないでしょうか。「お忙しいところ」とは先方や相手の手や時間をお取りしていますという意味合いで、「お忙しいところに」と気遣いや配慮、遠慮や感謝を表した表現と言葉だと言えるでしょう。
メールで?
メールなどのビジネス文書で「お忙しいところ」と用いたい場合、どのようにすればよいでしょうか。ここでも例文を挙げながら見ていきましょう。
「お忙しいところ誠に恐れ入ります。先日お伺いを立てました件でご相談がありまして、こうしてご連絡させて頂きました」などではいかがでしょうか。特にこちらでも問題は無いのですが、出来ればビジネス文書ですので、もう少し表現に工夫を入れたいところではあります。
「お忙しいところ」という表現を「ご多忙の中に」という表現に置き換えてみましょう。
「ご多忙」という表現については詳しくは後述させて頂きます。再び、先程の一文を用いてみましょう。「ご多忙の中に誠に恐れ入ります。先日お伺いを立てました件でご相談がありまして、こうしてご連絡させて頂きました。」とてもきちんとした印象を与えるビジネスメールが出来上がりましたが、いかがでしょうか。
電話に?
では次に電話の場面で「お忙しいところ」を用いようとした場合にはどのように使えばいいでしょうか。こちらも例文を挙げながら見ていきましょう。「お忙しいところに申し訳ありません。今、少々お時間を頂きましても問題ありませんでしょうか」ではいかがでしょうか。
また、「お忙しいところとは存じますが、火急のご連絡がありまして大変申し訳ないとは思ったのですが、お電話させて頂きました」などでも意味合いとしてはきちんと通じます。
電話の場面での「お忙しいところ」の用い方としては、こちらのお電話にお手間や時間を取らせて申し訳ありませんという意味での前置きとして、「お忙しいところ」と用いるのが正しい表現といえるでしょう。
お礼の場面で?
お礼の場面で「お忙しいところ」と用いるシーンもあります。どのように使えばいいでしょうか。一文を挙げてみましょう。「お忙しいところにわざわざありがとうございます」や、「お忙しいところにこのようにして頂きまして大変恐縮です」などと用いることが出来るのではないでしょうか。
「お忙しいところ」という一文を入れて申し伝えることで、自分の為に相手や先方の時間を取って頂いたこと、手間を取らせたこと、場面に応じては足を運んで頂いたことなどに対する感謝とお礼の言葉としてお伝えすることが出来ます。
「お忙しいところにお手間を取らせてしまい申し訳ありません、大変感謝しております」などという意味合いで、申し訳ないという気持ちと感謝の気持ちを同時に伝える表現として、「お忙しいところ」という言葉を用いることが出来ます。
「お忙しいところ」の例文とは?
では、「お忙しいところ」を用いた場面に応じた例文とはどのようなものが挙げられるでしょうか。こちらでは「お忙しいところ恐縮ですが」や「お忙しいところすみません」、また、「お忙しいところありがとうございます」などの表現について、例文を用いて見ていきましょう。
お忙しいところ恐縮ですが
「お忙しいところ」を用いた場面の一文として、「お忙しいところ恐縮ですが」という表現を見ていきましょう。「恐縮ですが」という言葉は、「大変恐れ入ります」という意味合いの表現ですので、「お忙しいところ恐縮ですが」とは、「お忙しいところ大変恐れ入りますが」という意味の言葉になります。
言葉の持つ意味から例文を挙げてみましょう。「お忙しいところ恐縮ですが、何卒、弊社の案件にもお目通し賜りますようにお願い申し上げます」と、一文を作り上げてみました。恐縮ですがと続ける「お忙しいところ」の使い道は大変恐れ入りますがの意味合いですから、先方や相手の手間や時間を取らせてしまう場合や場面などで用いられることが正しい表現といえるでしょう。
「お忙しいところ恐縮ですが」の言葉に続けて、お願いしたいことがある、時間を頂きたい、手間をお借りしたい、などの意味の表現を重ねれば、「お忙しいところ恐縮ですが」の例文となります。
お忙しいところすみません
では、「お忙しいところすみません」という一文ならどうでしょうか。文字通り申し訳ないと言う意味合いをこめて、「お忙しいところ」の後にすみませんと一言入れています。言葉の持つ意味合いを考えると、こちらの都合で相手の時間や手間を取らせてしまった場合などに用いることが出来るのではないでしょうか。
「お忙しいところにすみません。先日の件なのですが、どうしても修正をお願いしたい箇所がございまして」などと用いることも出来ますし、「お忙しいところすみません。こちらの案件にも目を通して頂けますようにお願い致します」という表現でも用いることが出来ます。
「お忙しいところ」に手間や時間を取らせてしまい申し訳ないという表現に代えて、「お忙しいところすみません」の後にお願いしたいこと、時間を頂きたい旨などを続ければ、「お忙しいところすみません」のもっとも適した意味合いの一文が出来上がるでしょう。
お忙しいところありがとうございます
「お忙しいところありがとうございます」という表現があります。ではどのような場面で、どのような表現で用いることが出来るでしょうか。一例をいくつか挙げてみましょう。「お忙しいところに足をお運び頂きまして、ありがとうございます」、「お忙しいところにお時間を頂戴しまして大変光栄です」などと用いることが出来ます。
こちらもすみませんと同じく、「お忙しいところ」に感謝しますという意味でありがとうございますと続けています。相手方の時間や手間を頂いた、何かの心を頂戴したなど、時間や手間を頂いてこちらに何らかの労力や心を向けてもらった場面で、「お忙しいところありがとうございます」と伝えて、感謝の気持ちなどを続けるのが相応しい一文となるのではないかと存じます。
お忙しいところの敬語表現!
「お忙しいところ」の敬語表現とはどうなるでしょうか。前述しました「ご多忙の中に」という言い回しと表現についても触れながら、まず、日本語の敬語表現とマナー、ルールについてご説明していきます。
日本語の敬語表現とルール
日本語の敬語表現とマナー、ルール、相手や目的に応じた敬語の選び方についてまずは見ていきましょう。日本語の敬語表現は大きく「丁寧語」、「尊敬語」、「謙譲語」の三つに分かれており、場面や目的に応じてこれらを使い分けます。では、三つの敬語表現を順に追っていきましょう。
丁寧語
「丁寧語」とは文字通り丁寧な表現や言い回し、言葉遣いで相手に対して敬意を示す表現で、文体としては「です、ます」調や、「でした、ました」という表現になります。この記事で用いられています表現も「丁寧語」による表現となります。
尊敬語
「尊敬語」とは相手の言葉や仕草に対して敬った表現を用いることで相手に対して敬意を表す敬語となります。「何々をした」という表現を「何々をなさった」もしくは、「何々をなされた」と用いるような表現です。「して頂いた」などと用いることも出来ます。
「なさった」や「なされた」、「頂いた」という表現が相手の動作に対して敬意を表現していることになり、敬った文章として、「尊敬語」での表現に成り立ちます。
謙譲語
「謙譲語」とは相手の仕草や言葉に対して自らの発言や動作を下に謙遜して譲ることで相手に対して敬意を示す敬語表現となります。先程と同じ一文で、「何々をした」を用いて見てみましょう。「何々をさせて頂いた」などになります。
「させて頂く」、「させて頂いた」と表現することで、自らの行動や言葉を下げて相手に対して敬意を示している表現です。例えば「わたくしがこの記事を書かせて頂いています」なども「わたくし」という下った表現と「頂いています」という言葉から、謙譲語での表現となります。
では「お忙しいところ」を「ご多忙の中」と
では、もう一度最初の本題に戻って、「お忙しいところ」の敬語表現について見てみましょう。日本語の敬語表現についてはご理解していただきました。「お忙しいところ」という表現そのままでも構いませんが、こちらでは「ご多忙の中に」、「ご多忙のところ」という表現について触れてみます。
先程の敬語表現の中で分類すると、「お忙しいところ」という表現は丁寧に「忙しい中」という言葉を表した表現ですので、丁寧語による敬語表現と言い換えることが出来ます。
「ご多忙の中に」と「ご多忙のところ」は同じく「お忙しいところ」という意味合いですが、もう少し尊敬語寄りの敬語表現となりますので、同じ意味ではありますが、ビジネスシーンなどで用いる敬語表現としてはこちらの方が相応しいといえるでしょう。
敬語表現でのお忙しいところ
「お忙しいところ」の敬語表現として、「ご多忙のところ」という表現をご紹介しました。では、前述してきた例文を「ご多忙のところ」と「ご多忙の中」という表現に置き換えてみましょう。まずは、「お忙しいところ恐縮ですが」を「ご多忙の中恐縮とは存じますが」としてみます。
では次に、「お忙しいところすみません」を「ご多忙の中に申し訳ありません」と、「お忙しいところありがとうございます」を、「ご多忙の中に大変ありがたく思います」と置き換えます。いかがでしょうか、随分と同じ意味合いながらかっちりとした言い回しに置き換えられたと存じます。
「お忙しいところ」の類語・言い換え方法
では、「お忙しいところ」という表現に、別の言い回しや同じ意味合いを持つ類語表現はあるのでしょうか。こちらではそこを見ていきましょう。
お忙しいところの類語とは?
「お忙しい」の意味合いとしては「非常に慌ただしい」などという意味での敬語表現となりますので、前述しました「ご多忙」や「ご多用」などといった表現が類語表現となります。また、少し言い回しが異なってはきますが「せかせかしている」、「大忙し」、「繁忙」、「せわしい」などと同じ意味合いでもあります。どれもとても忙しいという意味の表現です。
相応しい場面への言い換え
「お忙しい」の類語表現については表記しました。相応しい場面で最も適したものを用いたいですが、同じ意味合いでありながら「お忙しい」と同じように相手に敬意を示して使いたいとすれば、「ご多忙」や「ご多用」と言い換えるのが無難かと思われます。
別の言い回し
こちらは前述したとおりになります。「ご多忙のところ」や「ご多用の折」などといった表現が別の言い回しとしてはもっとも適した表現になるでしょう。
「お忙しいところ」の使い方の注意点?
ところで、この「お忙しいところ」という言葉遣いですが、少し注意したい点があります。使い方によっては相手に感謝や申し訳なさを伝えるどころか、不快な思いを与えてしまいかねない場合があるからです。見ていきましょう。
お忙しいところの使い方の注意!
「お忙しいところ」の使い道の注意点ですが、前述しました通りです。使い方を誤れば、先方や相手に不快な思いを強いかねない表現でもあると押さえておきましょう。具体的な例としては次に挙げさせて頂きます。
嫌味になりかねない?
いつでもどこでも「お忙しいところ」と使ってしまうのは、少し考えたいところです。「ご多忙の折」や「ご多忙の中」も同じことですが、何でもかんでも「お忙しいところに」と付け加えてしまっては、却って嫌味になりかねません。
例としては、相手方が本当に時間のある時、余裕のある時、レクリェーションで、余暇の隙間に使われたものや示された厚意に対して、「お忙しいところ」と使ってしまえば、どこか違和感がありますし、言われた相手にしてもあまりいい気分とはなられないのではないでしょうか。「お忙しいところ」と使用する際の注意点です。
思いやりの表現ですと使いましょう
「お忙しいところ」という表現は、本来は相手の時間や手間を頂戴しまして申し訳ありません、大変嬉しく思いますなどの意味で使われるとても思いやりに満ちた表現です。
間違った使い方や敬語での表現方法などに気を付ければとても素敵な言葉になりますから、「お忙しいところ」や「ご多忙のところ」ときちんとマナーを守って相手に気を配った表現として自分の言葉にして使っていって頂ければと存じます。