使いこなそう!「失礼いたしました」の敬語・類語
「失礼いたしました」という表現は、さまざまなシーンで使用されています。日常生活における会話でも使用されますが、ビジネスや公の場での会話などでも、使用されることがある表現です。そのため、「失礼いたしました」というフレーズを見聞きしたり、使ったりしたことがあるという方は、多いと考えられます。
しかし、「失礼いたしました」というフレーズの使い方や敬語表現、類語などについて、深く考えたことがあるという方は、意外と少ないと考えられます。
そこで今回は、「失礼いたしました」というフレーズをピックアップして、敬語表現や例文、類語や具体的な使い方などについて、考察・ご紹介していきます。
「失礼いたしました」の敬語
ビジネスシーンや公の場などで、目上の立場の人とコミュニケーションを取る場合は、敬語や丁寧な言葉遣いで接するのがマナーだと言われています。ですから、「失礼いたしました」というフレーズを使用する場合も、敬語で使用する必要があると言えるでしょう。
そこでまずは、「失礼いたしました」の敬語表現について考察していきます。
「失礼いたしました」も敬語
「失礼いたしました」という言い回しは、他の言葉へ言い換えなくても、既に敬語表現になっていると考えられます。
「失礼いたしました」の「いたしました」という言葉は、「いたす」という言葉が原型だと考えられます。「いたす」という言葉の意味については、「コトバンク」にて、以下の引用のように解説されています。
引用の内容から、「いたす」とは「する」という自分の行為を謙って表現した謙譲語に当てはまり、相手へ敬意を示す敬語であることが読み取れます。
上記のような背景から、「いたす」という言葉を変化させた形である「いたしました」が含まれている「失礼いたしました」は、そのままでも既に敬語であると言えそうです。
「する」の謙譲語。自己側の動作を低めて言ったり、改まった気持ちで言ったりすることで聞き手に対する敬意を表す。多く「いたします」の形で用いる。
より丁寧に表現したい場合
上記でも考察したとおり、「失礼いたしました」という言い回しは、特に言い換えなどをしなくても、敬語となっていると考えられます。そのため、適切な状況やシチュエーションで使用するならば、「失礼いたしました」というフレーズを上司や目上の人に対して使用しても、問題ないと考えられます。
しかし、より丁寧な表現で使用したい場合もあるでしょう。そのようなときは、「失礼いたしました」という言葉に、別の言葉を付け足すことで、より丁寧な表現にしたり、気持ちを表現したりすることが可能になります。
一例としては、「大変失礼いたしました」という言い回しが挙げられます。「大変」という言葉を付け加えることで、「失礼いたしました」という言葉を強調することができると考えられます。
「失礼いたしました」の例文
続いては、「失礼いたしました」というフレーズを使用した、例文をご紹介していきます。例文を通して、「失礼いたしました」の言い回しのバリエーションなどを確認してみることで、「失礼いたしました」のより実践的な使い方を学ぶことができる可能性もあります。
大変
上記でもご紹介しましたが、「大変」という言葉は、「失礼いたしました」という言い回しと、一緒に使われることが多い言葉の1つです。「大変」という言葉を付け加えることで、「失礼いたしました」という言葉の度合いを、より強調したり丁寧な印象にしたりすることができると考えられます。
「大変失礼いたしました」という言い回しの具体的な使い方としては、以下の例文のような使い方ができると考えられます。
・本日は、約束の時間に遅刻してしまい、大変失礼いたしました。
・大きな音を立ててしまい、大変失礼いたしました。
・勘違いしておりまして、大変失礼いたしました。
乱文
「失礼いたしました」が使用されるのは、会話だけではありません。メールや手紙などの文章でも、「失礼いたしました」という表現は使用されます。
メールや文章で「失礼いたしました」が使用される際は、「乱文」という言葉とともに使用されるケースが多いと言われています。
・乱文失礼いたしました。
・乱筆乱文、大変失礼いたしました。
「失礼いたしました」の類語
続いては、「失礼いたしました」という言葉と似ている意味やニュアンスを持っている、類語や同義語などをご紹介していきます。
類語や同義語を確認してみることで、「失礼いたしました」という言葉の意味や使い方などを、より深く理解するヒントが見つかる可能性もあります。また、言い換え表現として使用できるケースもあるため、この機会にぜひ、「失礼いたしました」の類語もチェックしておきましょう。
・申し訳ございません
・すみません
・お詫び申し上げます
・ごめんなさい
「失礼いたしました」への返事の仕方
ここまでは、「失礼いたしました」という言葉を、自分が使用する場合に注目して、使い方や敬語への言い換えなどについて、考察・ご紹介してきました。続いては視点を変えて、相手から「失礼いたしました」と言われた時、自分はどのように返事をすれば良いのか、考察していきます。
こちらこそ
歩いていて、お互いに肩がぶつかりあった場合など、どちらも悪くない状況、もしくは双方に非がある場合は、「こちらこそ失礼いたしました」といった形で、自分の非やミスを認めるのも、「失礼いたしました」に対する返事の仕方の1つだと言えるでしょう。
しかし、状況や相手によっては、「こちらこそ」を使用することで、相手にも非があることを認めることになってしまうケースもあります。ですから、「こちらこそ」を使用する場合は、状況や相手との関係性をよく考える必要があると言えそうです。
お気になさらずに
相手が明らかに悪い場合や、相手に非があることが明確な状況で、「失礼いたしました」と言われた場合は、「お気になさらずに」「どうかお気になさらないで下さい」といった返し方をすることも可能です。
しかし、「お気になさらずに」と返す場合も、状況や相手との関係性を考え、慎重に使った方が良いと考えられます。「お気になさらずに」という言葉は、相手の非を完全に認めていると受け取られる可能性があります。そのため、自分に非があるときや、お互いさまと言える状況で使用すると、相手に失礼な印象を与えてしまう危険性があります、
「失礼いたしました」の使い方
最後に、「失礼いたしました」というフレーズを、実際にどのように使って行けば良いのか、シーンや場面、目的別に考察していきます。
「失礼いたしました」という言葉の、より実践的な使い方を学びたい方は、ぜひ参考にしてみて下さい。
接客
接客をしている時、相手に何か無礼を働いてしまった際に、「失礼いたしました」という言葉を使うケースが多いと考えられます。
具体的な使用例としては、相手と話していて、話が途切れたり中断したりした場合や、相手を案内するのが遅れたりした場合に、「失礼いたしました」と言って、無礼をお詫びすると考えられます。
しかし、明らかに相手に迷惑を掛けたり、相手に実害が出てしまったりした場合は、「失礼いたしました」よりも、「申し訳ございませんでした」の方が適切である可能性もあります。
退室
部屋から退室する際の挨拶としても、「失礼いたしました」という言葉はよく使われます。上司の部屋から退室する際や、面接・面談で相手より先に部屋を出る場合、取り引き先の企業へ訪問して応接室などから退室する際の挨拶として、「失礼いたしました」を使用する方は、多いと考えられます。
また、部屋に入室する場合は、「失礼いたします」という挨拶を使用する方が多いと言われています。
メール
ビジネスメールでも、「失礼いたしました」という表現は、よく使われます。
上記でも述べたとおり、「失礼いたしました」という表現は、文章においては「乱文失礼いたしました」といった形でよく使われると言われれています。
また、メールのやり取りなどで相手に失礼な行為をしてしまったり、無礼な発言をしてしまった場合は、「この度は失礼いたしました」といった形で、無礼を詫びる際に使用されると考えらえます。
「失礼いたしました」はさまざまな使い方ができる
いかがでしたでしょうか。今回は、「失礼いたしました」という言い回しをテーマにして、敬語への言い換えや例文、類語や具体的な使い方などについて、考察・ご紹介しました。
「失礼いたしました」というフレーズは、部屋への入退室の挨拶や文章における決まり文句、相手への無礼に対するお詫びの言葉など、さまざまな用途や目的で使用することが可能な言い回しです。この機会にさまざまな使い方を覚えて、正しく使えるようにしておきましょう。