日本語を根本的に学ぶこと
日本語というのは非常に複雑な構造をしていて、実際に使用する際にも「いくらでも意味合いや表現方法が分かれてくる言語」としてあるため、きちんと把握しようとする場合には「1つ1つの言葉を根本的に理解して学習すること」が大切になります。
どんな言葉を学習する場合でも「楽して覚えたい」という試みが衝動的に煽られるものですが、しかし言語というのは生き物のように「人に使われてその効果を発揮する」という表現的な側面を持ち、なおかつ長い歴史を持つ学習分野にもあるため、一朝一夕で学び取れる内容ではありません。
実践的に学習することが大切
日本語に限らず世界各国の言葉を学ぶ際には、まず「その覚えるべき言葉を実際に使い、その言葉の含まれている意味合いや用法を実践的に学習し、学び取る・体感する」ということがとても大切になります。
例文や会話などで言葉を使うのも上記の「実践的な言葉の学習方法」につながりますが、とにかく例文・会話で言葉を学習する場合でも「いろいろな場面や状況をあらかじめ想定して学習する」という姿勢が大切です。
「ご存知」の意味と使い方
さて、「ご存知」という言葉の意味と使い方についてですが、基本的に「ご存知」の意味は「知っていること・承知していること・思っていること」などを総体的に示すため、とにかくそのメインの意味合いにある「知っていること」を常に指している言葉と認識してかまいません。
・あなたはその事件についてご存知ですか。
・あなたのご存知のことを洗いざらい話してください。
・もしその事業プランについてご存知ならば、ぜひ我々に話してください。
このように、「あなたが知っていること」というのが「ご存知」という言葉の主流の意味合いとして認められるため、まず「知っている・承知している」ということが「ご存知」という言葉の直接的に指している意味として理解しましょう。
自分には使わない
「ご存知」という言葉は「その話者が自分に対して使う言葉」としては認められません。「ご存知」の「御(ご)」という言葉には「相手に敬意を示す尊敬語表現」の働きがあるため、もし自分の状態や言動に対して「ご存知」という言葉を使った場合は、話者が自分に対して尊敬の念を示して言葉を使ったことになります。
「ご存知」の語形
「ご存知」という言葉の語形は先述しましたように、まず「御(ご)」という尊敬語を示す接頭辞と「知る」という言葉の尊敬語・謙譲語表現となる「存じる(存知る)」という言葉の2種類の敬語表現によって成り立っています。
その敬語表現のうちでも特に接頭辞として目立つ形である「御(ご)」という言葉が「尊敬語表現」として初めに認められるため、「ご存知」という言葉はそのまま「尊敬語表現によって示される言葉」として認められます。
「ご存知」の例文
先述でもご紹介しましたが、日本語をはじめ世界各国の言語・言葉の意味や表現方法を学ぶ際には、その言葉を実際に使って覚えるという「実践的な学習方法」が特に大切になります。その場合のよい方法として「例文にその覚えるべき言葉を当てはめ、そこでさまざまな場面・状況を設定した上でその意味や用法を学習する」という効果的な方法があります。
ご存知ですか
「ご存知ですか」という表現はそのままの意味合いをもって、「知っていますか・承知していますが・気付いていましたか」などの「知る」ということへの疑問形の言葉になります。
・彼らがどんな人であるか、あなたはご存知ですか。
・彼女の秘密をあなたはご存知ですか。
・論文の上手い作成方法を彼はご存知ですか。
ご存知のとおり
「ご存知のとおり」という言葉は「(あなたも)知っているように・知っているとおり」などの「既知の物事を前提とした表現」として認められます。つまり、「すでに知れ渡っていることや、特定の人の間だけで知れ渡っていることなどを前提として、それについてこれから話す」という流れになります。
・ご存知のとおり、彼にはまだそれをするだけの技術がありません。
・ご存知のとおり、あの会社にはそれだけを担う資産がありません。
・あなたもご存知のとおり、その大学の受験科目は7科目あります。
ご存知ないのですか
「ご存知ないのですか」という表現についてですが、これは「知っていないこと・知らない」という状態をそのまま前提としておき、その上で話者が何らかの特定のことについて相手に話すという、2段階的な話題展開が見受けられます。もちろん「知らないのですか(ご存知ないのですか)」という疑問だけで会話が終わる場合も含まれます。
・あなたはその件についてご存知ないのですか。
・あなたは会社が倒産寸前であることを本当にご存知ないのですか。
・彼らは自分たちが所属している会社の本当の運営状態をご存知ないのですか。
ご存知いただきたく
「ご存知いただきたく」という表現は「とにかく相手にそのことを知ってもらいたい」という話者側の強い要望がまずうかがわれ、その上でその「知ってもらいたいこと」についての説明をその後にするという展開が一般的でしょう。
・ぜひとも、この会社の運営状況をご存知いただきたく、取り計らわせていただきます。
・早稲田大学の学生数の規模について、ぜひご存知いただきたく願います。
・世界情勢に比べて、我が国の経済的支援は非常に難航している状況をご存知いただきたく願います。
ご存知のこととは思われますが
「ご存知のこととは思われますが」という表現も先述の「ご存知のとおり」の場合と同じく、「すでに知っていることとは存じますが」といった「既知の情報を前提にした表現」となります。
・彼らの窮地についてはご存知のこととは思われますが
・この会社の経営が火の車であること(窮地に追い込まれていること)はご存知のことと思われますが
・彼の論文作成における能力が素晴らしいことはご存知のことと思われますが
ご存知でしたら
「ご存知でしたら」という表現は「もし○○を知っていましたら・もしそれを知っていれば」といった、「仮定の話題を持ってきて相手に何かを要望する」という言葉になります。
・もしこのパソコンの使い方をご存知でしたら
・あるいは、あなたが彼の心境についてご存知でしたら
・彼女を助ける方法をご存知でしたら
ご存知なければ
「ご存知なければ」という言葉は基本的に「なければ」の部分に見られる「否定疑問文」の形がピックアップされますが、しかし日本語(特に慣用句)の表現としては「知っていれば・それを承知している場合は」などと、先述の「ご存知でしたら」の意味合いと同じような意味が見受けられる場合があります。
・彼らの文化をご存知なければ、ぜひそれについての勉強をなさってください。
・その国の文明発展についてご存知なければ、おそらくその問題は解けないでしょう。
・連立方程式の基礎をご存知なければ、高等数学に対応することは無理です。
ご存知の範囲で
「ご存知の範囲で」という表現はそのまま「あなたの知っている限りで・理解している限りで」などの、「知識・知恵の及ぶ限りで」という言葉となります。
・現代国語の問題について、あなたのご存知の範囲でかまいませんので、解答してください。
・その事件につきまして、あなたのご存知の範囲でよいので話していただけませんか。
・あなたのご存知の範囲で、このパソコンの使い方を教えてください。
「ご存知」と「ご承知」
「ご存知」と「ご承知」という言葉の用法についてですが、「ご承知」という言葉は「ご存知」の意味合い・用法と非常に近い言葉であることが認められます。「承知」という言葉の基本的な意味は「誰かが言うことの内容・その旨を知っていることや理解していること」を指し、その上で「要求に応じて対処すること」などを指します。
この場合の「ご承知」の意味合いにはまず「知ること」が念頭にあり、その上でその後の対応を決めていくといった「ご存知」の意味合い・用法に精通している部分が認められます。
「ご存知」の敬語表現
「ご存知」の敬語表現についてですが、まず先述しましたように「ご存知」という言葉はそのままのあり方ですでに「尊敬語表現」と「謙譲語表現」の2種類の敬語表現が含まれています。
ただし「謙譲語表現」として認められる場合は、「存知」の部分を「存じ」と変換し、「存じ上げています」や「存じています」といった「知る」という言葉をへりくだった姿勢で相手に伝える形になります。
多くのビジネスシーンでも「ご存知」という言葉はそのまま敬語表現として扱われ、「ご存知でしょうか」や「ご存知でしたら」などと尊敬語表現をもって使用されます。また同じく謙譲語表現では「存じ上げています」や「存じています」などと状況に合わせる形で使い分けられます。
「ご存知」は尊敬語表現
先述で「ご存知」の敬語表現についてご紹介しましたが、一般的に多く使われる「ご存知」の表現はやはり「尊敬語表現」として認められています。これは「謙譲語表現」として使われる場合には「ご存知」という語形から「存じ」という形にまず変換が必要な点と、「ご存知」がそのままの形で1つの言葉として認識されている点にあります。
「ご存知」の類語
「ご存知」の類義語についてのご紹介ですが、日本語を覚える際にはこの関連語(類義語・対義語)をワンセットで覚える・学習することが非常に大切になります。「ご存知」という言葉の意味合い・用法を確実に把握する上で、さらに多角的な視点をもって学習する場合でも、この「関連語とワンセットで学習する」という方法は効果的となるでしょう。
知る/見当が付く/既知/思う/思惑/精通している/承知/ご承知/お近付き/仲間/知っていること/承服していること/理解/理解していること/把握していること/顔見知り/知人/友だち
上記の言葉がピックアップされますが、どの言葉にもまず「知る・知っている」という意味合いが前提になっており、その上で「どれだけ旧知の仲にあるか・精通しているか」ということがメインの意味合いとしてうかがわれます。
「ご存知ですか」への返答方法
「ご存知ですか」と相手に聞かれた場合の返答方法(返答に使うべき言葉)についてのご紹介ですが、これは一般的に「状況と相手との関係性によって変わる」という形になるでしょう。基本的には「知っています」や「存じています」などの返答方法でOKです。
・知っています/知りません
・ええ、存じています/いえ、存じておりません
・存じ上げております/存じ上げておりません
・察しております/気付きませんでした
・わかっております/いえ、わかりません
・ええ/いえ
上記の他にも「申し訳ございません」や「どういうことですか」などといった慣用句的な返答方法がありますが、基本的に「知っている」か「知らない」という返答方法が適切となります。
「ご存知」の表記方法
「ご存知」という言葉はこのままの表記でも十分使用されていますが、特に改まった場面や状況においては別の表記をもって使われる場合が見られます。この場合は「ご存知」という言葉そのものを変換させて使うことがあります。
ご存じ/承知/承服/理解/通知/知り合って/精通/専門的に/知人/仲間/お近付き/友人/知人/旧友/級友/知っている/理解している/承っている/賜っている
他にも多くの言い換えの言葉がありますが、「ご存知」という言葉の基本的な意味合いとしてある「知る・知っていること・承知していること」などの意味合いから発展し、その発展した意味合いを持つ別の言葉そのものに置き換えられる場合が多々あります。
「ご存知」の英語表記と意味
「ご存知」という言葉は基本的に「知る」という意味合いを示すため、英単語でも「知る・知っている・承知している」などの意味合いを持つ単語を調べればOKです。
・know(知る、承知している、存じている)
・understand(理解している、把握している、存じている)
・discern(わきまえている、理解している、存じている)
・information(情報、通知、理解、既知)
・hear(知る、理解する、承知する、承る)
・guide(案内する、理解する、承る)
・be acquainted with(知っている、存じている、把握している)
・feel(感じている、知っている、気付いている)
・follow(聞いている、知っている)
・catch(捕まえる、把握している、聴き取る)
・receive(受け取る、承諾する、存じている)
「ご存知」の英語表現と意味(1)
先でご紹介しました「ご存知」の英語表記を参考にして、「ご存知」の意味合いを含めた英語の例文をいくつかご紹介します。
・Do you know his secret?
「あなたは彼の秘密をご存知ですか。」
・Has she received information about the incident?
「彼女はその事件についての情報をご存知ですか。」
・How well do you understand the management difficulties of this country?
「この国の経営難についてどれだけご存知ですか。」
「ご存知」の英語表現と意味(2)
先述しました「ご存知」の英語表現に引き続き、さらに具体的な「ご存知」の例文をご紹介します。
・If you do not know the incident in detail, it would be better not to announce the affair on news page in a declaration affirmation.
「あなたがもしその事件について詳しくご存知ない場合は、断言する形でニュース紙面にその事件のことを公表しない方がよいでしょう。」
・If you do not know the details of their culture, you should first study the culture and history of the country and then understand their behavior.
「彼らの文化について詳しくご存知ない場合は、まずその国の文化と歴史を勉強し、その上で彼らの言動について理解すべきです。」
「ご存知」の英語表現と意味(3)
先述の具体的な「ご存知」の英語表現に引き続き、今度はいろいろな場面で使われる「ご存知」の例文をご紹介します。
・Since the usage of the word “knowing” is described as “words used against the opponent”, it is basically impossible to use for yourself.
「「ご存知」という言葉の用法はまず「相手に対して使う言葉」としてあるため、自分に対して使うことは基本的に不可能です。」
・The word “you know” is generally recognized as “respectful expression” and is used in many business scenes.
「「ご存知」という言葉は一般的に「尊敬語表現」として認められ、多くのビジネスシーンで使われています。」
「ご存知」の正確な意味と用法をマスターしましょう
いかがでしたか。今回は「ご存知」の意味と使い方・例文・類語・敬語表現|の通り/ですかと題して、「ご存知」の意味と使い方・例文・類語・敬語表現についての詳細情報のご紹介をはじめ、いろいろな場面で使われている「ご存知」の用例をご紹介しました。
「ご存知」という言葉は一般的に「尊敬語表現」として認められており、主に「相手の状態や言動に対して使う言葉・表現」とされています。そのため、自分に対して「ご存知」という言葉を使う場合は「話者が自分に尊敬の念を示す態度」となるため、日本語として成立しません。
どんな言葉を使う場合でも、まずその言葉を使う際の状況や場面をしっかり見極めておき、1つの言葉にしてもいろいろな言い換え表現ができるように「ボキャブラリ」を増やすことを心掛けましょう。