「いえいえ」とは
みなさんは「いえいえ」という言葉を聞いたことがありますか。日常生活をはじめ、ビジネスシーンや公共の場など、さまざまな場面で頻繁に耳にする言葉でしょう。
今回は、「いえいえ」という言葉の意味や使い方についておさらいし、加えて例文もご紹介します。普段何気なく使用している言葉ですが、正しい使い方をしっかりと理解しましょう。
「いえいえ」の意味と使い方
まずはじめに、「いえいえ」という言葉の意味や使い方について確認しましょう。みなさんは日頃から何気なく使っている言葉ですが、正しい意味を理解していますか。さまざまな場面で頻繁に耳にする言葉ですので、この機会に覚えてください。
「いえいえ」は普段から何気なく使う言葉ですので、正しい意味や使い方をしっかりと理解するべきです。簡単にわかりやすく説明していくので、ぜひ参考にしてください。
「いえいえ」の意味
「いえいえ」とは否定を意味する言葉で、場面によって謙遜や謙虚な意味合いを含みます。漢字で書くと「否否」や「否々」というように書くことができます。否定の言葉ではありますが、あまり強い口調で否定するものではなく、相手に柔らかい印象を与えることができるので、目上の人にも使うことができます。
謙遜で用いられる場合
一般的に「いえいえ」を用いるのは、謙遜を表す場合が多いです。日常生活や普段の会話でも頻繁に登場する単語ではありますが、特にビジネスシーンではよく使われる頻出単語です。謙遜を表すので目上の人に対してだけでなく、同僚や友人に対しても使うことができます。
「いえいえ」は謙遜を表しますが、使いすぎには注意です。謙遜しすぎるのも逆に相手に失礼になることもあります。相手との空気を読んで気をつけて使いましょう。
否定で用いられる場合
否定の意味で「いえいえ」を用いる場合は、単に否定するよりも少し丁寧な言い方で謙譲表現と言われています。「いえいえ、そうではありません」のように後に言葉を添えることで、より丁寧な言い方をすることができます。
相手を否定することは良い印象ではありません。しかし、丁寧に「いえいえ、違います」と型番添えるだけで柔らかな口調になります。相手にとってもそこまで悪い気分にならない表現とされています。
「いえいえ」の使い方
「いえいえ」の使い方は、否定としてではなく、「いえいえ、どういたしまして」のような謙虚な姿勢を示すのにも使われることがあります。否定の意味を持つ「いえいえ」ですが、ケースバイケースです。
場面によってニュアンスが若干変わってきます。「いえ」や「いいえ」では断りや否定の意味になります。しかし「いえいえ」は、一般的に感謝をされたときに謙遜する意味として使われことが多いです。
「いえいえ」をメールで使うには
メールで「いえいえ」を使う場合は、基本的に感謝や褒められたことに対して謙遜する意味で用いられます。取引先に感謝された場合や、上司からほめられた場合に、謙遜の意味合いとして「いえいえ」と使用しましょう。
「いえいえ、そんなにほめられるのは恐れ多いです」というニュアンスが含まれます。目上の方に対しても物腰の低さが伝わるので、十分使うことができます。
「いえいえ」は文の最初につける
「いえいえ」は文章の最初で謙遜する際に用いられる言葉なので、「どういたしまして、いえいえ」「大変恐縮です、いえいえ」のように後に持ってくることはありません。どのような場面でも「いえいえ、〜です」のように文の頭に持ってきましょう。
「いえいえ」は口語的表現
「いえいえ」はあまり文語としては使われません。友人や家族との会話や、上司との話の中で使うことはありますが、堅苦しい業務連絡のメールや書面では「いえいえ」はあまり使われません。
ラフなメールなどでは会話中に「いえいえ、ありがたいです」というようなことがあります。しかし、プライベート以外ではあまり用いられる表現ではありません。
「いえいえ」の敬語表現は?
「いえいえ」という言葉は厳密には敬語表現ではありません。ただし、目上の人に対しても使うことのできる言葉です。通常敬意を払いたい相手に使う場合は、「いえいえ」の後に何か言葉を添えます。
目上の人に対して使うのであれば、「いえいえ、とんでもございません」と謙遜する表現があります。「いえいえ、滅多そうもありません」「いえいえ、大変恐縮です」のような言い方もできます。
「ありがとう」の返事に「いえいえ」は不自然か
相手から感謝を言われたり、「ありがとう」を言われたりした際に「いえいえ」と返事をする方がいますが、それは不自然でしょうか。「ありがとう」に対する返事として「いえいえ」は全く不自然ではなく、むしろ謙遜の意を含んだ謙虚な表現です。
ここでの「いえいえ」は相手からの感謝の気持ちを否定しているのではなく、恐縮している意を表します。褒められてめっそうもない、ありがたいという気持ちを腰を低くして伝えるものです。
どういたしまして
「いえいえ、どういたしまして」という表現を感謝に対する返答として用いることがあります。これは、単純に「どういたしまして」というよりも腰を低くした返答です。
例えば電車の席を譲って「いえいえ、どういたしまして」という表現が使われます。これは、席を譲ったことに対する感謝に「どういたしまして」と単に返すより、「そんなに感謝されるほどのことでもないですよ」と柔らかな印象を与えます。
大丈夫です
「いえいえ、大丈夫です」という表現もあります。これは、感謝されるほどのことでもない、自分は問題ないですという意味が含まれた文章です。席を譲った際に「いえいえ、大丈夫です」と返事をすると、「私の方は席を譲っても問題ないですよ、心配しないで」というニュアンスになります。
相手に対して、「いえいえ」を一旦挟むことで優しい言い方をすることができます。単に「大丈夫です」というよりも謙虚さが見えます。
「いえいえ」の類語
「いえいえ」の類語として、「なんのなんの、とんでもない、どういたしまして、恐れながら」という言葉があげられます。否定を意味する表現で使う際は、「いいえ、いや、ううん、あいにく、残念ながら」といった言葉があげられます。
場面によって、謙遜を表す場合と否定を表す場合があるので使い分けが必要です。そのため、「いえいえ」を使う文脈に合わせて、類語も異なってくるので注意しましょう。
「いえいえです」は不自然か
「いえいえです」という「いえいえ」と丁寧語の「です」を組み合わせた表現は一般的にはとても違和感のある表現です。「いえいえ」には「とんでもない」という意味があり、「とんでもないです」ということはありますが、「いえいえです」は不自然です。
しかし、まったく使われないというわけではありません。日本語として不思議な感覚はありますが、友人同士のフランクな会話や若い世代の人は「いえいえです」という事も稀にあります。
「いえいえ、〜です」ならはOK
「いえいえです」という表現はとても違和感がありますが、「いえいえ、とんでもないです」「いえいえ、恐縮です」などと「いえいえ、〜です」の使い方が正しいです。目上の人に対しても使うことができます。「いえいえ、こちらこそありがとうございます」のように相手の感謝に対して、こちらからお礼を言う際にも使うことができます。
否定の場合も「いえいえです」は違和感
「いえいえ」を否定の意味で用いる場合も、「いえいえです」はとても不自然な言い方です。「いえいえです」が「ちがいます」という意味にはならないので注意しましょう。「いえいえ、違います」「いえいえ、そうではありません」と後ろに言葉を付け加えるのが自然な言い回しです。
「いえいえ」の例文
それでは、「いえいえ」を実際に例文でどのように使われるかを紹介していきます。言葉で説明しても難しいですが、例文で見ると意外と簡単に使い方を身に付けることができます。謙遜する意味で用いられることがほとんどなので、そちらの例文をメインに紹介します。
ビジネスシーンで頻出する言葉なので、特に目上の人に対してどのように使われるか見ていきましょう。普段の日常会話での例文もいくつかご紹介しします。
ビジネスシーン
【例文】
取引先の相手:「遠いところまでご足労ありがとうございます」
自分:「いえいえ、お気になさらないでください」
相手から感謝を述べられたことに対して「気にしないで、私は全然大丈夫ですよ」というニュアンスを含んだ文章になっています。
取引先の相手に対して「どういたしまして」と言ってしまうと、「遠いところきてあげました」という意味で伝わってしまいます。ここは謙虚な言い方を心がけましょう。
上司との会話
【例文】
上司:「今日の会議の資料、とてもよかった」
自分:「いえいえ、ありがとうございます」
これは、上司からほめられたことに対して謙遜した態度を表した文書です。単にありがとうございますというのもはっきりとしていて良いですが、「恐縮です」というニュアンスを出したいときは「いえいえ」を前につけましょう。
自信たっぷりな印象もないので、腰の低さがとても好印象です。ありがたきお言葉という意味の文になります。
友達との会話
【例文】
友達:「手伝ってくれてありがとう」
自分:「いえいえ、どういたしまして」
単純にお礼を言ってもよいですが、親しき仲にも礼儀ありです。「いえいえ」という言葉を挟むことで「髪を手伝うのは当たり前だから、気にしないで」という優しいニュアンスが含まれています。
友人同士の会話でも「いえいえ」を使うのは不自然ではありません。謙虚さが出るので、友達に対してもよい印象を与えることができます。
否定の意味で使う場合の注意点
否定の意味で用いる「いえいえ」は使い方に注意が必要です。「いえいえ」を否定の意味で使う場合「いえ」を2回繰り返しているため、否定を強調したニュアンスにとられてしまう可能性があるということです。こちら側としては丁寧な言い方を心がけたつもりでも、相手には悪い印象に取られる場合もあります。
「いえいえ」は丁寧な言い方ですが、時と場合をわきまえましょう。特に上司など目上の人に使う際は気をつけてください。
「いえいえ」は何度も使わない
「いえいえ」という言葉は謙遜する態度を表していますが、何度も会話の中で使うのはふさわしくありません。「いえいえ」ばかりを繰り返していると、相手からの感謝やお礼の気持ちを何度も否定しているニュアンスになってしまいます。相手が不快な思いをする可能性があるということです。
何度も繰り返して「いえいえいえいえ」や会話中に何回も言うのはNGです。少なくとも1回ですませるようにしましょう。
「いやいや」と「いえいえ」の違いは?
「いやいや、大丈夫です」という表現も「いえいえ、大丈夫です」と表現もどちらも聞いたことがあるでしょう。「いやいや」と「いえいえ」にはどのような区別があるのでしょうか。今回は、その両者の違いについても説明します。
ここでの「いやいや」は「なにかを嫌々やる」という意味ではありません。文章の最初に「いやいや、〜です」のように使われる「いやいや」との違いを説明します。
「いやいや」は遠慮を表す
「いやいや」という言葉は遠慮を表す表現です。「いえいえ」は謙遜を表すので少し意味が異なってきます。使い方としては「いやいや、もう結構です」のように、何かに対して遠慮したりやんわりと断ったりするのに使われます。
「いえいえ、大丈夫です」も「いやいや、大丈夫です」も意味合いとしては似ています。しかし、謙遜と遠慮には違ったニュアンスがあります。
謙遜と遠慮
「謙遜」は「控え目な態度で振る舞うこと、へりくだること」という意味の言葉であるのに対して、「遠慮」は「相手に対して言動や行動を控えめにすること、辞退すること」を意味する言葉です。つまり、謙遜は物腰を低くして受け入れるのに対し、遠慮は控えめにやんわりと断る意味が含まれています。
「いえいえ、大丈夫です」は感謝やお礼を受け入れるニュアンスです。「いやいや、大丈夫です」は断りの表現です。
「いえいえ」を英語で言うには
「いえいえ」と言う言葉はお礼や感謝に対する謙遜の返答としてよく用いられます。英語ではどのように表現されるのでしょうか。
「いえいえ」は「Not at all. (まったく構わないですよ)」「Don’t mention it.(礼には及びません)」という表現ができます。もっとカジュアルな表現ならば、「That’s all right.」「That’s OK.」「Sure.」「You bet.」も当てはまります。
「いえいえ」を使いこなそう
「いえいえ」という言葉は使う場面によって、謙遜の意味と否定の意味、2つの意味で使うことのできる言葉です。特に謙遜の意味でよく用いられ、ビジネスシーンでも頻繁に耳にする言葉です。今回は、「いえいえ」の意味や使い方について学びました。
さまざまな場面で「いえいえ」を耳にするので、正しい使い方を身につけなければなりません。日本人の謙遜するという文化がこの「いえいえ」という言葉に如実に表れています。