「大丈夫」とは
「大丈夫」というのは基本的に「安定していること」、「安心できる状態にあること」、「危険性がないこと・状態」を指し、さらに「丈夫」という意味的側面を取って言う場合は「心身が人よりも丈夫なこと」を意味します。
特に一般的に言われる「大丈夫」の意味合いは前者の方が取られる場合が多く、「安心できる状態」や「危険性がない状態」のことを指して言います。
「大丈夫」の言い換え
「大丈夫」の言い換えについてですが、これは敬語表現や類義語の中から探すことができます。「大丈夫」という言葉の意味が先述のように「安定感・安定さ」や「丈夫さ」を指すため、その言い換えの言葉の意味にもそれらの意味合いが必ず含まれることになります。
差し支えありません/問題ありません/支障ありません/OKです/結構です/お構いなく/お気遣いご無用です/かまいません/好調です/快調です/お気になさらず-元気です
上記の言葉が並びますが、どの言葉の意味合いにも「たいていのことが起きても問題ない」や「元気で心身ともに大丈夫」といった内容が含まれます。
ビジネスシーンでは使わない
「大丈夫」という言葉・表現は、基本的にビジネス上のやり取りで使われることはほとんどありません。確かに信頼関係をそれなりに結んだ仲であれば普通に使いますが、ビジネス上のやり取りで使われる典型的な敬語表現のうちでは「大丈夫です」や「元気です」といった敬語表現はほとんど見られません。
ビジネス上のやり取りでは「大丈夫」の代わりの言葉として一般的に「問題ありません・問題ございません」、「差し支えありません」、「支障をきたすことはありません」などの丁寧な言葉遣いによる表現が使われます。
「大丈夫」の敬語での例文
日本語を覚える際には「実践的に言葉を覚えること」が何より大事で、それによって「覚えるべき言葉を自分の言葉・表現として把握すること」ができるようになります。これは日本語に限らずどんな国の言葉を勉強する場合も大切で、必ず例文や会話でその言葉を実際に使用して覚える、という姿勢が重要になります。
まして敬語表現となれば、先述のように「ビジネス上のやり取りで一般的に使われる言葉や表現」を把握しておくことが大切になります。その際に「大丈夫です」と相手に伝える代わりの言葉をしっかり覚えておきましょう。
構いません
「大丈夫です」と言う代わりに「かまいません」と相手に伝える例が多く見られます。「かまいません」という言葉の意味合いは基本的に、「誰からも世話をされなくても・心配をされなくても大丈夫」という意味的側面が認められ、「自分は一人でもきちんとやっていける」という意志表示につながります。
・資料を提供されなくてもかまいません(大丈夫です)。
・会社までのアクセス方法は存じておりますので、道案内はしてくださらなくてもかまいません(大丈夫です)。
・だんだんと稼げるようになりましたので、余計なお気遣いはかまいません(大丈夫です・無用です)。
構わない
「かまわない」という言葉・表現も先述の「かまいません」と同じ意味合いになり、さまざまな場面が想定された場合でもその文法や用法は同じになります。
・徒歩で通勤することになってもかまわない(大丈夫)。
・勉強量が多くてもかまわない(大丈夫)。
・ポシェットを持参しなくてもかまわない(大丈夫)。
「かまわない」という言葉は敬語表現ではないですが、この「かまわない」という表現はビジネス上のやり取りでも多く聞かれており、相手に「大丈夫」と伝える際でもいろいろな場面で使うことができるという特典が付いてきます。
結構です
「結構です」という言葉もビジネス上のやり取りで使われる言葉として見られますが、この「結構」という言葉の意味は根本的に「それでよいです・よくまとめられた状態であること」を指して言うため、状況・場合によっては「もういいです」と言う場合と「それでかまいません」という2種類の返答に聞こえてしまうため注意が必要です。
・花瓶を置く位置はその辺りで結構です(かまいません)。
・新聞の押し売りは結構です(もういいです・やめてください)。
・結構なお点前で(よくまとまった状態で)。
上記の例のように、「結構・結構です」と言う場合には「OK」と「よくない」の2つの意味合いが認められるため、確実に「Yes・NO」と言う場合は「結構です」は使わない方がよいでしょう。
問題ございません
一般的にビジネス上のやり取りで使われる「大丈夫」の代わりの言葉としてあげられるのがこの「問題ございません」となるでしょう。「問題ございません」という言葉はまずきちんと「ございません」という言葉によって敬語表現が含まれており、さらに「問題ないこと」をしっかり伝えることができているため、敬語表現としてはどの場面でも通用します。
・その件に関しましては問題ございません(大丈夫です)。
・企業プランにつきましては、資金援助の件においてその金額でも問題ございません(大丈夫です)。
・給食費を自力で賄うことには問題ございません(大丈夫です)。
よろしくお願いいたします
この場合の「よろしくお願いいたします」という言葉の意味は、相手との間で特定のやり取りがなされた上で「それで大丈夫です」、「(相手の取り決めを見た上で)その方法でどうぞよろしくお願いいたします」という意味合いになります。
・高校進学の件につきましては、ぜひその方法でよろしくお願いいたします。
・先日にお渡しするはずでした原稿です。どうぞよろしくお願いいたします。
・娘のことをどうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございます
「ありがとうございます」という言葉も「大丈夫」という表現とともに多くの場面で使われる表現となります。基本的には「大丈夫です、ありがとうございます」という形で使われますが、この場合でもさまざまな場面を想定しながら学習する姿勢が重要です。
もちろん「ありがとうございます」という言葉に「大丈夫です」という意味合いも込められています。
・お陰で助かりました。もう大丈夫です、ありがとうございます。
・荷物が見つかりました、大丈夫です。ありがとうございます。
・本当にありがとうございます。もう大丈夫です。
このように、「ありがとうございます」と「大丈夫」という言葉は「同じ意味合い・用法」を持ち合わせながらに「二重の謝意を伝える姿勢」を持ち合わせます。そのため聞き手にとってもさらに深い謝意になります。
日常用語だからこそしっかり把握しましょう
「よろしくお願いいたします」や「どうもありがとうございます」などの、日常において頻繁に使う言葉を覚える際には、それらの言葉をもう一度「再確認する形で見つめ直すこと」が大切です。
「よろしく」というのは「誰かによくしてもらうこと」を期待した言葉であり、また「ありがとうございます」というのは漢字表記に直すと「有難う」となり、「普段ではあまりないことをしてくれた、そのことに対する感謝」という気持ちの姿勢で相手に謝意が伝えられます。
承知いたしました
「承知いたしました」という言葉も「大丈夫」という言葉と併用して使われる場合が多いです。たとえば「大丈夫」という表現のうちに「承知しました」という話者の気持ちが込められてあり、その承諾・了解を得る上で「大丈夫です」と伝えられる場合があります。
この「承知いたしました」というのは聞き手によって言われる返答にあるため、何かを相手に言われた後で、その言われた内容についての承知という形になります。
・「先日にお伝えしていました事業企画の件ですが、いかがでしょうか。」「承知いたしております。その件につきましては採用となりました。」
・「先日の約束どおり、二人で伺ってもかまいませんか。」「その件につきましては承知いたしております(大丈夫です)。」
このように、返答で「承知」という言葉が「大丈夫・了解」の形で相手に伝えられます。
かしこまりました
「かしこまりました」という言葉も「承知いたしております」と同じく、相手に対する「大丈夫・了解」の意味合いを持つ表現となります。この場合も返答で伝えられる場合がほとんどです。
・「ホテル予約をしたいのですが。」「かしこまりました(大丈夫です)」
・メールをお送りさせていただきたいのですが。」「かしこまりました。それではこのアドレスにお送り下さいませ。」
差し支えございません
「差し支えございません」という言葉も先述の「かしこまりました」などと同じく、「大丈夫・了承」を相手に伝えるための、会話の応答での表現となります。
・「ここで喫煙してもいいですか。」「どうぞ、差し支えございません。」
・「この書店では立ち読みしてもかまいませんか。」「ええ、差し支えございません。」
・「近日中に、二人でオフィスの方へお伺いさせていただいてもよろしいでしょうか。」「差し支えございません。ぜひ、お越しください。」
シーン別「大丈夫」の敬語での使い方
シーン別「大丈夫」の敬語での使い方についてですが、これは特にビジネス上のやり取りで使われる一般的な「了承を伝えるときのマナー」についてのご紹介となります。会社に従事している際に「大丈夫です」と言えるのは、これはある程度の信頼関係を持った相手との間だけです。それ以外は必ず別の言葉に置き換える必要があります。
・差し支えございません
・問題ございません
・ぜひ、よろしくお願いいたします
・誠にありがとうございます
・誠に感謝申し上げます
これらの言葉が一般的に「了承・大丈夫」と言う代わりに使われますが、ここでの注意点「結構です」という言葉の使い方についてです。「結構です」という言葉は先述のように、「よいです・要りません・駄目です」という曖昧な返答を相手に与えます。そのため、はっきりとした「了承の言葉」を投げ掛ける必要があります。
接客で使うべき敬語表現
接客をする際でも多くの場面で「大丈夫」という言葉が使われています。ただしこの場合でも、状況に合わせて「大丈夫」の意味合いを持つ他の言葉に置き換えての表現がよく見られます。
・「これも買えますか。」「ええ大丈夫です、どうぞ。」(コンビニなど)
・「ここは喫煙OKですか。」「ええかまいません(大丈夫です)。」(レストラン)
・「ここで予約券を購入したいのですが大丈夫ですか。」「かしこまりました(大丈夫です)。それではこちらの申し込み用紙へのご記入をお願いします。」
上記の例のように、接客の場合では店の種類によって使うべき言葉を置き換える工夫が必要です。
就活で使用するべき敬語表現
就職活動時では「大丈夫」という意味合いの言葉を「就活生側」と「企業側」とが使う場合が多く見られます。このように話者の立場によって「大丈夫です」という言葉も置き換えて表現しなければならない場合もあるため、常に状況や場面への配慮をしておきましょう。
・この度の合同説明会に出席させていただく場合は、筆記具だけを持参する形でよいのでしょうか(大丈夫でしょうか)。
・合同説明会は一応就職活動の一環ですので、それなりのマナーに適した服装でよろしくお願いいたします。(マナーに適した服装であれば大丈夫です)。
・自己アピール欄への記入内容がない場合は、空白のままでかまいません(大丈夫です)。
特に就職活動時では「正しい敬語をどれだけ場面に応じて使い分けられるか」が採用・不採用のポイントとなるため、日頃から「状況・場面に応じた的確な敬語表現」を心掛けるようにしましょう。
「大丈夫」の敬語での使い方
さまざまな場面を想定した「大丈夫」という言葉の使用法についてご紹介してきましたが、そもそもビジネス上のやり取りで使われる「大丈夫」という言葉の場合はすべて「敬語表現」に置き換える形で「大丈夫」という旨が相手に伝えられます。この「大丈夫」の敬語表現の種類も、しっかり事前に把握しておきましょう。
・かしこまりました
・かまいません
・了承いたしました
・よろしくお願いいたします
・感謝申し上げます
一般的に広く「大丈夫」の代わりに使われる言葉としては上記の表現があげられますが、これは主に聞き手側による返答で使われる敬語表現であるため、たとえば就活生の場合であれば「自分がその状況で使うべき敬語の種類」を見極める形で把握する必要があります。
メールでの敬語
ビジネス上のやり取りで使われる電子メールでの「大丈夫」の使い方ですが、この場合でも先述しました「大丈夫」の代わりに使われる言葉と置き換える形でかまいません。特に文面上の連絡のやり取りというのは「相手側にいつまでも残る形」となるため、きちんとした敬語表現を使えるよう十分配慮しておきましょう。
・了承いたしました
・かまいません
・かしこまりました
・それでよろしくお願いいたします
・ぜひよろしくお願いいたします
・感謝いたします
・感謝申し上げます
・承諾いたしました
・了解させていただきます
上記のように、特にメールでは「正確に敬語が使い分けられてあるかどうか」が重点となるため、誰に対しても、いつどんな環境においても「認められる敬語表現」を使えるようにしておきましょう。
相手別「大丈夫」の敬語での使い方
相手別「大丈夫」の敬語での使い方についてですが、当然会話などで使われる敬語表現というのは「相手と話者との関係・立場」によって大きくその内容が変わります。「大丈夫です」と相手に伝える場合も、その話者と相手の関係性や立場によって「言葉・表現を置き換える必要」が出てくるため、言い換えの表現をしっかり学んでおきましょう。
この場合でも、特に相手が目上の人や初対面の人との接点であれば、先述でご紹介しました「大丈夫」の言い換えの言葉を使用してかまいません。
・大丈夫です
・かまいません
・OKです
・了承しました
・かしこまりました
・感謝申し上げます
・承諾させていただきます
・了解させていただきます
・ぜひよろしくお願いいたします
特にビジネス上のやり取りで使われる敬語では「正確な敬語表現」が求められるため、日頃からきちんと敬語表現と通常の表現を分けて学習しておきましょう。
お客様に対する敬語
接客や取引先の相手がお客様・顧客などの場合であれば、「大丈夫です」という表現も自ずと変わってきます。この場合はまず「相手に対して失礼のない表現」を心掛ける上で、できるだけ最上級の敬語表現を使うことが必要となるでしょう。
・かしこまりました
・受領させていただいております
・承っております
・賜っております
・仰せつかっております
・感謝申し上げます
・感謝いたします
・ぜひよろしくお願いいたします
・よろしくお願い申し上げます
接客の場合でも必ず「敬語をもって相手に伝える」ということが大切で、正確な敬語表現を事前にできるようにしておきましょう。
「大丈夫」の英語表記と意味
「大丈夫」という言葉を英語に直す場合、それぞれの英単語の敬語の意味合いや用法に配慮した上で以下のようにピックアップされます。
・all right(大丈夫、間違いない)
・acknowledgment(了承、承諾、大丈夫)
・understanding(理解、了承、大丈夫)
・approval(賛同、了承、大丈夫)
・recognition(認めること、認可、許可、大丈夫)
・consent(認知、承認、大丈夫)
・authorization(認定、大丈夫)
・confession(自白、認可、認証、大丈夫)
・admission(許可、自認、大丈夫)
・I am OK(大丈夫、心配ない)
・it’s okay(大丈夫、問題ない)
・awareness(認知、了承、大丈夫)
・letter of thanks(受領認可、礼状、大丈夫)
「大丈夫」の英語表現と意味(1)
先でご紹介しました「大丈夫」の英語表記を参考にして、「大丈夫」の意味合いを含めた英語の例文をいくつかご紹介します。
・When attending the upcoming joint company briefing session, is it okay to attend by clothes?
「今度の合同企業説明会に出席する際には、私服で出席しても大丈夫ですか。」
・Is it okay for a hotel to bring a dog here?
「ここのホテルは犬を連れて入っても大丈夫ですか。」
・Especially, when there is no description content it is okay to leave it blank.
「特に記載内容がない場合は空白のままでも大丈夫です。」
「大丈夫」の英語表現と意味(2)
先述しました「大丈夫」の英語表現に引き続き、さらに具体的な「大丈夫」の例文をご紹介します。
・He has been doing elementary particle research already for 15 years. Therefore, the results of the next paper on “elementary particle theory” will be okay as “step towards new development”.
「彼は素粒子研究をすでに15年間を費やして継続しています。そのため、「素粒子理論」についての次回の論文の成果は「新しい発展へのステップ」と見て大丈夫でしょう。」
・If memory is correct, that way is fine.
「記憶が正しければ、その方法で大丈夫です。」
「大丈夫」の英語表現と意味(3)
先述の具体的な「大丈夫」の英語表現に引き続き、今度はいろいろな場面で使われる「大丈夫」の例文をご紹介します。
・The word “I am OK” needs to be selectively used according to the scene, so whenever you use it in a business scene, be sure to select words that can be “not rude to your opponent”.
「「大丈夫です」という言葉は場面によって使い分けられることが必要で、ビジネスシーンで使用する場合は必ず「相手に失礼がない応対」ができる言葉選びをしましょう。」
・When saying “It’s okay”, you should be careful in using the word “fine.”
「「大丈夫です」と言う場合、「結構です」という言葉の使用には注意すべきです。」
「大丈夫」の正確な意味と用法を覚えましょう
いかがでしたか。今回は「大丈夫」の敬語での例文・使い方|接客/構いません/相手別と題して、「大丈夫」の敬語での例文・使い方についての詳細情報のご紹介をはじめ、さまざまな場面で扱われる「大丈夫」のいろいろな用例についてご紹介しました。
「大丈夫」という言葉はいくらでも解釈を持つことができる、非常に広い分野・場面で使われる日常的な表現となります。そのため、特にビジネス上のやり取りで使われる敬語表現として使い分ける際には、場面や状況に合わせる形で「的確な敬語表現」として駆使する必要があります。
英語では敬語表現を識別する方法が日本語の場合よりも曖昧なため、その文脈・背景をしっかり把握した上で「適切な挨拶表現」を使いこなせるようにしましょう。