「図らずも」の例文・使い方・言い換え・計らずもとの違い|敬語

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「図らずも」の意味と使い方

「図らずも」という言葉の意味は「不意に、想定外にも、思いがけないことではあるが」などの「本来の予定から大きく外れた状態にあること」を指します。

・コンピューター設計は、図らずも失敗に終わった。
・飛行機は図らずも乱気流に遭遇した。
・図らずも受験に失敗した。

このように、「自分の予定とは違った経過や結果に遭遇した場合」に使われる言葉となるため、「図らずも」という言葉の後には「何らかの異変」が伝えられる場合が多いでしょう。

不意に

先述のように「図らずも」という言葉の主な意味合いには「不意に」という意味的側面がとても強くあります。「不意」という言葉の意味も「思いがけないこと・想定外のことが起きること」を指します。

・図らずも(不意に)彼に出会ってしまった。
・図らずも(不意に)定期券を落としてしまいました。
・図らずも(不意に)余計なプランを立ててしまった。

このように、ふっと考え付いたことを指して言う場合や、先述のように「自分の本来の予定からは大きく外れた経過・結果に見舞われた場合」に使う言葉として認められます。

想定外にも

「図らずも」という言葉には先述の「不意に」の意味と同じく「想定外にも○○」という、これも「本来の目的から見てまったく違う経過・結果になってしまった場合」に使われる言葉として認められます。

・図らずも余計な(想定外の)プランを立ててしまった。
・図らずも彼に出会ってしまった(想定外にも彼に出会ってしまった)。
・図らずも受験に失敗してしまった(想定外にも受験に失敗してしまった)。

期待しなかったできごと

「図らずも」という言葉の基本的な意味合いには「期待しなかったできごとが起きた場合」や「期待しなかった事変やプランに出遭ったしまったこと」を相手に伝える言葉として認められます。

この「期待しなかったできごと」というのは一般的に「起きてほしくないできごと」のことを指す場合が多く、先述のように「何らかの異変に出遭い、その異変が自分や周りの人にとってよくないこと」をそのまま指すことになります。

「図る」の意味

「図る」という言葉の意味はまず「心の中に特定の目的・目標を立て、そちらの方へ心を傾かせていくことや対処法を考えること」を指します。さらに「特定のことを意図的に企画する・企てる・計画すること」を指すため、「何かを計画する」という意味合いに取られる場合も多くあります。

上記を踏まえた上で、「図らずも」という言葉の基本的な意味合いは「計画どおりにいかなかったこと」や「目的や目標とは別の物事に出遭ってしまったこと・目的を達成できなかったこと」を表現する言葉として認められます。

「図らずも」の例文

日本語をはじめ各国の言葉を学習する際には、まず「実践的にその言葉を使って覚える・学習する」という方法が最もベターでしょう。実際に「覚えるべき言葉を書いて覚える・使って覚える」ということを反復し、それによって「1つの言葉を自分の言葉として使えるようになる」という基礎的な実力が身に付きます。

図らずもがな

「図らずもがな」という言葉はあまり聞き慣れない言葉・表現でしょうか。「言わずもがな」という言葉あり、この「言わずもがな」の意味は「言うまでもなく」という意味になります。この「言わずもがな」は多くの場面で使われている言葉であるため、こちらの方が知っている人が多いことでしょう。

・図らずもがな、そんな計画は必ず失敗に終わるでしょう。
・図らずもがな、そのような経過をたどるべきではない。
・その頃の受験勉強の方法は、図らずもがな、まったく役に立たない方法でした。

上記の例のように、「図らずもがな」の意味は「言わずもがな」の場合と同じように、「図るまでもなく・計画するまでもなく・計算されるまでもなく」などの意味合いとなるため、「初めから失敗する・意外な展開を迎える」という意味になります。

図らずも遠からず

「当たらずとも遠からず」という言葉がありますが、この「図らずも遠からず」の意味もこの「当たらずとも遠からず」の場合と同じく、「思いきり外れてはいないが、正解でもない」というような意味合いになります。

・その計画方法は、プランAを完遂する場合には、図らずも遠からずと言ったところです。
・さらに効率を上げたい場合を考慮すれば、その計画の立て方は図らずも遠からずでしょう。
・あなたの想像は、図らずも遠からず、彼が実際に出遭った経過と類似しています。

このように「図らずも遠からず」の意味は「確実に当たってはいないが、それでもまるっきり違った想定ではない」ということを示します。

期せずして図らずも

「期せずして図らずも」の意味についてですが、まず「期せずして」の意味は「期待せずままに」という意味合いになり、「期待はしていなかったのに○○になった」という結果をそのまま伝えます。「図らずも」の意味合いは先述のとおりですので、「期待はしていなかったけれども、想定外のことが起きた」という意味になります。

・彼と出会ったことは、期せずして図らずも、と言ったところでした。
・そのような幸運に巡り合えたことは、期せずして図らずも、と言ったところでした。
・期せずして図らずも、そのコンピューターはまた再稼働してくれたのだ。

「期せずして図らずも」の意味はまず2種類あり、1つ目は「期待しなかったし、想定もしなかったことが起きた」と言う場合、2つ目は「期待できなかったことが、想定外にも起きた(嬉しいことが起きた)」というような意味合いです。

「計らずも」との違い

「図らずも」という言葉と「計(はか)らずも」という言葉は、同じ意味合いになります。両方とも「不意に、想定外にも、思いがけず」などの意味になり、先述しましたように「本来考えていたこと(想定していたこと)とは違ったできごとと出会う」という意味合いになります。

ただし「計らずも」の方は「計算して」というニュアンスが含まれてくるため、「図らずも」の意味合いよりもさらに「計算はずれ・予定が狂った」という意味合いを強く持つようになります。

「図らずも」の場合はある程度の予測は付いている

先述の続きとなりますが、「図らずも」の意味合いには「ある程度の予測が付いた中で、想定外のことが起こる」といった意味的ニュアンスを持つ場合があります。これは「図る」という言葉の基本的な意味合いに配慮する必要がありますが、「図る」の意味合いにはまず「心の中でいろいろな想定を企てる」という根本的な意味的側面があります。

つまり、「いろいろな予定や想定をあらかじめしておいた中で、それらの想定の選択肢のうちの最も理想的な目的から外れた」という意味合いが強まり、その上で「図らずも」という言葉が使用される場合が見られます。

「図らずも」の使い方

先述しましたように、「覚えるべき言葉」というのは実際に例文などで使って覚えていくという「実践的な学習方法」が最も身に付きます。自分でもさまざまな場面を想定した例文を用意しておき、その中で「覚えるべき言葉」を実際に使ってその用法を覚えてみましょう。

・図らずも、彼の学習方法はかなりの成果をあげてくれた。
・彼女が書いた論文は、図らずも、科学分野の功績とはならなかった。
・彼らが提唱し続けていた宣伝は、その国にとって図らずも予想外の国益を生んだ。

敬語

「図らずも」の敬語表現についてですが、まず「図らずも」という言葉そのものに敬語表現はありません。「図らずも」という言葉を使用した文語・口語(会話表現)のうちで、「図らずも」の意味合いを補足するような別の敬語表現をもって、相手にその敬意が伝えられる場合が多いでしょう。

・誠に想定外のことでしたが(図らずも)、このような事態になってしまいました。
・予期せぬできごとが(図らずも)出来してしまいました。
・図らずも、皆さんにとって利益となり、非常に嬉しい限りでございます。

「図らずも」と「計らずも・図らずしも」の違い

先述で「図らずも」と「計らずも」の意味合いの違いについてご紹介しましたが、今度は「図らずも」と「図らずしも」の意味的な違いについてご紹介します。「図らずしも」という言葉の基本的な意味は「必ず想定外ということでもない」ということを指します。

・今からでは挽回はきついけれども、図らずしも、その計画が必ず失敗するというわけではない。
・絶対に失敗すると思っていましたが、図らずしも、我々は成功を見たのです。
・常識的にはそのようなことはまず起こることはないだろうが、図らずしも、常識というのは覆ることがある

「図らずも」の言い換え

これは「図らずも」の類義語のご紹介となりますが、1つの言葉を覚える際にはこのように「類義語・対義語などの関連語を一緒に覚える」ということが大切です。そうすることによって、その1つの言葉を多角的に学習することができるようになります。

想定外/思いがけず/たまさか(稀に)/計らずも/予想だにしない/予想を超えた/ついつい/条理を越えて/予定外にも/不意に/偶然にも/たまたま/思わず/逆行して

上記の言葉がまず並びますが、どの言葉の意味合いにも「予定していたこととは違った経過や結果を迎えること」という状況説明が含まれます。

偶然

「偶然」という言葉の意味もこの「図らずも」の基本的な意味合いに含まれ、「初めに想定・想像もしなかったできごとに偶然出会う」と言った意味合いになります。

しかし、「偶然○○に遭う」という根本的な意味には「まったく予想だにしなかったできごとに遭遇する」という意味的側面が含まれるため、「あらかじめ想定していたことと違ったできごとを迎える/想定していたいつかの選択肢の中から、理想的な経過や結果以外のできごとと遭遇する」という意味合いを持つ「図らずも」とは少し違う場合もあります。

はしなくも

「はしなくも(端なくも)」という言葉の意味は「図らずも、ふと○○に巡り合う」という状況を指し、「図らずも」と非常に近い意味合いの言葉となります。

・はしなくも(図らずも)、わたしは文受賞を逃してしまいました。
・はしなくも(図らずも)、彼らの抗議デモは無残な結果に終わりました。
・はしなくも(図らずも)、彼女は恋愛において幸運に巡り合えました。

ゆくりなくも

「ゆくりなくも」という言葉の基本的な意味合いは「思いがけずに○○する、不意に○○と巡り合う」という状況を指すため、この言葉も「図らずも」とほぼ同じ意味合いになります。

・ゆくりなくも、彼らと出会えて幸運に巡り合えました。
・ゆくりなくも、わたしは○○大学の受験に合格できました。
・ゆくりなくも、彼女と一緒に行った遊園地の風景を思い出していました。

「図らずも」の対義語

先述の「図らずも」の類義語からの延長でその対義語のご紹介となりますが、類義語を覚えた後にはこの対義語もぜひ覚えておきましょう。

想定内/察しが付く/理想どおり/予定内/見当が付いた/推量できる/推測できる/想像された/目算どおりに/仮定したように/憶測どおりの/推し量ったとおりの/考察されたように

上記の言葉が並びますが、どの言葉の意味合いにも「あらかじめ想定したできごととして受容できる状況・場合」という意味的側面が含まれます。

「図らずも」の読み方

日本語には造語や当て字という「いろいろな読み方が付された言葉」がありますが、1つ1つの言葉を覚える際にはその言葉の正確な読み方をしっかりマスターするようにしましょう。この「図らずも」という言葉の読み方は「はからずも」となり、とりわけ造語・当て字による別の読み方はありません。

「図らずも」の英語表記と意味

「図らずも」という言葉を英語に直すと、それぞれの英単語の意味合いや用法に配慮する上で、以下のようにピックアップされます。

・as a matter of course(自然に、図らずも、想定外に)
・as a matter of fact(事実とは違い、図らずも)
・unexpectedly(想定外にも、意外と、図らずも)
・suddenly(突然に、急に、図らずも)
・unawares(気付かないうちに、いつのまにか、偶然、図らずも)
・accidentally(偶然にも、たまさかにも、図らずも)
・casually(偶然に、ひょっこり、図らずも)
・out of expectation(予想外にも、図らずも)
・incidentally(意外と、想定外にも、図らずも)
・by chance(偶然に、図らずも)
・without notice(無断で、図らずも、自然に)

「図らずも」の英語表現と意味(1)

先でご紹介しました「図らずも」の英語表記を参考にして、「図らずも」の意味合いを含めた英語の例文をいくつかご紹介します。

・As a matter of fact, they sprained each other on the spot.
「図らずも、彼らはその場で意気投合しました。」
・Unexpectedly, the computer was able to figure out the image of the culprit.
「図らずも、そのコンピューターは犯人像を割り出すことができました。」
・Out of expectation, I was able to pass Doshisha University.
「図らずも、わたしは同志社大学に合格することができました。」

「図らずも」の英語表現と意味(2)

先述しました「図らずも」の英語表現に引き続き、さらに具体的な「図らずも」の例文をご紹介します。

・Surprisingly, the demonstration protests that they had advocated brought enormous national interests to the country.
「図らずも、彼らが提唱し続けていた抗議デモは、その国にとっての膨大な国益をもたらしました。」
・Although it was an unexpected incident, the continuous incident that was expected to be a difficult problem proceeded to resolve within three days.
「図らずも、その難解と予想された連続事件は3日以内に解決への途を歩みました。」

「図らずも」の英語表現と意味(3)

先述の具体的な「図らずも」の英語表現に引き続き、今度はいろいろな場面で使われる「図らずも」の例文をご紹介します。

・The word “unawares” is somewhat different from the meaning of “coincidence”, it may refer to what was supposed in advance.
「「図らずも」という言葉は「偶然」という意味とは少し違い、あらかじめ想定されていた内容を指す場合があります。」
・The word “casually” is used in many fields together with words such as “unexpected” and “surprisingly”.
「図らずも」という言葉は「想定外」や「意外にも」などの言葉と多くの分野で併用されます。」

「図らずも」の正確な用法を覚えましょう

いかがでしたか。今回は「図らずも」の例文・使い方・言い換え・計らずもとの違い|敬語と題して、「図らずも」の例文・使い方・言い換えについての詳細情報のご紹介をはじめ、いろいろな場面で使われている「図らずも」の用例についてご紹介しました。

「図らずも」という言葉は非常に多くの分野で使われている言葉であり、その基本的な意味合いは「意外にも」や「想定外ではあるが」などの「初めに考えていた計画や予想から外れた経過や結果を迎えた場合」に使われる言葉として認められます。

日本語を覚える際には、その「覚えるべき言葉」の関連語もワンセットで学習することが非常に大切で、そうすることによってその言葉を多角的に理解でき、さまざまな場面で活用することができるようになるでしょう。

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