「こちらこそ」の例文・敬語・類語|丁寧語/ありがとう/よろしく

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「こちらこそ」は必ず耳にする!

みなさんは、「こちらこそ」という言葉を耳にしたことはありますか。おそらく一度は会話や文章で登場してくる言葉です。目上の人だけでなく、一般的に友人や家族との会話でも使われやすいです。比較的にシンプルな使い方ですし、意味も難しいわけではないので、気軽に使用することができて便利な言葉です。

今回は、この「こちらこそ」という言葉の使い方や例文をご紹介します。また類語もいくつか紹介するのでぜひ参考にしてください。

「こちらこそ」はどこで耳にする?

「こちらこそ」という言葉は、フォーマルなシーンや目上の人に対して使うだけでなく、友人や同僚など気心のしれた人同士の会話でも頻出する表現です。「こちら」という言い方が丁寧なので、同級生などとの会話では「こっち」という言い方も使われます。一般的には「こちらこそ」で一つの表現として用いられます。

特に、「ありがとう」と感謝を述べられたときに「どういたしまして」ではなく、「こちらこそ」といったことはありませんか。このように「こちらこそ~」と後に何かを続けることで、さまざまな場面で使うことができる表現です。誰でも一回は使ったことがあるものです。

「こちらこそ」の意味とは?

ここでは「こちらこそ」という言葉の意味について説明します。「こちらこそ」は「こちら」と「こそ」に分けることができますが、それらの意味を組み合わせたものという単純なものではありません。「こちらこそ」という言葉は気軽に用いられますが、詳細に言葉の分析をしてみると面白いです。

「こちら」というのは

「こちらこそ」の厳格な意味というものはありませんが、言葉から連想することはできます。「こちら」という言葉は、自分や自分の集団を指す一人称の代名詞です。「こちらの方では」「こっちだよ」などと使われる「こちら・こっち」と同じ意味です。

「こそ」というのは

「こそ」は、あるものを特に強調する助詞です。ある特定のものを強く指し示すときに使われ、「今回こそ」「あなたこそ」などという使われ方がします。「こちらこそ」で、自分や自分の集団を特に強調する言葉となります。まとめると、「こちらこそ」という表現は、自分の気持ちの方が相手よりもずっと大きいという気持ちを表すことができるものです。

ニュアンスや雰囲気を簡単にまとめると

さきほど「こちら」と「こそ」を単純に足した意味で使われているわけではないことを説明しました。そのままの意味では「特に私のほう」という意味になり、そのままの意味で理解するには少し難しいです。ポイントは「こそ」にあります。

「こそ」はさきほど説明したとおり、強調を表します。「こちら」を強調しているので、「私」や「私たち」、「こちら側」を強く指し示します。

つまり「そちら」よりも「こちら」の方に重きを置いている表現ということです。感謝を伝える時も、相手から感謝されたときに付け加えて「いえいえ、こちらのほうこそとっても助かりました。ありがとう。」という意味を伝えることができます。

「こちらこそ」はどのように使う?

さきほど説明したように、「こちらこそ」という言葉は比較的難しくなく、気軽に会話に盛り込めることができます。加えて上司や先輩などの目上の人に対するものだけでなく、同僚や後輩などにも使うことが可能です。年齢関係なく、「こちらこそ」という言葉が頻繁に登場します。

今回は、実際に「こちらこそ」という言葉がどのように使われるか紹介します。例文をいくつかご紹介するので、ぜひ参考にしてください。すぐに実用できるような例文です。

「こちらこそ」ありがとう

「こちらこそ」という言葉を使う上で、最も頻繁に使われる表現が「こちらこそありがとう」です。

相手が自分に感謝を述べた際に、「いえいえ、私の方こそいろいろしてもらってありがたいです」という気持ちを伝えるときに「こちらこそありがとう」という表現を使います。相手の感謝に加えて、こちらの感謝も述べるときに「こちらこそ」をよく付け加えます。

この表現は目上の人だけでなく、友達同士でも使うことが多いでしょう。例えば、「昨日は愚痴を聞いてもらってありがとう」と友達からメールが来た際、「こちらこそ私の話も聞いてくれてありがとう」といった使われ方があります。世間話やラフな友達とのメールでも「こちらこそ」は使うことができます。

「こちらこそ」よろしくお願いします

さきほど説明した「こちらこそありがとう」と同様に使われる表現で、「こちらこそよろしくお願いします」という言葉があります。

「こちらこそよろしくお願いします」という表現も、相手の内容に付随して「私の方こそ、お世話になります。よろしくお願いします。」という意味合いで使われるものです。相手から先によろしくお願いしますと言われた後から、「こちらこそ」と付け加えます。

ただよろしくお願いしますというよりも、「こちらこそ」をつけることによって「私の方こそ」と強調されるため、より敬意を相手に伝えることが可能です。友達同士でも「こちらこそぜひ仲良くしてね」といった使われ方もよくされます。

「はじめまして」にも使うことができる?

「こちらこそはじめまして」という表現を聞いたことがありますか。特にビジネスメールやフォーマルな堅苦しいメールではたまに用いられる表現です。相手からのメールで「はじめまして」と送られて来た際、その相手は自分にとっても「はじめまして」の相手であるので、「こちらこそはじめまして」という表現をします。

しかし、「はじめまして」同士にはあまりふさわしくない言葉です。「こちらこそ」はお礼や今後の関係を良好に保つために使われることが多いので、初めて会う相手に「こちらこそ」というのは少し違和感があります。間違いではないので使いたい場合は良いですが、おすすめはできません。

「こちらこそ」お世話になります

「お世話になります」という言葉に「こちらこそ」を付け加えることで、「こちらこそよろしくお願いします」と似たようなニュアンスになります。例えば、取引先の人と対面した際に「これからお世話になります。よろしくお願いします。」と言われた場合に、「いえいえ、こちらこそ」という方が多いです。

相手から言われたことに対して、こちらも同じ気持ちを持っているならば「こちらこそ」という表現を付け加えるのが自然です。「あなたもそう思っているんだ」と相手に伝えることができます。

「こちらこそ」すみません

「こちらこそ」という表現は、「すみません」「申し訳ありません」といった謝罪の表現にも付け加えて使用することができます。友達同士で喧嘩してお互いが相手に不快な思いをさせてしまった場合、相手から「ごめん」と謝られて「こちらこそごめん」と使うのが主流です。「あなただけが悪いわけじゃないよ。私も悪かったよ。」という意味を相手に伝えることができます。

100%相手が悪い場合は、「こちらこそすみません」と言う必要はありません。逆に今後の関係性をぎくしゃくさせないためにもとりあえず「こちらこそすみません」と頭を下げる人はいます。特にビジネスシーンではそのような場面が多いです。

「こちらこそ」+ネガティブ表現

前述した「こちらこそすみません」と似ていますが、「こちらこそ」の後に続く言葉がネガティブな表現の場合はどうでしょうか。「こちらこそ」+ネガティブ表現は「こちらこそすみません」のような謝罪以外に使われることはほぼありません。あったとしても、非常に違和感のある表現です。

例えば、友達と喧嘩した際に「お前なんか嫌いだ」と言われ、自分も「こっちだって嫌いだよ」ということがあります。しかし、「こっちこそ嫌い」という言い方はしません。「こそ」というのは、どちらかというとポジティブな表現と組み合わせた方が自然です。「こちらこそ面倒くさい」「こちらこそ嫌だ」「こちらこそ眠い」のような使い方はしません。

「こちらこそ」+ポジティブ表現

「こちらこそありがとう」の使い方を紹介しましたが、「こちらこそ」+ポジティブ表現は基本的に組み合わせやすいです。「こちらこそ」の後に良い感情を表す「嬉しい」「ありがとう」「楽しい」といったものと組み合わせることが多いです。比較的相手の前向きな感情に対して、こちら側の同じ感情を伝えるために付け加えるのが「こちらこそ」です。

「こちらこそ」と必ず言うべき?

いろいろな場面がありますが、いつでも「こちらこそ」といえばよいというものではありません。

相手の気持ちよりも私の気持ちの方が大きいということを表しているので、向こうが感謝していることに対して必ず「こちらこそ」と言わなければならないルールはありません。また、相手が100%悪いことをして謝罪したきた場合、自分は何も悪くないのに「こちらこそ」というのは違います。

私の方があなたよりその気持ちが大きい

大切なことは、感謝や謝罪などを含め「相手が持つ感情比べたときに自分の方が大きい」ということを伝えるときに「こちらこそ」を使うということです。こちら側に重点をおいた表現なので、あくまで「自分の方が」というニュアンスを伝えるための言葉です。

逆に言えば、円滑な人間関係を形成したい場合は「こちらこそよろしくお願いします」「こちらこそありがとうございます」と添えることで、相手には良い印象を与えることができます。重要な場面などでは「こちらこそお世話になります」などというべきです。

「こちらこそ」の敬語表現はあるのか

結論から言いますと、「こちらこそ」という言葉そのものの敬語表現はありません。しかし、より丁寧な言い方と組み合わせて使うことで相手への敬意を伝えることができます。目上の人との会話の場合、「いえいえ、こちらこそ」だけで済ませるよりは「こちらこそ~です」「こちらこそ~お願いします」といった表現と組み合わせることが大事です。

丁寧語と組み合わせる!

「こちらこそ」の敬語表現として一般的に使用されるのが、「こちらこそ~です」のような丁寧語を後に続ける言葉です。「こちらこそ」で文を止めてしまうよりも、後に丁寧な表現を続けることで投げやりな感じがなくなります。「こちらこそ何?」と思われないよう、単独で用いるのはやめましょう。

友達同士でも使おう!

友達同士や仲の良い人との間でも使うことができます。「こちらこそ愚痴を聞いてくれてありがとね」「私の方こそ感謝してるよ」などと、相手の感謝に加えて「私だってそう思っているよ」という気持ちを伝えることができます。「こちらこそ」という言葉そのものが丁寧な言い方というわけではないので、あえて友達だからといって「こっちこそ」と言わなければならないわけではありません。

親しき中にも礼儀ありというように、「こちらこそ」と一言添えるだけでも相手に感謝の気持ちが伝わります。「どういたしまして」ということもありますが、相手から感謝されるようなことをしただけでなく、同時に自分も何か助けられた場合は「こちらこそ」がより適しています。

「こちらこそ」を単独で使うのは失礼?

友達同士の会話ならば大丈夫ですが、目上の人との場合を想像してください。例えば、取引先の人から「よろしくお願いします」と言われた際に、「こちらこそ」で止めた場合、相手からどう思われるかはすぐにわかります。「こちらこそよろしくお願いします」としっかり続けた方がよいでしょう。

「こちらこそ」の似た表現はこれ!

よく用いられる「こちらこそ」という言葉ですが、実は似たような言葉がいくつかあります。例えば、「私の方こそ」「当方こそ」のように「こちら」という言い方にバリエーションがあります。友達同士での会話ならば、「むしろこっちが感謝してるよ」といった「むしろこっち」という表現も「こちらこそ」と似たような意味で使われます。

強調の「こそ」は言い換えられる?

「こそ」が強調を表しているので、「むしろ」という同じく強く自分自身を指し示す言葉に言い換えることができます。しかし、目上の人に対しては「むしろこちらが感謝しております」というよりは、「わたくしの方こそ感謝しております」の方が自然です。

「こそ」は強調と言いましたが、実際は「言いさして強める」という意味なので、こちら側に重点を置いている表現が正確です。「あなたよりも私の方が」という比較のようなニュアンスも含んでいます。

実際に言い換えを使ってみると…

言い換えを例文で使ってみると、「私の方こそお世話になっております」「むしろこちらの方が感謝しております」のようになります。「こちらこそ」に続ける場合は「こちらこそありがとうござます」とするのが普通ですが、「むしろこちらがありがとう」とは言わないです。

言い換えの表現はさまざまありますが、後に続ける言葉や言葉の組み合わせ方もさまざまです。一つの言い方だけにとらわれず、その言葉に適した使い方をするのが良いでしょう。

言い換えの表現を用いることは多いの?

実際に「こちらこそ」の言い換え表現が使われることは少ないです。「こちらこそ」で一つの言葉として成り立っているので、この言葉を異なった言い方で使われることはそう多くありません。この表現が主流なので、基本的にはこの「こちらこそ」という言葉一つ覚えているだけで大丈夫でしょう。

「こちらこそ」の使い方をマスターしよう

「こちらこそ」という表現は年齢問わず、誰に対しても使うことのできる便利な言葉です。難しい使い方や用法もないので、相手の感謝などに対してこちら側の感謝などを伝えるときに「こちらこそ」と付け加えることで、自分の気持ちが自然と伝わります。自分自身を強く示すので、相手よりも私の方が気持ちが大きいということも伝わります。

かしこまった場だけではなく、友達同士の会話やもやり取りでも頻繁に登場する「こちらこそ」ですが、この記事を参考に使い方を覚えてください。意識していないだけで、実は自分自身もよく使っていることに気づきます。

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