「かたじけない」への返事の仕方・語源・類語・使い方|敬語

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「かたじけない」への返事の仕方

現代語ではないのですが、武士言葉で「かたじけない」と言う言い方があります。日常で使うことはほとんどありませんが、時々外国の方や親しい人同士でおどけて使うことがあるくらいです。

もし、「かたじけない」と言われた時は何と返したら良いのでしょう。とっさに「かたじけない」言われたら、返事は「どういたしまして」や「気にしないでください」でしょうか。

武士言葉であれば、親しい人には「お気にめさるな」が最適な言葉と言えます。目上の方から言われることは今の時代ではありえませんが、「お気になさらないでください」など丁寧語や敬語で返事を返すと良いでしょう。

相手の役に立てたことを喜ぶ返事の仕方

「かたじけない」と相手に言われた時、その時の状況にもよりますが何か相手のために行ったのであれば、「お役に立てて嬉しいです」とか「喜んで頂き良かったです」などの返事の仕方があります。

「かたじけない」の語源

武士言葉として定着している、「かたじけない」の言葉に定説はないと言うのが一般的な解釈です。「かたじけない」の言葉の語源としては、諸説がいくつか存在しています。

「醜貌なし」や「難し気なし」または「勝じ気甚し」などが語源と言われていて数々の変容があって「かたじけない」に落ち着きました。本来の使い方としては、「自分自身が恥ずかしい」と言う意味で使われていたと言われています。

「かたじけない」の意味

「かたじけない」の言葉の語源が、諸説あるので意味もそれぞれ違ってきます。「かたじけない」を、漢字で書く時「忝」と「辱」の両方を適材適所で使っいます。

「かたじけない」は文語から見たら、改まった丁寧語との位置付けになります。二つの漢字はそれぞれに意味が違っていて、使う場面に応じて二つの漢字を使い分けています。「忝」と「辱」それぞれの漢字を用いた時の意味はどのように違うのでしょうか。

「かたじけない」を「忝」の漢字を使って現わす時は、感謝を表すときに用いる漢字で訓読みでははずかし(める)とも読みます。ちなみに音読みでは、テンと読み元々は天を書き下に心を書いていた漢字です。

現代ではあまり使うことがありませんが、ビジネスの世界では今でも使われていますが漢字で書くことはなく平仮名での表記が一般的です。

「かたじけない」を漢字の「辱」を使って現わす時の意味は、恥ずかしい気持ちを現わしていると言われていて何か失敗をしたり謝らなければいけない時に「辱」の漢字を使用していました。

「かたじけない」にこの漢字を使うのは、自分の容姿が醜いことを恥じて使ったと言う説があるためです。実際にはどの説が本当の、語源であるかはハッキリしていません。

「かたじけない」はいつ頃から使っているの

現代語では使うこともなくなってしまった、「かたじけない」の言葉はいつ頃から日本で使われていたのでしょうか。日本最古の物語と言われている「竹取物語」に、「かたじけない」の言葉がすでに書かれています。

「竹取物語」は室町末期には物語として確立されていましたから、「かたじけない」の言葉は室町末期には使われていたことになります。ずいぶん古くから日本では使用されていたことになります。

「かたじけない」に「でござる」は付くのか

ドラマや映画の時代劇などでは、「かたじけない」と言う言葉に「ござる」を付けて使っています。しかし、実際に「ござる」を付けて使っていた言葉なのでしょうか。

室町時代から「かたじけない」は使われていて、正確には「かたじけないでござる」と使っていました。日本人は「かたじけない」の後に、「でござる」を付けて普通の会話として室町時代から使っていたことになります。

「かたじけないでござる」の否定語として使う時は、上方では「ござない」と付けます江戸では「ござらぬ」を使用していました。

「かたじけない」の類語

「かたじけない」の言葉にも類語が数多くあります。それぞれの類語にはどんな言葉があるのでしょう。「かたじけない」の言葉と、現代でも使われている類語にはそれぞれ共通する意味があります。

「かたじけない」の意味と同じお礼の気持を伝える時や、申し訳ないと謝る時などに使われている言葉です。

施しに対しての類語

「かたじけない」の類語として「ありがたい」と言う言葉があります。「かたじけない」と言う言葉の意味には施しを受けた時に、相手に対して感謝する気持ちを伝える時に使います。

「かたじけない」はたくさんの意味を含んだ言葉として、色々な場面で使えますそのため「かたじけない」は日本人の持つ曖昧さを現わしているとも言えます。

恩に着る

「恩に着る」と言うこの言葉は、古くから使われていて現代でも使われている言葉です。「かたじけない」の感謝を伝える時の意味と同じで、相手からの恩に対してお礼として使われています。

「恩に着る」と同じ類語には、「ありがとうございます」「感謝します」「多謝」などの類語があります。相手から受けた行動などへの感謝の伝え方ですが、気持ちが入るのは「かたじけない」ではないでしょうか。

もったいない

「もったいない」は、やはり「かたじけない」の感謝やありがたいの気持ちと身に余る行為や物にたいして自分には充分過ぎることに対して使います。恐縮してしまう時などの意味で使われていました。

しかし、現代で使う使い方ではまだまだ使える物に対しての、「無駄なく使う」ことと同じ意味として使われていることが多く、昔とは少し二アンスが違っています。

「面目ない」は「かたじけない」類語か?

「面目ない」と言う言葉は、現代ではあまり使われることが普通にはありません。「かたじけない」の意味からすると、「面目ない」は少し意味合いが違い相手に対して合わせる顔がないと言う意味で何か失礼なことをしてしまった時などに使われる言葉です。

「かたじけない」と「面目ない」の言葉は、多くの人が同じ類語と勘違いしやすく同じ意味と考えていますが違います。

面目ないの語源

「かたじけない」と同意語と間違えられる、「面目ない」の語源や由来を見ると「面目ない」の読み方が二つあります。読み方によって意味も由来も変わっていて、どちらも正しい読み方でどちらも間違いではありません。

基本的には自分の体面や名誉が傷ついたり、他の人の対面や名誉を傷付けてしまい合わせる顔がない時に「面目ない」と言います。「かたじけない」と少し似ているところは、恥を知るところでしょうか恥をかくような場面にどちらの言葉も使います。

面目ない(めんぼくないの)意味

「面目ない」を「めんぼくない」と読んだ時の意味が、一般的に「面目ない」多くの人が認識している意味合いです。自分の体面を潰された時や潰された時、またはあいての体面を潰してしまった時に「面目ない」を使います。

面目ない(めんもくない)の意味

「面目ない」を「めんもくない」と読んだ時の意味ですが、「面目ない」は仏教用語からきている言葉です。人として生かされている本来の姿のあり方やありようを現わしている言葉と言われています。

「かたじけない」を英語では

外国の人にとって漢字は神秘的で、武士言葉にも憧れを持つ人が多くいます。ですがさすがに英語には、「かたじけない」をそのまま翻訳できる単語がありません。

武士言葉は若者の間でも以外に人気があり、一番気になり言葉として「かたじけない」がランクインしています。ストレートな英語の単語が無いので、言葉の背景を含めて説明する必要がありますずいぶん長い文になってしまいます。

「かたじけない」の使い方

現代では使われることがほとんどない、「かたじけない」と言う言葉ですが実際に使われていた時はどのような場面で使われていたのでしょうか。「かたじけない」はどちらかと言うと、丁寧語ですが武士の間では敬語として使われることもありました。

「かたじけない」と言う言葉を、まったく使わないかと言えばまた違います。年配の方が改まった場や、手紙などで書かれたりしていますから良き伝統として残っていくと考えられています。

敬語

明治時代までは「かたじけない」の、後に付く言葉に応じて敬語として使われていました。「かたじけなくぞんずる」や「~存じます」などは、上位の人に対して下位の者が使っていました。それぞれの身分に応じた使い方があり、江戸庶民であれば「かたじけねぇ」などの言い回しになります。

時代と共に「かたじけない」の使い方も、丁寧語や敬語として使われたりさまざまに変わってきました。現代でもサラリーマンの間では、お礼や謝罪の意味で使われています。

シーン別「かたじけない」と使い方

古くから使われていた言葉ですが、現代では日常的に「かたじけない」を使うはなくなりました。「かたじけない」は複数の意味を含んだ言葉です。「かたじけない」の文言を各シーン別だとどう使えばいいのでしょう。

謝る

「かたじけない」の言葉の中で「謝る」と言う感情は、ちょっと複雑な心の動きを現わしています。人が誰に対して謝る時でも、「かたじけない」の言葉の中には、許しを得られた時の感謝の気持ちとなおかつ謝る感情を一緒に相手に伝えることができる、万能の言葉として使います。

この「かたじけない」の謝るの部分では、申し訳ないと言う相手への気持ちを伝える時に感謝の気持ちと一緒に一言で表わせる便利な言葉と言えます。

「ありがたく申し訳ない」の意味もあり、ただ単に謝るだけで使うわけではありません。

ありがとう

「かたじけない」は、感謝やお礼の気持ちを素直に相手に伝える時に使います。「かたじけない」と言う言葉は、「感謝にたえないありがたい」と言う感情を表している言葉で「ありがとう」では現わしきれない気持ちを一言で言えるのが「かたじけない」の言葉です。

「かたじけない」と同じ様な意味合いの言葉で「ありがたき幸せ」と言う言葉もありますがこの言葉も現代ではあまり使われていません。「ありがたき幸せ」は、ちょっと恥ずかしいキザな言い方になるので敬遠されがちです。

恥ずかしさ

「かたじけない」を使う時に「恥ずかしながら」と、一言言葉を付けて「かたじけない」と会話することがあります。恥ずかしさを含んで使う時は、感謝の気持ちに近い形で多く使われます。

昔の人特に武士は、恥を極端に嫌う傾向にありますからできるだけ周りに迷惑を掛けずに身を律していました。何かことが起きた後は「かたじけない」と言う言葉で、恥ずかしい気持ちに加えて感謝の気持ちも一緒に相手に伝えていました。

恐縮してしまう

「かたじけない」の言葉を使う時の一つに、「恐縮しています」とか「恐縮します」などの感情から使ったりします。相手から受けた身に余る親切や行動に対して、申し訳ないと言う気持ちと感謝の気持ちを一言で現わす言葉として「かたじけない」は最適な言葉でもあります。

恐縮していますはどちらかと言うと、目上の人から受けた恩などに対して自分を卑下してお礼を言う言葉です。同じ立場や年下の人の人に対しては「とんでもない」の言葉を使います。ただ、「とんでもございません」と付けたら丁寧語として目上の人に対しても使われています。

「恐縮しています」と同じ意味の言葉

「かたじけない」の言葉の意味の中に、「恐縮しています」と言う意味があります。また、「恐縮しています」と同じ意味を持つ言葉として他には「もったいない」「汗顔の至り」や「赤面の至り」「お恥ずかしい」などがあります。

「もったいない」や「お恥ずかしい」は、使いやすいので現代でも使われています。「恐縮しています」は目上の人に対しては使いますが同年代や年下の人に対しては使いづらい面があります。

また、「汗顔の至り」や「赤面の至り」も「かたじけない」と同じで日常的に使うことはなく、使っても言われた相手がそう返事をしたら良いのか困ってしまう言葉です。

恐れ多い

「かたじけない」の言い方には「恐れ多い」ことと言う、感情も含まれていて目上の人から受けた恩や行動に対して恐れ多いと言う気持ちを「かたじけない」と言う言葉に付けて使います。

目上の人や位の高い人から受けた恩を、自分にはもったいないと言う気持ちに対して「恐れ多いことながらかたじけない」と使います。

現代ではなかなか、「恐れ多い」と言う言葉を使う場面はほとんどの人には無縁の言葉です。

「かたじけない」は時代劇の中の言葉

「かたじけない」と言う言葉を日頃から使う事がなくなり、時代劇のドラマや映画の世界でしか聞く事ができなくなりました。限られた環境では今でも使われていますが、あたりまえのことですが普段耳にする機会はありません。

「かたじけない」と言う言葉には、現代の日本人がよく使う「すみません」の意味と共通しています。「かたじけない」と「すみません」共に、数多くの意味を含んだ万能の言葉です。

「かたじけない」は時代劇の中での言葉ですが、現代でも言葉を換えて同じ意味合いの言葉を使っています。「かたじけない」は、外国の方にはなかなか説明しにくい言葉ですがとても使い勝手が良い言葉でもあります。

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