「存じております」の意味と使い方・例文・敬語表現|メール

ビジネススキル

日本語は実践的に覚えること

日本語を学習する際の理想的な姿勢についてですが、まず日本語には数多くの形容表現があり、そのうちでも品詞の使い方、形容詞の見分け方、主語と動詞の文法的な関係性、慣用句、造語、俗語表現など、他にもいろいろと「言葉を実際に使っていって覚えるべき内容」が多くあります。

これらの文法的な決まりを学習する場合には必ず「自分でその言葉の意味合い・表現を使って学習すること」が大切で、その上で、例文や会話で言葉の意味や用法を使い分けることを学ぶ必要があります。

「存じております」の意味と使い方

さて、「存じております」の意味と使い方についてですが、この「存じております」という言葉は日常生活でビジネスシーンを含め、非常に多くの場面で使用される柔軟な敬語表現と言えます。「存じております」の意味は基本的に「知っていること・思うこと」を言います。

それでも「非常に改まった場面で使われる言葉」として認められているため、この言葉を使う場面はあらかじめきちんと見分けておくことが大切となるでしょう。日常生活でもこの「存じております」が使われる場面は「目上の人・尊敬する人に対する場合」と限られます。

・その件につきましては存じております。
・先日に承っておりました件は、それ以前に存じております。
・この度は非常にありがたく存じております。

このように、特定の事情について謝意を述べる際や、目上の人に対して敬意を伝える際に使用されます。

メール

ビジネス上のやり取りなどで、電子メールや電話の応対においても「存じております」という言葉は非常に多く使われます。その場面は先述と同じく、まず目上の人に対する場合で、「特定の件について知っていること」を伝える場合に使われます。

・この度ご紹介していただきましたビジネスプランにつきましては存じております。
・ご連絡をくださり、誠にありがたく存じております。
・このようにした方がよいかと存じております。

先述でもご紹介しましたが、「存じる」という言葉の意味には「知ること」と「思うこと」の2種類の意味合いが含まれるため、あらかじめ「知っています」と「自分はこう思います」と言う2つの意思表明をしっかり分けて使うことが大切です。

電話

先でも触れましたように、「存じております」という言葉はメールだけではなく電話での応対でもよく使われています。この場合も先述の「存じております」の意味合い・用法と同じく「知っています」と「思います」の2種類の意思表明をはっきり示す形での使用が重要になります。

・会社設立の件につきましては存じております。
・今回ご連絡いただきました件につきましては、以前にわたしども存じております。
・それでしたら、○○さんにご連絡差し上げるのがよいかと存じます。

会社

会社で使われる言葉というのは基本的に敬語表現となるため、この「存じております」という謙譲語と丁寧語のミックスした敬語表現も普通に使われることになります。特に会社で使う場合の「存じております」という表現では、文章表記の場合と口語表現(会話言葉)との2種類に分けられることがあります。

会話表現でも文語表現でも基本的に「存じております」の意味や文法は変わりませんが、特に場面において正確に用法(言い方)を使い分けることが重要です。

「存じております」は「思う」

先述しましたように、「存じております」という言葉の意味には「思う・思います」という意味合いが強く含まれるため、「○○と存じます・存じております」という表現をする場合、その相手によっては「わたしはこう思う・思います」と言われている印象が強く残る場合があります。

・AプランよりもBプランを採用する方がよいかと存じております。
・経済利潤をプラスにするためには、商業規模の拡大が重要かと存じております。
・今年の受験科目では、現代国語は外しておいてよいかと存じております。

このように、「存じております」という言い方一つで「話者の思惑が十分相手に伝わる」という形容がうかがえるため、場合・状況によっては「存じております」の使い分けをしっかり弁えておくことが大切です。

「存じております」は「知る」

先述の続きとなりますが、「存じております」の意味は基本的に「知る・知っている」ということを相手に伝える意味合い・用法があり、こちらの方は単純に「ああ、そのことは知っています(以前に知っていました)」という気持ちを相手に伝える姿勢となります。

・引き出物の件につきましてはすでに存じております。
・給料カットの件につきましては以前から存じております。
・論文作成が必須であることは存じております。

このように、「存じております」という表現が現在進行形で言われることによって「そのことは以前に知っていました」という旨を直接的に相手に伝える姿勢になります。

「存じております」は主にビジネス用語

先でもご紹介しましたが「存じております」という表現は主にビジネス用語として使われることが多く、基本的には「知っています・○○と思っています」という意志を伝えるために使われます。

さまざまな場面で情報交換が行われる際にいろいろな意見の取り交わしがあり、その際に「相手と自分の考えや意見の受け答え」を示し合う場合でもこの「存じております」という言葉は普通に使われます。

日常生活でも目上の人や尊敬する人に対して「こう思います・それについては知っています」と言う場合には「存じております」という場合があり、この場合でもビジネス用語として使われる「存じております」の意味合い・用法と同じ形で使われます。

ビジネス用語では「思います」より「存じます」

ビジネス用語として使われる「存じております」という表現方法についてですが、これは「○○だと思います」と言うよりも、ビジネスシーンでは相応しい表現方法とされるために「思う」よりも「存じる」という言葉が使用されています。

特に「思う」とだけ言う場合には「自分はこう思います」という主観的な意味合いが強くなってしまうため、この点において「存じております」という表現の場合は「知っています」というニュアンスも含まれることとなり、主観的な意志主張を抑えることができます。

「存じております」の例文

先述でもご紹介しましたように、日本語に限らず世界各国の言葉を覚える場合でも「実践的に言語・言葉を学習する」という姿勢を踏まえ、例文や会話などを利用して「覚えるべき言葉の意味合い・用法」を実際に使って覚えること・学習することが大切です。

・その件については存じておりますが、もう少し待ってみてもよいでしょうか。
・卒業アルバムに彼の名前が書かれてあることは存じております。
・彼女の論文の序論の内容は存じております。

他にもいろいろと「存じております」の表現法はありますが、「存じる」、「存じます」、「存じております」、「存じ上げます」、「存じ上げています」、「存じて上げております」などと、「存じております」の他にも状況によっていろいろな使い分けが見られます。

存じますが

「存じますが」という表現は言葉どおりに「その件については知っていますが」という表現に加えてその後に「ですが○○です・○○ではないでしょうか」などと、疑問形の表現が付いてくる場合が多く見られます。この場合は「思いますが」という表現に近くなるでしょう。

・その件はもう解決したように存じますが、まだ何か問題があるのですか。
・彼の姉はニューヨークにお住いのことと存じますが、今は日本に来られているのですか。
・インドに行くよりもイギリスに行った方が、イギリス文化を勉強する際には適切とは存じますが。

存じておりますが

「存じておりますが」という言葉は先述してきました「存じております」の継続的な表現であるため、そのまま「存じております」の意味合い・用法を踏まえた上で、さらに文脈を続けていく際の表現となります。主にその後の文脈では逆接の意味合いを含むセンテンスが続きます。

・その件につきましては存じておりますが、それでも彼を引き渡すことはできません。
・○○事件への解決策は存じておりますが、しかし今後の犯罪防止のためにはもう少し環境整備を徹底する必要があるようです。
・彼女のことは存じておりますが、しかしそれほど旧知の仲というわけではありません。

存じておりますでしょうか

「存じておりますでしょうか」というのは文字どおりに疑問形の表現となるため、主に相手に「○○を知っていますか」という意志表示をする際に使われます。

・東京オリンピックを存じておりますでしょうか。
・今後の会社の経営方針を存じておりますでしょうか。
・彼らの信念としているものを存じておりますでしょうか。

いただければと存じます

「いただければと存じます」という表現は基本的に「相手への依頼(こうしてほしい)」という主張をそのまま伝える姿勢となるため、「○○してくれませんか」という表現を上級の敬語表現で示す場合に用いられます。この場合の「存じます」の意味は主に「思います」となります。

・土曜日にご連絡をいただければと存じます。
・図書館の中ではできればもう少しお静かにしていただければと存じます。
・電車ではお年寄りに席をお譲り願えれば(お譲りいただければ)と存じます。

「存じ上げております・思っております」の違い

「存じ上げております・思っております」の違いについてですが、これは先述でも少し触れましたように、「知っています」という基本的な意味合いと、「こう思います」といった主観的な意志表示との違いに相違が見受けられます。

特にビジネスシーンで使われる「存じます・存じております」の場合では、主観的な意志表示を連続するのは避けられたく、飽くまでも客観的な見解を示す場合がかなり多くなります。

その場合に、「思っております」と言うのはその話者の主観的な意志表示となるため、「存じております」と表現することによってその主観的な態度がまず緩和され、単に「思っております・思っています」という言い方よりも敬語表現として相応しい表現として「存じております・存じ上げております」という言い方が勧められます。

「存じております」の類語・言い換え方法

「存じております」の類義語についてのご紹介ですが、これは「思います・知っています」という意味合いを持つ言葉を調べることになります。特に「存じております」という言葉は敬語表現であるため、丁寧語や尊敬語で「思います・知っています」という言い方も含まれるでしょう。

知っています/知っております/思います/思っております/ご存知です/聞かされました/了承しております/承知しております/わかっております/承諾しております/了解です/承っております/賜っております

これらの言葉がまずあげられますが、どの言葉の意味合いにも「○○の件についてはすでに知っている」や「わたしはこう思います」といった内容が含まれます。

「存じております」の敬語表現

日本語には多くの言葉の表現方法がありますが、その中でも敬語表現は特にビジネスシーンや公式の場面・改まった場面などで頻繁に使われる表現であるため、あらかじめしっかり覚えておくことが大切です。

そのいろいろな表現法の覚え方を工夫する際には、やはり「実践的に覚えること」を踏まえた上で、それぞれの日本語の表現を基礎からしっかり学んでおくことが大切です。

丁寧語

丁寧語というのは一般的に「です・ます調」で語尾を締めくくる「丁寧な言葉遣いによる当たり障りのない敬語表現」として認められます。「存じております」という言葉もその語尾に「ます」が含まれるため、そのまま「存じております」と言うだけでこの丁寧語表現として認められます。

尊敬語

尊敬語というのは「目上の人に対して話者が一方的に敬意を示して言われる敬語表現」となるため、これは主にビジネスシーンで扱われることが非常に多くなります。特に「相手の言動に敬意を払って言われる表現方法」が目立つため、自分の言動について尊敬語表現を使うことはありません。

・○○様はその件につきまして、存じ上げておられるようでした。
・彼は彼女のことをおそらく存じておられるように思います。
・その件につきまして、あなたが存じておられることをぜひお話しください。

謙譲語

謙譲語というのは「話者と相手の立場や関係性を問わず、話者が自発的に自分の姿勢をへりくだらせて相手に敬意を払う」という姿勢がまずあり、「自分の立場を相手よりも低めて示す敬語表現」として多くの場面で使われています。丁寧語の次に多く使われる敬語表現となるでしょうか。

・その件につきましては、わたくしども存じ上げております。
・資料の内容につきましては○○様よりお聞きいたしまして存じております。
・試験内容につきましては、兼ねてより○○様からご報告をお受けいたしておりましたので存じております。

このように、「存じております」という表現を普通の文脈によって使うだけで、謙譲語表現による「存じております」の表現は可能となります。

「存じております」の英語表記と意味

「存じております」を英語に直す場合、それぞれの英単語の意味合いや用法に配慮した上で以下のようにピックアップされます。

・I know(知っている、思う、存じております)
・We know(承っております、存じております)
・know(知る、思う、存じる)
・think about(について考える、存じております)
・consider(熟考する、考える、存じております)
・have a view(についての観点を持つ、知る、存じております)
・regard(考える、存じております)
・imagine(想像する、知っている、存じております)
・hit upon(思い付く、考える、知る、存じております)
・be struck with an idea(思い付く、知識を蓄える、存じております)
・suppose(提案する、知る、存じております)
・be aware of(に気付く、存じております)
・feel(想像する、感じる、存じております)

「存じております」の英語表現と意味(1)

先でご紹介しました「存じております」の英語表記を参考にして、「存じております」の意味合いを含めた英語の例文をいくつかご紹介します。

・I know that they stayed in that country.
「彼らがその国に滞在していたことは存じております。」
・They are aware of the fact that she was overstaying in that country.
「彼女がその国でオーバーステイしていた事実について彼らは存じております。」
・I know that Doshisha University’s English exam is difficult.
「同志社大学の英語の試験がむずかしいことは存じております。」

「存じております」の英語表現と意味(2)

先述しました「存じております」の英語表現に引き続き、さらに具体的な「存じております」の例文をご紹介します。

・I understand that it is quite serious now that asking him questions about the matter by force.
「彼にその件について無理強いして質問することは、やはり現在ではかなり深刻な事態を招くことは存じております。」
・I have long believed that “sharing culture with other countries” is a noble ritual in their country.
「彼らの国では「他国との文化を共有すること」が崇高な儀式であると、わたしは以前から存じております。」

「存じております」の英語表現と意味(3)

先述の具体的な「存じております」の英語表現に引き続き、今度はいろいろな場面で使われる「存じております」の例文をご紹介します。

・The word “I am sure” includes two kinds of claims, “knowing” and “thinking”.
「「存じております」という言葉は「知っていること」と「思うこと」の2種類の主張が含まれています。」
・When using words as business terms, we prefer objective argument that “I am sure” rather than “I think”.
「ビジネス用語として言葉を使う際には、「思います」という言葉よりも「存じております」という客観的な主張の方が好まれます。」

「存じております」の正確な用法を覚えましょう

いかがでしたか。今回は「存じております」の意味と使い方・例文・敬語表現|メールと題して、「存じております」の意味と使い方・例文・敬語表現についての詳細情報を中心にご紹介し、いろいろな場面で使われる「存じております」の用例についてご紹介しました。

「存じております」という言葉は基本的に「知っていること」と「思うこと」という2種類の意味合いを含めた用法を持ち合わせます。そのため、場合・状況によって「知っています」と言う場合と「思います」と言う場合とをあらかじめ分けて把握しておき、適切な表現方法をしっかり身に付けておくことが大切です。

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