「お陰様で」の使い方・例文・類語・語源|敬語/相手別/楽しい

ビジネススキル

「お陰様で」の意味は?

「お陰様で○○です」「お陰様で○○ができました」などのように、「お陰様で」という言葉は普段から何かと耳にします。ではこの単語は一体どのような意味を持っているのか、ご存知でしょうか。

「お陰様で」は、「おかげ」に丁寧を表す「様」をつけた敬語の一種です。「おかげ」の意味が、他人の助けや応援、力添えによって受ける恩恵を指しています。「あなたのおかげで○○ができました」「○○になれたのは先生のおかげです」のように、プラスの出来事に対して使われます。

「お陰様で」も同様に、他人の助けや力添え、応援、協力などをしてもらった際に受けた恩恵に対して感謝の意を述べる場合によく用いられる表現です。実際には恩恵を受けていなかったとしても、相手に感謝の意を述べる際に使える大変便利な言葉なので、覚えておきましょう。

「お陰様で」の語源は?

「お陰様で」とは、相手の助力で受けた恩恵に対する感謝の気持ちを表す際に使われますが、この言葉の語源は一体何なのでしょうか。

実は「お陰様で」の「陰」の部分には、元々は「神様や仏様(偉大なもの)の陰」という意味があり、「神様、仏様の陰で庇護を受ける、恩恵に与る」ということから、現在使われている「他人の助力で恩恵を受ける」の意味になっています。

「お陰様で」を使うシーン!

人の助力や援助、協力をしてもらって受けた恩恵が「お陰様で」と説明しました。

実際に「お陰様で」を使うシーンとは、相手に手助けしてもらった時に感謝の気持ちを述べる場合に使われます。「あなたの助けがあったから成功しました」「あなたがあってこその今の私です」のように、プラスの出来事の場合に使いましょう。

感謝の気持ちを述べる時に!

前述したように、「あなたがいたから成功しました」「あなたの力添えがあったから助かりました」「あなたがいるから今の私があります」のように、人の手助け、援助、協力などをしてもらった際の感謝の気持ちを述べる場面で使いましょう。

たとえば、上司の手助けがあったからプロジェクトに成功した場合は「お陰様で、プロジェクトに成功しました」、取引先の協力があったからイベントが上手くいった場合は「お陰様で、イベント大盛況でした」のように、「あなたの助けがあったから○○できたよ。ありがとう」という感謝の気持ちを述べる場合に使われるのが「お陰様で」です。

「お陰様で」の間違った使い方!

前述したように、相手に手助けしてもらったことに対する感謝の意を表す際など、プラスの出来事に対して「お陰様で」を使いますが、マイナスの出来事に対しては「お陰様で」を用いないようにご注意ください。

たとえば、「上司のミスにより残業になってしまった」という場合に「お陰様で、残業になってしまいました」などとするのは嫌味な表現になってしまいます。このような表現をしてしまうと、相手からの印象がかなり悪くなる恐れがあります。なので、マイナスの出来事に関しては、「お陰様で」という表現はしないよう注意しましょう。

「お陰様です」という表現もNG!

「お陰様です」という表現も実は誤りです。「○○できたのは、あなたのおかげです」などのような表現がされることから「あなたのお陰様です」と言ってしまいたい気持ちになりますが、これは誤った表現ですのでご注意ください。

正しい使い方は、文頭に「お陰様で」を入れ、その後に文章が続く形です。文末に「お陰様です」という表現はしませんので覚えておいてください。

「お陰様で」の敬語での使い方は?

「お陰様で」の敬語表現についてご説明します。

「お陰様で」というのは、「おかげ」に丁寧を表す「様」が付いた表現になりますので、これも敬語表現の一種です。そして、「お陰様で○○できました」「お陰様で○○いたしました」のように、「お陰様で」を文頭に起き、その後に続く文章を敬語で表現すればOKです。

目上の人に対して使ってOK?

前述したように、「お陰様で」は敬語表現になりますので、これは目上の人に用いて大丈夫です。むしろ、目上の人には「おかげ」より敬語である「お陰様で」を用いるようにしましょう。

たとえば、「○○できたのは部長のおかげです」とストレートに言ってしまうと、なんだか不躾に感じてしまい、印象が悪くなる恐れがありますので、「お陰様で○○できました。部長には感謝しております」のように、「お陰様で」を用いた方がより丁寧で良い印象を受けます。

したがって、上司や取引先企業、お客さまなどの目上の人に対しては、「おかげ」ではなく「お陰様で」を用いるようにしてください。

目下の人にも使ってOK?

敬語のルールとして、目下(自分と同等)の人に対しては尊敬語や謙譲語を使うのは誤りです。これは、尊敬語は目上の人にしか使えず、謙譲語はへりくだった表現なので、目下(同等)の人にへりくだる必要はないためです。

ただ、「お陰様で」という言葉は尊敬語や謙譲語ではなく、丁寧語に当たりますので、部下や同僚であっても「お陰様で」と用いて何ら問題はありません。親しい間柄で「お陰様で」を用いるのは改まった表現で何だかしっくりこないという方もいるでしょう。そのような親しい間柄なら「おかげ」を用いても大丈夫です。

つまり、目上の人には「お陰様で」を使い、目下(同等)の人に対しては「お陰様」と「おかげ」のどちらでもOKです。目上の人への表現には注意しましょう。

「お陰様で」の使い方は?

これまで説明してきたように、「お陰様で」は相手の助力に対する感謝の意を述べる際に用いられる言葉ですので、プラスの出来事に対して使うようにしてください。間違ってもマイナスの出来事に対して使わないように気をつけましょう。

目上の人に対しては「お陰様で」で感謝の気持ちを述べ、目下(もしくは同等)の人に対しては「お陰様で」「おかげで」のどちらかを用いましょう。文法面での注意点は、文頭に「お陰様で」を置くことです。その後にはどのような内容に対して感謝を示したいのかを述べます。

ビジネスで使う場合!

「目上の人」とは、自分より年齢が上の人だけとは限りません。上司や取引先、お客さまなどが「目上の人」に当たります。また、「目下の人」や「同等の人」とは、部下や同僚、自分の身内などが当てはまります。

したがって、先輩や上司、取引先やお客さまには「お陰様で」を用い、部下や同僚、自分の身内には「お陰様で」と「おかげで」のどちらを用いても大丈夫です。ただ、自分の身内に対して「お陰様で」と使うのは少し変なので、身内に使う場合に関しては「おかげで」を用いるようにしましょう。

年賀状で使う場合!

年賀状においても「お陰様で」の使い方は同じです。相手の助力に対して感謝の意を述べたい場合に用いられる他、特に助力や相手からの恩恵は受けていないけど、漠然とした感謝の意を伝えたい場合に用いられます。

たとえば、「旧年中は大変お世話になりました。お陰様で○○の仕事を無事完遂することができました。課長のご助力があればこそです」のように、昨年の具体的なお礼を述べる際にも用いられますし、「旧年中はお世話になり、ありがとうございました。お陰様で、家族揃って無事新年を迎えることができました」のような漠然とした感謝の気持ちを述べる場合にも「お陰様で」が使われます。

「お陰様で新年を迎えることができました」は新年の挨拶として使いやすい一文ですので、ぜひ覚えておいてください。

相手別「お陰様で」の使い方!

相手によって「お陰様で」か「おかげ」かの使い分けをしましょう。ビジネスシーンにおいては、言葉の使い分けは重要です。

目上の人に対しては「お陰様で」、目下(同等)の人には「お陰様」か「おかげ」のどちらかを、親しい間柄の同僚(部下)や身内に対しては「おかげ」を用いるようにしてください。

目上の人には「お陰様で」を!

これまで説明してきたように、上司や先輩、取引先やお客さまなどの「目上の人」に対しては「お陰様で」を用いてください。目上の人に「おかげで」を使うのは不躾な印象を受けてしまいますので、丁寧な表現の「お陰様で」を用いましょう。

目下(同等)の人にはどちらでもOK!

部下や同僚などの目下(同等)の人に対しては、「お陰様で」と「おかげで」のどちらを用いても構いません。「お陰様で仕事が捗りました」と同僚や部下にお礼の気持ちを述べても良いですし、「○○くんのおかげで仕事が捗りました」としてもOKです。

親しい人や身内には「おかげで」!

身内や親しい人に対しては「おかげで」を用いるようにしましょう。

自分の家族(身内)に対して丁寧の「お陰様で」を用いるのはおかしな表現なので気をつけてください。また、同僚や部下であっても、プライベートでも仲が良い場合も「おかげで」を用いた方が無難です。このような親しい間柄の場合、かしこまって表現する方が返って相手からの印象を悪くすることもあるので、親しい間柄の同僚や部下に対しては「おかげで」を用いましょう。

「お陰様で」の例文!

「お陰様で」を用いた例文をご紹介します。

「お陰様で楽しい」

「あなたのお陰で楽しかった」という表現をしたい場合の例文をご紹介します。「あなたがいたから楽しかった」「あなたが来てくれたから楽しかった」「楽しい時間をありがとう」ということを述べる場合に使うことができます。

以下、例文です。

「お陰様で、楽しいひと時を過ごすことができました。またお越しいただければ幸いです」

「お陰様で、家族みな楽しい時間を過ごせました。お近くにお越しの際には、ぜひ我が家へお立ち寄りください」

「お陰様で、とても楽しかったです。またお会いできれば嬉しく思います」

「お陰様で元気になりました」

病気をして回復した時や、入院していたけど退院できた際などに「お陰様で元気になりました」と表現します。相手から具体的な助力があってもなくても、漠然とした感謝の気持ちを述べる場合にも使えるので、「心配をかけました」「心配してくれてありがとう」という意味で使えます。

以下、例文です。

「ご心配おかけいたしました。お陰様で、元気になりました。来週から仕事に復帰できそうです」

「お陰様ですっかり元気になりました。ご心配してくださり、誠にありがとうございます」

「ご心配とご迷惑をおかけし、申し訳ございませんでした。お陰様で元気になりました。明日から出社いたします」

「お陰様で」の類語は?

「お陰様で」の類語をご紹介します。「お陰様で」が「助力をいただいたことに対する恩恵」という意味がありますので、これと同じような意味を持つ単語が類語として挙げられます。

以下、「お陰様で」の類語を箇条書きにします。

・お力添えがあってこそ
・○○様の援助の元で
・後援
・ご支援
・お引き立て
・後ろ盾

「お陰様で」の言い換え表現は?

「お陰様で」と同じような意味を持つ単語と言い換えることができるので、前述した類語のような言葉に置き換えることが可能です。

たとえば、「部長に手伝ってもらえたから仕事が終わった」ということを述べたい場合、「お陰様で」を用いると「お陰様で仕事が完遂しました」となります。この「お陰様で」の部分を他の言葉に置き換えてみますと、「部長のお力添えがあってこそ」「部長の援助の元で」などと表現できます。

正しい敬語と言葉遣いを!

「お陰様で」とは、相手の助力に対して感謝を述べる場合に用いられる言葉なので、プラスの出来事に関して使うようにしましょう。

正しい敬語や言葉遣いは、人間関係を円滑にしてくれますので、普段から正しい敬語と言葉遣いを心がけるようにしてください。もし、敬語の使い方に不安を感じているなら、本を読むなり、上司に聞いてみるなりして、勉強して身につけていきましょう。

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