日本語の覚え方
日本語を学習する際にはまず「自分でその言葉を使って覚える」ということが大切で、言葉1つ1つの意味の使い方や表現のあり方に成れることが大切です。そうして言葉を使う反復練習によってだんだん言葉に慣れていき、たとえば例文や会話において言葉の使い方を実践的に覚えていくことが重要です。
実践的に学習することが大切
先述しましたように言葉はまず実践的に覚えることが大切で、その実践の練習には「例文を使って覚えること」と「会話でその言葉を使って慣れること」の2つの学習方法があります。どちらの練習方法も大切で、はじめに例文で覚えるべき言葉の意味・用法を把握した後で、実際に自分の言葉として会話表現で学習していくのも1つの方法となるでしょう。
その言葉を分析して覚えること
今回ご紹介する「再三」についても言えることですが、言葉を覚える際には「その言葉を組み立てている1つずつの文字・漢字が持つ意味合いや表現のあり方」をしっかり把握することが大切です。
たとえば「再三」の場合でも、「再」と「三」という2つの文字(漢字)から成り立っており、まずはこの「再」と「三」がどのような意味を成しているのかを考えることが始めてみましょう。
「再」というのは文字どおりに「再び」や「何度も」という言葉となり、「三」という言葉の意味合いには「まとまった数」や「無数に多い意味合い」などが背景として認められるため、つまり「再三」という言葉はこれらの2種類の意味合いを組み合わせて「何度も多く」といったような意味合いが認められます。
「再三」の意味と使い方
さて、「再三」という言葉の意味と使い方についてですが、「再三」という言葉の意味はまず「何度も・度々・無数に・数多くの」などと「何度も何度も」といった意味合いがあります。この「再三」という言葉はもともとは中国の四字熟語から得られたもので、その場合でも「二度、三度ではなく、さらに何度も」といった回数の多さを表しました。
・再三の連絡にも出ないとはどういうことですか。
・彼はなぜ、彼女からの再三の訴え掛けに応じないのでしょうか。
・あの日から、彼らは国に対して再三の主張を投げ掛けてきました。
このように、基本的に「再三」の意味・用法では「何度も何度も」といった回数を示す表現に使われ、「二度、三度」と言うよりもさらに多い回数(度合い)を示す言葉として認められます。
再三再四
「再三」という言葉は「再三再四(さいさんさいし)」という中国の四字熟語から取られた言葉であり、「再三再四」の意味も「二度、三度だけではなく、何度も何度も」といった回数・度合いの多さについて訴え掛ける表現に使われます。
この「再三」や「再三再四」に似た言葉として「再々」などの表現もありますが、「再び」という言葉の使用によって「もう一度、何度も」という「一度やったことを繰り返して行なう」といった動作がうかがえることにより、「一度や二度では利かない」というややマイナスイメージで使われる場合が多く見られます。
「三」が持つ意味
「三」という言葉は昔から特定の意味合いを持たされて使われることが多く、先述のように中国で編まれた四字熟語で使われているのをはじめ、仏教の経典やキリスト教の聖書の中でも「三」が持つ効果について得々と説かれている箇所が多く見られます。
「三」というのは「特定のまとまった数字」として扱われる場合が多く、また「二度あることは三度ある」の例えのように、「数がまとまって多いこと」を示す場合に使われています。
つまり「三」の意味には「無数・多い・まとまっている数字」といった完全数のイメージが付けられており、「三回」と言えば「何度も」の意味合いがそのまま付けられる場合も多くあります。
「再三再四」の意味と使い方
「再三再四」の根本的な意味合いには「何度も何度も」や「一度ならず」、「重ね重ね」といった「一度やっても駄目だったから何度でも繰り返す」という意味的側面が認められます。
・彼には再三再四言っても聞かないため、今後もずっと継続して注意していかなければいけません。
・彼らにはこれまで、論文の作成方法について再三再四教えてきました。
・再三再四の反復練習によって、どんな仕事でも成長していきます。
このように、「何度も何度も○○した」という意味合いを含め、「一度やっても足りないため、さらにもっと何度も○○する」という行動を重ねる意味合いが見受けられます。
「再三」の例文
さて、先述では「再三再四」についての例文をご紹介しましたが、この「再三再四」の意味合いとほぼ同じ意味合いを持つ「再三」の例文も合わせてここでご紹介します。
・再三のご連絡を差し上げましたのに、なぜ彼はお出にならないのでしょう。
・彼らは遊園地での遊び方について再三の注意を受けたにも関わらず、まだルールを無視しています。
・再三の注意にも関わらず、彼らの車の運転の仕方はまだ乱暴です。
・彼女は先生に習って、再三、論文作成の練習をしました。
再三にわたり
「再三にわたり」という言葉も先述の「再三」や「再三再四」でご紹介しました表現と同じ意味合いを持つ表現となります。基本的には「何度も何度も」、「幾度となく」などという繰り返しの意味合いになります。
・彼は彼女に再三にわたり電話を掛け続けました。
・A国はB国に対して、再三にわたり、平和協定の訴えを申し出ました。
・再三にわたって注意勧告をいたしましたが、彼女はまだ社会のルールを守っていません。
再三の忠告
「再三の忠告」というのも先述でご紹介しましたように、「何度も忠告すること」をそのまま指し、文意としては「何度も何度も忠告したけれども、一向に聞いてくれない」といったマイナスイメージにつながる表現や、単純に「何度も忠告・勧告した」という繰り返しの動作を表す言葉になります。
・先生は彼女に再三の忠告をしました。
・この広場でのマナーについて、市長は市民に対して再三の忠告をしました。
・A国はB国に対して、政治上の規則を守るように再三の忠告を促しました。
再三のお願い
「再三のお願い」という言葉の意味合いも「何度もお願いすること」をそのまま示す表現となるため、「特定の物事について誰かに何度も何度もお願いをした」という表現になります。
・彼は彼女に対して、もう少し穏やかに接してくれるよう再三のお願いをしました。
・周りの人たちは彼に、ゴミの日を守るよう再三のお願いをしましたが、彼はそれでも聞き入れていません。
・受験生から大学側に対して、受験環境の完備をしてくれるよう再三のお願い(要求)がありました。
再三のご連絡
先述でもご紹介しましたが、この「再三」という言葉が使われる例で多いのはこの「連絡する」という言葉との併用で、「何度も連絡しました」、「何度も連絡したのに」といった内容で特定の情景が表現されます。
・学校側から彼に再三の連絡がありましたが、彼は一度も電話に出ませんでした。
・事業プランの検討につきまして、先日、再三のご連絡を差し上げました。
・今週の土曜日に、彼女に再三のご連絡を差し上げましたが、まだ彼女から返信はきていないでしょうか。
「再三」の類義語
「再三」の類義語についてですが、「再三」の意味が「何度も」や「一度ではなく二度も三度も」といった「繰り返し○○した」ということを指すため、その類義語も「何度も」や「繰り返し○○する」という意味を持つ言葉を探せばOKです。
繰り返し/返す返す/重ね重ね/一度ならず/くれぐれも/度々/くどくど/しつこく/反復して/幾重にも/よくよく/執拗に/ちょくちょく/ちょいちょい/始終/終始/折り返し
これらの言葉が「再三」の類義語として並びますが、どの言葉の意味合いにも「特定の件について誰かに何度も何度も訴えた」という表現がうかがわれます。
「再三」の敬語
「再三」の敬語表現についてですが、「再三」の意味合いにある「何度も」の意味を含めた言葉をもって、場面に見合わせた敬語表現が使われるのが一般的です。特に敬語表現において「再三」という言葉が使われることはほとんどなく、基本的には言い換えの表現が取られます。
・折り返し(再三)お電話差し上げましたが
・くれぐれも(再三)ご注意ください。
・重ね重ね(再三)、誠に感謝申し上げます。
「再三」という言葉をそのまま敬語表現に言い換えることはなく、必ず別の言葉をもって敬語表現が伝えられます。
「三」が付くいろいろな言葉
先でも少し触れましたが、「三」という言葉はいわゆる「完全数」を表す「無数」や「まとまった数」という意味合いを持ち合わせています。この「三」が持つ独特の言葉としての働きを活用し、たくさんの日本語の使用においても「三」が付けられた言葉はうかがわれます。
三種の神器
三種の神器というのは、日本神話の時代から語り継がれてきた非常に古い言葉であり、天孫降臨の折りに「瓊瓊杵尊が天照大神から授けられたという鏡・玉・剣」のことを指して「三種の神器」と呼称します。
この「鏡・玉・剣」が初期の三種の神器であったことから変遷していき、時代が進むにつれて昭和初期においては「電気冷蔵庫・電気洗濯機・テレビ」を三種の神器と呼び、さらに新三種の神器としては「カラーテレビ・クーラー・自家用車」が選ばれました。
これらの神器というのは「神の器」として見られるとおりに「尊い器物」として扱われ、その器物を三つ持っていれば「防御は完全・ステータスとしても完璧」とした「完全数」としての「三」が扱われることがうかがわれます。
三位一体
三位一体というのは一般的に「キリスト教における教義で、「父・子(キリスト)・聖霊(聖神)」を指して言い、これらの「三つの存在をもって完全な一体」とする見解が認められます。
つまり、父というのは神様のことを指し、子というのは神様の子どもとして生まれたイエスキリストを指し、そして聖霊というのは神様から生まれる「聖なる霊」のことを指しており、それらはどれも切り離すことができず、常に「三つが一緒にある状態」として完全である「三位一体」の理が認められます。
三拝一礼
「三拝一礼」という言葉は基本的にお寺参りの際に使われる仏教用語(あるいは神道用語)として認められ、単純に言えば「お寺・神社に祭られている三つの神にお参りをすれば、それで一つの完全なお参り(一礼)となること」をそのまま言い表した言葉になります。
一般的には、天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)、高御産巣日神(たかみむすびのかみ)、神産巣日神(かみむすびのかみ)を三神として認め、その三神にお参りすることで完全な神々への崇拝が成就するという形になります。
三三九度
「三三九度」というのはいわゆる結婚式に使われる「杯の飲み方・交わし方」を指し、三つで一組になる杯を使用して、その杯ごとに三度ずつに分けてお酒を呑むことを指します。
これは神式独特の儀式として古くから日本に伝承された作法としてあり、このようにしてお酒を呑むことによって「婚前の儀式が完成する」とした、日本古来の儀式として認められます。「九度」というのは、上記の作法によって「三度ずつお酒を呑み干せば、すべての回数を足して九度になる」ことからそう呼ばれます。
「再三」の英語表記と意味
「再三」という言葉を英語に直す場合、それぞれの英単語の意味合いや用法に配慮した上で以下のようにピックアップされます。
・repeatedly(何度も、再三)
・many times(何度も、数多く、再三)
・repetition(繰り返し、再三、何度も)
・reverse(反復、繰り返し、再三)
・overlapping(重複、何度も、再三)
・duplication(数多、幾度も、再三)
・redundancy(繰り返し、重複、再三)
・complaint(折り返し、繰り返し、再三)
・flap(繰り返し、折り返し、何度も、再三)
・refrain(繰り返し、折り返し、再三)
「再三」の英語表現と意味(1)
先でご紹介しました「再三」の英語表記を参考にして、「再三」の意味合いを含めた英語の例文をいくつかご紹介します。
・What does the government do not respond to repeated contacts anyway?
「再三の連絡にも対応しない政府はいったい何をしているのか。」
・I have been contacting him over and over again, but I have not heard from him yet.
「再三彼に連絡をしているのに、まだ彼から連絡がきません。」
・Again, she contacted the professor on how to make a thesis.
「再三にわたり、彼女は論文の作成方法について教授に連絡しました。」
「再三」の英語表現と意味(2)
先述しました「再三」の英語表現に引き続き、さらに具体的な「再三」の例文をご紹介します。
・Despite the notification from the government that there was a return from the government, the country remained in a rebound all the time.
「政府から再三にわたり勧告通告があったにも関わらず、その国はずっと反旗を翻したままでした。」
・Regarding attention to the rule of using the zoo repeatedly, attention was paid, but they did not listen at all.
「動物園を利用する際のルールについて再三の注意がなされましたが、彼らは一向に聴こうとしませんでした。」
「再三」の英語表現と意味(3)
先述の具体的な「再三」の英語表現に引き続き、今度はいろいろな場面で使われる「再三」の例文をご紹介します。
・The word “repeatedly” is often used as a negative image such as “it has no effect” in addition to having the meaning of “many times over”.
「「再三」という言葉は「何度も何度も」という意味合いを持つ上で、「それでも効果がない」といったマイナスイメージで使用されることが多いです。」
・The expression “repeatedly” is basically not used in honorific expression.
「「再三」という表現は、基本的に敬語表現では使われません。」
「三」というのは「多数」という意味の数字
先述でもご紹介してきましたように、「三」というのは基本的に「多数・完全数・無数」という意味合いを指し、儀式などでは「三度そのことを行なえば、その作法は特定の儀式をなすのに完全となる」とした、ここでも完全数としての「三」の扱いがなされます。
この「三」を完全数と見なすのは日本古来の儀式だけに限らず、世界各国でも同じく「その三度という回数をこなすことによって、一つの作法・作業が完成する」とした、特別な見解や信仰を示す場合に用いられます。
「再三」の正確な意味と用法を覚えましょう
いかがでしたか。今回は「再三」の意味と使い方・「再三再四」の意味・例文・類語・敬語と題して、「再三」の意味と使い方・「再三再四」の意味・例文・類語などについての正確な情報をはじめ、いろいろな場面で使われる「再三」の用例についてご紹介しました。
「再三」という言葉は日常会話でもよく使われる言葉ですが、「再三」の代わりに使われる表現として「何度も」や「繰り返し」、「折り返し」などの言葉もよく併用される言葉となります。
主に「再三」という表現は文語表現として扱われる場合も多く、会話表現では「何度も」や「繰り返し」といった聴き取りやすい言葉の方が優先的に使用されるため、場合・状況に見合った適切な形容表現ができるように日頃から心掛けておきましょう。