「希望に沿う」の意味と使い方
「希望に沿う」という言葉は、「希望に沿えるよう頑張ります」や「希望に沿えず申し訳ございません」という使い方で、取引先やお客様とのやりとりなどのビジネスシーンで、よく使用される言葉です。
今回は、この「希望に沿う」という言葉の、意味や例文を挙げての使い方、類語などについて、紹介します。
ではまず、「希望に沿う」の意味と使い方を見てみましょう。
「希望に沿う」の意味とは?
最初に、「希望に沿う」の意味を紹介します。
まず、「希望」と「沿う」の言葉の意味を見てみましょう。そして、その2つの言葉の意味を理解した後に、「希望に沿う」の言葉の意味を見てみましょう。
「希望」の意味
まず、「希望」という言葉の意味です。「希望」の意味は、「こうなってほしいと願うこと」「あることの実現を望むこと」という意味です。「希望」は、学校や会社、友人や家族との会話の中でもとてもよく使う、多くの人が知っていて一度は使用したことのある言葉です。
「希望」は例えば、
「わたしは、1学期はスミス先生の英会話の履修を希望しています」
「今回の旅行は、宿泊先で朝食と夕食の付いているプランを希望しています」
「健康診断の日程につきまして、上記以外の日程をご希望される方は、スタッフまでお申し出ください」
などというように使用されます。
「沿う」の意味
次に、「沿う」という言葉の意味です。「沿う」の意味は、「規準となるものから離れないようにする」「主たる人やものに従い離れないようにする」という意味です。「沿う」も、「希望」と同じで、普段の日常生活の中でも良く使用したり耳にしたりする言葉です。
「沿う」は例えば、
「この道に沿って歩きましょう」
「今朝、わたしは主人と犬と一緒に川沿いを散歩しました」
「この海では、沿岸で漁業が行われています」
「この道沿いは、春になると桜が満開になり、全国的に有名です」
などというように使用されます。
「希望に沿う」の意味
「希望」は「あることの実現への願いや望み」、「沿う」は「規準物から離れないようにすること」という意味を持つことがわかりました。
その2つの意味を合わせ、「希望に沿う」という言葉の意味は、「あることの実現への願いや望みから離れないようにすること」という意味になります。
わかりやすく言うと、「願いや望みをそのとおりに実現すること」です。
「希望に沿う」の使い方
次に、「希望に沿う」の使い方を見てみましょう。
「希望に沿う」という言葉は、会話の中では「希望に沿えるよう」と「希望に沿えず」という2通りの使い方をすることが多いので、今回はこの「希望に沿えるよう」と「希望に沿えず」という2つの言葉の使い方を紹介します。
「希望に沿えるよう」の使い方
「希望に沿えるよう」という言葉は、ビジネスシーンで取引先や顧客から希望などがあった時、相手に「希望通り実現できるよう頑張ります」ということを伝える際に、使用されます。
「希望に沿えるよう」に続く言葉は、「精進いたします」や「努力いたします」などのような、「頑張ります」というような意味を持つ言葉の場合が多いです。
例えば、「貴社のご希望に沿えるよう精進いたします」や「お客様のご希望に沿えるよう精一杯努力いたします」などというように、使用されます。
「希望に沿えず」の使い方
「希望に沿えず」という言葉は、ビジネスシーンで取引先や顧客から希望などがあったが叶えることができなかった場合、「結果、相手の願いや望みを実現することができなかった」ということを伝える際に、使用されます。「希望に沿えず」に続く言葉は、「申し訳ございません」など、謝罪の意味を持つ言葉の場合が多いです。
例えば、「この度はお客様のご希望に沿うことができず、誠に申し訳ございません」や「ご希望に沿えず申し訳ございませんが、何卒ご理解いただきたくお願い申し上げます」などというように、使用されます。
「希望に沿う」の例文
次に、「希望に沿う」の例文を見てみましょう。
こちらでも、「希望に沿う」の使い方と同じく、会話の中でよく使用される「希望に沿えるよう」と「希望に沿えず」という2つの言葉を使用した例文を紹介します。下記の例文を見ていただくと、「希望に沿う」とは、ビジネスシーンで使用される機会の多い言葉だということがわかります。
「希望に沿えるよう」の例文
まず、「希望に沿えるよう」という言葉の例文を見てみましょう。
「希望に沿えるよう」という言葉は、
「今後も皆さまのご希望に沿えられるよう、精進して参る所存でございますので、変わらぬご愛顧をよろしくお願い申し上げます」
「お客様のご希望に沿えるよう、お客様のニーズやこだわりなどを伺いまして、提案や対応をさせていただきます」
「この度は弊社をお選びいただきまして誠にありがとうございました。お客さまのご希望に沿えるよう、精一杯努力して参ります」
というように使用されます。
「希望に沿えず」の例文
次に、「希望に沿えず」という言葉の例文を見てみましょう。
「希望に沿えず」という言葉は、
「ご注文いただいております商品の納期につきまして、私の力量不足によりご希望に沿うことができず、ご迷惑をおかけし誠に申し訳ございません」
「お問い合わせいただいておりました商品の再販の件でございますが、現時点で再販の予定はございません。お客様のご希望に沿えず申し訳ございませんが、ご理解のほど何卒お願い申し上げます」
「ご希望いただいておりますお日にちですと、変更はいたしかねます。ご希望に沿えず、誠に申し訳ございません。そのお日にち以外でご都合のつくお日にちがございましたら教えていただきたくお願い申し上げます」
というように使用されます。
「希望に沿う」の敬語
次に、「希望に沿う」の敬語での言い方を見てみましょう。
「希望に沿う」という言葉がもともと、取引先やお客様などのような自分にとって目上の人へ使用する場合が多いため、敬語ではどのように使用するのか、頭の片すみに入れておくと役に立つこともあります。
丁寧語
「希望に沿う」の丁寧語は、「ご希望に沿う」となります。「ご希望に沿う」の「ご」というのは、「尊敬」の意味を持つ接頭語となります。「希望に沿う」に尊敬を表す「ご」を付けて丁寧語にした「ご希望に沿う」とした方が、相手により丁寧で良い印象を与えることができます。
例えば、
「お客様の希望に沿えるよう尽力いたします」と
「お客様のご希望に沿えるよう尽力いたします」、
「お客様の希望に沿うことができず申し訳ございません」と
「お客様のご希望に沿うことができず申し訳ございません」
を比較すると、よくわかります。
それぞれの文は、尊敬を表す「ご」があるかないかだけの違いですが、それだけで文章全体の印象が大きく変わっています。
「希望に沿う」の類語・言い換え表現
次に、「希望に沿う」と同じ意味や似た意味を持つ言葉を紹介します。
「希望に沿う」と同じ意味や似た意味を持つ言葉は、「期待に沿う」「要望に沿う」「ニーズに沿う」「要求に従う」「期待に応える」など、多くあります。
今回は、その中から、「期待に沿う」「要望に沿う」「期待に応える」の3つについて紹介します。
「期待に沿う」
最初に、「期待に沿う」という言葉を見てみましょう。
「期待」という言葉の意味は、「他人があることを実現するだろうとあてにして心待ちすること」という意味です。「沿う」という言葉の意味は、「規準物から離れないようにする」という意味です。
「期待に沿う」という言葉は、上記の2つの言葉の意味を合わせて、「自分があることを実現するだろうと心待ちにされていることをそのとおりに実現する」という意味になります。
例えば、
「今回のプロジェクトを任せていただきましてありがとうございます。ご期待に沿えるよう尽力いたします」
「今回のお取引の内容につきまして、ご期待に沿うことができず、誠に申し訳ございません」
などというように使用します。
「要望に沿う」
次に、「要望に沿う」という言葉を見てみましょう。
「要望」という言葉の意味は、「あることの実現を強く望むこと」という意味です。「沿う」という言葉の意味は、「規準物から離れないようにする」という意味です。
「要望に沿う」の意味は、上記の2つの言葉の意味を合わせて、「実現を強く望まれていることをそのとおりに実現する」という意味になります。
例えば、
「お客様のご要望に沿うことができるよう、誠心誠意努力して参ります」
などと使用します。
「期待に応える」
最後に、「期待に応える」という言葉を見てみましょう。
「期待」という言葉の意味は、「他人があることを実現するだろうとあてにして心待ちすること」という意味です。「応える」という言葉の意味は、「相手からの働きかけに対して、十分見合うような行動をとる」という意味です。
「期待に応える」という言葉は、上記の2つの言葉の意味を合わせて、「自分があることを実現するだろうと心待ちにされていることに対して、十分見合うような行動をとる」という意味になります。
例えば、
「この度は、弊社の企画を採用していただき、誠にありがとうございます。今までの経験と身に付けたスキルを最大限に活かし、ご期待に応えることができるよう、精進いたします」
などと使用します。
「希望に沿う」と「希望に添う」「希望に副う」
次に、「希望に沿う」と、読み方の同じ言葉「希望に添う」「希望に副う」を比較して、漢字や言葉の意味の違いについて紹介します。
意味は違うの?
「沿う」「添う」「副う」、3つの言葉を、正しく使い分けできますか。
なんとなく同じような使い方をしている方や、言葉の意味や違いを正しく説明できない方も、少なくはありません。この3つの言葉は同じような言葉ですが、漢字の持っている意味が違うため、言葉の意味も異なっています。
今回、「沿う」「添う」「副う」の漢字の意味を紹介しますので、意味や違いを詳しく理解し、正しく使い分けができるようにしましょう。
意味だけでは違いを理解しにくい場合は、それぞれの漢字を含んだ日常生活でよく使用される身近な言葉も紹介しましたので、そちらも参考にしてみてください。
「沿う」
まず、「希望に沿う」という言葉の意味を見てみましょう。
「沿」という漢字の意味は、前述しましたが、「主たる人や物から離れないようにする」という意味となります。
このような意味を持つ「沿」を含んだ、日常生活でよく使用されている言葉には、「沿岸」「沿線」「川沿い」「沿道」などがあります。どの言葉も、「くっついている」「離れない」という意味を含んでいます。
「希望にソう」を「沿う」とした場合、その意味は「願いや望みをそのとおりに実現する」という意味になります。
「添う」
次に、「希望に添う」という言葉の意味を見てみましょう。
「添」という漢字の意味は、「主たる人や物の側に付いている」という意味となります。
このような意味を持つ「添」を含んだ、日常生活でよく使用される言葉には、「付き添う」「寄り添う」「添い寝」「添え物」「添乗員」などがあります。どの言葉も、「側にいる」という意味を含んでいます。
「希望にソう」を「添う」とした場合、その意味は「願いや望みに寄り添う」という意味になります。
「副う」
最後に、「希望に副う」という言葉の意味を見てみましょう。
「副」という漢字の意味は、「主たる人や物に付いて補助する」という意味です。
このような意味を持つ「副」を含んだ、日常生活でよく使用される言葉には、「副業」「副リーダー」などがあります。どの言葉も、「補助する」という意味を含んでいます。
ビジネスシーンでは「沿う」
前述しましたように、一般的に、「願いや望みを実現する」という意味にしたい場合は「希望にソう」を「沿う」と表し、また、「願いや望みに寄り添う」という意味にしたい場合は「希望にソう」を「添う」と表します。
この「沿う」と「添う」の意味からわかるように、「希望に沿う」は「希望に添う」よりも「願いや望み」に対する気持ちが大きく、「願いや望みを正確に実現する」という意味が強く込められているということがわかります。そのため、ビジネスシーンでは、「希望に添う」よりも「希望に沿う」とする方が一般的です。
特に、「希望にソえるよう頑張ります」と相手に伝える場合は、「沿う」を使用することで、「自分達の願いを必ず正確に実現してもらえる」と、相手に安心感や信頼を抱いてもらうことができます。
印象や仕事に繋がる可能性もあるので、「希望にソう」と表すところは「希望に沿う」を使用できているか意識してみることも良いです。
「副う」は?
また、「副う」という言葉ですが、もともと「希望にソう」は「副う」という漢字が使用されていましたが、「副う」は表外読みのため、現在は使用されることが少ないです。
正確に理解し自信を持って使用しましょう
いかがでしたでしょうか。
「希望に沿う」という言葉、意味が似ている言葉や、使い方が同じで違う意味の言葉など、関連する言葉がたくさんありました。
「希望に沿う」は、ビジネスシーンで使用する頻度の高い言葉ですので、今回の記事で言葉のことを詳しく正確に理解して、自信を持って使用してみてください。