正しく覚えたい!「お納め下さい」の使い方
ビジネスシーンなどでは時に、物を受け渡しすることがあります。資料や金銭、贈り物など、状況や目的によってさまざまな物の受け渡しを行いますが、物を受け取ったり渡したりする際には、挨拶やそれに沿った言葉を伝えるのが一般的です。
今回は、目上の人などに物を渡す際に添える言葉として、特にメジャーだと言われている、「お納め下さい」という表現をピックアップし、正しい使い方や敬語表現、例文などを考察・ご紹介していきます。人に物を渡す際に添える言葉や挨拶に自信がないという方は、この機会にぜひ見直しておきましょう。
「お納め下さい」の類語
まず始めに、「お納め下さい」と同じような意味を持つ、類語や同義語、言い換え表現などと呼ばれる言い回しをご紹介していきます。類語や同義語にどのような言葉があるのか学んでおくと、「お納め下さい」という言葉の意味についてより深く理解できる可能性があります。
また、文章や会話の内容により合っている表現や言い回しを選ぶことができるようになるため、何かと便利です。
ご笑納下さい
「お納め下さい」という表現と並んで、目上の人などに物を渡す際に使用されることが多い言い回しの1つに、「ご笑納下さい」という言い回しが挙げられます。
「ご笑納下さい」という言い回しに含まれている、「笑納」という言葉には、以下の引用のような意味があると、「goo辞書」にて解説されています。引用から、「笑納」とは、「つまらない物ではありますが、笑いながら受け取って下さい」といった気持ちやニュアンスを含んでいる言葉だと、読み取ることが可能です。
「ご笑納」という言葉は、上記のような意味を持つ「笑納」に、丁寧さを表現する「ご」という言葉が加わった形だと考えられます。
人に贈り物をするとき、つまらない物ですが笑ってお納めくださいという気持ちを込めて用いる語。
ご査収下さい
「ご査収下さい」という表現もまた、「お納め下さい」の言い換え表現の1つだと言えるでしょう。
「ご査収下さい」という言い回しに含まれている、「査収」という言葉について、「goo辞書」では以下の引用のように説明しています。引用から、「査収」という言葉には、資料や金品などを、しっかりと確認した上で受け取って下さいという意味が含まれていることが読み取れます。
上記のような意味を含んでいる「査収」という言葉に、丁寧さを表現する「ご」を付けた言葉が、「ご査収」という言葉だと考えられます。
金銭・物品・書類などを、よく調べて受け取ること。
「お納め下さい」の敬語
ビジネスシーンでは、敬語や丁寧な言葉遣いで話すのが、一般的です。特に、目上の人や立場が上の人と接する場合は、敬語で話すのがマナーだとされています。ですから、「お納め下さい」という表現も、目上の人などに対して使う場合は、敬語や丁寧な言葉へと言い換える必要があります。
そこで続いては、「お納め下さい」の敬語や丁寧な言葉への言い換えについて、考察していきます。
尊敬語
敬語にも、種類や分類が存在しています。敬語の種類や分類には、さまざまな分け方が存在しますが、その中でも特に多いのが、「尊敬語」「丁寧語」「謙譲語」の3種類に分ける方法です。
尊敬語は、相手の言動に対して敬意を払うタイプの敬語です。丁寧語は、言葉をより丁寧で、綺麗に表現するタイプの敬語だとされています。そして謙譲語は、自分の言動を謙って表現することで、相手に敬意を払うタイプの敬語だと言われています。
「お納め下さい」という表現は、上記の3種類の敬語の中では、尊敬語に当てはまるとされています。
丁寧語
上記で、「お納め下さい」という言い回しは、尊敬語に当てはまるとご紹介しました。続いては、「お納め下さい」を丁寧語で表現したい場合、どのように言い換えれば良いのか、考察していきます。
丁寧語の場合は、あくまでも丁寧で綺麗な言葉であり、尊敬語や謙譲語に含まれているような敬意の度合いは、低いと言われています。
「お納め下さい」の丁寧語への言い換え表現としては、「受け取って下さい」などが挙げられ、丁寧ではあるものの、相手の「受け取る」という行為に敬意を払ったり、自分「渡す」という行為を謙ったりするニュアンスは、含まれていないと考えられます。
「お納め下さい」の目上の人への使い方
「お納め下さい」の敬語表現への言い換えについて学んだところで、続いては「お納め下さい」を実際に目上の人に対して使用したとき、どのような使い方をすれば良いのか、考察していきます。
「お納め下さい」という表現は、一般的に目上の人に対して、物や金銭、贈り物や資料などを渡す際に使用される言葉だとされています。しかし、「お納め下さい」という言葉を添えて唐突に相手に物を渡すのは、状況によっては不躾な印象を与えてしまうケースもあるでしょう。
ですから、目上の人に物を渡す際は、「もしよろしければお納め下さい」「つまらないものですがお納め下さい」など、一言添えた上で使用すると、より丁寧な印象になると考えられます。
「お納め下さい」の読み方
続いては、「お納め下さい」という言葉の正しい読み方について、ご紹介していきます。
会話などで使用する場合は、正しい読み方で使用しないと、意味が伝わらなかったり、無知な印象を与えてしまったりするケースもあります。ですから、この機会にぜひ、「お納め下さい」の読み方について、確認しておきましょう。
結論から言うと、「お納め下さい」という言葉の読み方は、「おおさめください」だと考えられます。「weblio辞書」では、「お納め下さいませ」という言葉に関するページが掲載されていますが、以下の引用にもあるように、「おおさめくださいませ」という読み方で掲載されています。
上記のような背景から、「お納め下さい」という言葉の読み方は、「おおさめください」が正しいと言えそうです。
読み方:おおさめくださいませ別表記:お納めくださいませ
「お納め下さい」の例文
続いては、「お納め下さい」という表現を使用した、例文をご紹介していきます。「お納めください」という言葉を、実際に使用する場合、どのような言い回しや使いどころで使用するべきか、知っておきたいところです。
ですからこの機会に、「お納め下さい」という言葉を使用した例文を通して、「お納め下さい」という言葉の実践的な使い方について、確認しておきましょう。
お金
「お納め下さい」という言葉は、お金のやり取りをする際や、金銭を相手へ渡す際などに、挨拶として一言添えて使用されるケースもあります。そこでまずは、金銭に対して「お納め下さい」という言い回しを使用する場合の例文をご紹介していきます。
・少しですが、お納め下さい。
・少ないですが、よろしければお納め下さい。
・気持ちばかりですが、どうぞお納め下さい。
贈り物
<贈り物を相手へ渡す際も、「お納め下さい」という言葉を添えて渡すことが多いと言われています。そこで続いては、「お納め下さい」という言葉を使用した例文をご紹介していきます。贈り物を渡す際の挨拶の1つとして、この機会にぜひ覚えておきましょう。
・つまらないものですが、お納め下さい。
・ささやかではありますが、お納め下さいませ。
・よろしければお納め下さいませ。
写真
時には、プレゼントや贈り物として、写真を他人に渡すこともあるでしょう。写真を渡す場合にも、「お納め下さい」という言葉を使用することがあります。ですから、写真を相手に渡す際に、「お納め下さい」を使用する場合の例文についても、確認しておきましょう。
・先日のお写真が出来上がりましたので、お納め下さい。
・○○の会の時の集合写真です。お納め下さいませ。
・結婚式のお写真です。お納め下さい。
手紙
手紙の文章でも、「お納め下さい」という言葉を使用することは、あると言われています。そこで続いては、手紙における「お納め下さい」の使い方や例文について、考えていきましょう。
手紙で「お納め下さい」を使用する場合は、手紙とともに贈り物などを相手へ渡す場合が多いと考えられます。自分が贈る物などに対して、「お納め下さい」が使われると考えられ、以下の例文のような使い方ができるとされています。
・ささやかな物ではありますが、お送りいたしますので、お納め下さいませ。
・つまらないものですが、お土産を同封いたします。よろしければお納め下さい。
・同封いたしましたものは、心ばかりの物ですが、どうぞお納め下さい。
「お納め下さい」は大変丁寧な言い回し
いかがでしたでしょうか?今回は、「お納め下さい」という表現をテーマにして、類語や敬語への言い換え表現、目上の人への使い方や読み方、例文などを、考察・ご紹介しました。
「お納め下さい」というフレーズは、物や金銭などを他人に渡す際に使用されることが多い言葉の1つで、大変丁寧な言い回しだと言われています。そのため、目上の人などに対しても使用することが可能な言い回しでもあります。
この機会にぜひ、「お納め下さい」の使い方や使いどころを覚えて、正確かつ適切に使えるようにしておきましょう。