「お願い」の類語・関連語
「お願い」という言葉は日常的に使われる言葉であり、その意味を知らない人はほとんどおらず、その類語についても認識されています。
ただし、「お願い」やその類語の使い方についてはその時の状況や相手との関係性、社会的な立場など考慮すべき内容が多いため、何も考えずに安易に使うと相手に失礼になる可能性が出てきます。
よく使う言葉は使い慣れているので深く考えないものですが、使い方を慎重にしなければどんな悪影響を及ぼすのがわからないので、その意味や使い方について紹介しましょう。
依頼
「依頼」とは自分の要望を第三者に叶えてもらうために頼むことであり、一般的な「お願い」では無報酬で行う場合がありますが、類語である「依頼」ではその要望を叶えることに対する報酬を支払うケースが多くなっています。
「依頼」という言葉がよく使われるのは仕事における業務であり、仕事の一環で相手に自分の希望を伝えるために報酬で多いのは金銭であり、報酬が発生しない依頼はあり得ないと言っても間違いないでしょう。
頼む
「頼む」というのは「お願い」という言葉の類語ですが敬語表記を取り除き、日常的に使用されている言葉で表現しています。
敬語の部分がないため、「頼む」という使い方をするのはあまり敬意を払う必要がない相手で、とても近い関係の友人や親族・家族が対象になるでしょう。
ただし、それほど敬意を払わなくてもいい関係なので、「頼む」というお願いをすると相手はそれを拒絶することもでき、対価という点も「依頼」と比較しても重要度が低くなるので、断ってもデメリットが受けにくくなっています。
たもれ
「たもれ」というのは公家などが使っている「お願い」の類語であり、意味は「頼む」と同じですが公家というのは自分が他の人よりも立場が上であるのを自覚しているので、敬語的な表現になっていません。
現代では「たもれ」と使うような人はほとんどいないため、言われても相手は何を言っているのか気づかない場合も起きてしまうでしょう。
発信者からすると「お願い」の類語で「たもれ」を使った場合、対象となる相手は自分の意思に従うと考えているため、拒絶をするのは正当な理由がない限りは許されないと判断されてしまう可能性が高くなります。
下さい
「下さい」というのは相手の所有物を要求する場合に使われる「お願い」の類語ですが、相手の持ち物だと最初から認識しているので表現方法は敬語になっています。
「お願い」の類語の中でも日常的によく使われる言葉であり、そこには年齢や立場の違いは関係ありませんが、敬語でもそれほど相手に対する敬意の意思が高くないため、関係性があまりに違い過ぎていると使いにくい言葉でもあります。
使い方は「下さい」と断定的な表記ではなく、「下さいませんか」という相手に選択権がある使われ方が一般的です。
懇願
「懇願」というのは自分の希望を叶えるために、第三者に対して精一杯の態度でお願いをすることであり、他の人に依頼をする場合の最大の意思表現になります。
「お願い」というのは相手に対して自分の要望を言うことであり、そこには当然に相手は拒絶することができますが、「懇願」というのは相手が拒絶の姿勢を見せても自分の要望を貫き通すことです。
「懇願」するほどの願いは人それぞれであり、その希望を叶えるために多額の謝礼を用意したり、拒絶され続けても相手へのお願いを継続するという特徴を持っています。
くれ
「くれ」とは相手の所有物に対して拒絶の意思を認めずに譲り渡すことを要求している言葉であり、相手との関係性が相当に強いか立場がかなり上にある人が下の人に対して使う言葉です。
その強制力は相手との関係で違いがあり、拒絶に関しては立場の違いで使用していなければ拒絶してもしなくても問題が発生しなくなっています。
仕事を行っていて使用されることはほとんどなく、日常会話の中で使われるのが圧倒的です。
頂戴
「頂戴」というのは「お願い」の類語の中でも本人からの強い意思を相手に伝えた言葉ですが、言い方が優しくなっているために相手側もあからさまな拒絶はやりにくくなります。
この言い方をするのは子供が大人に対してや、女性が男性に言うケースが多くなっていて、立場の弱い人が立場の強い人に願い事をする時に使われる場合が多いでしょう。
「頂戴」というのは弱く可愛い印象を持たれる人が使ってこそ効果的な言葉であり、それに該当しないような人が使っても違和感があって、その効果は薄れてしまいます。
ビジネスでの「お願い」の類語
ビジネスを行っている場合でも「お願い」という行動は頻繁に行いますが、業務の場面で「お願い」という言葉だけを使うのは失礼に該当し、その前後に別の言葉を付け足したり、全く別の言葉に言い換えたりします。
仕事を行っていると相手と対面して会話をする機会が多く、そこで適切な言葉の使い方をしなければ相手に不信感や嫌悪感を持たれるほどその重要度が高くなります。「お願い」やその類語はよく使う言葉なのでその意味や使い方を理解していて下さい。
要請
「要請」とは自分の願いを申し出て実現してもらうことであり、物品を譲り受けるような場面で使用されることはなく、行動や希望といった意思や理念に対して使われている「お願い」の類語です。
「要請」が多く使用されているの役職に自分以外の第三者に就いてもらいたい場合であり、選挙で候補者を擁立したい時に選んだ人に立候補して欲しいことを「要請」と言い、選挙でなくても人をまとめるような役目をしてもらいたいケースでも使われています。
注文
「注文」とは自分が所持していない物品を取得するために持っている業者などから購入することで、代金を払って自分の所有物にするので「購入」と同じ意味の「お願い」の類語になります。
また自分が希望するものを相手に作ってもらうために指図することも言い、よく使われているのは「注文をつける」という言い方です。
「注文」の場合は指図をする方が立場上は優位であり、相手がその注文を断るには正当な理由で相手を納得させる必要があるため、実質的には「注文」を受けると断りにくくなってしまいます。
要望
「要望」というのは相手に自分の希望を伝えて、それを叶えてもらいたいと意思表示することであり、あくまでも自分の希望であるため相手はそれを拒絶しても何も問題はありません。
「要望」は「お願い」の類語の中でも強制力がとても低い言葉であり、相手にその意思決定を全て委ねていて、自分の意思を相手に知ってもらうことを主眼に置いているという特徴を持っています。
敬語での「お願い」の類語
「お願い」という言葉は相手に自分の希望を伝えてそれを実践してもらわなければいけないので、立場上優位であっても本来は敬語表記で使用する言葉です。
自分のために相手に動いてもらうのですから、「お願い」やその類語を使うのであれば正しい敬語を適切に使わなければ行けません。
「お願い」や類語の敬語表現はどのように使えばいいのでしょうか。
お願いいたします
「いたします」は「いたす」の敬語であり、意味は「お願いする」と意味になります。
「お願いします」という表現方法と意味は同じですが、敬語の価値からすると「お願いします」はより日常的になってしまうので、一般の私生活で使うなら問題はありませんが、仕事のような場面では「お願いいたします」がいいでしょう。
「お願いいたします」は「お願いします」の類語というよりも敬語にした言葉になっているので状況に応じた使い分けが必要になり、「お願いいたします」と「お願いします」はその典型だと言えます。
頂戴します
「頂戴」だけを使うと敬語というよりも日常会話でもかなり相手に敬意を払っていない部類に入りますが、「頂戴します」という使い方をすると相手が自分に対して行ったことに対する敬意の表現に変化します。
「頂戴します」は自ら相手に自分の意思を伝えて要望を叶えるというより、相手からの自発的な行動に対するお礼の意味合いが強くなっていますが、多くの場合に相手から自分の行動の確認を求められるので、そこで自分の意思を伝えることになります。
「頂戴します」は「お願い」の類語とは少し違った印象がありますが、相手からの意思の確認があるので類語と言っても間違いないでしょう。
類語を知ることは言葉の幅を拡大するために重要
自分で自分の行動を決める場合には言葉は必要ありませんが、相手に自分の考えを実践してもらいたいのであれば、その内容や理由についてしっかりと伝えなければいけません。
人間の意志疎通には言葉が不可欠ですが、同じ言葉ばかり使うのではなく場面によって言い方を変化させた方がいいことがあり、そのために中心になる言葉以外の類語を知るというのは大切になります。
「お願い」という言葉は日頃から頻繁に使われているために、時にはその状況に応じて類語を選択することもあるでしょうから、もっと類語に対する見地を広げていって下さい。