「ちなみに」の意味と使い方・敬語表現・ビジネスシーン・類義語

ビジネススキル

日本語の効率的な覚え方

日本語を覚える際にはまず「その言葉を使って覚える」という実践的な学習方法が最も効率的です。これはどんな言葉を学習する場合も同じですが、英語を覚える場合も「英単語を何度も書いて覚える」という方法で学習するように、この場合も「その言葉を使って覚える」という実践的な学習方法が取られます。

このように、言葉は「自分の言葉・表現」として使って覚えることが最適な学習方法になり、逆に使わなければ、なかなか実践的に覚えることはできません。

実践的に学習する

先述でご紹介しましたように、言葉というのは「使って覚えること」が最も効率的で、実際に使って覚えなければなかなか「自分の言葉・表現」としてその言葉を流用することができません。

この実践的に覚える方法を学ぶ場合に使える方法としては、「例文でその言葉を実際に使って覚えること」や「会話表現においてその言葉を使い、さまざまな場面・状況に合わせてその言葉を表現する方法」などがあります。

その言葉の基本的な用法を知る

今回ご紹介します「ちなみに」という言葉についてですが、この「ちなみに」という言葉を覚える際でも「ちなみに」という言葉・表現が持つ基本的な意味合い・用法を知ることが肝心となります。

言葉というのは、あらかじめその言葉に備えられた意味合いや用法を熟知した上で、初めてその言葉を状況に合わせて使い分けることができるようになります。そのため、「ちなみに」という言葉がどのように使われているか、あるいはどんな場面で多用されているかについて、しっかり学び取ることがまず大切です。

「ちなみに」の意味と使い方

さて「ちなみに」という言葉の意味と使い方についてですが、まず「ちなみに」という言葉は「本件のついでに付け加える内容がある場合」、「その本題とは別に参考するべき内容を伝える場合」、あるいは「自分の考えなどを紹介する場合」などに使われる、基本的には「補足する際に使われる表現」となります。

・ちなみに、この液体には火に対応できる力が具わっています。
・ちなみに、今週の月曜日は休校です。
・ちなみにこの度の販売価格は、通常の10%オフの割引をしております。
・ちなみに、この電車は100年前にも走っていました。

このように、本題の補足として付け加える際に「ちなみに」が使われる形となります。

「ちなみに」の漢字表記

「ちなみに」という言葉は漢字表記する場合、「因みに・因に」となります。日本語にはほとんどの言葉に漢字表記が当てられるため、まずはその言葉の「平仮名表記」と「漢字表記」をしっかり覚えておきましょう。

漢字表記を覚える利点としてはまず、「その漢字1字ずつが持つ意味合い」を把握できることから、その言葉が本来持つ基本的な表現方法などを知るためのヒントになる場合があります。

本筋から外れる際に使用する

「ちなみに」という言葉の意味と使い方についてですが、先述しましたように「ちなみに」という言葉は「何らかの本題に関する内容とは違った、別件を伝える際に使われる際に使われる表現」としても見受けられます。

・A商品はただいま在庫切れです。ちなみにこのB商品はA商品と近い品質を持っていますので、B商品をご検討されるとよいでしょう。
・弊社ではこのようなサービスをいたしております。ちなみに前年までは別の企画もいたしておりました。
・このパソコンの機能は非常に優れております。ちなみにこちらのタブレットの機能はかなり劣ります。

ついでに申し伝える

「ちなみに」という言葉は「本題を伝えた後で、その本題に関すること・あるいは関係しないことなどを、その物事のついで相手に申し伝える」という際に使われる場合があります。

・来週はぜひ我が家へいらしてください。ちなみに孫娘もその日に我が家へ来る予定です。
・今週末にあるテストはとてもむずかしいです。ちなみにもう勉強は終わりましたか。
・このロボットはとても丈夫で壊れにくいことで有名です。ちなみに性質はプラスチックになります。

自分のことを伝える場合

「ちなみに」という言葉は「その話者の考えや心境を伝える際にも使われる言葉」としてあり、これは日常生活においてもかなり多くの場面で認められます。この場合の「ちなみに」という言葉の表現法が最も一般的に知られているでしょうか。

・彼は今回の英語のテストで100点を取りました。ちなみにわたしは50点でした。
・これからピクニックに行こうと予定しています。ちなみにわたしは電車で現地に向かいます。
・彼女の車は日産のフェアレディZです。ちなみにわたしは同じ日産車ですがスカイラインです。

例を示す場合

「ちなみに」という言葉は「話題に関する特定の事例」を伝える際にも多く使われる表現としてあり、この場合の用法もビジネスシーンや日常生活を問わず、かなり多くの場面で流用されている表現になるでしょう。

・今回の事業計画は将来においてとても有望な内容となるでしょう。ちなみに前年度の事業計画は今季の事業計画の骨子の部分を担った計画でした。
・算数の勉強を始めようとしています。ちなみに因数分解の過去問はもうし終えました。
・このカードローン利用はとても皆さんから人気があります。ちなみに前年度の人気ランキングでは1位でした。

参考を促す場合

これは先述の「事例を示す場合」や「補足する場合」の「ちなみに」の使い方に似ていますが、「ちなみに」という言葉の用法では「ちなみに○○です」という「○○」を例にすることによって、その例を「相手にとって有効な参考」として提示する表現法がよく採られます。

・この度はビッグキャンペーンを当館において実施しております。ちなみに、顧客の皆さまには○○というサービスがございます。
・申し訳ございません、その商品は当店には置いてございません。ちなみにA店には置いておりますが、いかがでしょうか。
・こちらのパソコンは人気抜群の機能を誇ります。ちなみにこちらがこのパソコンのパンフレットとなります。

「ちなみに」は使い過ぎるとわかりづらい

先述では「ちなみに」の基本的な意味合いや用法についてご紹介してきましたが、しかしこの「ちなみに」という言葉も多用・乱用した場合は、相手にとってかなりわかりづらい表現になってしまいます。

・今週の土曜日は娘が我が家に遊びにくる予定です。ちなみに晩ご飯も一緒に食べる予定です。その際にはバーベキューをする予定で、ちなみに肉は三重牛を使う予定にしております。ちなみに、あなたの予定はいかがでしょうか。ちなみに来てもらえると嬉しいです。

このように、「ちなみに」を連発してしまうとそれだけで幼稚な文章になってしまう上で、相手にとって「どれが本題なのか」が非常にわかりづらくなります。

「ちなみに」の敬語表現

日本語を覚える際には「その言葉の敬語表現」もワンセットで覚えることが望ましいでしょう。日本語というのは、場面や状況によって、いくらでもその表現方法を変えていく言語でもあるため、あらかじめ「1つの言葉の表現法をいくつかの表現法として把握する」という方法でインプットしておくことにより、いざと言うときに困らないでしょう。

丁寧語

「ちなみに」の丁寧語表現は「ついでながら」となります。よく「○○ですが、ついでながら△△についても申しますと」などと、何らかの本件のついで別の要件を伝える際にこの「ちなみに」の丁寧語である「ついでながら」が使われます。

この「ついでながら」という表現はビジネスシーンでも多くの場面で使われていますが、その場合は「ちなみに」という表現と併用される場合も多く、特に「とちらかの表現でなくてはいけない」という決まりのようなものはありません。

尊敬語

「ついでながら」を丁寧語に持つ「ちなみに」ですが、その尊敬語となると特別「これ」と言える表現はありません。「ご参考までに」や「具体的に申しますと」などの表現にはじまり、相手の言動において「ちなみに」の内容が使われる場合の「○○もなされていました」などといった、具体的な臨場表現が尊敬語として多く用いられます。

謙譲語

尊敬語の場合と同じく、「ちなみに」の謙譲語表現の場合も「それぞれの状況や場面に合わせてへりくだって伝える、その場で使える臨場的な敬語表現」という形で謙譲語表現がなされます。

「付け加えさせていただければ」、「補足させていただきますと」、「前もってお伝えさせていただきますと」など、「○○させていただきますと」といった表現とともに「ちなみに」が持つ「補足的な意味合い」がそのまま相手に伝えられます。

ビジネスシーンで「ちなみに」を使う際の注意点

ビジネスシーンで「ちなみに」を使う際の注意点についてですが、これは先述でもご紹介しましたように「多用・乱用しないこと」となります。つい「ちなみに」という言葉の使い方に慣れてしまうと、その「ちなみに」を1つの要件において何回も使ってしまうことがよくあります。

ビジネスシーンで使う場合の「ちなみに」は、とりあえず「1つの要件につき1回まで」と心得ておくことが大切でしょう。

もちろん、場面や状況によっては2回、3回と使い分ける場合がありますが、基本的に「ちなみに」という言葉は「本件とは関係ない内容」や「本件の補足的な事情」を伝える言葉となるため、あまりに多用すると相手にとっては「要件の骨子の部分」がわかりづらくなります。

「ちなみに」の類義語・言い換え方法

日本語を覚える際には、この「類義語や言い換え方法」をいくつか一緒に覚えておくことが大切です。たとえば場面や状況によって言葉・表現を変えなければならない場合が増えてくるため、その際に「類義語・言い換え用の表現」をいくつか携えておくことによって、コミュニケーションそのものがスムーズになることが多くなります。

補足しますと/ついでながら/ついでに/もう1つ言うと/具体的には/この場合は○○でしたが/こちらの例では/付け加えさせていただきますと/言い換えると/または

上記の言葉が「ちなみに」の類義語としてピックアップされますが、どの言葉の意味合いにも「本件への補足的用法」が含まれます。

補足いたしますと

先述でもご紹介しましたが、「ちなみに」という表現そのそもそもの意味合い・用法にはこの「補足的用法」がベースとしてあるため、「補足いたしますと・補足させていただきますと」などの表現は、「ちなみに」の意味合いをそのまま言い換えることができます。

・こちらの件ですが、すでに対応させていただいております。補足いたしますと、経済支援の形で対応させていただいております。
・こちらのカードローン利用につきましては、以下のご説明のとおりです。補足いたしますと、20歳以上の方でなければご利用になれません。

ついでながら

先述のように「ついでながら」という表現は「ちなみに」の丁寧語表現として認められているため、この表現はビジネスシーンでも多くの場面で多用されています。

・会社にお越しの際には、ぜひこちらの資料をお受け取りください。ついでながらに申し上げますと、その資料は○○課にて配布いたしております。
・その商品は在庫切れでございます。ついでながら、こちらの新商品はいかがでしょうか。

具体的には

この場合の「具体的には」という表現は、「本件の内容をさらに詳しく相手に伝え、その内容をもって、相手にその本件を検討する際に参考にしてもらうこと」を意図した表現となります。この場合でも「ちなみに」の意味合いにある「事例を示す」という表現がそのまま使われます。

・Aプランにつきましては経済支援がメインとなります。具体的には(ちなみに)その経済支援では、A社、B社、C社のご協力を受けております。
・○○大学の英語の受験内容では、特に長文読解に重点が置かれています。具体的に(ちなみに)その内容では「政治問題における長文問題」が出題されました。

「ちなみに」の例文

先述でもいくつかの「ちなみに」の例文をご紹介しましたが、自分でもさまざまな状況や場面を想定した例文を作っておき、その例文の中で覚えるべき言葉をいろいろな表現法に分けて学習することが効率的な勉強法になるでしょう。

・彼の勉強法はまず、歴史の年表を覚えることから始まります。ちなみに去年も同じ勉強法をしていました。
・今年の農薬肥料にはA薬品を使用しています。ちなみにこのA薬品の効果は抜群です。
・彼らの文化を知るためには、彼らの祖国の文化を学ぶ必要があるでしょう。ちなみに彼らの祖国はB国です。

「ちなみに」の英語表記と意味

「ちなみに」という言葉を英語に直す場合、それぞれの単語の意味合い・用法に配慮する上で以下のようにピックアップされます。

・incidentally(ついでに、付け加えると、ちなみに)
・by the way(ところで、ちなみに)
・in this connection(付け加えると、ちなみに、または)
・accidentally(または、あるいは、ちなみに)
・in addition(付け加えると、加えて、または、ちなみに)
・besides(他には、または、ちなみに)
・furthermore(さらに、その上で、ちなみに)
・moreover(さらに、この他、ちなみに)
・besides this(または、この他には、ちなみに)

「ちなみに」の英語表現と意味(1)

先でご紹介しました「ちなみに」の英語表記を参考にして、「ちなみに」の意味合いを含めた英語の例文をいくつかご紹介します。

・By the way, all these articles are bullshit.
「ちなみに、これらの記事はすべてでたらめです。」
・By the way, their special skill is English hearing.
「ちなみに、彼らの特技は英語のヒアリングです。」
・In addition, these contents are true.
「ちなみに、これらの内容は真実です。」

「ちなみに」の英語表現と意味(2)

先述しました「ちなみに」の英語表現に引き続き、さらに具体的な「ちなみに」の例文をご紹介します。

・For now, this item is out of stock. By the way, it will be next Monday to arrive.
「現在におきましては、こちらの商品は在庫切れです。ちなみに、入荷するのは来週の月曜日になります。」
・We will mainly provide “economic support” in our persistent business plan. By the way, this plan is effective for the data of the previous year.
「根気の事業計画では主に「経済的支援」をいたします。ちなみに、前年度のデータでは、この計画は効果的です。」

「ちなみに」の英語表現と意味(3)

先述の「ちなみに」の英語表現に引き続き、今度はいろいろな場面で使われる「ちなみに」の例文をご紹介します。

・Their good subjects are English and mathematics. By the way my favorite subject is physical education and music.
「彼らの得意な科目は英語と数学です。ちなみにわたしの得意科目は体育と音楽です。」
・In the business scene it is undesirable to frequently use the word “in addition”.
「「ちなみに」という言葉は、ビジネスシーンでは多用することは望ましくありません。」

「ちなみに」の正確な意味と用法を覚えましょう

いかがでしたか。今回は「ちなみに」の意味と使い方・敬語表現・ビジネスシーン・類義語と題して、「ちなみに」の意味と使い方・敬語表現・ビジネスシーンでの使い方などをメインにして、いろいろな場面で使われる「ちなみに」の用例についてご紹介しました。

「ちなみに」という言葉はとても多くの場面で表現される慣用句的な言葉ですが、ビジネスシーンをはじめ、日常用語としても「多用・乱用すること」は好ましくありません。あまり多く「ちなみに」を使ってしまうと、それだけで「相手にとっては何が言いたいのか」がわからなくなってしまうことがあります。

日本語を学習する際には、例文や会話表現においてその言葉を学習し、言い換え用の言葉や使う頻度を正確に学んでおきましょう。

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