「了解」の意味って?
「了解」とは「相手の言う内容や事情を理解し、それを認めること」を意味します。「理解」に「承認」の意味が合わさった言葉です。「了解」は「理解」と「承認」二つがそろって成り立ちます。
「了解」は名詞です。「~する」を付けて動詞的に使うこともあります。
「了解」の漢字の意味
「了解」の「了」は「終わること・はっきりすること・さとること」を意味します。「了解」の「解」は「わけること・さとること・解き明かすこと・説明すること」を意味します。「了解」の「了」も「解」も、両方「さとる」の意味で使われています。
「了解」の使い方
「了解」は「了解する」「了解しました」のように「する」や「しました」を付けて動詞化する用法と、「了解」という名詞の形のまま使う用法があります。それぞれの例としては「暗黙の了解」「彼の言い分を了解する」などがあります。敬語に変形する場合も、基本的には「了解する」をベースに用います。
「了解」の敬語表現
「了解」の敬語表現について解説します。「了解」は「了解」という言葉自体が敬語というわけではありません。「了解」を敬語にする場合は、「了解する」の「する」部分を敬語の形に変形して表現するか、「了解」という名詞に敬語を意味する助詞「です」をつけることで表現します。
「了解」の丁寧語
「了解」を敬語の中の丁寧語で表現する場合です。「了解」の丁寧語は、「了解した」の「した」部分を「了解しました」という敬語の形に変形するか、名詞の「了解」に敬語を表す助詞「です」を付けて「了解です」という形にして表現します。
丁寧語は敬語の中でも「聞き手への敬意と礼儀正しさ」を表現する軽い敬語です。「尊敬語」「謙譲語」と比べて敬意の度合いは低めです。
「了解」の尊敬語
「了解」を敬語の中の尊敬語で表現する場合です。「了解」の尊敬語は「了解する」の「する」部分を尊敬語である「なさる」「される」という言葉に変え、「了解なさる」「了解される」という形にして表現します。しかし、「了解」の尊敬語はあまり使われる敬語表現ではありません。
なぜかというと、「了解」という言葉は自分を主語にして使うことが多い言葉だからです。尊敬語は敬語の中でも「主語への敬意」を表す敬語です。通常、自分へ尊敬語を使うことはありません。したがって、「了解」の尊敬語は稀な表現と言えるでしょう。
「了解」の謙譲語
「了解」を敬語の中の謙譲語で表現する場合です。「了解」の謙譲語は「了解する」の「する」部分を謙譲語である「いたす」という言葉に変え、「了解いたしました」という形にして表現します。
謙譲語は敬語の中でも「自分を謙遜し、相対的に相手の立場を上げる」効果を持つ敬語です。目上の人に「了解」の敬語を使う場合は、この謙譲語で表現することが多いでしょう。
間違いやすい「了解」の敬語表現
「『了解』を目上の人に使うのは失礼だ」という話を聞いたことがありませんか。実は「『了解』を目上の人に使うのは失礼」というマナーは、誤解が広まったことによって生まれた根拠のないマナーです。このマナーは、一部の日本語関連の一般書や、ウェブサイトの記述、テレビ番組により広まりました。
確かに、よく使われる「了解しました」という「了解」の敬語表現は「丁寧語」であり、「謙譲語」や「尊敬語」に比べると敬意が少ない敬語です。しかし、例えば「了解いたしました」のように「了解」を「謙譲語」にすることで、目上の人にも失礼のないように「了解」を使用することができます。
「了解いたしました」は正しい敬語表現
「了解いたしました」は日本語として正しい敬語表現です。「了解いたしました」は「了解」の謙譲語です。厳密にいうと、「いたしました」の部分が「しました」の謙譲語になっています。丁寧語の「了解しました」では敬意が足りないと感じる場合は、この謙譲語「了解いたしました」を使います。
「了解」は失礼な言葉ではないが注意が必要
「了解」は決して失礼な言葉ではありません。しかし、今や「了解」という言葉への誤解は広く浸透しています。誤解から生じたマナーとはいえ、「了解」を好まない人がいるのは事実です。自分で「了解」を使うときも、違和感を覚える場合は無理にこの表現を使う必要はありません。
しかし、「了解いたしました」は日本語としても謙譲語の敬語としても正しい表現です。言葉の誤解を解くためにも、自分が「了解いたしました」と言われたときは、理不尽に叱らないよう気を付けましょう。
「承知しました」は謙譲語ではなく丁寧語
「承知しました」という言葉を「了解しました」の言い換え表現として使う場合があります。「承知」は「事情を知り、相手の訴えを聞き入れて認める」という意味の言葉です。「承知」も「了解」と同じく、「承知」自体には敬語の意味がない言葉です。
「承知しました」は「了解しました」と同じ丁寧語です。「承知」という言葉自体を謙譲語として紹介しているサイトもありますが、これは誤りで、「承知」自体は謙譲語ではありません。「承知」を謙譲語として表現するなら「承知いたしました」とする必要があります。
「了解」をメールで使う際の正しい敬語表現って?
「了解」をメールで使う際の、正しい敬語表現をご紹介します。「了解」の敬語表現には、丁寧語の「了解です」「了解しました」、謙譲語の「了解いたしました」があります。メールではそれぞれどのような相手に使えば良いのでしょうか。
「了解です」または「了解しました」を使う場合
「了解」の敬語表現一つ目は「了解です」「了解しました」です。丁寧語に分類される表現です。「了解です」「了解しました」は、親しい人や同僚、上下関係のない相手、後輩や部下に対して「了解」を使うときに適しています。単に「了解」と書くよりも丁寧な表現です。
「了解いたしました」を使う場合
「了解」の敬語表現二つ目は「了解いたしました」です。「了解した」を謙譲語に変えた言い方です。「了解」を上司など目上の人に使う際は、「了解いたしました」という表現が適しています。
ただし、「間違いやすい『了解』の敬語表現」の項目でもご紹介したように、「了解」という言葉をあまりよく思わない人もいます。場合によっては「承知いたしました」や「かしこまりました」に言い換えたほうが無難でしょう。
ビジネスシーンで「了解」の敬語を使う際の注意点
ビジネスシーンで「了解」の敬語を使う際の注意点についてご紹介します。「取引先」と「お客様」相手のときは、「了解」の敬語を使うことを控えたほうが良い場合があります。
取引先の場合
一つ目は取引先の場合です。取引先の場合、「了解」という表現を使うことは避けた方が無難です。「間違いやすい『了解』の敬語表現」でもお伝えしたように、「了解」という言葉を好まない人がいるためです。
本来は「了解」を「了解いたしました」という謙譲語にすれば、目上の人に使う敬語として問題ありません。しかし、少しでも印象を悪くしたくない場合は「承知いたしました」「かしこまりました」を使う方が安全でしょう。
お客様の場合
二つ目はお客様の場合です。取引先の時と同様、お客様に対しても「了解」という表現を使うことは避けた方が無難です。お客様が「了解」を好まない人だった場合、嫌悪感を抱かせる恐れがあるためです。「承知いたしました」や「かしこまりました」という表現を使う方が安全です。
相手別敬語の「了解」の使い分けと言い換え方法
相手別に「了解」の敬語の使い方を見ていきましょう。「先生の場合」「先輩の場合」「友達の場合」「親や親戚の場合」に分けて、「了解」をどの程度の敬意の敬語にするか考えます。
実際は個人個人の立場や、場面によって「了解」の敬語の対応は異なります。あくまで一例としてご覧ください。
先生の場合
相手が先生の場合、親しい間柄や簡潔な連絡であれば「了解です」や「了解しました」の丁寧語で問題ありません。丁寧語では敬意が足りない、気になると感じる場合は、謙譲語の「了解いたしました」を使いましょう。
ただし、マナーに厳しい先生や大御所の先生の場合は、謙譲語の「承知いたしました」や「かしこまりました」を使う方が無難な場合があります。相手の性格や年代、立場を考えて使い分けると良いでしょう。
先輩の場合
相手が先輩の場合、親しい間柄であれば「了解です」「了解しました」という丁寧語の表現を使えば問題ないでしょう。特に友達関係に近い先輩の場合は、プライベートで謙譲語を使いすぎると距離感を感じ、不自然なこともあります。
ただし、社風が厳格な場合や、厳しい先輩の場合、年の離れた大先輩の場合は、謙譲語の「了解いたしました」を使うか、「承知いたしました」や「かしこまりました」に言い換えた方が無難です。相手の立場や性格、場面を考えて使い分けましょう。
友達の場合
親しい友達の場合、LINEやメールの返事であれば敬語を使わず「了解」だけで済ませる場合も多いでしょう。友達の場合は、変に程度の高い敬語を使うと距離感や嫌味を感じさせることがあるため、敬語を使うにしても丁寧語の「了解です」「了解しました」で十分です。
ちなみに、若者言葉やネット用語では「了解」を略して「りょ」「り」と表現する手法があります。
親や親戚の場合
相手が親や兄弟の場合は、近しい間柄のため、「了解」だけで済ませる場合が多いでしょう。あまり会わない親戚には、礼儀正しさの表現として「了解です」「了解しました」の丁寧語表現を使いましょう。
ただし、親が何らかの芸事の師匠である場合や、厳格な家庭の場合は謙譲語の「了解いたしました」や「承知いたしました」「かしこまりました」を使うこともあります。自分の家族や親戚との距離感や立場、場面を考えて使いましょう。
「了解」の言い換え表現と類語7選
最後に、「了解」の言い換え表現と類語を7つ紹介します。「了解」の類語・言い換え表現には「承知」「かしこまりました」「了承」「承諾」「理解」「わかる」「御意」などがあります。「了解」以外の表現も覚えておくことで、返答の幅が広がります。
承知
「了解」の類語・言い換え表現の1つ目は「承知」です。「承知」は「事情を知る・わかる」という意味と、「相手の訴えを聞き入れて認める」「許す」という意味があります。
例としては「百も承知だ」「彼の言い分は承知した」「次は承知しない」などがあります。丁寧語では「承知しました」、謙譲語では「承知いたしました」になります。「了解」の言い換え表現としてポピュラーな言葉の一つです。
かしこまりました
「了解」の類語・言い換え表現の2つ目は「かしこまりました」です。「かしこまりました」は「相手の言い分を理解し、それを認め肯定する」という意味の謙譲語です。
「かしこまりました」は「承知いたしました」と並んで、「了解」の無難な言い換え表現の一つです。「承知いたしました」よりも柔らかい言葉のイメージです。
了承
「了解」の類語・言い換え表現の3つ目は「了承」です。「了承」は「事情を理解し納得する」という意味の言葉です。「了解」よりもさらに「承認・認める」という意味が強まります。
承諾
「了解」の類語・言い換え表現の4つ目は「承諾」です。「承諾」は「要求や意見などを聞き入れること」や「受け入れること」を意味する言葉です。後述の「理解」や「わかる」よりも「聞き入れる」という意味が強まります。
理解
「了解」の類語・言い換え表現の5つ目は「理解」です。「理解」は「物事がわかること」「察すること」を意味します。
「理解」は「了解」と違って「認める」「肯定する」という意味はないところに注意しましょう。例えば、「言い分は理解できたが認めかねる」という場合にも使います。
わかる
「了解」の類語・言い換え表現の6つ目は「わかる」です。「わかる」は「物事の道理や内容をとらえること」「能力があること」を意味します。「理解」と同じく「認める」「肯定する」という意味はありません。
目上の人に「わかりました」という敬語を使うと、柔らかすぎて幼稚に見える場合があります。分類も丁寧語であり、敬意が低い敬語です。目上の人に理解を示す場合は、謙譲語の「かしこまりました」などを使いましょう。
御意
「了解」の類語・言い換え表現の7つ目は「御意」です。「御意」は「ぎょい」と読み、「命令や指図」「相手の考え」を意味する尊敬語です。「お心」や「おぼしめし」という意味のほか、目上の人への同意を示します。
硬い表現のため、日常会話ではあまり使われません。使い方の例としては「御意にございます」などがあります。
「了解」はTPOと相手を意識して使おう
いかがでしたでしょうか。今回は「了解」という言葉の意味と、「了解」の敬語表現における注意点、「了解」の類語・言い換え表現についてご紹介しました。
「了解」の敬語表現について、本来「了解」は目上の人に使っても問題ない表現であることを初めて知った方も多いのではないでしょうか。一部の書籍やウェブサイトでは、まだまだ「了解」を目上の人に使うには失礼な言葉として扱っているものがあります。マナーについてよく調べている人ほど誤解していることが多い言葉です。
「了解」の意味を正しく理解し、TPOに合わせて使っていきましょう。