「存じ上げません」の意味と使い方
ビジネスシーンや目上の人に対しては「知らない」ということを「存じ上げません」と言います。存じ上げませんは敬語の中でも謙譲語という表現になり自分よりも立場が上の方に使う言葉です。
社会人には欠かせない敬語表現ですが、大人になってもきちんと理解できずに使っているケースが多々あります。敬語をうまく使えないと恥ずかしいおもいをすることも十分に考えられますので十分に気をつけましょう。
知らない
「存じ上げません」は簡単に言えば「知らない」という意味を表しています。存じ上げませんという文章を分解すると、「存じる」は「知る」「おもう」「考える」「承知する」などという意味があります。その中でも一般的に使われている意味が「知る」です。
「上げません」は謙譲語の1つで相手を敬うときに使われます。目上の方に「知らない」という表現を使うことはとても失礼にあたります。自分と相手の関係性によっては「知りません」と丁寧語にしても敬いが不十分なこともあります。何気なく使っている言葉が自分の首を絞めてしまうこともあるので注意が必要です。
「存じ上げません」の例文
では実際に「存じ上げません」の例文を用いてご紹介しますのでぜひともご参考にしてください。例文を用いることでどんなシチュエーションで使われているかをイメージしやすくなります。
言葉は正しい相手に正しい使い方をすることがとても大切です。間違った使い方をしてしまうと、悪気がなくても失礼になるため十分に気をつけましょう。
尋ねるときに
知っているかと目上の人に尋ねるときのシチュエーションの例文をご紹介します。「存じ上げません」を活用して正しい問いかけをしましょう。同じ謙譲語であっても尋ねるときの表現は変化することがあります。
「存じ上げません」と答えるときと一緒に覚えておくと敬語表現のボキャブラリーが増えるのでおすすめです。ボキャブラリーが増えると微妙なニュアンスまで伝えることができるので言葉を覚えると話し上手になります。
存じ上げませんか
レストランを知っているかどうかのシチュエーションです。
「レストランの社長をご存知でしょうか」
尋ねるときには「存じ上げませんか」と聞いてはいけません。存じ上げませんという自分が主語になるときは存じ上げるの表現に「ご」をつけることはありません。但し、目上の方に問いかけるときは必ず「ご」をつけて敬いの表現にする必要があります。
答えるときに
目上の方から何かを知っているかと問われたときの答え方として「存じ上げません」と言います。知らないと言い切って終わってしまうのではなく、柔らかい印象を与えるときに、「存じ上げませんが」と文章を続けるときがあります。では、「存じ上げませんが」の例文をご紹介します。
存じ上げませんが
「上村さんをご存知でしょうか」と尋ねられたとします。そのときの答え方として「存じ上げませんが、その方がいかがなさいましたか」と続けると知らないと言い切って終わってしまうより印象としては優しく感じられます。
通常の話し方にすると「知りませんがどうしましたか」という意味になります。
「存じ上げません」の敬語
「存じ上げません」は敬語の1種であり、謙譲語表現です。しかし、敬語に謙譲語以外にも表現あります。「存じ上げません」と同時にその他の表現も確認していきましょう。その表現もビジネスシーンでよく使われる表現であり、1度は耳にしたことある可能性が高いです。
実際に普段からよく使っている方も多いとおもいますが、どの敬語表現であるかまで理解しておくと相手によっての使い分けがさらに上手になること間違いなしです。始めは考えながらでぎこちなくても、経験を積めば誰でも敬語表現を身に付けることができます。
謙遜語
一般的な敬語では尊敬語・謙譲語・丁寧語が使われることが多いです。しかし、謙遜語という表現は少し違い自分をへりくだっていう表現です。相手を敬うこととは少し異なります。謙遜とは本来、控えめでつつましい態度であることを意味します。
「存じ上げません」と同じ意味を謙遜語にした場合の言い回しについてご紹介しますのでぜひともご参考にしてください。
わかりかねます
「存じ上げません」は謙譲語になりますが、知らないという意味を自分をへりくだった言い方でぴったりとあてはまる言葉がありません。しいて言うなら、「わかりかねます」があてはまります。
「わかりかねます」とはわかりませんの丁寧語です。わからないと知らないはほとんど同じシチュエーションで使われれいます。「かねる」という表現が不可能を表しています。
丁寧語
敬語のなかの丁寧語とは「です」や「ます」や「ございます」という語尾になります。また文頭に「ご」や「お」をつけることで丁寧語になる場合もあります。
丁寧語で特に間違いやすいことは外来語に対しては「お」をつけないことです。例えば「ビール」を「おビール」という方が多く見られますがこれは間違いです。「着物」など日本語であれば「お着物」といわれます。
知りません
存じ上げませんの丁寧語は「知りません」と言います。会社の仲の良い上司であれば「知りません」と答えることも間違いではありません。しかし、知らない相手や目上の人であれば「存じ上げません」と謙譲語を使う方が無難です。
丁寧語は文字通り丁寧に伝えることを言います。「知らない」の場合は「知りません」、「わからない」の場合は「わかりません」と語尾を変化させることで表現します。
「存じ上げません」の過去形
「存じ上げません」は現在形の表現に対して、知らなかったという意味の謙譲語についてご説明します。過去形を使用するときは今は知っているけど、前は知らなかったというときに使用します。あまり多く使われる表現ではないですが、「あの頃は、存じ上げておりませんでした」という風に使うこともあります。
存じ上げておりませんでした
存じ上げませんの過去形は「存じ上げておりませんでした」と言います。同じく謙譲語での過去形となります。言い方としては少し申し訳なさそうに言うとベターです。今は知っているにしても過去には知らなかったことを胸張って発するよりかは、恐縮な態度でいうことが相応しいです。
例えば、「私は彼を存じ上げておりませんでした」という場合は、彼が誰であっても話し相手が目上の方である場合に使います。
「存じ上げません」の正しい使い方
存じ上げませんの正しい使い方は基本的には人物に対して使われます。注意するべきポイントとしては、誰に使う言葉であるかというところと、目的語が何かということです。目上の人にであり、かつ目的語が人や会社などである場合に使われます。
「存じ上げません」と「存じません」の違い
「存じ上げておりません」と「存じません」の大きな違いは何を知らないかというところがポイントです。存じ上げておりませんという場合には対象物が、「人物」になります。存じませんという場合は「物品」に対して使われます。
対象物によって使い方が変化するため、話し相手が目上の方であっても一律、「存じ上げません」というとおかしい日本語になることがあるため注意しましょう。
存じません
存じませんを使うシチュエーションとして「この商品をご存知でしょうか」と物品に対しては「存じません」が正解です。
しかし、「こちらの会社をご存知でしょうか」と人物ではないですが、対象が会社などの物品ではない場合は「存じません」とは言いません。人物扱いと同じで「存じ上げません」と言います。
「存じ上げません」の英語
「存じ上げません」の英語表現をご紹介しますのでぜひともご参考にしてください。日本の企業も海外との取引が増えてきており、英語を使うシチュエーションが多くなりました。英語では日本独特の敬語やビジネス言葉がほとんどないため日常会話で表されます。
英語と日本語ではニュアンスが異なるため「存じ上げません」という言葉の100%同じ意味である訳は存在しませんが限りなく同じ意味に近い表現で代用しましょう。
I don’t know
「存じ上げません」は「知らない」という意味であり英語では「I don’t know」と言います。メールなど親しい人に文章を送る場合「I don’t know」の頭文字を取って「IDK」と書かれる場合もあります。その他にもできるだけ早くという意味を持つ「as soon as possible」の場合「ASAP」と略される事が多いです。
英語の場合「I don’t know her」と目的語をつけて「彼女のことは存じ上げません」と表現することが多いです。目的語が完全に何であるかわかっている場合には「I don’t know that」などと代名詞で補うケースもあります。
I am not sure
知らないという意味を持つ英語はその他にもあります。例えば「Do you know the dog?]と問われた場合、「I am not sure」と答えるケースがあります。これは「知らない」「存じ上げません」という意味として使われることが多いです。
なかには、「わからない」という意味で使われるケースもあります。英語を話す人にはとても便利な文章であり、あいまいでわからないときでも覚えておらず知らないときでもあらゆるシチュエーションで使うことができるフレーズです。
I have no idea
「存じ上げません」という日本語を訳す場合、「I have no idea」と言われることもあります。「知らない」や「わからない」という意味を持っています。
直訳すると「アイデアがありません」という意味になりますが、「no」とは否定する意味やないという意味を持っています。そうするとno ideaとは全くアイデアがないという意味となり、つまり全くわからない、知らないという意味として訳されます。
例えば彼が全く誰かわかりませんという場合は、「I have no idea who he is.」と言います。
日本語は正しく使いましょう
「存じ上げません」の意味と使い方・例文・敬語・過去形や謙遜語などのご紹介はいかがでしたか。存じ上げませんなどと敬語の変化にとまどってしまう方もいるかとおもいますが、敬語の基本的な知識さえわかっていれば後はパズルのように組み合わせるだけなので難しいことはありません。
敬語に対する苦手意識を失くして日本語を正しく使えるようになりましょう。大人になってからも敬語を勉強する人も多く、わからないことは恥ずかしいことではありません。わからないままで放置しておくことがよくありません。社会人になるとより意識をして正しい日本語使えるようにがんばりましょう。