「お納めください」の意味と使い方・返し・例文・敬語・読み方

ビジネススキル

「お納めください」の意味と使い方

「お納めください」という言葉の意味と使い方についてですが、「お納めください」という言葉は古くは平安時代頃から日本でも頻繁に使われていた言葉・表現であり、特に「親善の気持ちを示す際・和睦調停を結び付ける際」などに、その有効の印として品々を相手に差し出す場合に使われていました。

この「お納めください」という言葉が使われる場面は大きく分けて2種類あり、1つ目は「それまでの経過において調停が必要となった場合」、2つ目は「自発的に(急に)一方から他方への親善を図りたいとした場合」となり、それぞれの違った用途においても、この「お納めください」という言葉が普通に使われていました。

お受け取りください

「お納めください」という言葉の基本的な意味合いには、この「お受け取りください」という意味が込められてあり、つまり「自分が差し出す品々を、その相手にどうしても受け取ってほしい」という心を強く訴えかける際に使われる言葉として認められます。

このように、多少むずかしい言葉や慣用句を覚える際には、「その言葉が持つ根本的な意味合い」に焦点を当て、簡単な言い回しに置き換えればどのような言葉・表現になるか、ということをあらかじめ見立てておくとよいでしょう。

特定の場所に差し出す

「お納めください」という言葉に含まれる「納める」という言葉の意味は、本来、「然るべき部署へ然るべき金額や物品(供物)を差し出す」という意味的側面を持ち合わせています。

たとえば昔で言えば、役所に毎年払う年貢の差し出しにはじまり、現代では税金や代金などを含め、「差し出さなければならない金・物」を指した上で、この「お納めください」という言葉が使われる形となります。「お納めください」という言葉に含まれるこの根本的な意味合いをまず念頭に置いておきましょう。

お礼の品々を差し出す

先述からの引き続きの内容となりますが、「お納めください」という言葉の真意には「金品を差し出す」という意味合いを含むと同時に、「然るべき部署へ差し出す」という意味合いが併せて含まれます。

そのため、「ただ物品を差し出す」という行動を指すのではなく、「必要な金品を特定の部署に差し出す」という意味合いが加味されるため、「お納めください」という言葉を使う場合には、その文脈をきちんと正確に把握する必要が出てきます。

気持ちを受け取ってほしい

先述でご紹介しました「金品を差し出す」というのはこの場合、差し出す側の気持ちや真意をしっかり受け取ってほしいという、「どうしても自分の親切心」や「お近付きになりたい」という気持ちをその相手に受け取ってほしい主張が表れます。

この場合でも「然るべき部署(相手を含め)に必要な金品を差し出す」という行動が、単純な自発的行動でないことを示しており、その「お納めください」という言葉が交わされる背景をしっかり見定めることが必要です。

誠意を認めてほしい

先述の続きとなりますが、「お納めください」と言う以上は、その話者の誠意がその相手に対して直接的に示される形になります。「金品を差し出す」というのは昔から「供物」や「進呈品」に見られる「感謝の気持ち」を示す物品の受け渡しを指すことになるため、その意味合いを含めて「話者の誠意を確実に伝える言葉」として認められます。

友好の印

古来、日本では「物を差し出す」という行動は「相手との和睦・調停・お近付き」を示す行動として認められており、その際に使われる「お納めください」という言葉はそのまま「相手と自分との有効の印」を指す言葉として広く認められていました。

この「お納めください」と言われて進呈される物品には「人」が含まれることもあり、この場合は婚姻・結婚の形として、他国と自国との同盟を結ぶきっかけとして利用されていました。

相手との対等の立場を築くため

この「お納めください」と言われて受け渡される品々を巡り、その受け渡しの名目は「相手と自分との対等の立場・互いに必要とする関係」を構築するための土台として扱われていました。

つまりこの場合も「同盟を結ぶために必要とされる金品(婚姻を含む)の受け渡し」が行なわれており、その際に「どうぞお納めください」という言葉をもってその調停がなされました。このような「金品の受け渡し」に見られた習慣が、現代の日本でも普通になされています。

ビジネスシーンでよく使われる

さて、「お納めください」という言葉の歴史について先述でご紹介しましたが、現代において使われる「お納めください」という言葉の意味合い・用法についてここではご紹介します。基本的に「お納めください」という言葉が使われる場面の多くはビジネスシーンであり、日常生活では特に改まった公式の場面においてのみ使われています。

お金

「お金の受け渡し」については「納付金」という言葉あるように、一般的に「お金を納める」という形で「お納めください」という言葉のニュアンスが使われています。

「100万円をお納めください」という役所側からの催促や、「500万円をご用意いたしましたので、どうぞお納めください」というお金を納める側からのアプローチでも普通に使われています。

メール

この場合は「メールをお納めください」という表現ではなく、そのメールにおいて「○○をお納めください」という表現をもって活用されます。

この場合でも「お納めください」とされる対象は主に金品であることが多く、「先日に事業資金として500万円をご用意させていただきましたので、どうぞお納めください」などといった「相手の許可・許容を求める形での訴え」となります。

手紙

先述の「メール」の場合と同じく、手紙によって「お納めください」という旨が伝えられる場合でも、主にその納める対象は金品となります。稀にメール・手紙の文面を「心中にお納めください」などの古めかしい表現がなされることもありますが、そのような場合はきわめて珍しい例となるでしょう。

基本的に手紙によって「お納めください」という気持ちが述べられる場合は、納めるべき金品を相手に贈った後に「付け添え」の形で伝えられることが通例であり、「お送りいたしました品々を、どうぞお納めください」という改めての挨拶として「お納めください」という言葉が使われます。

「お納めください」の返し・返事

「お納めください」の返し・返事についてですが、これについては場面・状況によっていくらでも返事・返答の仕方が見られるでしょう。「大変感謝申し上げます」などといった非常に改まった姿勢での返答もあれば、単純に「ありがとうございます」といった簡素な挨拶もその場合の返答になります。

ありがたく受け取らせていただきます

「お納めください」の返し・返事として最も多い例は、「ありがたく受け取らせていただきます」という旨をはっきりと伝える、直接的な挨拶となるでしょう。一般的に「金品を相手からもらった際」には、その相手への誠意や行動への謝意が述べられるのが通例となるため、常識的に見ても「その相手の誠意にしっかり応えること」が理想の返答となります。

お心遣いに感謝申し上げます

「お納めください」の返し・返事として、この「お心遣いに感謝申し上げます」という返答の仕方も非常に多くの場面で見受けられます。この場合でも「相手の行動や誠意に対する謝意(感謝の気持ち)」を「お心遣い」という言葉によって示しておき、その相手から自分への暖かい気持ちを賛美する姿勢をもって返答しています。

頂戴いたします

「お納めください」の返し・返事として「頂戴(ちょうだい)いたします」と言うのは、その相手と自分との間に「ある程度の信頼関係が構築されている状態」が見受けられます。いきなり初対面に近い人に対して「頂戴いたします」と返答するのは社会的ルール・マナーから見れば失礼に当たる場合があります。

「お納めください」の例文

日本語を覚える場合ですが、特に慣用句を自分の言葉として表現できるためには「実践的にその言葉・表現を学習すること」が効果的であり、必ず「言葉は使って覚える」という基本的な学習方法を忘れずに身に付けておくことが大切です。

・この度、ご結婚のお祝いの品々をご用意させていただきました。どうぞお納めください。
・A社の倒産を免れるだけの資金提供をさせていただきました。ぜひお納めください。
・これはわたくしどもの気持ちでございます。ぜひぜひ、お納めください。

お納めくださいませ

「お納めくださいませ」という表現は基本的に「納めてください」と、直接的に相手にその気持ちを伝える際に使われます。特にこの場合に使われる「ませ」の意味・活用には、先述でご紹介してきました「お納めください」の意味から変化させる用法はなく、そのまま「お納めください」の意味になります。

またこの場合の「ませ」は、丁寧語表現で知られる「です・ます調」と同じ形容となり、「ませ」は「ます」の命令形の用法となります。そのため「お納めくださいませ」という表現は「納めてください」と言う場合よりも、さらに強い気持ちを込めた「どうしても納めよ」といったニュアンスが伝えられます。

「お納めください」の敬語

日本語を1つ1つ覚える際には、その言葉の関連語をワンセットで覚えることが勧められます。この関連語には類義語や対義語などがあり、それらの言葉を一緒にインプットすることによって、「1つの言葉・表現を多角的に把握できる」という特典が付いてきます。

お受け取りください/もらってください/受け取ってほしい/受けてほしい/承諾してください/了承してください/ご許容ください/ご享受ください/ご活用ください/ご利用ください/ご使用ください

基本的に「お納めください」の類義語は上記の言葉がピックアップされますが、どの言葉・言い回しにも「ぜひその○○をもらってください・活用してください」という意味合いが含まれます。

丁寧語

丁寧語表現というのは一般的に、「です・ます調」による当たり障りのない丁寧な言葉遣いによる敬語表現を指すため、この「お納めください」という言葉はそのまま使っても、丁寧語表現として認められます。

丁寧語表現というのは尊敬語表現や謙譲語表現などと比べて「です・ます」を語尾に付けるだけといった「簡単な敬語表現」となるため、「お納めください」の例文をもって丁寧語表現を試みる際にも簡単に表現できるでしょう。

「お納めください」の読み方

「お納めください」の読み方は「おおさめください」となります。「納(おさ)める」という言葉だけが漢字表記であるため、「納」の字の関連語を先に覚えておいた場合にはこの読み方もすぐにわかるでしょう。

「お納めください」の英語表記と意味

「お納めください」という言葉を英語に直す場合、「納める・受け取る」という2つの意味合いに分けられます。その場合、特に英語圏内では以下のようにピックアップされます。

・pay(支払う)
・reap(払う、納付する)
・supply(納める、供給する)
・feed(エサをやる、味わう、納める)
・irrigate(納める、注ぐ)
・issue(出版する、納める)
・send(送る、贈る、納める)
・pay over(払い渡す、納める)
・accept(受け取る、許容する、納める)
・present(プレゼントする、差し出す、納める)
・receive(受け取る、許容する)
・pay out(払う、納める)

「お納めください」の英語表現と意味(1)

先でご紹介しました「お納めください」の英語表記を参考にして、「お納めください」の意味合いを含めた英語の例文をいくつかご紹介します。

・We have prepared these gifts for the celebration of marriage, please receive by all means.
「ご結婚のお祝いにこれらのプレゼントをご用意しましたので、ぜひお納めください。」
・We raised funds for your company. Please accept it.
「貴社のために資金調達をいたしました。どうぞお受け取りください。」
・Please examine the feelings from everyone.
「皆からの気持ちをどうぞお納めください。」

「お納めください」の英語表現と意味(2)

先述しました「お納めください」の英語表現に引き続き、今度はいろいろな場面で使われる「お納めください」の例文をご紹介します。

・The term “pay” basically refers to two meanings of “receiving” and “paying”.
「「納める」という言葉は基本的に「受け取る」と「払う」の2つの意味合いを指します。」
・The word “please pay” is a word that has been used for a long time in Japan, and in many cases it was recognized as a term referring to “alliance.”
「「お納めください」という言葉は、日本において古くから使われてきた言葉であり、多くの場合では「同盟」を指す言葉として認められました。」

「お納めください」の正確な用法を覚えましょう

いかがでしたか。今回は「お納めください」の意味と使い方・返し・例文・敬語・読み方と題して、「お納めください」の意味と使い方・返し・例文・敬語についての詳細情報のご紹介をはじめ、さまざまな場面で使われる「お納めください」の具体的な用例をご紹介しました。

「お納めください」という言葉は日本でも古くから使われてきた表現であり、その根本的な意味合いには「払う」と「受け取る」という、2種類の意味合いが持たされてきました。これらの意味合いは場面・状況によって使い分けられるため、その場面ごとに正確な「お納めください」の用法をしっかり理解することが大切です。

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