「取り急ぎお礼まで」の敬語での使い方
「取り急ぎお礼まで」の敬語での使い方についてですが、まず「取り急ぎお礼まで」という言葉は特に「何らかの用事で急いでいる際に、とにかくそのことについてのお礼だけは申し述べておきたい」とした場合、そうした「じっくりとお礼ができない」といった場合に使われる慣用句的な表現になります。
・この度は入園式に際しまして助成金をいただき、誠に感謝申し上げます。取り急ぎお礼まで。
・今回の事業プランにご支援いただき、誠に感謝いたします。取り急ぎお礼まで。
・先日のお礼のお返しをさせていただきます。取り急ぎお礼まで。
このような使われ方がされますが、どの場合にも「じっくり・ゆっくりとそのお礼について述べる時間がない」と言う場合や、とにかく先にお礼を述べたいという気持ちに沿う形での使われ方がなされます。
「取り急ぎ」の意味
このような慣用句的な表現をインプットする場合、特に「取り急ぎお礼まで」というようにある程度長いフレーズの場合は、その言葉・フレーズを構成している熟語同士や言葉同士を切り分けて考慮する(インプットし直す)ということが大切です。
まず「取り急ぎ」という言葉についてですが、これは一般的に「他に急用・用事があって、そのお礼を申し述べることがじっくり(十分に)できない」と言った場合に、「とりあえず先にお礼をさせてください」という気持ちをもって使われます。
このような「取り急ぎ」の意味合いを含めた表現となることから、この「取り急ぎお礼まで」という言葉・表現は失礼に当たる場合が考慮されますが、基本的にビジネス用語として使われる場合はそれほど問題ではなく、多くの場面で普通に使われています。
「お礼まで」の意味
この場合は「お礼まで」に含まれる「まで」の意味合いについての考慮となりますが、この「まで」というのはその字面どおりに「○○ということまで・○○させていただくだけで」といった、特定の行動の限界を示す内容になります。
つまり、「お礼まで」と言う場合は「お礼だけ」という意味合いになるため、先述しましたように「とにかくお礼を先にさせてください、他のことはこの場においては言えません」という気持ちを暗黙に伝える表現になります。
「取り急ぎ」の連絡の後で正式の連絡をする
「取り急ぎお礼まで」と言う場合は、必ずと言ってよいほど「その後に改めてきちんとしたお礼をする」といった行動が一連的に付いてきます。
これはビジネスシーンでも礼儀・マナーとしてあるため、「取り急ぎ」という言葉を使った表現である場合、「その後に正式なお礼や連絡を必ずすること」というように心掛けておきましょう。
相手との関係を見定めておく
特にビジネス用語を使用する際には、「相手と自分の関係性を把握しておき、どんな場合でも失礼のないように言動を働く」ということを身に付けることが肝心です。この「取り急ぎ」という言葉の意味が先述のような背景を持つため、「じっくりとお礼を伝える時間がありません」という気持ちを全面に出さないことが必要な場合があります。
特に上司や先方の社員に対して「取り急ぎ」という言葉を使うことは避けるべきです。「あなたとの時間を持つことは、他の用事によって妨げられます」という気持ちを全面的に示すことになるため、その場合は確実に相手に対して失礼な結果となってしまいます。
上司には使えない
先述のおさらいですが、上司に対して「取り急ぎ・取り急ぎお礼まで」という言葉を使うことはビジネススナーとしてはよくありません。
上司に対してはいつでも敬意を示して言動を働く対象となるため、「あなたとの時間をゆっくり持つことはできません」という意志表示はかえって大きな失礼に当たります。
この場合は「取り急ぎ・取り急ぎお礼まで」という言葉を使わず、別の敬語表現をもって相手に意図を示すことが大切で、この場合は他の言葉・表現(ボキャブラリ)のストックが必要になるでしょう。
お客さまには使えない
先述の続きとなりますが、上司に対して「取り急ぎお礼まで」という言葉が使えないのと同じように、顧客・お客さまに対しても「取り急ぎ・取り急ぎお礼まで」という言葉は使うべきではありません。
この場合でも「わたしはあなたとの時間をゆっくり持ちません」といった暗黙の意図がそのまま伝わることがあるため、その場合には相手にとって「自分が邪魔にされていること」を直接的に感じてしまうことがあり、かえって大きな迷惑・失礼に当たることがあります。
丁寧語
丁寧語というのは一般的に「です・ます」を語尾に付けて表現する「当たり障りのない丁寧な言葉遣いによる敬語表現」となるため、尊敬語や謙譲語にとる表現と比べる場合、比較的簡単な敬語表現となります。
「取り急ぎお礼まで」という言葉を相手に伝える際でも、語尾に「です・ます調」を付けて伝える場合はこの丁寧語表現になるため、多くの場面・状況において普通に扱われている敬語表現として認められます。
「取り急ぎお礼まで」の使い方
さて、この「取り急ぎお礼まで」という言葉の具体的な使い方についてここからご紹介します。日本語や外国語を学習する際には、このように「実践的に学ぶ」という姿勢がとても大切で、そうすることによっていろいろな場面において「自分の言葉・表現」として、多くの言葉・表現をスムーズに使い分けることができるでしょう。
・先日におきまして多くのご支援をいただくことができ、ここに取り急ぎお礼まで述べさせていただきたく存じます。
・先日は本当にありがとうございました。取り急ぎお礼まで。
・本日、粗品ではございますが、お気持ちをお送りさせていただきました。取り急ぎお礼まで。
このように、「取り急ぎお礼まで」という言葉は基本的に文末に添える形で使用されますが、場合によっては文中において使用されることも普通にあります。
メール
ビジネスメールでも日常に使われるメールの場合でも、この「取り急ぎお礼まで」という言葉は一般的に広く使われています。
メールでお礼を伝える際には、比較的、簡単なお礼や、ちょっとしたことを相手に伝える際に使われやすいツールとなるため、この「取り急ぎお礼まで」という言葉が使われる機会も増えることでしょう。
手紙
手紙は先述のメールの場合と比べて「直筆で文面を仕上げる」という過程があるため、メールの場合よりも比較的「きちんとしたお礼・正式なお礼」に使われる場合が多くなります。
そのため、お礼する内容が重要なことである場合は、先述しましたように「取り急ぎお礼まで」という言葉に代わる代用表現を使い分けることが求められることがあります。
お礼状
お礼状を相手に送る際には、先述の「手紙」の場合と同じく、比較的「正式なお礼である場合」が非常に多くなるため、その場合でも「取り急ぎお礼まで」という言葉に代わる代用表現の使用が求められることが多くあります。
その場合は、あえて「取り急ぎお礼まで」という言葉を省き、「ありがとうございます」や「感謝申し上げます」などといった、一般的に「お礼するときに使われる言葉・表現」だけをそのまま明記する方法がベターとなります。
社内・外別「取り急ぎお礼まで」の例文
基本的に社内・社外で「取り急ぎお礼まで」と言う場合においても、その文意を伝える方法・過程は先述と変わらず、「他の用事で忙しく、先にお礼だけをさせてください」といった、何らかの他のことで多忙であることを相手に伝える表現になります。
この場合の注意点ですが、社内では「取り急ぎお礼まで」という表現が使われることがありますが、社外で使う場合は必ず「別の表現に置き換えることが望ましい」ということを覚えておきましょう。
その場合、「取り急ぎ」という言葉は使用してもかまいませんが、その「十分にお礼ができていないこと・経過」を相手に謝罪する旨の言葉を付け添えることで問題は回避されます。
「取り急ぎのお礼になってしまうことを深くお詫び申し上げます」などと謝意を伝える表現をすることで、「取り急ぎ」という言葉も普通に扱うことができます。
「取り急ぎお礼まで」の類語
「取り急ぎお礼まで」という言葉に代わる類義語のご紹介ですが、この場合はまず「取り急ぎ」の類語をインプットすることが大切になります。その「取り急ぎ」の類語に「お礼まで」という言葉・その意味合いを持つ言葉をくっ付けるだけで、「取り急ぎお礼まで」の類語表現を調べられます。
荒削りのお礼まで/不十分なお礼まで/付け焼刃のお礼まで/生煮えの返礼まで/大まかなお礼まで/未熟なお礼まで/にわか造りのお礼まで/急ごしらえのお礼まで/準備不足のお礼まで/にわか仕立てのお礼まで/間に合わせのお礼まで
上記の言葉・表現が「取り急ぎお礼まで」の類語表現として認められますが、どの言葉の意味合いにも「じっくりと、十分なお礼ができていない」という意図が含まれます。
相手別「取り急ぎお礼まで」の使い方
ビジネス用語や敬語表現というのは特に「相手によってその使い方が変わる」という特質を持っているため、場面・状況をきちんと見極めた上での使用が必要になります。
・上司に対しては「取り急ぎお礼まで」という表現は使わない。
・顧客に対しては「取り急ぎお礼まで」という表現は使わない。
・同僚や部下に対しては「取り急ぎお礼まで」という表現を使える。
・友人同士の場合は「取り急ぎお礼まで」という表現を使える。
基本的に「取り急ぎお礼まで」という表現は「敬語表現を使う必要のない相手」に対して使えるため、特に改まった正式な場面意外の場所で使うことを心掛けておきましょう。
お客さま
先述でもご紹介しましたが、顧客・お客さまに対して「取り急ぎお礼まで」という言葉を使った場合、「相手と自分はゆっくり時間を持つことはできない・お礼を十分に伝える余裕はない」といったマイナスのイメージを先に伝えてしまう場合があります。
そのため、顧客・お客さまに対しては上司に対して表現する場合と同じく、「取り急ぎお礼まで」に代わる代用語を使うことが求められます。
あるいは「取り急ぎお礼まで」と伝えた後に「大変申し訳ございません」などの謝意を伝える表現を心掛けましょう。
「取り急ぎお礼まで」の用法は間違いなのか
「取り急ぎお礼まで」という表現そのものは文法的に間違いはありません。しかし、その言葉を使用するタイミングによって、「言葉の使い方・ボキャブラリの活用の仕方」において「間違い」とされる場合があります。
「まず第一に」と順序を示す「取り急ぎ」の意味
「まず第一に」と順序を示す「取り急ぎ」の意味についてですが、これは「第一に」という言葉が示すように「先にお礼を述べさせてください・させてください」といった、「お礼すること」を最優先に考慮した上での表現になります。
そのため、「お礼すること」を最優先にされたその相手としては、「特に失礼に当たる表現・態度はない」としてありがたくその申し出を受け取る場合が多く見られますが、それでも公式な式典や場面・局面においては、「お礼することも十分にできない」といったマイナスイメージで捉えられる場合があります。
「取り急ぎ」の意味は多忙を背景に示す
先述しましたように、「取り急ぎお礼まで」と言う場合の「取り急ぎ」という言葉の意味は「他の用事で現在多忙であるため、お礼を十分にすることができない」といった内容を相手に示すことになります。
この「取り急ぎお礼まで」という言葉にうかがえる背景をしっかり念とに置きつつ、その言葉・表現を使う場面・状況を見定めておくことが大切になります。
「お礼」そのものが粗末なものになり兼ねない
「取り急ぎお礼まで」と言うことによって、そのお礼そのものが粗末になるということはないですが、これはニュアンスの問題で、相手によっては「自分との時間を十分に持ってくれない」といった気持ちの面において「そのお礼自体が粗末なもの」と映ってしまうことがあります。
せっかく「最優先にお礼すること」を考えた上で相手にその旨を伝えたのに、そうした言葉のニュアンスによって「そのお礼自体が粗末な印象を与えてしまうこと」は非常にもったいないことになります。
このような結果にならないよう、あらかじめ「取り急ぎお礼まで」と言う場合は「謝罪を伝える言葉」を添えるか、別の表現をもって相手に伝えましょう。
「取り急ぎお礼まで」の英語表記と意味
「取り急ぎお礼まで」という言葉を英語に直す場合、それぞれの英単語の意味合い・用法に配慮した上で以下のようにピックアップされます。
・we appreciate hastening(取り急ぎお礼まで)
・thanks for the hurry(急ぎのお礼、取り急ぎお礼まで)
・inadequate gratitude(不十分なお礼、取り急ぎお礼まで)
・immature thanks(未熟なお礼、取り急ぎお礼まで)
・poor gratitude(退屈なお礼、粗末なお礼、取り急ぎお礼まで)
・thank you for not attending(行き届かないお礼、取り急ぎお礼まで)
「取り急ぎお礼まで」の英語表現と意味(1)
先でご紹介しました「取り急ぎお礼まで」の英語表記を参考にして、「取り急ぎお礼まで」の意味合いを含めた英語の例文をいくつかご紹介します。
・Thank you so much the other day. I would be forgiven my thanks.
「先日は本当にありがとうございました。取り急ぎお礼まで。」
・To thank you the other day, we are sorry but we sent you goods. Please be received my dear.
「先日のお礼に、粗品ではございますがお品をお送りさせていただきました。取り急ぎお礼まで。」
・I appreciate your cooperation this time. Please accept my appreciation.
「この度は、ご協力に感謝申し上げます。取り急ぎお礼まで。」
「取り急ぎお礼まで」の英語表現と意味(2)
先述しました「取り急ぎお礼まで」の英語表現に引き続き、さらに具体的な「取り急ぎお礼まで」の例文をご紹介します。
・Thank you very much for your cooperation and the provision of funds for this time. I can not thank you for anything, but please accept these gift items as our feelings. I’m sorry for the inconclusive thank you.
「この度は多大なご協力とご資金のご提供をいただくことができ、誠に感謝申し上げます。何のお礼もできませんが、ぜひ弊社のお気持ちとして、これらの粗品をお受け取りください。取り急ぎお礼まで。」
・I confirmed payment today. It is a hurry to thank you.
「本日、ご入金させていただきました。取り急ぎお礼まで。」
「取り急ぎお礼まで」の英語表現と意味(3)
先述の具体的な「取り急ぎお礼まで」の英語表現に引き続き、今度はいろいろな場面で使われる「取り急ぎお礼まで」の例文をご紹介します。
・Although the phrase “appreciate in haste” is used as a business term, it is necessary to properly distinguish the words after checking scenes and situations firmly.
「「取り急ぎお礼まで」という表現はビジネス用語として使われますが、場面や状況をしっかり確認した上での言葉の使い分けが必要です。」
・The word “inexperienced thanks” itself is not a wrong expression.
「「取り急ぎお礼まで」という言葉そのものは間違った表現ではありません。」
「取り急ぎお礼まで」の正確な用法を覚えましょう
いかがでしたか。今回は「取り急ぎお礼まで」の使い方・例文・類語|敬語/社内・外別と題して、「取り急ぎお礼まで」の使い方・例文・類語|敬語/社内・外別についての詳細情報のご紹介をはじめ、いろいろな場面で使われる「「取り急ぎお礼まで」の用例をご紹介しました。
「取り急ぎお礼まで」という表現は普通にビジネス用語としても使われていますが、しかし場面・状況・相手によっては、適切な表現に置き換えて伝えることが必要になります。
このような代用語を使い分けるためにも、1つ1つの言葉・表現を覚える際には「ボキャブラリのストック」を充実させておくことが非常に大切になります。