「ご指導のほど」の意味は?
「ご指導のほどよろしくお願いいたします」などとよく耳にする機会があります。特にビジネスシーンでは、メールや書面、上司や取引先などに対して「ご指導のほど」を使う機会は多いでしょう。
「指導」が「ある目的に向かって教え導くこと」という意味を持つことから、「ご指導のほど」とは「指導してもらうよう、指導してくれるよう」になります。
「〜のほど」とは?
この記事のテーマである「ご指導のほど」に限らず、「ご了承のほど」や「ご理解のほど」「ご教示のほど」などと使っている「〜のほど」という表現ですが、どのような意味を持っているかご存知でしょうか。
実はこの「〜のほど」とは、程度を表す「ほど」の意味ではなく、断定した言い方を避けて、表現をやわらげる目的で使われている表現になります。
「ご指導してください」「ご理解してください」などと直接的な言い方をすると、場合によっては相手に失礼に聞こえてしまうことがあります。「〜してください」が尊敬語での表現ではありますが命令形です。意味としては「指導しろ、理解しろ」という角が立った表現になってしまいますので、言葉をやわらかい印象にするためには「〜のほど」を用いましょう。
「ご指導のほど」の使い方は?
「ご指導のほど」の使い方についてご説明します。
「ご指導のほど」を用いる場合は、相手に「教えてほしい、教え導いてほしい」というお願いをする表現になりますので、「ご指導のほど」の後に「よろしくお願いいたします」と付け加えて表現しましょう。
この表現方法は、目上の方(上司や取引先、顧客など)に向けてよく使われる言葉で、目下の人に向かって使うことはありません。しっかり覚えておいてください。
年賀状でも使われる!
ビジネスシーンに限らず、年賀状などの新年の挨拶でも「ご指導のほど」がよく使われます。
この「ご指導のほど」は、自分より目上の方に対して敬意を表す表現と言えます。「相手を敬っているからこそ、至らない自分にこれからも色々と教えてほしい」というニュアンスが含まれているので、「あなたに敬意を払っています」ということを伝える手段として「ご指導のほど」が用いられています。
したがって年賀状においても、「どうぞ今後とも、ご指導のほどよろしくお願いいたします」などと年賀状を締めくくる結び言葉として活用しましょう。
「ご指導のほど」を敬語表現すると?
「ご指導のほど」の意味と使い方についてご説明しましたが、これを敬語表現するとどのような表現になるのでしょうか。
ポイントは、「ご指導のほど」や「ご指導」の後ろの部分に敬語表現する文言を付け加えると敬語表現になります。たとえば「ご指導のほど、よろしくお願いいたします」だと「お願いいたします」の部分で謙譲語の表現になっているので、これもれっきとした敬語表現です。
「〜のほど」を用いなくても敬語表現ができる!
前述したのは「〜のほど」を用いた表現ですが、これを用いなくても敬語表現は可能で、「ご指導いただきますようお願い申し上げます」「ご指導賜りますよう、よろしくお願いいたします」などもれっきとした敬語です。
「いただく」や「賜る」は「〜してもらう」の謙譲語、「お願い申し上げます」「お願いいたします」も「お願いします」を謙譲語で表しているものになるため、「ご指導いただきますようお願いいたします」「ご指導賜りますようお願い申し上げます」は正しい敬語表現をしていることが分かります。
以上のことから、「ご指導のほど」もしくは「ご指導」の後ろに敬語で表現している文言を付け加えると「教え導いてくださいね」という意味の敬語表現になります。
「ご指導のほど」の例文!
次に、「ご指導のほど」を用いた例文をご紹介します。
「ご指導のほどよろしくお願いします」
「教え導いてくれるよう、お願いしますね」ということを述べたい場合に「ご指導のほどよろしくお願いします」と表現します。
以下、例文です。
「これからもご指導、ご鞭撻(べんたつ)のほど、よろしくお願いします」
「昨年は大変お世話になりました。本年も変わらぬご指導のほど、よろしくお願いします」
「若輩者ゆえ、ご指導のほどよろしくお願いします」
「ご指導のほどよろしくお願い申し上げます」
「ご指導のほどよろしくお願いします」をもっと丁寧に述べたい場合は、「ご指導のほど」の後ろに「よろしくお願い申し上げます」を付け加えましょう。「お願いします」は丁寧語ですが、「お願い申し上げます」は謙譲語なので、へりくだった丁寧な表現ができます。
以下、例文です。
「どうぞ今年も変わらぬご指導のほど、よろしくお願い申し上げます」
「本日付で異動してきました田中です。どうかご指導のほど、よろしくお願い申し上げます」
「今後とも、ご指導のほど何卒よろしくお願い申し上げます」
「ご指導のほどよろしくお願いいたします」
「お願い申し上げます」と同じく「お願いいたします」も謙譲語なので「ご指導のほど、よろしくお願いいたします」」としてもOKです。
以下、例文をご紹介します。
「今後とも、変わらぬご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします」
「こちらに配属されました鈴木と申します。ご指導のほど、何卒よろしくお願いいたします」
「旧年中はお世話になりました。本年も変わらぬご指導のほど、よろしくお願いいたします」
「ご指導のほど」の目上の人への使い方は?
「ご指導のほど」は目上の人に使ってOKな言葉です。「〜のほど」とは断定的な表現を避け、言葉をやわらげる目的で使われていますので、目上の方などに対して丁寧に言葉を表現したい場合に、ぜひ活用してください。
「ご指導のほど」の後ろには「よろしくお願いいたします」「よろしくお願い申し上げます」などが続きます。また「〜のほど」を使わずに、「ご指導いただきますようお願い申し上げます」や「ご指導賜りますようお願いいたします」などと使用しても丁寧です。
上司に色々と教えてほしい場合に有効!
仕事をする上で、どうしても上司の指導は必要不可欠です。仕事について上司に色々と教えを請うこともあるでしょう。そのような場合に「ご指導のほどよろしくお願いいたします」のフレーズが有効です。
上司だけでなく先輩にも使え、「自分はまだまだ仕事を色々と教えてもらわなければならない」「もっと仕事を覚えるためにも、色んなことを教えてほしい」という向上心を見せるためにも「ご指導のほどよろしくお願いいたします」は積極的に使いたいフレーズです。
先生に学問を習いたい場合にも!
学校の先生などに、学問、学術的なことを教えてほしい場合に「ご指導のほどよろしくお願いいたします」が使える他、これまで教えてもらえたことに感謝の意を込めて「ご指導のほど〜」とすることも可能です。
「ご指導のほど」という表現は感謝の気持ちを述べるのにも使われます。先生だけでなく、前述した上司においても、「これまで教えてくれてありがとう。これからもぜひ教えてください」という感謝の気持ちを持って使うようにしましょう。
「ご指導のほど」の類語は?
「ご指導のほど」の類語はどのような言葉あるのでしょうか。ポイントは、「指導」の部分を他の語に言い換えることができるかどうかです。要するに「指導」という単語の類語が「ご指導のほど」の類語に当たることになります。
「指導」の類語の例を挙げると、「教示」「鞭撻」「伝授」「教授」「指南」などがあります。したがって、「ご教示のほど」「ご鞭撻のほど」などと言い換えることができます。
敬意を表す「ご指導のほど」を使えるようにしよう!
これまで説明してきたように、「教えてほしい」「教え導いてもらいたい」ということを述べる際に、「ご指導のほど」の後ろに「よろしくお願いします(いたします)」などを付けて表現します。これは、年賀状の締めの挨拶でもよく使われる表現で、相手の方に敬意を表すものにもなります。
特にビジネスシーンでは、上司や取引先など、さまざまな場面で「ご指導のほど」が使われています。相手が気持ちよく仕事ができるよう、また自分も気持ちよく円滑に仕事を回すためにも、相手の方に敬意を表す「ご指導のほど」を上手に活用しましょう。