「ご配慮いただきありがとうございます」の意味は?
ビジネスシーンでよく使われているに「ご配慮いただきありがとうございます」という文言があります。みなさんは、この言葉の意味をご存知でしょうか。
この言葉を、「配慮」「いただき」に分解してみると意味が分かりやすくなります。「配慮」とは「良い結果になるように心を配ること、気遣い」を意味し、「いただき」は「〜してもらう」という補助動詞の謙譲語です。
したがって「ご配慮いただき」とは、「気を配ってもらって」という意味になり、その後に「ありがとうございます」が付いていることから、感謝の気持ちを述べていることが分かります。
つまり、「気を配ってもらって、気にしてもらってありがとう」ということを述べる際に「ご配慮いただきありがとうございます」が使われています。
「配慮」と「考慮」の違いは?
「配慮」とよく似た言葉で「考慮」がありますが、この両者の違いは何でしょうか。
前述のように「配慮」とは「気を配ること」ですが、一方の「考慮」は「考」という字が含まれていることから「よく考えること」を意味しています。
この「配慮」と「考慮」はよく似た言葉ですが、「気を配ること」と「考えること」と、大きく意味が違いますので、しっかり違いを理解しておきましょう。
「ご配慮いただきありがとうございます」の使い方!
次に「ご配慮いただきありがとうございます」の使い方についてご説明します。
この言葉の意味としては「気を配ってくれて、気遣ってくれてありがとう」です。相手に対して感謝の意を述べたい場合によく使われる文言です。これは敬語表現をしていることから、目下から目上の人に向けて使われる表現ということがわかります。(敬語表現については詳しくは後述します)。
したがって、自分より年齢や立場が上の人に「気遣ってくれてありがとう」と述べる際に「ご配慮いただきありがとうございます」を用いてください。
メールでの使い方!
ビジネスメールでもよく使われている「ご配慮いただきありがとうございます」ですが、メールではどのように使われているかをご存知でしょうか。
メールでは、上司や取引先などの「目上の方」に向けて、お礼のメールを送る際に使用されます。メールの初めの挨拶としてよく使われています。
メールの書き出しで「ご配慮いただきありがとうございます」を使って相手からの気遣いに対する感謝の気持ちと挨拶を述べ、その後に本題へと入ります。最後に「今後とも、どうぞよろしくお願いいたします」などの結びの言葉で締めくくるのがビジネスメールの基本的な「型」になっています。
「〜していただく」はひらがな表記!
ビジネスメールでは正しい漢字と正しい送り仮名、ただしい平仮名の表記が求められます。「ご配慮いただきありがとうございます」の「いただき」の部分は漢字の「頂き」ではなく、平仮名の「いただき」と表記しなければなりません。
「ご配慮いただきありがとうございます」の敬語!
「ご配慮いただきありがとうございます」の敬語表現について説明する前に、まずは敬語の種類について簡単に復習しておきましょう。
敬語は大きく分けて、尊敬語・謙譲語・丁寧語の3種類に分類することができます。尊敬語は目上の方に対して敬意を表す敬語、謙譲語は自分を下にして相手を間接的に高めるへりくだった表現の敬語、丁寧語は文末に「です、ます」がついた丁寧を表す敬語です。
敬語の使い方としては、尊敬語は目上の人の動作を表す際に使い、謙譲語は自分の動作を目上の人に向けて述べる際に使用します。丁寧語は目上・目下関係なく、誰に対して使っても大丈夫な敬語になります。この使い方の違いを理解しておきましょう。
では、以下で「ご配慮いただきありがとうございます」の敬語表現についてご説明します。
「ご配慮いただき」は謙譲語!
「ご配慮いただきありがとうございます」の「ご配慮いただき」の部分に着目してみてください。「いただき」は「〜してもらう」の謙譲語での表現です。
したがって、「配慮してもらう」を謙譲語で表すと「ご配慮いただき」になります。「ご配慮いただきありがとうございます」は謙譲語で表されていることが分かります。
自分が配慮する場合は「ご」を付けない!
「ご配慮いただきありがとうございます」は、目上の人に向かって「配慮してくれてありがとう」と述べたい際に使用する敬語(謙譲語)であると説明しました。これは、目上の人が配慮してくれたことに対する感謝の気持ちの表明です。つまり、「配慮」という動作をしたのは、目上の人ということになります。
一方、自分が「配慮」の動作をする場合は、頭に「ご」を付けずにそのまま「配慮する」になります。目上の人に向かって自分の配慮を述べる場合は、謙譲語の「配慮いたします」と表現します。
敬語のルールとして、自分の動作を述べる場合には尊敬語は用いません。「ご配慮」の「ご」の部分が尊敬の接頭辞となっていますので、自分のことを述べる場合は、この「ご」を取り除く必要があります。
目上の人への使い方は?
「ご配慮いただきありがとうございます」は正しい敬語(謙譲語)なので、目上の人に使って問題はありません。
気遣ってくれたことに対するお礼の気持ち、気を配ってくれたことに対する感謝の気持ちを述べたい場合に「ご配慮いただきありがとうございます」を用いましょう。
上司への使い方は?
上司も「目上の人」に当たりますので、前述のように「ご配慮いただきありがとうございます」を用いてOKです。ですが、もっと丁寧な表現をしたいなら「ご配慮賜り誠にありがとうございます」や「ご配慮いただき恐縮です」などと表現するのも良いでしょう。
「賜り」は「(目上の人から)もらう」という意味で、「いただき」と同じような意味として使えます。「いただき」と「賜り」では「賜り」の方がより丁寧な表現です。また、「ご配慮いただき」の後ろに「恐縮です」と付け加えることによって、「配慮してもらったことに対して申し訳ない気持ちを表し、相手を気遣うフレーズになりますので、とても丁寧な表現になります。
上司に対しては「ご配慮いただきありがとうございます」で問題ありません。ただ、もっと丁寧に表現したい場合には「ご配慮賜りありがとうございます」「ご配慮いただき恐縮です」と表現しましょう。
目下の人に使えるのか?
尊敬語は目上の人の動作を表すものなので、目下の人には使えません。謙譲語も敬語のルールに拘束されます。敬語のルールでは、目下の人にへりくだる必要はないと解釈されているため、自分の動作について、目下の人に向かって述べる場合は謙譲語を用いません。
「ご配慮いただきありがとうございます」は「ご」が尊敬の接頭辞、「いただき」で謙譲語での表現をしていますので、これは目下の人には使えないことを覚えておいてください。
目下の人には「気遣ってくれてありがとうございます」「配慮してもらってありがとうございます」などのように、丁寧語で表現すればOKです。
「ご配慮いただきありがとうございます」の例文
「ご配慮いただきありがとうございます」をそのまま使うのではなく、「ご配慮」の部分を「お気遣い」に変えることができます。また、「ありがとうございます」の部分を過去形の「ありがとうございました」にすることも可能です。
では、「ご配慮いただきありがとうございます」という意味になる例文をご紹介します。
「ご配慮」を「お気遣い」に変換!
「ご配慮いただきありがとうございます」の「ご配慮」の部分を「お気遣い」に変換してみると、「お気遣いいただき、ありがとうございます」になります。気遣ってくれていることに対する感謝の気持ちを述べる場合に使えます。
以下、例文です。
「いつもお気遣いいただき、ありがとうございます」
「部長のお気遣い、大変感謝しております」
「ありがとうございました」にしてもOK!
現在進行系で配慮してもらっていることに関しては「ありがとうございます」でOKですが、過去に配慮してもらったことへの感謝の意、お礼の言葉を述べたい場合には「ありがとうございました」と過去形を用いましょう。
以下、例文です。
「先日は、ご配慮いただきありがとうございました」
「部長のおかげで無事完遂することができました。ご配慮いただきありがとうございました」
目上の人に感謝の意を述べよう!
これまで説明してきたように、配慮してくれたことに対するお礼の気持、感謝の意を述べる場合に「ご配慮いただきありがとうございます」が用いられます。ビジネスメールでも、挨拶の書き出しなどでよく使われるフレーズです。
多かれ少なかれ、誰しも上司や取引先などの目上の人に配慮をしてもらいながら仕事をしています。その配慮に対して感謝ができる人は回りからの印象も良く、仕事も円滑に回るようになります。素直に「ありがとう」が言える人になりましょう。