「読む」の尊敬語
「読む」の敬語表現を理解していますか。ビジネスシーンにおいて敬語が使えることは必須ですが、意味や使い方をきちんと理解できているでしょうか。この記事では、「読む」の敬語表現の使い方や例文、敬語の種類による違いなどを紹介していきます。
はじめに、「読む」の尊敬語を見ていきます。「読む」の尊敬語は、「読まれる」「お読みになる」です。例文とともに詳しく確認していきましょう。
読まれる
例文「部長が社員の前で、今月の目標の書いた紙を読まれている」
尊敬語は相手に対して敬意を表す敬語です。そのため、主語は敬う相手になります。例文では部長が主語です。
部長が社員に対して今月の目標を読み上げている様子を表しています。その状況をイメージすることはできたでしょうか。
お読みになる
例文「社長は先日発売したばかりの本をお読みになっている」
社長が本を読んでいる様子を表している文章です。社長を敬った文章のため、社長が主語となっています。
「お読みになる」のように「お~なる」という形をとるものは尊敬語の形です。「お読みになる」の他にも、「お聞きになる」「お食べになる」などという使い方をします。
「お読みになられる」は間違い
「読む」の尊敬語の表現としてよく間違って使われるのが、「お読みになられる」という表現です。これは先程紹介した2つの尊敬語である「読まれる」と「お読みになる」が合わさった言葉です。また、敬語表現である「られる」がくっついている形です。
このように、1つの言葉に同じ種類の敬語が複数ついたものを「二重敬語」といいます。二重敬語は文法的に間違っているため、注意しましょう。
「読む」の尊敬語の使い方
「読む」の尊敬語の使い方を確認していきましょう。ここでは、メールと手紙といった状況別に述べていきます。
「読む」の尊敬語である「読まれる」「お読みになる」をどのようにして使うのか、しっかり確認していきましょう。理解することができたら、ぜひご自分でも一文作ってはいかがでしょうか。実践することで理解はさらに深くなっていきます。早速見ていきます。
メール
例文「上司は部長への昇進のメールをお読みになった瞬間、表情を変えた」
上司がメールを見たときのことを述べている文章です。敬う対象の上司を主語として、「お読みになる」という「読む」の尊敬語を形を変えて使っています。
ビジネスシーンにおいてメールはよく使われるツールです。メールを読むことに関する敬語表現の一つである「読む」の敬語はしっかりと抑えておきましょう。
手紙
例文「先輩は旧友からの手紙を思い出に浸りながら読まれている」
先輩が旧友からの手紙を読んでいる時の様子を述べている文章です。敬う対象は先輩のため、先輩を主語にして「読まれる」という「読む」の尊敬語を使っています。
手紙やメール、資料、文章など文字に関わることには「読む」という言葉がしばしば使われます。この機会に「読む」という言葉の敬語をマスターしておきましょう。
「読む」の尊敬語と謙譲語・丁寧語の違い
「読む」の尊敬語と丁寧語、謙譲語の違いを確認していきましょう。状況や敬語を使う相手によって、使う敬語の種類は変わってくるのでしっかりと抑えておきましょう。
ビジネスシーンにおいて敬語を上手く使えなければ、自分が恥をかくだけではなく相手に対しても失礼に当たります。そのような状況で失敗してしまわないためにもこの機会に敬語の正しい使い方を身につけましょう。
「読む」の丁寧語
「読む」の丁寧語は「読みます」です。丁寧語はその言葉に「です」「ます」を付けた表現になります。
丁寧語は物事を丁寧に表す言葉です。丁寧に表現することで相手に対して敬意を表しています。丁寧語は意識しなくても使えているという人が多いのではないでしょうか。誰に対しても敬意の気持ちを持って、丁寧な言葉づかいを心がけましょう。
「読む」の謙譲語
「読む」の謙譲語は「拝読する」です。謙譲語は相手を立てて自分をへりくだって表現する敬語です。そのため、主語は自分になります。
「上司から譲ってもらった本を拝読する」というように、その行為をするのは自分で敬意を表す相手は上司になります。自分が動作するときに相手を敬いたいときは、謙譲語を使いましょう。
「読む」の類語
「読む」には多くの類語がありますが、ここではビジネスシーンに適した「読む」の類語を紹介します。ビジネスシーンにおいて使われるこれらの言葉は、敬語に変換して使用することが多いです。
丁寧語の接頭語を用いて「ご」をつけて表現することもあれば、尊敬語の「される」という形に変換して表現することもあります。「読む」の敬語の言い換え表現としてしっかりと抑えておきましょう。
一読する
1つ目の「読む」の類語は、「一読する」です。「いちどく」と読みます。
「一読する」とは「目を通す」という意味で、上司に資料を見てもらいたいときなどに使います。「お忙しいところ恐縮ですが、ご一読いただけますでしょうか」というように使います。
清覧する
2つ目の「読む」の類語は、「清覧する」です。「せいらん」と読みます。
「清覧する」とは「読む」という言葉を敬って表現した言葉です。手紙の文章の文頭や文末などで使用します。「御清覧いただければ幸いです」「御清覧してもらえますでしょうか」と言った形で使います。
大変かしこまった文章のため、取引先や尊敬する目上の人などに丁寧に伝えたい場合に使うようにしましょう。
「見る」と「読む」の敬語の違い
「見る」と「読む」の敬語の違いについて確認していきましょう。「見る」も「読む」も日常生活においてもビジネスシーンにおいても、よく使う言葉のためしっかりと理解する必要があります。
ここでは、尊敬語と謙譲語について比較していきます。早速見ていきましょう。
「見る」の尊敬語
「見る」の尊敬語は、「見られる」「ご覧になる」です。「読む」の尊敬語が「読まれる」「お読みになる」であるということを頭に入れて比較していきましょう。
まず、「見られる」「読まれる」はそれぞれ「れる」の形を付けて変形させたもので、造りが同じです。一方で「お~なる」という尊敬語の形をとる「読む」に対して、「見る」は「ご覧になる」と「見」という漢字を使っていない表現になっています。
「見る」の謙譲語
「見る」の謙譲語は、「拝見する」です。「読む」の謙譲語が「拝読する」であるということを頭に入れて比較していきましょう。
「拝見する」も「拝読する」も、それぞれの漢字と「拝」という漢字を組み合わせて熟語にしたものになります。「拝」には「自分の行為に冠して相手に敬意を示す語」という意味が含まれており、これと組み合わせることで敬意を表す言葉になります。
「読む」の尊敬語の例文
「読む」の尊敬語の例文を確認していきましょう。「読む」の尊敬語である「読まれる」「お読みになる」を使って、各項目ごとに例文を考えていきます。
早速見ていきましょう。
本
まずは、「本」を読むことに対しての例文です。
・部長は本を読まれている
・上司は一日一冊本をお読みになっているそうだ
・先輩が読まれていた面白そうな本を貸してもらった
資料
続いて、「資料」に対して書かれた例文を紹介していきます。
・部長に資料をお読みになってもらうようお願いした
・社長は今頃、私の作った資料を読まれているのだろうか
・先輩は就職活動に関する資料を真剣に読まれていた
「読む」の敬語を正しく理解してうまく使いこなそう
「読む」の尊敬語を中心に、敬語表現の使い方や例文について紹介してきましたが理解することはできたでしょうか。
目上の人について話すときに使用する尊敬語は、相手に失礼にならないためにもしっかりとマスターしておく必要があります。この機会にぜひ敬語の使い方を身につけましょう。