「参加させていただきます」は正しい敬語か?
参加させていただきますは正しい敬語かどうか、迷われている方もいるでしょう。特に、日本語を正しく表現したい方は疑問が湧くのではないでしょうか。
結論から言いますと、「参加させていただきます」は正しい敬語です。ただ、言葉は文法を間違えて何気なく用いると、不適切に使ってしまう恐れがあります。言葉はコミュニケーションの手段であり、目的は人間関係を良好にすることです。
数学の勉強ではありませんが、直ぐに回答だけを求めるのではなく、なぜ正しいかをよく理解して、自信を持って「参加させていただきます」を使いましょう。
「参加させていただきます」を分解すると
参加させていただきますは3つの言葉から成り立っている敬語です。以下、3つの言葉を一つずつ紐解いてみます。
・参加→(名詞)→「目的ある集まりに一員となり行動をともにする」
・させていただき→(謙譲語)→「させてもらう」
・ます→(丁寧語)→「する」
上記のとおり3つに言葉から成り立っている語句であり、同じ種類の敬語が続いていないので、正しい敬語の語句であることがわかります。
視点を変えますが、「参加させていただきます」は、敬語の表現を用いらなければ「参加させてもらう」になり、もう少し丁寧に表現にすると「参加させてもらいます」になります。
「二重敬語」とはどういう言葉?
二重敬語について触れてみます。二重敬語は語句として間違いであり、聞く側(見る側)にとって、不快と感じないまでも回りくどい印象を与えてしまいます。
二重敬語とは、語句の中で同じ種類の敬語を続けて用いることで、具体的には「尊敬語+尊敬語」、または「謙譲語+謙譲語」で成り立っている語句です。
しかし、「お召し上がりください・お伺いする」は二重敬語ですが、慣用的に使われていて許容されています。
日本語は時の移り変わりとともに変化しています。確かに、現在では江戸時代と同じ言葉遣いをしてはいません。その時代に応じて臨機応変に適切な言葉遣いをしていきましょう。
「二重敬語」の例
具体的な二重敬語の例文をみてみます。例文では、一見、正しい敬語に見えるものがありますので、この機会にきちんと理解をして、正しい敬語を使いましょう。
×先生がおっしゃられていました(尊敬語+尊敬語)
〇先生がおっしゃっていました(尊敬語+丁寧語)
×社長が起こしになられました(尊敬語+尊敬語)
〇社長がお越しになりました(尊敬語+丁寧語)
×ご覧になられますか?(尊敬語+尊敬語)
〇ご覧になりますか?(尊敬語+丁寧語)
×おいでになられました(尊敬語+尊敬語)
〇おいでになりました(尊敬語+丁寧語)
×鈴木 社長殿(敬称+敬称)
〇鈴木 社長(敬称)
いかがでしょうか。つい間違ってしまいそうな言葉もあったことでしょう。
「させていただきます」他の例
させていただきますは、自分から相手への謝意と喜びを表現する場合が多いことから、いろいろな名詞の後に付くことが多い語句です。
・報告させていただきます
・訪問させていただきます
・投稿させていただきます
・公開させていただきます
・着席させていただきます
「させていただきます」は、自分から相手へ謙虚な印象を与えます。
「参加させていただきます」の例文
「参加させていただきます」はどのような場面で使われるのでしょうか。いろいろな場面ごとに例文を取り挙げてみます。
喜んで
「喜んで」と「参加させていただきます」の組み合わせの例文です。
・来月の挙式には喜んで参加させていただきます。
・取引先との食事会には、喜んで参加させていただきます。
・お義父さんの誕生会に喜んで参加させていただきます。
「喜んで」と「参加させていただきます」の組み合わせは、積極的に参加したい気持ちを強調できます。また、相手への配慮も含んだ言葉です。
謹んで
「謹んで」と「参加させていただきます」の組み合わせはどうでしょうか。
・御社の会議には謹んで参加させていただきます。
・社長との食事会に謹んで参加させていただきます
「謹んで」と「参加させていただきます」は「喜んで」とは違い、相手への敬意と自分の謙虚な気持ちを表現することができます。目上の人などから自分にとっては重責な事に誘ってもらったときなどに使うとよいでしょう。
「参加させていただきます」の敬語
「参加させていただきます」自体が敬語です。さらに丁寧な表現をすると、「ぜひ、参加させていただきます」や「参加させていただきたく存じます」など、自分が参加することにより積極的な気持ちであることを表現すると、より相手を引き立てることができるでしょう。
「参加させていただきます」の使い方
「参加させていただきます」の使い方を場面ごとにみていきます。いろいろな場面によって微細な違いがあります。
ビジネス
「参加させていただきます」が一番多く使わるのがビジネスの場面でしょう。なぜ一番多く使われるかといいますと、上司と部下の上下関係や取引先との社外関係があるからです。
敬語は目上の人に対して発する敬意です。日々、上司や取引先に敬語が必要です。敬語を使わなかったり誤った敬語を使うと、相手への信用や、また、取引にも影響する可能性もあります。
ビジネスの場面で「参加させていただきます」は、自分が上司や取引先からの誘いに対する返答に使うことが多いでしょう。「参加させていただきます」という返答は、相手への丁寧な印象と返答に対する積極的な印象を与えることができます。
メール
「参加させていただきます」は、もちろん、メール内の文章でも有効に活用できる語句です。
取引先から何らかのの誘いを受けたときや、イベントの案内、会議の参加などのメールを受信したときなど「ぜひ、参加させていただきます」と返信をすると、積極性をアピールできるでしょう。
結婚式
結婚式では、招待状の返答に用います。「参加します」よりも「参加させていただきます」のほうが、新郎新婦に好印象を与えるでしょう。
「参加いたします」との違いは?
「参加させていただきます」と同じ意味で「参加いたします」という語句があります。どのような違いがあり、状況に応じて、どちらの言葉を遣うのがよいかをみてみます。
「参加いたします」の意味とは?
参加いたしますは、「参加」と「いたします」の2つの言葉から成り立っています。「いたします」は「する」の謙譲語ですから、「参加させていただく」という敬語になります。
どちらが適切か?
「参加させていただきます」と「参加いたします」は同じ意味をもった語句です。では、どちらの言葉を遣うのが適切なのでしょうか。「参加」の後の「させていただきます」と「いたします」の違いから語句から受ける印象をみるのがよいでしょう。
「させていただきます」は、自分の行動の対して相手からの許可をもらう表現です。ですが、「よろしいですか」のように行動をしてもよいかお伺いを立てるのではなく、行動が認められることを前提にしています。
「いたします」は、「する」の謙譲語ですから、単に、自分の行動を宣言する表現です。お伺いを立てるような場面では「誠に勝手ながら」を前に付けた方が相手に横柄な印象を与えないです。
「参加させていただきます」のほうが「参加いたします」より丁寧な表現といえます。ただ、どちらの語句も大きな違いはありません。相手関係や、文書でしたら前後の内容によって使い分けるのがよいでしょう。
「参加させていただきます」は敬意をもって
「参加させていただきます」の例文や使い方、二重敬語、また、「参加いたします」の違いなどをみてきました。
復習になりますが、敬語は相手に敬意を表現する語句です。もちろん、相手への敬意の表現は、所作や言い方も大事な要素ですが、語句として発した言い間違いが、あとからの人間関係に大きく影響することもあります。
特に「参加させていただきます」はビジネスの場面でよく使われる言葉です。自分を積極的にアピールできる反面、不適切な場面では自分の意に反する伝わり方になりかねません。
場面を踏まえて相手が何を望んでいるかをよく考え、相手に敬意を表することを忘れずに、参加させていただきますを適切に使いましょう。