「ご協力のほど」とは?
ビジネスシーンでよく利用される「ご協力のほど」という表現がありますが、なぜこのような言い回しにしているのか気になったことはありませんか。
「協力」の前後に「ご」と「のほど」を加えることで、強い調子で相手へ協力を求めるのではなく「できれば理解して協力していただけたらありがたいです」といったソフトな印象を相手に与えて協力をお願いするときに使う表現になります。
「ご協力」の類語とは?
「ご協力」と同じ意味を持つ類語にはどういったものがあるでしょうか。
毎回「ご協力」を使うよりも、他の類語に言い換えて表現すると伝えたい内容が相手に響きやすいのでオススメです。「ご協力」という表現以外に使える類語を紹介していきます。
お力添え
「お力添え」とは「おちからぞえ」と読みます。ご協力の類語でもあるお力添えとは、言葉のとおり「相手に協力する」、「相手に力を貸す」といった相手をサポートすることを意味します。よく使われる例文として、「○○の件においてお力添えいただき誠にありがとうございます」といった表現があります。
ご尽力
「ご尽力」とは「ごじんりょく」と読みます。「ご協力」の類語でもある「ご尽力」とは、言葉のとおり「ある目的を果たすために力を尽くす」「精一杯努力をする」といった奉仕することを意味します。よく使われる例文として、「町の復興にご尽力いただき誠にありがとうございます」といった表現があります。
「ご協力のほど」の例文とは?
具体的に「ご協力のほど」を使った例文はどういったものがあるのか気になる人も多いでしょう。相手に丁寧で好印象を与えるような「ご協力のほど」という表現を使った例文をいくつか紹介していきます。相手に快く協力していただきたい場合におすすめです。
「よろしくお願いいたします」を含めた例文は?
「ご協力のほど」に「よろしくお願いいたします。」を加えた例文はどういったものがあるでしょうか。
「よろしくお願いいたします」を加えてよく利用される表現として、
「○○のボランティアの件で数名参加の募集を開始いたしました。」
「皆さまお忙しいとは存じますが、ご協力のほどよろしくお願いいたします。」
「年末年始の期間は、営業時間を○時から○時に変更させていただきます。」
「ご不便おかけし申し訳ありませんが、ご協力のほどよろしくお願いいたします。」
といったものがあります。
「ありがとうございます」を含めた例文は?
「ご協力のほど」に「ありがとうございます」を加えた例文はどういったものがあるでしょうか。
「ありがとうございます」を加えてよく利用される表現として、「本件につきまして、ご協力のほどありがとうございます」や、「〇〇の期間は清掃中のため利用できません。ご不便おかけしますが、ご協力のほどありがとうございます」といったものがあります。
「何卒」を含めた例文は?
「ご協力のほど」に「何卒」を加えた例文はどういったものがあるでしょうか。
「何卒」とは、「どうぞ」や「どうか」とおなじ意味で相手により強い願望を抱いた意味になります。「何卒」を加えてよく利用される表現として、「本件につきまして何卒ご協力のほどよろしくお願いいたします」や、「〇〇の件におきまして、○月○日までにご回答いただけるよう何卒ご協力のほどよろしくお願いいたします」といったものがあります。
「ご協力のほど」と「ご理解」とセット使いとは?
「ご協力のほど」という表現に「ご理解」という言葉を加えることで、より相手に「協力をお願いすること」と「説得する」気持ち両方が含まれます。
例えば、「○○の期間使用ができなくなります。ご迷惑をおかけし誠に申し分けありませんが、皆さまのご理解、ご協力のほど心よりお願い申し上げます」といった表現があります。やむを得ない事情である計画が実行される場合には、周囲の協力だけでなく周囲の理解も必要な場合があります。
そのような場合には「ご協力のほど」と「ご理解」をセットにして活用しましょう。
「ご協力のほど」の敬語とは?
「ご協力のほど」は接頭語の「ご」をつけた「協力」の敬語表現です。一般的にビジネスシーンでよく使われる表現で、会話やメールなどでも相手にやんわり協力を依頼するときに重宝される表現です。
「ご協力のほど」の使い方は?
実際に「ご協力のほど」とはどのような使い方をすればいいのか気になる人も多いでしょう。一般的に「ご協力のほど」が使われる表現をシーン別に紹介していきます。
ビジネスメールでの結び言葉
ビジネスではメールの結び言葉として「ご協力のほど」はよく使われる表現です。相手に威圧感を与えずにやわらかい表現で文章を締めくくる際に、「何卒ご協力のほどよろしくお願いいたします」といった言葉はビジネスシーンでも一般的によく使われます。
工事現場などでの注意喚起として
水道工事や道路工事が行われる際に、近くに住む住人へ工事予定の通知用紙を配布するときに「ご協力のほど」はよく使われる表現です。
騒音や通行を妨げる場合があるため、隣人に注意喚起とともにお詫びの気持ちも込めて「○月○日から○月○日まで工事を行います。ご迷惑をおかけし申し訳ありませんが、何卒ご協力のほどよろしくお願いいたします」といった表現が一般的によく使われます。
「ご協力のほど」とは社内でも使うの?
ビジネスシーンで一般的に使われる「ご協力のほど」という表現ですが、社内でも使える表現なのか気になる人も多いでしょう。
「ご協力のほど」という表現は、社内であってもビジネスの場所に変わりはないため、結びの挨拶として社内でもよく使います。依頼したい内容を簡潔に述べたあとに、どの社員が見ても丁寧さ、謙虚さが伝わるように「ご協力のほどよろしくお願いいたします」といったように文章を締めくくりましょう。
「ご協力のほど」は英語でどう言えばいいの?
「ご協力のほど」という表現は日本語に限らず海外の取引先や客先に対しても使われる表現ですが、結びの挨拶としてどう表現したらいいのか気になる人も多いでしょう。
英語で「ご協力のほど」という表現を使ったいくつかの例文があるので紹介します。毎回おなじ表現で締めくくるよりも、表現方法を変えたほうがより相手の心に響く場合があるので、必見です。
「ご協力のほどお願いいたします」
「ご協力のほどお願いいたします」を英語でいう場合には、「We kindly ask for your cooperation」「Thank you in advance for your help/support」といった表現があります。
「引き続きご協力のほどお願いいたします」
「引き続きご協力のほどお願いいたします」を英語でいう場合には、「We kindly ask for your continuous cooperation」「It will be grateful to have your continuous cooperation」といった表現があります。
「大変申しわけないですが」も含めた場合
「大変申しわけありませんが、ご協力のほどお願いいたします」を英語でいう場合には、「Sorry to cause you an inconvenience, but we would like to ask you for your cooperation」「Sorry for the inconvenience, but we kindly ask for your cooperation」といった表現があります。
「ご協力のほど」は相手と自分を結ぶ「礼儀」
相手になにかをお願いしたいときに、ちょっとした言葉ひとつで失礼になったり礼儀正しくなったりもします。相手に威圧感を与えずに謙虚に協力をお願いしたいときには、「ご協力のほど」という表現を使うことで相手が「協力してあげたい」「ぜひ協力しよう」という気持ちになります。
「ご協力のほど」という表現は相手と自分を結びつける「礼儀作法」とも言えます。相手が快く協力してあげたい気持ちになるためにも「ご協力のほど」を正しく活用しましょう。