「ご了承願います」の意味と使い方
ある状態、またはある状況について相手に了解を求め、わかってもらいたいときに使う言葉が「ご了承願います」ではないでしょうか。お願いしますという言葉がついていることからもわかるように、頭を下げながら内容を伝える使い方をします。
「了承」を考える
了承とは、許可や承諾、容認、オッケー、イエスを意味する言葉です。ですから相手にそれらを求める言葉が「ご了承願います」になります。
気軽に言ってみれば、「オッケー頂けますか?」と許可を得るための確認やお願いの言葉ということがよくわかるのではないでしょうか。また「ご了承願います」は、こちらの状況を察してほしいときに丁寧な言い方で、失礼のないように相手に伝える言葉でもあります。
ビジネス
ビジネスシーンでは「ご了承願います」はよく使われる言葉です。相手に丁寧にお願いするときに便利な言葉でもあります。○○についてわかってくださいと言いたいわけですが、お願いしながら理解を求めているので、相手に対して失礼な印象を与えることはありません。
事情があるときなどに、申し訳ありませんが、わかってくださいという気持ちを伝えるために、「ご了承願います」を使うと有効なのではないでしょうか。
どんなときに使うか
「ご了承願います」という言葉を使うときの前提として考えられるのは、こちらの言い分が相手に若干の不利益を与える可能性があるときに使われることが多いということです。
またそれに反してこちらの言い分は正しいと考えている場合に、相手に理解を求める必要から、お願いする形を取っています。
ビジネスシーンでは、よくお詫びの気持ちと一緒に「ご了承願います」の言葉を使うことが多いのではないでしょうか。
やむを得ない状況があったとき、それをわかってほしい、飲んでもらいたいということをそのまま伝えると角が立ってしまいますから、お願いする形をとって、許可を相手に仰ぐときに「ご了承願います」が使われます。
メールで伝えるとき
メールでは相手の顔が見えません。相対しているときは、相手がどんな印象をこちらに持っているのか予想もできますが、顔が見えないやり取りは、気を使う必要があります。
後々まで文章が残るので、極力失礼にならないように言葉遣いに気を付けた方がよいと言えるでしょう。一度もあったことのない人とのやりとりもあり、どんな人を相手にしているかもわからない場合があります。
ちょっとした伝え方で、相手に悪い印象を与えてしまい、やり取りがスムーズにいかなくなることも考えられますから、「ご了承いただければと思います」等の丁寧な伝え方にした方が無難です。
また最も一般的に使われるものは、「ご了承くださいますようお願い申し上げます」です。丁寧な伝え方をする必要があるなら、「ご了承いただければ幸いです」をおすすめします。
「ご了承ください」との違い
ご了承くださいという言葉遣いもありますが、「ください」と伝えていても命令ではなく、お願いの言葉です。失礼には当たりませんが、印象としては「願います」の方が丁寧に感じられます。
相手にお願いするというよりは、こちらの条件に対して注意を促したい場合に、「ください」で伝えることが多いのではないでしょうか。「~ください」と伝えることで、こちらの主張の正しさを納得させようとする姿勢が感じられる言い方です。
事務的な文書ではよく使われていますが、口頭で伝える場合、人によっては、反感を持つ可能性があります。
「ご了承願います」の敬語
敬語としての「ご了承願います」を考えてみましょう。「ご(お)~」の言い方は尊敬表現になります。同じ意味の内容を相手に伝えるのでも、言い方ひとつでだいぶ相手に与える印象は変わってきます。
ここでは「ご了承願います」の他にどんな伝え方があるのか考えていきます。
丁寧語
「ご了承願います」は尊敬表現の丁寧語です。失礼にはあたらない言葉ですが、かと言って許可や承諾を得るために状況を理解してもらうためのお願いの言葉なので、場合によってはこの伝え方だけでは不足があります。
「ご了承願います」では相手によっては不快や不満に思われることもないとは言えません。
謙譲語にして伝える
「了承していただく」の形にすれば、相手を立てる謙譲語になります。これなら例えば顧客からのクレーム対応や、上司への了承や同意を得たいときなどでも、問題ない言葉づかいなのではないでしょうか。
「ご了承いただけますか?」「ご了承いただければ幸いです」等の伝え方が最も相手に対して失礼がないと言えます。
「ご了承願います」の例文
堅苦しさが必要ない場面であったり、丁寧すぎるとおかしくなるような状況では、丁寧語ではあるのでお願いするときに「ご了承願います」でも構いません。また事務的な文章にもよく使われます。そんな場合の例文をいくつかあげてみましょう。
・給付金の支給までには、請求してから2~3か月かかります。ご了承願います。
・平日は17時まで、土曜、日曜祝日はお休みとなっておりますので、ご了承願います。
・お申し込み後のキャンセルは、7日前からキャンセル料がかかります、ご了承願います。
「ご了承願います」の目上の人への使い方
「ご了承願います」を目上の人に使った場合、丁寧語ではありますが、一方的にお願いする姿勢や、押しつけがましい印象を与えてしまう可能性があります。もっと上手に伝える他の言い方がないのか探してみましょう。
「存じます」
「知る」という言葉の尊敬語は「ご存知」ですが、「思う」の謙譲語が「存じる」になります。「存じ上げます」は相手を敬う謙譲語になります。
「ご了承いただければと思います」も「いただく」を使いへりくだった謙譲語になっていますが、さらに「思います」を「存じます」に変えれば大変丁寧で、相手を高めながら下からお願いする形が取れます。
「ご了承いただければと存じます」や「ご了承いただきたく存じます」の伝え方であれば、失礼がありません。
また「ご了承くださいますようお願い申し上げます」もへりくだって相手より下の位置からお願いする形になっているので、失礼な言い方にはなりません。
立場が上の人に使うとき
ビジネスシーンで承諾を得たい状況は顧客だけでなく、上司に対しても必要になるときが多いのではないでしょうか。そんなとき、「ご了承願います」を使うのはどうなのでしょう。対等な位置から依頼する形で伝えてしまうと、少し押しつけがましく感じられる可能性があります。
例えば、「ご了承いただければと思います」や「ご了承いただければ幸いです」「ご了承のほどよろしくお願い申し上げます」のように相手を高めて伝えてみれば問題はないのではないでしょうか。
「ご了承願います」の類語
「了承」という言葉を対象にしての類語を調べてみると、「承諾」「承知」「承服」「受諾」「了解」「許可」「認可」「是認」「容認」があります。
どれもこちらの都合や状況を認めてもらいたい、肯定してもらいたいと伝える言葉です。
「ご了承願います」と同じ意味を持つ言葉をここではお伝えしていきます。
「ご理解願います」
「ご了承願います」の、わかってもらえますか?という意味から考えると「ご理解願います」も同じ意味になります。
他にも言い回しとしてはあまり聞くことがないですが、「ご承諾願います」も「ご了承願います」と同じ意味を持つと言えます。
「ご容赦くださいますようお願い申し上げます」
またクレーム対応などでは、謝りつつもこちらの都合や状況をわかってもらわなくてはならないことがよくあります。この場合は「ご容赦ください」と、許しを請う言葉を使うことで、「ご了承いただければと思います」に通じる表現になります。
「ご容赦くださいますようお願い申し上げます」の伝え方なら最も丁寧になるでしょう。
例えば
・ご容赦頂きますようお願い申し上げます
・ご容赦頂ければ幸いです
・大変ご迷惑をおかけいたしますが、ご容赦くださいますようお願い申し上げます
などの言い方ができます。
「お許しください」
「お許しください」も「ご了承ください」に似た言葉と言えるのではないでしょうか。「ご容赦ください」に通じる言葉ですが、もうすこし平坦な表現といえます。「申し訳ありません」を前につけた方がいいような謝罪のシーンでは「お許しください」を使う場合もあります。
「ご勘弁ください」
「ご勘弁ください」も謝罪のシーンで使う言葉です。「ご了承願います」の意味を謝罪と共に伝えたい場合には、「ご勘弁ください」と伝えることもできます。
「ご高察いただければと~」
「ご高察いただく」は謙譲語です。相手にこちらの状況を察してもらいたいという意味を持ちますから、「ご了承願います」に通じる意味を持っています。相手を敬って、お考えになる、考えてもらう、推察してもらうということを求める最上級の丁寧語とも言えます。
「ご了承願います」の返事の仕方
「ご了承願います」という「わかってほしい」というお願いの言葉の返事になりますから、単純に考えれば、「わかりました」の伝え方を考えることになります。どんなものがあるのか取り上げてみましょう。
「了解しました」
「了解です」や「了解しました」は、上から見て相手を許すという意味を伝える返事の言葉です。「ご了承願います」に対して、この場合ふさわしい答えではないでしょうか。「わかりました」を丁寧語で伝えています。
「承知いたしました」
「承知いたしました」は「ご了承願います」に対する相応しい返事ではないでしょうか。「承知しました」でも構いませんが、「承知いたしました」ならさらに丁寧に伝えることができます。
「わかりました」
「ご了承願います」と言われた場合、こちらが客であったり、上の立場のことが多いといえます。そのため単純に「わかりました」でもかまわないのではないでしょうか。
シーンによって使い分けるとよい言葉
公的な書類やさまざまな企業からの通知にもよく「ご了承願います」は記載されています。事務的な手続きや、契約、規定などの条件をわかってもらいたいとき、最後にこの言葉が使われることが多いと言えます。
また口頭では、目上の人や立場が上の人に状況を了承してもらわなくてはならないとき、この言葉を謙譲語に変えて使うと良いことがわかりました。伝え方ひとつで、了承してもらえないということも場合によってはあります。
上手に伝えることで、こちらの言い分をわかってもらうことができますし、言葉遣いに気を付けることでスムーズな社会生活を送ることができると言えるでしょう。