「できますでしょうか」使い方
「できますでしょうか」という言葉は、あらたまったビジネスの場面などの会話で使ったり、ビジネス文書やメールなどでも使われます。
また、「できますでしょうか」は、「できますか」に比べて、相手にやわらか印象を与え、丁寧さが感じられるので、ビジネスの場面で適切な言い方でしょう。
「できますでしょうか」の正しい使い方ができるよう、さらに具体的にご紹介します。
敬語
社会人として、TPOに応じて使い分けなければならない言葉に、敬語があります。敬語には、尊敬語、丁寧語、謙譲語がありますが、相手を敬って使う言葉は、尊敬語と丁寧語です。
「できますでしょうか」は、どの敬語があてはまるでしょうか。
まず、丁寧語の「です」「ます」を語尾につける特徴があります。「できますでしょうか」の中の、「できます」には、丁寧語の特徴の「ます」がついている点、「でしょうか」は、丁寧語「ですか」をより丁寧にした言い方である点から、2つのは丁寧語からできている、丁寧語です。
また、2つの丁寧語からできている丁寧語という表現に、不自然さがあるのは、後に説明する二重敬語と関わりがありますので、覚えておいてください。
「できますでしょうか」の例文
「できるか」を丁寧にした言い方が、「できますでしょうか」です。
そして、「できますでしょうか」は、相手に自分がこれからすることを確認したり、許可を得るような場面で使います。
例文
・こちらで、受付けの手続きはできますでしょうか。
・これから、お打ち合わせできますでしょうか。
・今日から2泊の宿泊予約できますでしょうか。
・この資料を明日届けていただくことはできますでしょうか。
お願いの要素
上の例文で、気づくことは、自分がしたいこと、することを相手に受け入れて欲しいという、希望や要望を伝えていることです。
「できますでしょうか」は、自分の要望を伝えた上で、相手に受け入れてください、同意してくださいと、お願いしている気持ちがふくまれていることがわかります。
つまり、相手の状況を配慮しつつ、自分の要望をお願いしたい時に使うことで、相手をいきなり不快にしない、配慮のある言い方といえるでしょう。
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「できますでしょうか」は正しい使い方なのか
厳密にいうと、「できますでしょうか」は、文法的に正しい使い方ではありません。
「できるか」というひとつの言葉に、対して「できます」「でしょうか」とふたつの丁寧語を使っている点が、二重敬語に該当します。
二重敬語については、次に詳しくご説明します。
文化庁
二重敬語について
二重敬語とは、同じ種類の敬語を重ねて使用した言葉です。
先に述べたように、「できますでしょうか」は丁寧語の「できます」「でしょうか」を2つ重ねて使っている点が二重敬語あたります。
例外もありますが、敬語を重ねて使うことは基本的にNGです。なぜなら、二重敬語を使うことで、もたついた印象を与えたり、発声が難しく、相手が聞き取りにくいというマイナスポイントがあるからです。
慣例化されている二重敬語
二重敬語は使わないようにと、言われながらも、実際に当然のごとく使われている二重敬語があります。
例えば、「お召し上がりください」は、尊敬語「召し上がる」に尊敬の敬語表現「お」と「ください」を重ねているので、二重敬語です。ですが、この言い方は、既に世の中に広く普及していて、例えば、ほとんどの食品のパッケージの説明文に使われています。
「できますでしょうか」は、日本語として既に定着していて、使うことが容認された、慣例化されている二重敬語です。
「できますでしょうか」との違い
「できますでしょうか」を使うときの、使い手の気持ちにスポットをあてて、似ている言い回しの「できないでしょうか」、「できませんでしょうか」、「可能でしょうか」3つと比較してみましょう。
例文も含めてご紹介しましたので、3つの言い回しとのニュアンスの違いについて、考えてみてください。
できないでしょうか
「できない」と丁寧語「でしょうか」の組み合わせですので、二重敬語にはあたりません。
自分の希望や要望に、相手が応えられないことを予測しながらも、自分の希望や要望がとおることをお願いしているニュアンスです。
「できますでしょうか」と比べると、自分の要望が相手に断られる可能性が高いだろうという状況でしょう。
ちなみに、「できない」という言葉が使われているので、尊敬度は低めです。
例文
・そこをなんとかお願いできないでしょうか
・あと1週間で、作り直すことはできないでしょうか
・ご連絡をいただくことはできないでしょうか
できませんでしょうか
「できないでしょうか」と同じ意味ですが、「できない」を丁寧語「できません」に言い換えたものと、丁寧語「でしょうか」が重ねて使われているので、二重敬語です。
「できますでしょうか」と違って、自分の要望が相手に受け入れられない可能性が高い雰囲気ですが、「できないでしょうか」を使うときとは、少しニュアンスが変わります。
「できませんでしょうか」は、自分が要望している内容が、相手にとって困難なことだったり、相手との間にお願いしづらい要素があるなど、何かの理由で、要望しづらい状況のときに使うことが多いでしょう。
例文
・次回のお約束時間をご変更できませんでしょうか。
・今日中に納品できませんでしょうか。
・明日のフライトのキャンセルできませんでしょうか。
可能でしょうか
「可能です」と「でしょうか」の組み合わせですから、二重敬語ではなく、「可能か」を丁寧に言いかえています。
文法的には正しく、普通に使用してもよい敬語ですが、「可能」という言葉が、かなり強い印象を与えるので、注意が必要です。
おそらく、言われた相手は、黒か白か、イエスかノーか、答えを迫られている印象を受けるでしょう。ビジネスで使っても問題なさそうな場面は、積極的に意見交換をする社内会議やプレゼンテーションなどです。
例文
・明日中、○○さんを待機させることは、可能でしょうか。
・料理を10人分、17時までにもって来るのは可能でしょうか。
・パスポートの住所変更をすることは可能でしょうか。
「できますでしょうか」の言い換え表現
「できますでしょうか」を他に言い換えるとすれば、「○○していただいてよろしいでしょうか」、「○○していただきたいと考えていますが、いかがでしょうか」などが、いいでしょう。
例文
・明日までに納品できますでしょうか。
・明日までに納品していただいてよろしいでしょうか。
・明日までに納品していただきたいと考えていますが、いかがでしょうか。
ただし、例文から受ける印象は、3つとも異なります。
「○○していただいてよろしいでしょうか」は、相手に要望する姿勢が弱い印象で、「○○していただきたいと考えていますがいかがでしょうか」は相手に対しての配慮が強く、丁寧で、かしこまった印象をうけます。
「できますでしょうか」以外の2つは、回りくどい感じがするので、メールや文書に使うには、向きませんが、相手を選んだ上の会話で使うならば、問題ないでしょう。
「できますでしょうか」は便利に使いましょう
丁寧さが伝わるので、「できますでしょうか」は、ビジネスの場面で、会話にもメールや文書にも使われる言い方です。また、相手の状況を配慮しつつ、自分の要望をお願いしたい時に使うことで、相手に配慮した言い方とも言えます。
しかも、二重敬語で、文法的には正しくないのに関わらず、慣例化している二重敬語として、世の中に認められています。おそらく、使いやすく、使われた相手も不快にならないのでしょう。
結論としては、「できますでしょうか」は、コミュニケーションを円滑にする、便利な言い方なので、おすすめできるということです。