「ご訪問」の例文
「訪問」に丁寧語の「ご」を付けて「ご訪問」と言います。読み方は「ごほうもん」です。
「訪問」の意味は人を訪ねること、訪れるという意味を持ちます。普段からよく聞きなれている言葉なので、使いやすく、ビジネスでよく使用されている言葉になります。
実際にどのような場面において、「ご訪問」が使用されているか、ご紹介します。
ご訪問とは
自分が、相手の会社などに行く場合には、丁寧語を使用します。「ご訪問させていただきます」「お伺いいたします」となります。しかし、自分と同じ会社の人が使う場合には、「ご」を取り払って使用します。「A社に本日訪問する予定です」「A社にBが訪問しております」などです。このように、自分を軸にして、言葉を使い分ける必要があります。
あまり深く考えると、混乱しがちなので、相手が自分より上の場合は、尊敬語か謙譲語と覚えておきましょう。
ご訪問のお願い
ビジネスシーンでは、「訪問」することを、相手に伝える言葉として、「ご案内」や「お知らせ」という形をよく使用します。訪問日が、箇条書きになっていたり、下記を使用した文書が一般的でよく使用されています。
「下記日時にご訪問させていただきます」「下記のとおり、ご訪問いたします」などです。また、「訪問」だけではなく「伺う」という言葉もよく使用されています。「お伺いさせていただきます」「お伺いいたします」などです。
これらは、非常によく使用されていますが、二重敬語になるため、正しい使い方ではありません。つい、使ってしまいそうな言葉ですが、目上の方にも、使用する言葉ではないので、注意しましょう。
「ご訪問」の敬語での例文
「訪問」を依頼する時には、まずは、先方の都合や予定を確認しましょう。事前に日時を決めて「訪問」するのが、一般的です。
突然訪問すると、相手が不在の場合があります。そのため再度、足を運ぶ可能性が高くなり、二度手間になります。また、予定外の訪問は、相手の仕事の手を止めてしまう原因にもなります。迷惑をかけないよう、相手の立場を配慮することも、ビジネスマナーです。
ご訪問させていただきます
「訪問」することを、ビジネスでは「アポ」と呼んだりします。「アポ」とは「アポイントメント」の略です。アポを取るためには、まず相手にお伺いを立てるのが、礼儀です。電話でもメールでも、どちらでも問題ありません。
「アポ」がとれたら、あらためて、確認の連絡を入れておきましょう。再確認する時にも、役立ちます。「火曜日の9時にご訪問させていただきますのでよろしくお願いいたします」などです。場所や時間、分かっていることも省略せず伝えましょう。丁寧で気の利いた対応になるため、よい印象を与えます。
ご訪問いただく
「ご訪問いただく」は、相手に来てもらう方向で、誘導、お願いしつつ、返事を確認する時に使用します。
「来週の15時にご訪問いただくことは可能ですか」「木曜日までにご訪問していただくことはできますでしょうか」などと使います。
一見、丁寧な言い回しですが、「いただく」は「もらう」の謙譲語になるので、目上の方に使用する言葉ではありません。「いただく」は非常に間違えやすい言葉なので、注意しましょう。
「ご訪問」の使い方
相手が、目上の場合に使用するのが「ご訪問したく」です。お客様などに、許可を受けた上で使用するのが「ご訪問させていただく」です。どちらも丁寧な表現が必要です。
しかし、敬語は相手によって、丁寧語、尊敬語、謙譲語と形が変わります。間違った使い方に、ならないように注意が必要です。「ご訪問」の使い方について、メール、手紙、電話とそれぞれの場面に分け、まとめました。
メール
少し前までは「メールで送ってくるなんて非常識だ」と思われてましたが、現在では、ビジネスでメールは欠かせない連絡ツールです。早くて便利というメリットの裏には、デメリットも存在します。メールを使用して「ご訪問」の依頼や案内を送る際は、言葉使いも大事ですが、アドレスや宛名など、基本的な間違いがないように注意しましょう。誤字脱字は大変失礼になります。
また、「ご訪問の件」や「アポの件」など、分かりやすい件名を必ず入れておくようにしましょう。
手紙
「ご訪問」の案内やお知らせは、手紙を使用する場合があります。あらかじめ、相手の許可が出ている場合などに、確認の意味で使用されることが多いです。
また、許可のない手紙もありますが、一方的な手紙が送られてきた方は「その日は不在ですが、勝手にどうぞ来てください」と解釈しがちです。本文を読まずに破棄する可能性も高いので、一方通行にならないように注意しましょう。
電話
電話で聞くというスタイルはビジネスでは基本とされています。また、電話は声のトーンやイントネーションなどから感情も表現しやすく有効な方法です。
「月曜か水曜のどちらかにご訪問させていただきたいのですが」「ご訪問させていただいてもよろしいでしょうか」などになります。電話はその場で返事をもらうことができるので、月曜と火曜、午前か午後のように二択にしておくと、相手も返答しやすくなります。
また、目上の方に「ご訪問」を使用する場合は「いただく」を除いた言い回しが適切となります。「ご訪問したく連絡しました」や「来週の月曜日に伺いたいのですが」「できれば、18時に伺いたく存じます」などとしましょう。
「ご訪問」と「ご来訪」の違い
「訪問」とは「人を訪ねる」ことを言いますが、「来訪」とは「人が訪ねてくる」ことを指します。「ご」をつけることによって、目上の方にも使用することができます。
「ご訪問」は自分が行く場合でも、相手が来る場合でも、立場が変わっても使用できる言葉なので、よく使用しますが、「ご来訪」は、ビジネスでは使用される機会が少ない傾向があります。理由としては、相手が来る表現として「来られました」や「いらっしゃいました」といった言葉が一般的に使用されているからです。
ご来訪の使い方
ビジネスで使用する「ご来訪」は、自分の会社に来てくれる相手に対して「ご来訪お待ちしております」と、案内状などに一言添える形で使用されることがあります。また、相手が会社に来たことを、同じ会社の人に伝える時には「A様が、ご来訪されました」のように使用します。
「ご来訪」とは、相手が来ることを言いい、「ご訪問」に比べるとビジネスで使用する頻度は少ないですが、覚えておきましょう。
そのほか「ご来訪」には、よく似た言葉で、場所を特定して来てもらうという行為を、表わす言い方があります。病院なら「ご来院のみなさま」、学校なら「ご来校いただきまして」などです。ビジネスではあまり使用しませんが、知っておくといざという時に役立ちます。
「来社」御礼
ビジネスでは、取引先やお客様が帰った後すぐに、感謝の気持ちを伝えるのがマナーとされています。
御礼と一緒に、進捗状況や報告などを、伝えます。御礼は「訪問」したことに、ただ御礼を言うだけではなく、状況や報告、結果など、相手が知りたい情報も、一緒に伝えることができます。御礼を出すタイミングや、御礼を伝える時に、注意しておきたいことをまとめました。
メール御礼
挨拶となる言葉を始めにもってきましょう。「お世話になっております」「平素より大変お世話になっております」などが挨拶です。会ってすぐでも、挨拶を省略するのは、マナー違反です。
そのあと、感謝の気持ちや進捗状況など、伝えておきたいことを述べます。「本日はご来訪いただき誠にありがとうございます」や「早速、社内会議で精査しております」となり、最後は結びの言葉で絞めます。「今後ともよろしくお願い申し上げます」「今後とも変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願いいたします」などとなります。
自分が「ご訪問」した側でも、挨拶や感謝の言葉は必ず伝えましょう。御礼はビジネスマナーです。
タイミング御礼
ビジネスでの御礼は、自分が「訪問」した場合でも、相手が「来訪」した場合でも、御礼を出すタイミングは同じです。帰ったあと、すぐに御礼を出すのがビジネスマナーとされています。
社内会議など、独断では決められない場合や、時間がかかるような場合であっても、一言、御礼をしておきましょう。また、やむを得ない事情で、当日に連絡できない場合は「遅れて申し訳ありません」など謝罪の言葉を必ず添え、敬意を表しましょう。
手紙と御礼
遠方から「来訪」または「訪問」した際に、送付する資料を約束した場合などは、御礼の手紙を同封して送りましょう。郵送は届かないといったデメリットがありますが、手書きのお手紙ならよい印象を与えることができるというメリットがあります。パソコンを使用した御礼でも問題はありませんが、手書きは温かみを感じるため、相手に気持ちがより伝わります。
ビジネスでの「ご訪問」
「ご訪問させていただく」とは、よく聞く言葉で「させていただく」は、よく使う言葉です。しかし、上司や目上の方には使用する言葉ではないことは、知っているようで知らない方や間違った使い方をしている方が多いです。
言葉は間違って使用すると、恥ずかしい思いをするだけではなく、相手にも失礼になるため、使い方には十分注意する必要があります。また、「訪問」や「来訪」、「来社」もよく似た言葉ですが、違いを理解して適切な場面、相手に正しい言葉で使用できるようにしておきましょう。