「いただきありがとうございます」の使い方・例文|敬語/メール

ビジネススキル

「いただきありがとうございます」と似た言葉の違い

感謝を表す敬語でよく使う表現は「いただきありがとうございます」です。しかし、似た言い回しで「いただきありがとうございました」、「くださりありがとうございます」という表現もあります。

そこで、「いただきありがとうございます」と「いただきありがとうございました」、「くださりありがとうございます」の違いをマスターしましょう。微妙な言い回しの違いを意識して敬語を使えると、感謝の気持ちがより伝わりやすくなります。

「いただきありがとうございました」との違いは?

「いただきありがとうございました」は、過去の行いに関してお礼を述べる時に使います。「ありがとうございました」は、「ありがたかった」という過去形の表現だからです。

例えば、「先日」や「先ほど」と過去のことについて表す言葉が付く場合は、「いただきありがとうございます」よりも「いただきありがとうございました」を使用した方が自然な言い回しです。直前の行いに対してお礼を言う場合は、「いただきありがとうございます」がふさわしいです。

「くださりありがとうございます」との違いは?

「くださりありがとうございます」は、相手の行いに直接感謝を述べる表現です。「いただく」は「もらう」の謙譲語で自分が頭の上に載せる、「くださる」は「くれる」の尊敬語で相手が高いところから渡すという原義の違いあります。

つまり、「くださる」の主語は、相手です。一方で「いただく」の主語は自分になるため、間接的に自分が受けた恩恵を感謝を述べています。「くださり」は相手が自発的に行った行為に対して、「いただき」は自分が依頼したことを行った行為に対して感謝する場合に用いると考えると、使い分けやすいです。

どちらを使うべき?

どちらかと言えば、「いただきありがとうございます」の方がよく使われています。慣用的に使われ、耳なじみが良いお礼の言葉だからです。しかし、相手の行為に対してお礼を述べるのが論理的なため「くださり」を使う人も多くいます。

実際には「くださりありがとうございます」と「いただきありがとうございます」は、日常の中で意識されることなく両方とも正しい敬語として使用されています。尊敬語を使うか、謙譲語を使うかの違いだからです。一方が正しくて、もう一方は間違っているということではありません。

どのように使い分けるべき?

「いただきありがとうございます」と「くださりありがとうございます」は、その時の状況によって使い分けることができます。違いはほとんどありませんが、原義は異なるため厳密には使い分けることが可能です。

例えば本を貸してほしいと自分が頼み貸してもらった場合は、自分が依頼した行為に対するお礼のため「本をお渡しいただきありがとうございます」が正しいです。「ご利用いただきありがとうございます」は自分が利用してほしいと依頼した場合正しいと考えられますが、「くださる」でもお客様の意思で利用したという点では問題ありません。

「いただきましてありがとうございます」との違い

「いただきましてありがとうございます」との違いはほとんどありません。「いただきありがとうございます」は、「いただきましてありがとうございます」の省略形だからです。ただし、敬語は省略しない方が丁寧な印象を与えます。よって、改まった場では「いただきましてありがとうございます」を使用した方が良いです。

「いただきありがとうございます」の使い方は?

「いただきありがとうございます」は、直前の行いに対して間接的にお礼を述べるときに使用します。しかし、このように説明されても実際にどのように使用したらよいのか想像できない方が多いでしょう。

そこで、「いただきありがとうございます」の使い方の具体例をご紹介します。敬語は真似ることで自然と口から出てくるようになりますので、まずは具体例を知っておきましょう。

お送りいただきありがとうございます

送ってもらったことに対して、敬語を使ってお礼を述べる言い方です。ビジネスの場ではメールや資料、材料と何かを送ってもらうことが多いため、非常によく使う敬語です。ビジネス以外でも、目上の人や親せきから何かプレゼントを送ってもらった時にもよく使います。いざという時のために、この表現は頭に入れておきましょう。

ご示唆いただきありがとうございます

目上の人から何か教えてもらった時に、敬語で使うお礼の言葉です。示唆はアドバイスや説教までいかなく、それとなく教えてもらったりほのめかしてもらったことに対して使います。難しいですが、直接的に指示された訳ではないがそれとなく教えてもらった時に「ご示唆いただきありがとうございます」という表現が使われます。

この表現は、ビジネスシーンでよく用いられますので覚えておきましょう。メールでの挨拶としても、よく使われます。最初は慣れない表現ですが、何度か繰り返して使うことで自然と使うことができます。

お心配りいただきありがとうございます

目上の人に気を使ってもらった時に、よく使用される敬語です。ビジネスシーンに関わらず、何か厚意のある行いをしてもらった時によく使われます。

例えば、お祝儀、香典、お歳暮をもらった時、タクシーを手配してもらっとき、会議や飲み会の準備をしてもらった時、ご飯をごちそうになった時に使われます。非常に幅広いシーンで使われますので、日ごろから意識して使っていきましょう。

「いただきありがとうございます」の漢字は?

メールで「いただきありがとうございます」を使用するときに、困るのが漢字表記です。敬語を漢字表記で変換しても見慣れない表記が多く、本当に正しいのか迷う方は多いのではないでしょうか。

「いただきありがとうございます」を漢字で使用する場合、どのような表記になるのでしょうか。「いただきありがとうございます」」の漢字表記もマスターして、メールでも使いこなせるようにしておきましょう。

頂きありがとうございます

「頂きありがとうございます」は、食べる・飲む・もらうの謙譲語として使用する場合は正しいです。知られていませんが、頂くは食べる・飲む・もらうの謙譲語だからです。

例えば、「お菓子を頂きありがとうございます」は正しいですが、「お越し頂きありがとうございます」は間違っています。お越しいただくのいただくは補助動詞であり、食べる・飲む・もらうの謙譲語ではないからです。この場合は、平仮名のいただくを使用しましょう。

戴く

戴くは頂くと似た意味合いを持ちますが、非常に自分より上の立場の人間を敬う時に使用します。例えば、先生から激励を戴いた、最優秀新人賞を戴いたと非常に目上の方から何かをもらった時に使用します。

頂くと同じで物品や品物に関わるやり取りの時によく使用されますが、戴くの方がうやうやしさがあります。例えば、「お菓子を頂く」はお菓子を食べる、「お菓子を戴く」はお菓子をありがたく受け取るという意味合いで使用します。

「いただきありがとうございます」の使い方

ここまでで、「いただきありがとうございます」の意味や表記をご紹介しました。しかし、実際にどのように使用したら良いのかわからず使用していない方は多いです。そこで、「いただきありがとうございます」の使い方を具体的にご紹介します。社会人としてマナーを心得た使い方をして、相手に感謝の気持ちを伝えましょう。

会った場合

お礼を言うべき相手に会った時には、挨拶の代わりとして「いただきありがとうございます」を使いましょう。挨拶よりも先にお礼を述べることによってお礼のタイミングを逃すことなく確実に伝えることができ、誠実な印象を与えます。

例えば、以前会った時にお菓子をもらった場合は、おはようございますよりも先に「先日はお菓子をいただきありがとうございます。」とお礼を述べます。そうすることによって、誠実な印象だけではなくその後の会話が円滑に進みます。

メールの場合

メールの場合は、一番初めと終わりに「いただきありがとうございます」を使ってお礼を述べましょう。最初と最後にお礼を述べることによって、感謝の気持ちが強い印象を与えることができます。

例えば講演を行ったお礼を述べる場合は、最初に「貴重な時間をいただきありがとうございます」と述べ、その後に講演の感想、そして最後にもう一度「貴重な時間をいただきありがとうございます」とお礼を述べましょう。最初と最後に繰り返し「いただきありがとうございます」を使うことによって、より誠実な印象を与えます。

「いただきありがとうございます」の例文

「いただきありがとうございます」の例文をご紹介します。敬語を上達させるには、例文をとにかく真似て実践することが大事です。例文を真似ることでコツを掴み、他の言葉に応用することができます。「いただきありがとうございます」は何度言われても心地良い感謝の言葉ですので、どんどん真似してコツを掴みましょう。

教えていただきありがとうございます

「教えていただきありがとうございます」は、親しい上司や取引先に使うことができます。ビジネス文書や初対面の相手に対しては、失礼ではないがやや丁寧さがかける敬語です。

例えば親しい取引先や社内の上司に何かを教えてもらい、その場で簡単なお礼の気持ちを伝える時に使用します。親睦のない取引先へのメールや厳しい上司に対しては、もう少し丁寧な敬語を使用しましょう。

より丁寧な言い方は?

より丁寧にお礼を述べるときには、「ご教示いただきありがとうございます」を使用します。教えることをより丁寧にしたい場合、ご教示という敬語を使用します。

ビジネス会話では「教えていただき」でも問題ありませんが、ビジネスメールでの改まった場ではこちらを使用しましょう。ビジネスメールは対面と異なり、言葉でのみ自分の気持ちを表現する必要があります。よってなるべく丁寧な敬語を使い、自分の誠意を示す必要があります。

例えば、「早速ご教示いただきありがとうございます」、「ご多忙中ご教示いただきありがとうございます」と使用します。教えていただきよりも丁寧で誠実な印象を与えますので、正式なビジネスの場ではこちらを使用しましょう。

お答えいただきありがとうございます

「お答えいただきありがとうございます」は、問い合わせた内容に目上の人が答えてくれた時に使用します。答えをお答え、もらうをいただくと敬語に直した表現です。

返信メールの先頭に使うことが多いフレーズで、親しい取引先や上司に使います。改まったビジネスシーンでは使用を控えましょう。例えば、ビジネスメールの先頭に「早々とお答えいただきありがとうございます」と使います。

より丁寧な言い方は?

より丁寧にお礼を述べる場合は、「ご返答いただきありがとうございます」を使用します。こちらの言い方の方が、ビジネスシーンでは一般的です。その他、ご回答、お返事、ご連絡もビジネスシーンでよく使われます。お答えいただきではやや丁寧さに欠ける印象を与えますので、気を付けましょう。

お越しいただきありがとうございます

「お越しいただきありがとうございます」は、相手に来てもらうことに対するお礼の敬語です。「お越し」は来るを表しています。お客様に依頼してきてもらうため、謙譲語である「いただく」を使用します。そうでない場合は、「お越しくださり」を使用しても問題ありません。

よく使うフレーズは?

「お越しいただきありがとうございます」は、ビジネスシーンで客が自分の会社に来た時に使うことが多いです。主に客が自社に来た時の挨拶やメールで使われます。また、来たことに対するお礼のメールを送る場合は、過去形である「お越しいただきありがとうございました」を使うのが基本です。例えば、「先日は弊社までお越しいただき、ありがとうございました」と使用します。こちらはよく使われるフレーズですので、覚えておきましょう。

「お忙しい中お越しいただき」もよく使われます。客が来た時の挨拶としてよく、「本日はお忙しい中お越しいただきありがとうございます」を使用します。遠方から来た客に対しては、「遠路はるばるお越しいただきありがとうございます」がふさわしいです。

「お・ご〇〇いただく」のフレーズを覚えよう!

「お・ご〇〇いただく」をセットで覚えると、多くの場面でアレンジして使うことができます。

このセットを覚えておくと、〇〇に了承、連絡、確認と他の言葉を入れて汎用することができます。しかし「お・ご」を乱用すると敬語だらけで息苦しい言葉遣いになりますので、バランスを考えて使う必要があります。慣れないうちは敬語がきれいな人をお手本にして、適宜使っていきましょう。

「いただきありがとうございます」を使ってみよう!

今回は、「いただきありがとうございます」と似た言葉との違い、使い方、漢字表記、例文についてご紹介しました。「いただきありがとうございます」は普段よく使う言葉ですが状況によって表現を変える必要があり、難しいと感じた方は多いのではないでしょうか。

しかし、難しいから使わないのではなく、どんどん使って自分の言葉の一つにしていきましょう。敬語は実践して身につけることが一番の練習方法です。失敗を恐れずにどんどん使っていきましょう。

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