「都合により」とは
「都合」という言葉は「何かをするときに他のことに影響を及ぼす事情」や「やりくりをすること」、また「具合がいいか悪いか」といった意味で使われています。
この記事で解説する「都合により」は、基本的に「何かをするときに他のことに影響を及ぼす事情」という意味で使われるものです。
「都合により」の例文
「都合により」という言葉は、さまざまなシチュエーションで使われます。特にビジネスシーンにおいて、自分の事情で相手に断りを入れる場合に頻繁に使われる表現です。
どんなときでも、突然用事が入ってしまうなど、事情が変わることがあります。そのため、やむなく相手の要求を断らなければならないことがあります。
そんなときのために、「都合により」の上手な使い方を紹介していきます。
都合により退職
退職願などを書く際、どんな事情で退職するのか、詳しくは書きません。「都合により」という言葉を使って短くまとめます。
例えば、「一身上の都合により、12月○○日を持ちまして退職いたします。」と書きます。退職願には「都合により」の前に「一身上の」をつけるのが一般的です。
退職時の「都合により」
退職時に「都合により」を使う際に注意するポイントは、もし退職の理由が自身ではなく会社にある場合、退職願には「一身上の」をつけてはいけないということです。
会社の都合の場合は、「会社都合により」という言葉に置き換えましょう。
都合によりお休み
会社や学校を休むときは、休むことがわかった時点で「都合により」という言葉を使い、簡潔に担当者に伝えましょう。ここでも自分の事情を詳しく伝える必要はありません。
例えば、「都合により、6月○○日に有給休暇をいただきます。」という風に伝えます。
休みが急に決まってしまうなど、周りに明らかに迷惑がかかるような状況の場合は、「誠に申し訳ありません」という言葉を添えましょう。
都合により参加できません
社内の行事や、あまり親しくない人、目上の人との約束などに参加できなくなったときに、「都合により参加できません」と伝えましょう。
自分の事情で参加できなくなってしまったときに使うので、申し訳ないという気持ちが相手に伝わるようにしましょう。
例えば、「都合により、明日の○○会に参加できなくなってしまいました。」という文章が考えられます。この場合も、「誠に申し訳ありません」と添えるといいでしょう。
都合により欠席
自分の事情で会議などを欠席する場合にも、「都合により」を使うといいでしょう。
とりわけ上司や同僚など、ビジネスでつながっている相手には、欠席の連絡には「都合により」を使うべきです。欠席するというマイナスなイメージを少しでも和らげてくれます。
例えば「都合により明日の会議は欠席いたします。誠に申し訳ありません。」というような文面がベターでしょう。
「都合により」の使い方
ここから、「都合により」という言葉についてさらに詳しくみていきます。
ただ「都合により」という言葉を使うのではなく、どんなシーンで使うのかや、使う相手がどのような人なのかによって、使い方を考えなければいけません。
「都合により」という言葉を使うとき、多くの場合は「自分の都合が悪い」という意味になるので、なるべく失礼のない表現になるように心がけましょう。
敬語
敬語で「都合により」を使う場合に注意したいのが、「ご都合」との区別です。
「ご都合により」という言葉も広く使われているものですが、自分の都合で相手の要求を断る場合、「ご」をつけることは良くありません。
「ご都合」は「相手の都合」をさす言葉なので表現としても間違っていますが、「ご」をつけることによって自分が上の立場のように思わせるので、失礼に値します。
ビジネス
ビジネスシーンでは「都合により」という言葉は頻繁に出てきます。うまく使いこなせるかどうかで、今後の関係を左右する場合もあります。
ビジネスシーンで「都合により」という言葉を使うとき、多くが先の例文であげたような「自分の都合が悪くて○○ができない」という意味合いを持っています。
「都合により」という言葉を使うときは、申し訳ない気持ちを表す言葉や、「自身の」「私事」「一身上の」といった言葉を合わせて使うようにしましょう。相手への印象を少しでもよく保つことが大切です。
英語
「都合」は英語にすると、「convenience」、「schedule」、「reason」などと表現できます。
英語で「都合により」と言いたいときは、「schedule」か「reason」を使うとよいでしょう。例えば「I can’t attend the meeting because of my schedule(私の都合により会議に出席できません)」という使い方が考えられます。
「都合により」の類義語
「都合により」という言葉も、使いすぎると相手にくどい印象を与えてしまうので、たまには別の言葉で言い換えましょう。
必ずしも「都合により」と言い換えできるとは限りませんが、類義語も覚えておきましょう。
諸事情により
「諸事情により」という言葉は、「都合により」の代わりの言葉になりえます。ビジネスシーンでも違和感なく使える言葉です。「諸事情により欠席いたします」や、「諸事情によりお休みをいただきます」などというように使います。
注意したいのが、この言葉は「都合により」とは違い、「外的要因」による都合の悪さというニュアンスを含んでいます。
事情により
「事情」という言葉には、「物事がある状態に至るまでの理由や状態」、「事の次第」という意味があります。「事情により」という表現は、「諸事情により」よりもややストレートな印象を与えます。
「事情により○○できません」という使い方ができます。自分の都合や事情によりできないというニュアンスは、「都合により」と同じです。
ストレートな表現なので、伝える相手が目上の人の場合には控えるべきであり、注意が必要です。
不都合で
「不都合」は文字どおり、「都合が悪いこと」という意味があります。「不都合で○○できません」という表現は、「都合により」という言葉を使ったものと同等の意味を持ちます。
しかし「不都合で」という言葉は、欠席など、自分の都合の悪さで何かができないことを伝えるための表現としてはあまり馴染みがありません。
「不都合」という言葉を使う場合は、「○○ができなくても不都合がない」など、自分にとっては何の差し障りもないというような表現に使うのが一般的です。
不届きにより
「不届き」には「配慮や注意の足りないこと」という意味があります。「不届きにより」は、「自分の不注意で」と言い換えることができます。
この言葉も「自身の都合により何かができない」ことを表していますが、「都合により」と少し使い方が違います。「不届きにより」は、自分の失敗で何かができなくなったときに使うのが適切です。
例えば、「私の不届きにより○○ができませんでした」といった文章で使うことができます。
「都合により」を活用しましょう
「都合により」という言葉は、自分の非を認めて相手に詫びを入れるときに使うことが多いので、ちゃんと使えるようにしておきたい言葉です。
「都合により」という表現にあまり馴染みがない人もいるでしょうが、ビジネスシーンなどでは必要な言葉です。
この記事で例文や用法を学び、「都合により」という言葉を正しく使いましょう。