「ご返答」の例文
問いや呼びかけなどに対して答えることを表す「ご返答」は、日常生活やビジネス上でもよく使われています。
「ご返答」は、「ご返答ください」「ご返答お願いします」「ご返答いただけますか」、より丁寧なかしこまった表現では「ご返答お待ちしております」「ご返答いただければ幸いです」「ご返答のほどよろしくお願いいたします」「ご返答くださいますようお願いいたします」「恐縮ですがご返答お待ち申し上げております」などの使い方をされます。
させていただきます
自分や自分側が主語となり返答する場合は、毅然とした返答が必要な場面では「返答いたします」「ご返答いたします」で大丈夫です。
相手とのやり取りの中で許可を求めたり、遠慮が必要な場面や、謙虚な気持ちを表す場合に「返答(を)させていただきます」と、謙譲表現の「させていただきます」を使います。
「迅速に返答させていただきます」「迅速に返答をさせていただきます」どちらの使い方もできますが、本来はさせていただきますの前に「を」を入れるのが正しい使い方となりますので、正式な文章が必要な場面や、かしこまった表現が必要な場面では参考にされてください。
また、「ご」は、尊敬語、謙譲語どちらにも使えるので、自分が返答する場合も、「ご返答」としても間違いではありません。その場面に応じて使えるとよいでしょう。
ほど
「ほど」は限定を避ける言い方で、「~してもうらうよう」「~してくれるよう」という意味があります。
「ご返答のほどよろしくお願いいたします」とすると、「返答してくれるようよろしくお願いいたします」「返答してもらうようよろしくお願いいたします」という意味になり、「ほど」を使うことにより、やわらかな表現となります。
よろしく
「よろしく」とは、相手に都合よく計らってもらう場合などに用い、ちょうどよい具合に、程よく、適当に、という意味があります。
相手に返答をお願いする場合は、相手のちょうどよい計らいにより返答してくれるようお願いしますという意味で、例えば「返答していただくよう、よろしくお願いいたします。」というように、使います。
他に「ご返答よろしくお願いいたします」「ご返答のほど、よろしくお願いいたします」「ご返答くださいますよう、よろしくお願いいたします」という使い方ができます。
「ご返答」と「ご回答」の違い
似たような意味のある「ご返答」と「ご回答」ですが、2つの違いは何でしょうか。どう使い分ければ良いのでしょうか。
まず、「返答」と「回答」の意味から確認していきましょう。
「返答」意味
「返答」は、誰かに聞かれたり、呼ばれたりしたことに答えること、言葉を返すこと、返事をするという意味があります。
「ご返答」とは、聞かれたことや呼ばれたこと、問いかけに対して答えることの「返答」に、尊敬や謙譲の意味のある「ご(御)」をつけ、丁寧に表した語です。
「回答」意味
「回答」とは、質問や要求などに対して答えること、その答えのことです。
「ご回答」とは、質問や要求などに対して答えること、その答えである「回答」に、尊敬や謙譲の意味のある「ご(御)」をつけ、丁寧に表した語です。
同じ読みに「解答」がありますが、こちらはは問題を解いて答えを出すこと、その答えを意味しますので、「回答」と混同しないよう注意しましょう。
「ご返答」「ご回答」の違いと使い分け
「返答」と「回答」は、上記のように「答えを返す」という意味では似た使われ方をしています。
しかし、「返答」は呼びかけや問いかけに言葉を返す、返事をするという意味も含まれますが、「回答」は質問や問いに対して、意味のある答えを返すという意味合いが強く、文書による正式な返事としても使われます。
返答より回答の方が丁寧な答えを求められている、求めることができる、とも考えられるのではないでしょうか。
「ご返答」と「ご回答」では、「ご回答」のほうが丁寧な説明が求められ、文書による正式な返事の意味もありますので、どのような内容の返事を求めているのか、求められているのかによって使い分けが必要です。
「ご返答」の敬語
日常生活やビジネスシーンにおいて「返答してくれ」「返答してほしい」ということを伝える場面は多々ある物です。
敬語としては正しい「ご返答ください」という言葉を使うこともできないわけではありませんが、「ください」という一方的な命令口調の言葉により、強い印象になってしまいます。
失礼なく「ご返答」を使うにはどのような使い方があるのでしょうか。ふさわしい「ご返答」の使い方や敬語の使い方を次にご紹介いたします。
尊敬語
上司や先輩など目上の方に使う尊敬語ですが、「返答してほしい」場合どのように伝えれば良いのでしょうか。
「返答」は「ご返答」とし、「(自分が)してほしい」は、相手を直接尊重する「ください」の尊敬語「くださる」を使い、「ご返答くださいますよう~」という使い方をします。
このような尊敬語は使いますが、「返信してほしい」と自分側がお願いしているため文章全体の表現としては謙譲表現が使われますので、次にご紹介いたします。
謙譲語
「ご返答」をしてもらうので、自分を謙って(へりくだって)間接的に相手への尊敬を表す謙譲語「していただく」「いたす」「申し上げる」を使います。「ご返答お願いいたします」「ご返答お願い申し上げます」「ご返答いただければ幸いです(強制でない場合)」「ご返答くださいますよう(尊敬語)、お願いいたします(謙譲語)」などの使い方をします。
クッション言葉を使って相手への尊重を表し、「お手数おかけいたしますが、ご返答お願いいたします」「恐れ入りますが、明日までにご返答をお願いできますでしょうか」「お忙しいところ恐縮ですが、ご返答お待ちしております」「お忙しいところ恐縮ですが、ご返答何とぞよろしくお願い申し上げます」とも使われます。
自分が相手に「返答」する場合は、「ご返答いたします。」「ご返答させていただきます」「ご返答申し上げます」です。「ご」は付けてもつけなくても間違いではありません。
「ご返答」とは失礼なのか
「ご返答」という言葉が失礼ということはなく、「ご返答」と「ご回答」の使い分けができていなかったり、使い方によっては失礼に当たってしまうこともあり得ると考えるとよいでしょう。
先の「ご返答ください」は強い印象になるため目上の方へ使うのは適していないと言えます。「ご返答願います」は「ご返答ください」よりは幾分印象は柔らかくなりますが、親しい上司や先輩、同僚などに対し社内では使うことはできても、社外の取引先や、初対面の相手などに対しては、失礼と捉えられる場合がありますので、より丁寧な言い方をすることが必要です。
「ご返答くださいますようお願いいたします」「ご返答をお願いいたします」「ご返答をお願い申し上げます。」「ご返答いただければと存じます」「ご返答お願いできますでしょうか」などの使い方をしましょう。
「ご返答」のお礼の方法
こちらの問いかけに対し「ご返答」いただけた際は「ご返答ありがとうございます」等お礼を述べます。「ご返答ありがとうございます」は「いただく」、「くださる」、を省略した言い方です。
受けた側の感謝の度合いが大きい場合は「ご返答いただいた」と表現しましょう。返答してくれた相手の行動を直接尊敬する場合は、「返答くださった」と表現し、「ご返答いただき、ありがとうございます」「ご返答いただき、感謝申し上げます。」「ご返答くださいまして、ありがとうございます」と感謝を述べるとよいでしょう。
「ご返答」と「ご回答」は使い分けと敬語が大切
「返答」は問いや呼びかけに対して答えること、「回答」は質問や要求などに対して答えることです。「返答」は口頭での返事も含まれますが、「回答」はより丁寧な答えが必要と考えられ、正式な文書での返事をする意味合いもあります。
失礼のないよう使うには、「返答」と「回答」どちらが適切なのかを見極めることが必要です。そして、正しい敬語、状況に応じた適切な敬語を使うことが必要となります。
適切な「ご返答」の使い方
目上の方に対しては、「ご返答ください」「ご返答願います」という強い表現は失礼にあたります。「ご返答のほど、よろしくお願いいたします」「お返答いただきますようお願い申し上げます」「ご返答くださいますようお願いいたします」、自分が返答する場合は「返答させていただきます」などの使い方をしましょう。
「返答」いただいた場合には、「ご返答いただき、ありがとうございます」「ご返答くださいまして、ありがとうございます」「ご返答ありがとうございます(いただく・くださるを省略)」などのお礼を伝えることで、お互い気持ちよく過ごすことができるでしょう。
「ご返答」の例文や使い方、「ご回答」との違い、失礼な使い方、返答の仕方などご紹介いたしました。いかがでしたでしょうか。ぜひ参考にしてみてください。