「ご覧いただく」の敬語・類語・使い方・例文・「お見せする」の違い

ビジネススキル

「ご覧いただく」の意味は?

ビジネスシーンにおいてよく耳にする「ご覧いただく」ですが、言葉の意味はご存知でしょうか。「ご覧いただく」とは敬語表現をしており、「見てもらう」という意味になります。

「ご覧いただく」を分解してみると分かりやすくなります。「ご覧いただく」は「ご覧」と「いただく」に分けることができ、「ご覧」とは「見ること」の尊敬語で、「いただく」は補助動詞「〜してもらう」の謙譲語です。

以上のことから、「ご覧いただく」は「見てもらう」を敬語で表現した文章ということが分かります。

敬語について復習してみよう!

前述したように、「ご覧いただく」は敬語表現をしています。「ご覧いただく」の詳しい敬語の説明をする前に、まずは敬語について復習してみましょう。

敬語には「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3つの種類があり、それぞれ役割が異なります。「尊敬語」は目上の方を敬った表現で、「謙譲語」は自分を下に下げることによって間接的に相手を高めるへりくだった表現、「丁寧語」は文末に「です、ます」がついた丁寧を表す敬語です。

では「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」について、もう少し詳しく見ていきましょう。

尊敬語のルール!

前述のように、「尊敬語」とは目上の方を敬う表現です。

尊敬語のルールとして、目上の方の動作を表す場合に用いられます。たとえば、目上の方が「話しをしている」「食べている」と述べたい場合、「(目上の方が)お話されている」「召し上がっている」と表現します。

また、自分が行っている動作について尊敬語を用いないようにしてください。自分に対して尊敬語を用いるのは誤った使い方です。

このように、尊敬語の使い方にはルールがありますので、「目上の方が○○している」という動作について述べる場合にのみ尊敬語を用いてください。

謙譲語の表現の仕方!

前述しましたが、「謙譲語」とは俗に言うへりくだった表現の敬語で、目上の人に自分の行動を述べる場合に使われる他、話しの聞き手や読み手を立てる場合に用いられます。

謙譲語で表現するには、「お(ご)〜する」「お(ご)〜いたす」「お(ご)〜いただく」などの型に当てはめるタイプのものと、単語そのものが変形するタイプの2つのタイプが存在します。

たとえば、前者の型に当てはめるタイプには、「待つ」「連絡する」の「お待ちする」「ご連絡いたす(いたします)」などがあり、後者の単語が変形するタイプのものには「行く」「(物を)貰う」の「参る、伺う」「頂く」などが挙げられます。

「ご覧いただく」は、「いただく」の部分が「〜してもらう」の謙譲語になっているため、敬語表現の中の「謙譲語」に分類されます。

丁寧語は「です・ます」

丁寧語は一番馴染みのある敬語ではないでしょうか。文末に「です、ます、ございます」を付け加えるだけで敬語表現ができるので、誰もが意識せずに使えている敬語と言えるでしょう。

「ご覧いただく」の敬語表現!

では、「ご覧いただく」の敬語表現についてもっと詳しく説明してきます。

「ご覧いただく」は謙譲語!

前述したように、「〜してもらう」という補助動詞を謙譲語にすると「いただく」になりますので、「ご覧いただく」は謙譲語の表現をしていることが分かります。

また、「〜していただく」で表現できる謙譲語は「ご覧いただく」以外にも、「お越しいただく」「ご来店いただく」「ご説明いただく」など、いろいろな言葉と組み合わせることが可能です。

尊敬語にすると「ご覧くださる」

「ご覧いただく」は謙譲語だとご説明しましたが、これを尊敬語で表現するとどうなるのでしょうか。

目上の方が「見ている」という動作を尊敬語で表したい場合は「ご覧になる」ですが、恩恵を受けることを表す「見てくれる、見てもらう」は「くれる」の尊敬語が「くださる」なので「ご覧くださる」と表現できます。

「ご覧くださる」の後ろに「ありがとうございます」や「お願いします」を付け加えたい場合は、「ご覧くださいまして、ありがとうございます」「ご覧くださいますよう、お願い申し上げます」などと表現しましょう。

「ご覧いただく」の使い方は?

前述したように、「ご覧いただく」は謙譲語で、へりくだった表現の敬語です。敬語のルールとして、目下の人に対してへりくだる必要はないとされているため、「ご覧いただく」は目下の人には使わず、目上の人に対して用います。

したがって、上司や先輩、取引先や顧客など、自分より年齢が上の人や立場が上の人に対して「ご覧いただく」を用いるようにしてください。

メールでの使い方!

上司や取引先、顧客などに対し、メールでも「ご覧いただく」を使うことが可能です。

メールでは、「ご覧いただく」の後ろに「お願いします」や「ありがとうございます」などを付け加え、見てほしいとお願いする文面であったり、見てくれたことに対するお礼を述べる場合に用いられます。

したがって、目上の方に見てほしいとお願いしたい場合には「ご覧いただきますよう、よろしくお願いいたします」、見てくれたことに対してお礼を言いたい場合には「ご覧いただき、ありがとうございます」などと表現しましょう。

「ご覧いただく」の例文

「ご覧いただく」の例文についてご紹介します。

目上の人に向かって「ご覧いただく」を使う場合、後ろに「ありがとうございます」や「お願いします」を付け加えましょう。

見てくれたことに対して感謝やお礼の意を述べる時や、「見てもらいたい」と依頼、お願いする際などに「ご覧いただきますようお願い申し上げます」「ご覧いただきありがとうございます」と表現します。

「ありがとうございます」を付ける

「ご覧いただく」の後ろに「ありがとうございます」を付けて「ご覧いただきありがとうございます」「ご覧いただきましてありがとうございます」にすると、「見てくれてありがとう」という意味になり、見てくれたことに対して感謝やお礼の気持ちを伝える際などに使われます。

では、以下で例文をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
「お送りした資料をご覧いただき、誠にありがとうございます」
「私が作成した資料をご覧いただき、ありがとうございます」

「お願いします」を付ける

「ご覧いただく」に「お願いします」を付けると、「見てほしい」「見てくれないですか」という依頼、お願いする文章になります。目上の方にお願いする場合には、丁寧な表現を心がけましょう。

「ご覧いただきますよう、お願いいたします」でも十分丁寧ですが、「ご覧いただけませんでしょうか」のような疑問文にすると、より丁寧な表現になるので、相手からの心象が良くなります。

以下、例文です。
「こちらの資料をご覧いただきますようお願い申し上げます」
「先日お送りしたパンフレットですが、明日までにご覧いただきますようお願いいたします」
「部長、こちらのプリントをご覧いただけますでしょうか」

「ご覧いただく」の類語・言い換え表現!

「ご覧いただく」の類語や、他の語に言い換える場合、「見てもらう」という意味の言葉にすることがポイントです。

以下、「ご覧いただく」の類語、言い換え表現の例を挙げます。

・見られる
・見ていただく
・見てくださる
・ご高覧いただく
・ご高覧くださる
・ご覧くださる

「ご覧いただく」と「お見せする」の違いは?

「ご覧いただく」と「お見せする」は、どちらも相手に見てもらう内容を指しますが、この両者の違いは主体となるのは誰なのかという点です。

「ご覧いただく」は相手の人が主体となって「(相手の人が)見る」の意味になるのに対し、「お見せする」は自分が主体となって「(自分が)見せる」という行為を指しています。

このように、「ご覧いただく」と「お見せする」には明確な違いがありますので、使う場面を間違えないように気をつけましょう。

「ご覧いただく」は目上の人に使おう!

「ご覧いただく」は「見てもらう」を謙譲語で表現した言葉ですので、目上の人に何かを見てもらいたい場合などに使いましょう。お願いする場合には「ご覧いただきますようお願いいたします」、見てくれたことに対するお礼を述べる際には「ご覧いただきましてありがとうございます」と表現します。

正しく丁寧な言葉が使える人は周りからの印象も良くなりますので、ぜひ使いこなせるようにしておいてください。

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