「ご説明」の例文
ビジネスや目上の人に対して「ご説明」を用いた敬語の表現をすることがあります。「ご説明」の後に続く文はさまざまですが、果たして問題なく使えているのでしょうか。
「ご説明」を使った例文をいくつかご紹介します。
します
「ご説明します」は「ご~する」の謙譲語であり、自分が説明をすることを恐縮して、へりくだって表現します。「ご説明します」を用いた例文を見てみましょう。
「今からご説明します」
「ご説明しますので、しばらくお待ちください」
「わからない方には丁寧にご説明します」
いたします
「ご説明いたします」の「いたします」は「します」の謙譲語であり、「します」よりも丁寧な謙譲表現です。自分が説明することを、よりへりくだった言います。ビジネスでは「します」よりも「いたします」の方が改まった印象を与えるため、相応しい表現です。「ご説明いたします」の例文は次のようになります。
「今から順を追ってご説明いたします」
「課長の鈴木がご説明いたします」
「時間がありませんので、ざっとご説明いたします」
ありがとうございます
「ご説明ありがとうございます」の「ありがとうございます」は相手がしてくれたことに対してお礼を言うときに使います。「ありがとうございます」の前に「してくれたこと」付けて言います。「ありがとうごさいます」の例文を3つに分けてご紹介します。
ご説明ありがとうございます
「ご説明ありがとうございます」はシンプルな表現です。「ご説明」の後に「いただき」や「いただきまして」または「くださり」「くださいまして」などの表現が省略されている形です。「ご説明いただく」と「ご説明くださる」のどちらのシーンでも使える便利な表現です。
ご説明いただきましてありがとうございます
「ご説明いただきましてありがとうございます」の「いただく」は「もらう」という意味があります。説明する相手に申し訳なく思い自分をへりくだる謙譲語の表現です。説明の依頼に相手が応じたときなどに「いただきまして」を使います。こちらからのお願いを聞いてくれたことに感謝の気持ちを表します。
ご説明くださいましてありがとうございます
「ご説明くださいましてありがとうございます」の「くださる」は「くれる」という意味を持っています。説明してくれた相手を敬う尊敬語の表現です。頼んでもいない説明を相手の意思でしてくれたときに「くださいまして」を使います。相手の厚意に感謝の気持ちを込めて表現します。
させていただきます
「ご説明させていただきます」の「させていただきます」は相手に対して申し訳ない気持ちを表す謙譲語です。「させていただく」には「相手の許可のもと行う」という意味がありますが、最近ではあらゆるシーンで丁寧さを強調して「させていただく」を使い過ぎる傾向にあります。
「させていただく」の乱用はくどくて印象が良くありません。適切なシーンのみで使いましょう。事前に説明を依頼された後の「ご説明させていただきます」の例文は次のようになります。
「今回の件に関してご説明させていただきます」
「先にご説明させていただきますので、質問はその後でお願いいたします」
「新システムについて今からご説明させていただきます」
「ご説明」の敬語
「ご説明」は頭に「ご」が付いているため敬語だと認識しやすいですが、どのような敬語なのでしょうか。敬語は大きく分けて「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」があります。それぞれご紹介します。
尊敬語
尊敬語は話し手が、動作や動作の主体に対して敬意を表すときに用いられます。「お(ご)~になる」「お(ご)~なさる」「~れる(られる)」などの形を取ります。「ご説明」の尊敬語は、相手が説明することに対して敬意を込めて「ご説明になる」「ご説明なさる」「説明される」のように使います。
謙譲語
謙譲語は聞き手や話題の人物に対して、自分側の動作をへりくだって言うことで敬意を表すときに用いられます。「お(ご)~する」「お(ご)~いただく」などの形を取ります。「ご説明」の謙譲語は、相手に対して説明する自分をへりくだって「ご説明する」、相手に説明してもらう自分をへりくだって「ご説明いただく」になります。
丁寧語
丁寧語は丁寧に言うことで、聞き手に対して直接敬意を表すときに用いられます。丁寧語は接尾語として「です」「ます」などを付ける他に、接頭語として「お」や「ご」を付けることがあります。例えば「お茶」「ご飯」のように使うと、丁寧で上品な印象を与えます。
ですが「お」や「ご」が前に付いているもの全てが丁寧語というわけではありません。「ご説明」の場合は「説明」するという動作に「ご」が付いた形であり、物の名前を丁寧に言う「お」や「ご」の丁寧語とは区別されます。
「ご説明」は相手の動作を敬うときには「尊敬語」、自分の動作をへりくだるときは「謙譲語」として扱われます。「ご説明」を含む文章全体を見渡してどちらの敬語か判断しましょう。
「ご説明」とは間違いなのか
「ご説明」は使い方によっては違和感があります。特に自分の動作を言うときに「ご」を付けてしまうのは問題ないのでしょうか。他にもシーンによっては間違いではないかと考えられるケースがあります。詳しく見ていきましょう。
自分
相手の動作に対して「ご」を付けて「ご説明される」のように使うのは敬語として自然です。ですが自分の動作に対して「ご説明する」と言うのは間違いであると思われがちです。どのように解釈したら良いでしょうか。
「ご(お)~する」の謙譲語の形は、自分の動作に「ご」や「お」を付けて使います。動作の及ぶ相手に対して敬意を表すことができます。「ご説明」は説明するのは自分ですが、説明が及ぶ相手に対して敬う気持ちが込められています。そのため自分をへりくだる謙譲語の表現として成り立ちます。
また「わたしがご説明されます」や「わたしがご説明になります」「わたしがご説明なさいます」はどれも間違いです。敬意を表す対象が存在せず、自分の行為だけに注目して自分自身を敬っています。自分の動作を尊敬語で表現する大変失礼な言い方です。
第三者
「ご(お)~する」の表現はシーンによっては使えないときがあります。相手と自分だけの会話と違い、第三者がいると状況は変わってきます。
例えばビジネスで客先に訪問したときを考えてみましょう。「会社に戻ったら山田部長に説明します」という内容を言うときに、客先の人に対して次のように言ったら間違いになります。
「戻りましたら山田部長にご説明します」の言い方は、客先に対して自分側の身内の尊敬表現をしてしまうことになり、恥ずかしい表現です。「戻りましたら部長の山田に説明します」または「します」の代わりに「いたします」を使うのが正しい表現です。
「○○部長」の言い方も外部の人には敬称となってしまうため、「部長の○○」または「○○」と名前だけ言います。使うシーンを間違えないように気を付けましょう。
「ご説明」の類語
「ご説明」と同じ意味の言葉を知っていると置き換えができて便利です。「いただく」「ご説明」の類語は「ご案内」「ご紹介」「ご解説」などがあります。
「ご説明」の言い換え表現
「ご説明」の言い換え表現の例を「ご案内」「ご紹介」「ご解説」で見てみましょう。
「弊社の商品についてご案内申し上げます」
「当校の授業プランをご紹介いたします」
「当商品について詳しくご解説いたします」
関係性を正しく捉えて
敬語は表現として正しく言えても、使うシーンに合っていなければ大変失礼な表現になってしまいます。ビジネスなどは関係性が複雑な上、即対応しなければならないため、敬語を正しく使いこなすのはかなり難しいことです。日頃から周りとの関係性を意識して、相応しい敬語を使いこなせるように努力しましょう。