日本語の魅力的な覚え方
日本語を覚える・学習する際には必ず「実践的にその言葉を覚える」という方法が効果的で、そのためにはさまざまな場面・状況・条件をあらかじめ設定した例文や会話表現を用いて学習することが必要になります。
今回ご紹介します「取り急ぎご連絡まで」という言葉も、ビジネスシーンや日常生活において非常に多く使われる日常用語的な慣用句表現として認められるため、ぜひ上記のように「実践的な方法」をもって覚えることに努めてみましょう。
「取り急ぎご連絡まで」の意味と使い方
さて、この「取り急ぎご連絡まで」という言葉の意味合いや使い方についてですが、その意味合いは「とりあえずご報告まで」という内容になります。なぜこのような活用方法・言い方をするかと言えば、それは伝達者(話者)の状況が多忙な場合や、また他に伝えることがない場合などにおいて便利な表現となるためです。
・今回の運動会の持ち物につきまして、お伝えしました。取り急ぎご連絡まで。
・新規プロジェクトに際しましてのご案内を申し上げます。取り急ぎご連絡まで。
・今回の講義は201号室で行ないます。取り急ぎご連絡まで。
このように「取り急ぎご連絡まで」という言葉は基本的に文末に置かれることになり、文頭や文章の中程に位置することはほとんどありません。
「ご報告だけする」という意味
先述でもご紹介しましたが、「取り急ぎご連絡まで」という言葉の基本的な意味は「とりあえずご報告だけします」という内容になります。これは話者の状況が多忙な場合や、また他に伝えることが特にない場合などにおいて使われる表現となるため、受け手にとっては「それ以上の詮索をしなくてもよい」という意志表示につながります。
「取り急ぎ」の意味
「取り急ぎ」という言葉の意味は多くの辞書を引用してみると、「とりあえず」、「とりあえず急ぐため」などの状況的な意味合いを持ちます。その上で、話者(伝達者)にとっては「その連絡だけはどうしてもしなくてはならない」とした必須の情報であることがうかがえます。
〔動詞「取り急ぐ」の連用形〕とりあえず急いで。多く、手紙文の末尾に用いる。
「取り急ぎ」は忙しいときに使われる
先述のように「取り急ぎ」という言葉の使われ方が「とりあえず」や「とりあえず急ぐため、その情報だけは伝えておきます」といった状況的背景を持ち合わせるため、この「取り急ぎ」という言葉が使われるタイミングは「話者にとって多忙な場合」がまずうかがえます。
その上で、特に多忙でなくても「今このときに、その情報だけは伝えておかなければならない」とした必須の情報提示をするといった意味合いに受け取れます。
「ご連絡まで」の意味
「ご連絡まで・ご報告まで」という言い方も、ビジネスシーンや日常生活において非常に多く使われる表現方法となります。この「ご連絡まで」という言葉の意味合いは基本的に「その連絡だけはどうしてもしておかなければならない」といった先述の意味合いを含む上で、「現時点において最優先事項」とされた情報提示の意味合いをなします。
「まで」というのは「限り」の意味合い
先述からの引き続きの内容にとなりますが、「取り急ぎご連絡まで」に含まれるこの「まで」という言葉の使い方・意味合いについてですが、この「まで」という言葉その表現どおりに「ここまで・それ以上はない」などといった「限り・限定」を指す言葉になります。
そのため、「ご連絡まで・ご報告まで」と表現された場合には、「その連絡(報告)以上のことは何もありません」や「今においてそれ以上の優先事項はありません」といった内容表示と同じことになります。
「取り急ぎご連絡まで」が使われるタイミング
この「取り急ぎご連絡まで」という表現が使われるタイミングについてですが、これは先述しましたように、「話者にとって多忙な場面」や、「今、その現時点で伝えておかなければならない最優先事項を伝える場合」などがピックアップされます。
つまり、「そのことを、その場面において伝える」ということが「取り急ぎご連絡まで」という表現の最重要の意味合いに含まれることになるため、受け手はその「最重要の情報(連絡)」をそのまま受け取るだけでOKとなります。
「取り急ぎ」と「とりあえず」の意味の違い
「取り急ぎ」と「とりあえず」の意味の違いについてですが、一般的にはこの「取り急ぎ」と「とりあえず」は同じ意味合い・用法において使われることが多く見られます。
しかし、特にビジネスシーンで使われる際には、「とりあえず」という言葉は「他の物事のついでにそれをする」としたややいい加減な姿勢が見えるため、この「取り急ぎ」という言葉の本意を「とりあえず」の意味合いで受け取ることはしません。
むしろ「最重要の事柄をその場面・経過において取り次ぐことがとても重要」とした、「重要事項の発信だけをしました」という意味合いで受け取られることが多く、その場合でも受け手は「その重要事項を受け取るだけでOK」という形になります。
メール
先述の「取り急ぎご連絡まで」の意味合いや用法を踏まえた上で、ビジネスメールでもこの「取り急ぎご連絡まで」という表現は非常に多くの場面において使用されています。
・新企画の商品のリストをお送りいたしました。取り急ぎご連絡まで。
・次回の会議は○月○日に行なわれます。取り急ぎご連絡まで。
・○○さまが今月付で辞職されます。取り急ぎご連絡まで。
このように、電子メールの場合でも「取り急ぎご連絡まで」という表記は文末に置くことが一般的です。
ビジネス
ビジネスシーンで使われる「取り急ぎご連絡まで」という表現の意味合いは先述のように、「その場面においてその情報は重要事項であるため、どうしても発信しなければならない」とした「優先事項を伝える」といった姿勢で使われます。そのため、「とりあえず情報を送ります」などの意味合いよりもさらに「重要度」の意味は強まります。
・明日の本会議のプログラムをお送りいたします。取り急ぎご連絡まで。
・明日までに、ぜひ今月の黒字予算のリストアップをしてください。取り急ぎご連絡まで。
・本日に、先日より承っておりました企画商品を郵送いたしました。取り急ぎご連絡まで。
目上の人や上司に対しては使用を避けること
この「取り急ぎご連絡まで」という言葉の意味的背景には、それでも「とりあえず」といった「何か他の物事のついでにそれをした・情報を送った」などの意味合いがどうしても浮かぶため、部下から上司(目下の人から目上の人)への使用は避けた方がベターとされます。
ビジネスシーンでは「誰に対しても失礼のない敬語表現」を使うことが求められるため、どんな場面においても「確実に非礼のない表現・言葉遣い・言葉選び」をしておくことが無難となります。
「取り急ぎご連絡まで」の例文
先述でご紹介しましたが、日本語を1つ1つ覚えていく際には「その覚えるべき言葉を実際に使って覚える・学習する」という姿勢がとても重要になります。この「取り急ぎご連絡まで」という表現・意味の使い方においても、ぜひ実践的に学習する姿勢をもってインプットしましょう。
よろしくお願いします
この「よろしくお願いいます」という言葉も、「取り急ぎご連絡まで」という表現と一緒に使われる場合が多く見られます。このように、「覚えるべき言葉」とワンセットで使われる言葉・表現をしっかりインプットすることが大切です。
・本サービスのご利用方法を明記した書類をお送りしましたので、ぜひよろしくお願いします。取り急ぎご連絡まで。
・コンピューターの扱い方について明記したメモ書きを、○○さまのデスクの上に置いておきましたので、どうぞよろしくお願いします。取り急ぎご連絡まで。
・遠足に持っていく物のご案内は以上になります。どうぞよろしくお願いします。取り急ぎご連絡まで。
失礼いたします
この「失礼いたします」という言葉は主に、「取り急ぎご連絡まで」と表記したその前後で使われる謝意を示す言葉になります。
・この件につきまして、取り急ぎご連絡までさせていただきました。失礼いたします。
・取り急ぎご連絡となってしまいましたことを、大変失礼いたします。
・急なご報告にて失礼いたします。取り急ぎご連絡まで。
まずは○○をよろしくお願いしたします
この場合の「まずは○○をよろしくお願いしたします」という言葉の内容は、特に「これをしておいてください」ということを優先的に指し示す意味で使われます。つまり、「それを先にしておいてください」という連絡をすることをメインとし、その後に「取り急ぎご連絡まで」という結びの言葉で締めくくる形になります。
・その件につきまして、まずは月曜日の午前中にご連絡ください。取り急ぎご連絡まで。
・論文作成においては、まず資料集めからよろしくお願いします。取り急ぎご連絡まで。
・取り急ぎのご連絡となりますが、まずは情報伝達の整備をよろしくお願いいたします。
「取り急ぎご連絡まで」の返信方法
「取り急ぎご連絡まで」の返信方法についてですが、一般的に返信は不要です。この「取り急ぎご連絡まで」という表現には「とりあえず今しておかなければならない情報伝達」という意味合いが含まれるため、いわゆる「情報掲示板」の意味合いを果たしています。
そのため、インターネット上で見られる情報掲示板に一々返信しないことと同じく、その情報発信(メール)への返信をわざわざその都度において行なう必要はありません。
返信不要なのか
先述の内容の引き続きの形となりますが、それでもどうしても返信しないと気が落ち着かない場合は、特に「返信してはいけない」という決まりはないため、丁重かつ簡潔な表現によって返信をしてもかまいません。
・了解しました(目上の人に対しては不可)
・了承しました(目上の人に対しては不可)
・承りました
・わかりました、どうぞよろしくお願いします。
・またのご連絡をお待ちしております。
上記のように、この「取り急ぎご連絡まで」とされたメールへの返信内容は「丁重かつ簡潔にしておくこと」が大切で、長々と返信することは避けましょう。もしその相手からのメール内容において、どうしてもわからない疑問があったり、また合点が行かない内容がある場合には、改めてメールを差し上げるという形で対応しましょう。
「取り急ぎご連絡まで」の敬語
「取り急ぎご連絡まで」という言葉は、その言葉どおりにまず敬語表現ではありません。しかしこの「取り急ぎご連絡まで」という表現は主に慣用句表現として使われているため、主だった敬語表現というのはありません。
そもそも「取り急ぎご連絡まで」という表現は「目下の人から目上の人に対して使う言葉・敬語表現」には含まれない(認められない)ため、敬語表現そのものに置き換えることができず、もし同じ内容の表現を使う際には、まったく別の表現をもって敬語表現とするのが正しい方法となります。
「取り急ぎご連絡まで」は「ご報告のみ」の意味
「取り急ぎご連絡まで」という言葉は「ご報告のみ」という表現の意味合いを持ち合わせており、先述しましたようにその情報発信の内容・形態は「情報掲示板」の場合の提示方法とほぼ同じになります。
そのため、その「取り急ぎご連絡まで」と書かれた内容のメールに対しては基本的に返信する必要はなく、既読の形でOKです。しかし、スマートフォンなどのラインのように「既読したかどうか」がわからない場合があるため、その場合を想定した上で「わかりました」、「情報を確実に受け取りました」といった返信を送ることは必要となる場合があります。
「取り急ぎご連絡まで」の英語表記と意味
「取り急ぎご連絡まで」という言葉を英語に直す場合、それぞれの英単語の意味合い・用法に配慮した上で以下のようにピックアップされます。
・please contact us as soon as possible(取り急ぎご連絡まで)
・just a quick note(取り急ぎご連絡まで)
・in haste(急ぎで、とりあえず、取り急ぎご連絡まで)
・contact us(連絡をください、連絡まで)
・hurry contact(急ぎの連絡、急務、取り急ぎご連絡まで)
・urgent report(急ぎの連絡、急用の報告、取り急ぎご連絡まで)
・important matter(重要事項の提示、取り急ぎご連絡まで)
「取り急ぎご連絡まで」の英語表現と意味(1)
先でご紹介しました「取り急ぎご連絡まで」の英語表記を参考にして、「取り急ぎご連絡まで」の英語の例文をいくつかご紹介します。
・The analysis result of this time came out minus. Just a quick note
「この度の分析結果はマイナスと出ました。取り急ぎご連絡まで。」
・We will send you the content of the business plan for this season. In contact you as soon as possible.
「今季の事業計画の内容をお送りいたします。取り急ぎご連絡まで。」
・Mr. Sato retired. In important matters.
「佐藤さんが退職なさいました。取り急ぎご連絡まで。」
「取り急ぎご連絡まで」の英語表現と意味(2)
先述しました「取り急ぎご連絡まで」の英語表現に引き続き、さらに具体的な「取り急ぎご連絡まで」の例文をご紹介します。
・With regard to account settlement of accounts for the current month, it has recovered much from the data of the previous year, and I am convinced that by continuing this growth, I can hope to expand business next year. Just a quick note.「今月の赤字決算におきましては、前年のデータから見て遥かに回復しており、この成長を続けていくことによって、来年度の事業拡大は十分望めると確信しています。取り急ぎご連絡まで。」
「取り急ぎご連絡まで」の英語表現と意味(3)
先述の具体的な「取り急ぎご連絡まで」の英語表現に引き続き、今度はいろいろな場面で使われる「取り急ぎご連絡まで」の例文をご紹介します。
・When giving up a hurry contact, be sure to do it in consideration of the situation of the other party.
「取り急ぎの連絡を差し上げる際には、必ず相手の状況に配慮した上で行ないましょう。」
・The phrase “to hurry up to contact” does not mean “I will contact you for the time being”, but rather “to convey the priority”.
「「取り急ぎご連絡まで」という表現は「とりあえずご連絡します」という意味ではなく、「優先事項の伝達」を指します。」
「取り急ぎご連絡まで」の正確な用法を覚えましょう
いかがでしたか。今回は「取り急ぎご連絡まで」の意味と使い方・例文・返信方法・敬語と題して、「取り急ぎご連絡まで」の意味と使い方・例文・返信方法・敬語についての詳細情報のご紹介をはじめ、いろいろな場面で使われる「取り急ぎご連絡まで」の用例をご紹介しました。
「取り急ぎご連絡まで」という表現はビジネスシーンでも日常生活でも、非常に多くの場面で使われている慣用句表現として認められます。つまり、それだけ多くの場面で使われている表現であるため、なお「正確な表現方法」をすることが求められます。
「取り急ぎご連絡まで」の「取り急ぎ」という意味は「とりあえず」の意味合いではなく、「優先事項をその場において伝える」といった急務を示す内容となるため、特にビジネスシーンではその言葉の使い方・場面の選び方に注意しましょう。