「お尋ね」の例文・「お訪ね」との違い・敬語・メールでの書き方

ビジネススキル

「お尋ね」の例

「お尋ねする」とは、「尋ねる」に丁寧語である「お」という接頭辞がついた言葉で、敬語として使われます。「お尋ねする」は、ビジネスだけでなく、日常生活の中でも多く使われる、使用頻度の高い言葉といえます。

「ちょっと道をお尋ねしますが」とか、「お尋ね者」といった言い方を聞いたことがあるのではないでしょうか。

「お尋ねする」の意味

「お尋ねする」には、「所在のわからないものなどをさがし求める」「 物事のおおもとなどを明らかにしようと調べたり考えたりする」「わからないことを人に聞く」「質問する/問」という意味があります。「お訊ねする」という漢字で書いても、全く同じ意味で使えますが、「訊ねる」という漢字は、常用漢字ではないため、一般的には「お尋ねする」の漢字を使います。

「道をお尋ねしたい」は、「道がわからないので教えてください」という意味で使われています。「お尋ね者」は、「所在がわからず捜し求められている人」という意味で使われています。

お尋ね「ください」

「わからないことがあれば、遠慮なくお尋ねください」と説明会や役所の窓口などで言われたことはないでしょうか。「お尋ねください」とは、「お尋ねする」に「してください」を付けた、相手の行動を促す言葉です。ここでの「お尋ね」は、「わからないことを人に聞く」「質問する」の意味で使われています。

「お尋ねください」は、「聞いてください」「質問してください」の丁寧語として使われています。

お尋ね「したい」

「すみません。少々お尋ねしたいのですが」のように、「お尋ねする」を使うこともあります。「お尋ねしたい」とは、「お尋ねする」に「したい」をつけた、自分の欲求・要望を示す言葉です。ここでの「お尋ね」も「わからないことを人に聞く」「質問する」の意味で使われています。

「お尋ねしたい」という要求文では、「質問したいのですが」「教えていただきたいのですが」といった意味を示しています。「お尋ねしたい」は、人に何かを尋ねるときの謙譲語として使われます。

「お尋ね」と「お訪ね」の違い

「尋ねる」の同音異義語に「訪ねる」という言葉あります。「訪ねる」も「尋ねる」と同じように、「お訪ねください」「お訪ねしたい」という使い方ができます。この2つの言葉は、同音ながら意味は明確に異なります。ここでは、「尋ねる」と「訪ねる」の違いについて、考えてみましょう。

「お訪ねする」の意味

「お訪ねする」は、「訪ねる」の丁寧語です。「訪ねる」には、「たどって捜し求める」「人や何かのある場所を目指して、そこに行く」「目指す所に行って目指すものを見る、または聞く」という意味があります。「お訪ねする」は、目上の人のお宅や会社に足を運ぶことを意味します。

「お尋ね」と「お訪ね」の使い方

「お尋ね」するのは、質問事項であり、自分がわからないことやあいまいなことです。「お訪ね」するのは、場所であり、その場所に行くとき、赴くときに使います。お尋ねするは、英語だと「ask」になります。お訪ねするは、英語では「come」で表現できます。

同じ「おたずねする」という読み方になるので、耳で聞いたときに混乱しそうですが、双方の意味する内容が全く異なるため、話の脈略から、意味を取り違えることはありません。

「お尋ね」と「お訪ね」の例文

「お尋ね」と「お訪ね」では、意味が違うということは、理解できたでしょうか。意味が違っても、読み方が一緒では、混乱するのではないかと懸念している人は、例文を読んでみれば、文脈からどちらの「おたずね」の意味で使われているか理解できるということに納得いくことでしょう。

【お尋ね】
・少々「おたずね」したいことがあるのですが
・先日、「おたずね」いただいた内容について回答いたします
・不明点があれば、随時「おたずね」ください

【お訪ね】
・突然「おたずね」いただいても、留守にしている場合があります
・本日お宅を「おたずね」したのは、勧誘目的ではございません

「お尋ね」の敬語

「お尋ね」を敬語になおしたい場合は、「尋ねる」という動詞の敬語として考えてみましょう。「尋ねる」は、尊敬語では「お尋ねになる/尋ねられる」を使います。謙譲語では、「うかがう/お尋ねする」を使います。

敬語の中でも尊敬語は、目上の人の行為に対して使います。相手が何かを質問してきたときに「〇〇様が、今回の件についてお尋ねになった」と言えば、尊敬語の表現になります。謙譲語は、目上の人に対して自分が行った行為に対して使います。自分が目上の人に対して質問したことを「〇〇様に、今回の件についてお尋ねした」と表現します。

クッション言葉

「お尋ねする」は、単に敬語としてだけでなく、「敬語のクッション言葉」としても使われています。クッション言葉とは、お願いやお断りなどの言いにくいことを伝えるとき、用件の前にひと言添えて、後続のお願いやお断りの印象を和らげるための言葉です。

「お尋ね」は、「ぶしつけながらお尋ねいたしますが、この製品の売れ行きはどのような状態でしょう」のように、クッション言葉として用いられます。

「お尋ね」メールの書き方

「お尋ね」とは、敬語の中の尊敬語・謙譲語の「一部」として使えます。尊敬語なら「お尋ねされた」、謙譲語なら「お尋ねした」となります。相手の行為に対しても、自分の行為に対しても「お尋ね」部分は使えるので、ビジネスメールの中でもよく見かける敬語となっています。

ここでは、「お尋ね」を用いたメール文章の例文をご紹介します。ビジネスだけでなく、プライベートメールでも使うことがあるので、実際にどう活用できるか考えながら、例文を参照してみましょう。

メールで使える例文

「お尋ね」を使ったメール文をご紹介します。「お尋ねになる」という尊敬語を使うメール文と、「お尋ねした」という謙譲語を使うメール文をご紹介します。

【尊敬語】
・先日〇〇様がお尋ねになった件ですが、回答書を作成いたしましたので、本メールに添付し、ご提示させていただきます
・〇〇様がお尋ねになられた内容につき、弊社内で再考いたしました

【謙譲語】
・先日お尋ねした件について、その後どのようになっておりますでしょうか
・失礼を承知でお尋ねしますが、今回の予算で本当に実現可能と考えておられるのでしょうか

「お尋ね」の類語・言い換え

「尋ねる」には、多くの類語があります。「聞く」「問う」「伺う」「質問」「問いただす」「問い掛ける」「問合せる」などが「尋ねる」の類語とされています。「お尋ね」は「尋ねる」の敬語表現なので、類語も「尋ねる」の各類語を敬語表現にして用いる必要があります。

例えば、「聞く」の敬語は「お聞きになる」なので、「天皇が今回の災害についてお尋ねになった」は、「天皇が今回の災害についてお聞きになった」と言い換えることができます。

「お尋ね」と「伺う」の違い

「お尋ねになる」の意味としても、類語としても「伺う」という言葉が挙げられます。つまり、「伺う」は、「お尋ね」と等しい意味としても使うことができます。「お尋ね」の意味でもある「伺う」ですが、「お尋ね」の同義語として使える一方、別の意味と捉えらることもあります。

「お尋ね」は、「質問」を発信するという意味合いが強い言葉ですが、「伺う」は「単に相手の言うことに耳を傾けている」状況を表す言葉としても使われます。質問としての「聞く」ではなく、単に音が耳に入ってくる「聞く」と同義です。

「質問して聞いた」という意味を強く打ち出すのは「お尋ね」するという言葉です。「伺う」には、流し聞く意味があることを考慮して、用いるようにしましょう。

「お尋ね」を会話で使えるようにしよう

「お尋ね」は、敬語として使いやすく、尊敬語にも謙譲語にも用いることができるので、知っていれば会話の中でうまく敬語を使いこなせます。ビジネスではもちろん、プライベートでも、目上の人を含めた会話の中では活用できる言葉です。使い方を覚えて、ぜひとも今後使いこなしてみてください。

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