「頂きます」の例文・使い方・由来・頂けますとの違い|敬語

ビジネススキル

「頂きます」の由来

毎日、食事の前にいっている「いただきます」は、漢字で書くと「頂きます」となります。「頂きます」の由来については、諸説あります。

「いただく」は、神さまにお供えしたものを貰い受けるときや、位の高い方から物を受取るときに、品物を頂(いただき)と呼ぶ頭上にかかげた姿勢からきているという説が有力でしょう。

また、「頂きます」という言葉が、「食べる」ことや「もらう」ことに関わる理由も、同じ由来と言われます。

漢字

「いただきます」は、2種類の漢字で「戴きます」、「頂きます」となりますが、2つとも謙譲語をつかった「食べる」、「飲む」、「もらう」という意味の敬語表現です。まず最初に、漢字の「戴(いただき)」には「面を持ち上げてかぶせる、頭に物をのせる」という意味があることから、「戴く」は、うやうやしく「もらう」様子に関わりがあります。

次に、「頂」という漢字は「一番高いところ、頂上、てっぺん」という意味があります。「頂」が常用漢字で、「戴」がそうではないために、「いただきます」の漢字表記は、「頂きます」がほとんどでしょう。ちなみに、「頂」と「戴」の漢字を組み合わせた「頂戴します」という言葉があります。これは、「もらう」という意味合いでは、最も尊敬度合いが高い言い方です。

意味

「戴きます」は、「頂きます」ではあらわせない意味を持っています。「戴きます」を使うのは、「新人賞を戴きました」「有名人のサインを戴きます」などです。また、「もらいもの」という意味の「いただきもの」は「戴」を使用して「戴きもの」が正しい表記とされています。つまり、「戴」という漢字は、自分より非常に高い位の人に関わる「もの」に使われます。

ですが、前に説明したように「戴」が常用漢字ではないので、ひらがなのまま「いただきます」と書くことが多いでしょう。

「頂きます」の敬語での使い方

敬語は、尊敬語、丁寧語、謙譲語3種類あり、「頂きます」は謙譲語です。謙譲語は、相手を敬う姿勢として、自分を相手より下におき、へりくだって使う言葉で、自分の動作、関わるものごとすべてに使います。次に、尊敬語は相手に対して敬意をあらわす言葉で、相手の動作、関わるものに使います。最後に、丁寧語はものごとを丁寧にあらわすための言い方です。

一つの文章に、謙譲語、尊敬語、丁寧語が混在することもありますので、違いを分かっておきましょう。敬語の種類を理解したうえで、次に、「頂きます」について、謙譲語、尊敬語の例文を使ってご紹介します。

尊敬語

「頂きます」のもとの形「食べる」「飲む」を尊敬語にすると「召し上がる」です。「もらう」は、受け手(もらう人)に当てはまる言葉で、自分自身に尊敬語を使うことはありませんので、該当する尊敬語は言葉ありません。下記の3つの言い方を比べてみましょう。

もとの文章
会長は毎朝コーヒーを飲む。
謙譲語
会長は毎朝コーヒーを召し上がる。
謙譲語+丁寧語
会長は毎朝コーヒーを召し上がります。

ちなみに、わたしが「もらう」とき、与える側の相手の行動は「くれる」になります。尊敬語にすると「くださる」となり、丁寧語の「ます」を組み合わせると、「くださいます」となります。

もとの文章
会長は(わたしに)毎朝コーヒーをくれる。
尊敬語
会長は毎朝コーヒーをくださる。
尊敬語+丁寧語
会長は毎朝コーヒーをくださいます。

謙譲語

「頂く」は、「もらう」「食べる」「飲む」の謙譲語で、それに丁寧語の「です」、「ます」を組み合わせた形が「頂きます」とより丁寧な敬語になります。同じ意味をあらわした3つの文章を比べて、印象の違いなどを見てみましょう。

もとの文章
いつも18時頃に夕飯を食べる。
謙譲語
いつも18時頃に夕飯を頂く。
謙譲語+丁寧語
いつも18時頃に夕飯を頂きます。

「頂きます」の例文

「頂きます」はビジネスの場面や日常でよく使われていますが、使い方の用途が広いので、違いを理解しましょう。前にも述べていますが、「頂く」とは「食べる」、「飲む、「もらう」の謙譲語です。 そして、「頂きます」は、「もらう」の謙譲語「頂く」に、丁寧語をあらわす「ます」をつけたもので、「もらいます」の敬語表現です。

使い方の例文をピックアップしましたので、ご参考になさってください。

例文

飲食に関わることと、もらうことの例文です。

食べる、飲む
朝食においしい果物を頂きました。
それではコーヒーを頂きます。
夕飯を家族そろって頂きました。
ワインを少しだけ頂きます。

もらう
恩師から有難いお言葉を頂きました。
毎日、お客様から叱咤激励を頂きます。
新店舗の運営についてご提案を頂きました。

頂きますよう

「頂きますよう」の後ろに、謙譲語と丁寧語を組み合わせた敬語表現の「お願いいたします」、「お願い申しあげます」などがつくのが基本的な使い方です。

とても丁寧なお願いをする言い方で、「○○して下さい」という意味になります。また、「よう」を辞書で確認すると、婉曲な命令、希望の意をあらわすこ言葉とあります。

「頂きますよう」は、遠まわしなお願いをするときに使う謙譲語を使った敬語表現でしょう。

例文

「頂きますよう」を使った例文

ご了承頂きますようお願いいたします。
ご対応頂きますようお願い申し上げます。
ご確認頂きますようお願いいたします。

頂きますと幸いです

「頂きますと幸いです」は、「○○してもらったら、わたしはうれしいです」いう意味で、会話ではあまり使いませんが、メールや文書で依頼をする際に使います。控えめに自分の要望をあらわしているため、「かならずやってもらいたい」というのではなく、「できればお願いします」というニュアンスです。ですから、絶対にやってもらいたいときには、不向きでしょう。

ただし、目上の人に使う時は、「わたしがうれしいからやってほしい」というニュアンスの「幸いです」は、あまり適切でありません。「幸いです」にかわって、「幸甚(こうじん)です」を使うことをおすすめします。「幸甚」とは、「非常にありがたく思う」という意味がありますので、「幸い」よりもうれしさを高めてあらわす、とても丁寧な表現と言えます。

例文

「幸いです」と「幸甚です」を使った例文です。比較してみてください。

ご了承頂きますと幸いです。
ご対応頂きますと幸いです。
ご確認頂きますと幸いです。

ご了承いただけましたら、幸甚でございます。
ご対応いただけましたら、幸甚に存じます。

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「頂きます」と「頂けます」の違い

「頂きます」と「頂けます」は、どちらも謙譲語です。「頂きます」は、「もらう」を謙譲語にして、丁寧語の「ます」をつけた形で「頂けます」は、「もらう」が変化した可能形「もらえる」が、謙譲語の「頂ける」となり、それに丁寧語の「ます」がつきます。この2つの違いについて、例文を使ってニュアンスの違いを感じとってみましょう。

このお店で新鮮な魚介類を頂きます。
このお店で新鮮な魚介類を頂けます。

午前中までにメールを頂きます。
午前中までにメールを頂けます。

明日は3人でお越し頂きますか。
明日は3人でお越し頂けますか。

ニュアンスの違い

通常の文章だと、「頂きます」と「頂けます」の違いは、可能形かどうかという点です。また、「頂けます」と違って、「頂きます」は、必ずそうするという断定的なニュアンスがあります。

さらに疑問文にすると、「頂きますか」は、質問しつつも、やや漠然と答えを相手に求めているようなニュアンスがあります。一方、「頂けますか」は、自分主体で質問し、可能かどうかの答えを求めている感じがするでしょう。

「頂きます」は間違いなのか

「頂きます」は、それ自体は決して間違った言葉ではありません。ですが、「くれる」と「もらう」の違いを理解されず、ビジネスの場面などで間違って使っていることが多い言葉です。

まず最初に敬語の確認をすると、「くれる」の尊敬語が「くださる」で、「もらう」の謙譲語が「いただく」です。そして、「くださる」と「いただく」使い分けの1つのポイントは、主語が誰なのかということです。相手が主語になるのであれば「くださる」を使い、自分が主語になるのであれば「いただく」を使います。この点を理解しておくと、迷いにくいでしょう。

例文

相手に検討をお願いする場合の2つの言い方

ご検討頂きますようお願いいたします。
ご検討くださいますようお願いいたします。

この状況を考えると、検討するのは相手で、お願いしているのはわたしです。基本的に、謙譲語を使う時の主語はわたしで、尊敬語は敬う相手が主語になります。その点を踏まえて見ると、上の例文は謙譲語「ご検討頂きます」の主語が相手になっている点が間違いです。下の例文は「ご検討くださいます」の主語は相手なので、正しい尊敬語の使い方でしょう。

実際のビジネスの場面でもよくある、厳密に言うと文法的には間違っているけれど、使われている例にあてはまります。

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「いただきます」は意外と難しいことば

食事の前にいつも言っている「いただきます」は、とても馴染みがあり、使いやすい言葉ですが、使い方を間違いやすい言葉の1つでもあります。ですが、正しい日本語をマスターするにあたり、「いただきます」は理解しなくてはならないでしょう。

「いただきます」は、漢字で「頂きます」、「戴きます」と2つの書き方があり、意味によって漢字も使い分けなけれななりません。また、謙譲語ですが、もとの言葉がひとつでなく、「食べる」、「飲む」、「もらう」と3つの意味をあらわしているので、使う場面がとても広い特徴があります。

「いただきます」の漢字や意味について詳しく取り上げましたが、由来など、元々の言葉の意味を理解できれば、使い分けができるでしょう。知れば知るほど奥が深い「いただきます」を、敬語の知識とともに、ビジネスの場面で使いこなせるよう、ぜひ挑戦してみてください。

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