「お邪魔します」の言い方
お友達や知り合いの家に招いてもらったとき、家に入るときに「お邪魔します」と言います。「お邪魔します」は相手のテリトリーに入ることを許してもらう、相手の時間をとってもらうことに対してマナーとして言うもので、友達や知り合いといえど、そのお家に入るときに何も言わないのは失礼です。
「お邪魔します」を言うタイミング
それではいつ、「お邪魔します」といえばよいのでしょうか。玄関を入ったときでしょうか、それとも玄関に入る前でしょうか。基本的には相手に「上がってください」や「上がって」と言われてから「お邪魔します」と言って入ることになります。
相手が家に上がってもいいよ、という許可を出す前から「お邪魔します」という人もいますが、よほど親しい友人関係以外ではやらない方がよいでしょう。友達ですでに何度もお邪魔しているお宅なら「お邪魔します」と言って入ってもとくに失礼とは受け取られないでしょう。はじめて訪れたお宅なら、相手にうながされるまで待ちましょう。
「お邪魔します」の敬語
「お邪魔します」の敬語ですが、そもそも「お邪魔します」も敬語です。元々は邪魔をする、という言葉を敬語にしたのが「お邪魔します」なので、そのまま敬語として使ってもなにも支障はありません。
より丁寧な言い方をしたい場合
「お邪魔します」が敬語であるとしても、さらに丁重な言葉にしたい場合は「お邪魔いたします」や「お邪魔させていただきます」を使いましょう。さらに言い換えて、「失礼します」や「失礼いたします」と言ってもよいでしょう。
この「お邪魔させていただきます」を間違い敬語だと考えている人がいるのですが、敬語として間違っている言葉ではありません。「お邪魔」を尊敬語として考えると間違いですが、ここでは謙譲語として使っています。「させていただく」というのも、相手の許可を得てお家に入るので間違っていない使い方となります。
誤った敬語とは
「させていただく」というのは、間違った使い方をされている敬語として有数クラスの言葉です。そもそも「させていただく」は相手の許可を必要としているものなどに限ります。
「させていただけますか?」といった疑問形の使い方こそしていませんが、「〇〇させていただきます」というときは、相手の許可を得る言い方になります。
「挨拶させていただきます」や「発表させていただきます」は誤用となります。相手の許可を必要としていないのにわざわざ「させていただく」と使ってしまっているので、「挨拶しなくていい」や「じゃあ発表しなくていい」と相手に言われてしまったら困ることでしょう。無理に敬語にしようとして誤った敬語になっていることがあるので、気をつけましょう。
「お邪魔します」の類語
「お邪魔します」の類語を紹介します。類語とは、意味が似ている言葉や類義語となります。
・訪問する
・来訪する
・訪れる
・上がりこむ
・家に入る
・参上する
・出向く
などが「お邪魔します」の類語として挙げられるでしょう。いずれも相手が許可した場所に行く、訪れるということを意味しています。
相手の時間を邪魔する
「お邪魔します」という言葉は、家や部屋に入るときのマナー以外に相手の時間を邪魔してしまう、といった意味で使うこともあります。そういった意味合いでの類語は以下のとおりです。
・手間取らせる
・お手数をかける
・厄介をかける
・面倒をかける
・手を焼かせる
・時間をいただく
などが空いての時間を邪魔する、や相手の時間を奪ってしまう意味での類語となるでしょう。
「お邪魔します」の言い換え表現
「お邪魔します」を別の言葉で言い換えるとしたら、どうなるでしょうか。
・失礼します
・失礼いたします
・上がらせていただきます
など、相手の指定した場所に伺ったときはこのような言葉で言い換えることができます。「上がらせていただきます」は「させてもらう」の謙譲語であり、相手の許可を得て上がる(家の中に入る)ので、間違った使い方ではありません。
帰るときの挨拶は?
「お邪魔します」と言ってお邪魔したのですから、帰るときにも一言欲しいところです。黙って帰るのは失礼だ、と感じる人も少なくないでしょう。そのため帰るときに使える挨拶をいくつか挙げてみました。
・お邪魔しました
・お邪魔いたしました
・どうもありがとうございました
・失礼しました
・失礼いたしました
などがあります。相手のプライベートエリアにお邪魔して、自分のために時間や手間を割いてもらったことになりますので、きちんと「お邪魔しました」「失礼しました」などの挨拶をしてから帰りましょう。純粋に「今日はどうもありがとうございました」と頭を下げて帰るのもOKです。しっかり頭を下げて、挨拶をしてから帰るのがポイントです。
夜遅くなってしまった場合は?
うっかりとお邪魔している時間が長くなってしまい、一般的な時間帯よりも遅くなってしまった場合はどうでしょうか。
・夜分遅くまで失礼しました
・夜遅くまで大変お邪魔いたしました
・夜分遅くまですみません。今日はどうもありがとうございました
などの挨拶をしておきましょう。必ず、夜遅くまでお邪魔してしまったことをお詫びすることを告げましょう。相手に引き止められて遅くなってしまったのだとしても、そう伝えるのがマナーです。
「お邪魔します」の挨拶方法
「お邪魔します」は相手のプライベートエリアや相手の場所に入るときに、マナーとして言う挨拶です。文字どおり相手のプライベートエリアへ入ると共に、相手の時間もさいてもらう、といった意味もあります。海外や京都、関西ではどういった使われ方をしているのか、見ていきましょう。
海外では?
実は海外では、日本語の「お邪魔します」にあてはまる言葉というのが存在していません。しかし、もしも目上の人に招かれた場合は「Thank you for inviting me. (サンキュー フォ インヴァイティング ミー)」招いてくださってありがとうございます、といった返しがあります。丁寧な返しになるので、パーティなどに招かれたときにも使うことができます。
家主がドアを開けて「welcomeやcome on」と言って中へと招いてくれた場合は、「Thank you」と答えて入ってしまって構いません。
英語にもスラングという乱暴な言葉があるように、丁寧な言葉というものはあります。たとえば「come on」はよく使われる言葉ですが、「come on in」となると少し丁寧な印象を与えることになります。言い方も大事なので、気をつけてみましょう。
京都では?
京都には京都弁があります。京都弁での「お邪魔します」は「ごめんやす」となるでしょう。なお、帰るときの挨拶は「長の間、おやかまっさん」となります。長の間、お邪魔しましたという意味になります。また、「おやかまっさんどした」でお邪魔しましたとなります。
関西では?
関西弁においては、「お邪魔します」をそのまま使いますがイントネーションが関西弁独特のものとなっています。
標準語とはイントネーションが違い、関西弁独特の言い方をしています。文字にすると同じ「お邪魔します」でずか、実際に聞いてみるとかなり違って聞こえます。より親しい間柄なら、「邪魔するで~」となります。「失礼すんで~」とも使うことがあるでしょう。
礼儀正しい文化
「お邪魔します」や「お邪魔しました」は、親しき仲にも礼儀ありという日本の礼儀正しい文化です。これをしっかりとこなすだけで、相手の印象をよくすることができますし何も言わずに家にあがるよりもずっと礼儀だたしく感じられます。
SNSが盛んですが、twitterでも「フォロー外からお邪魔します」や「フォロー外から失礼します」といった使い方をすることがあります。そのくらい、日本人に広く浸透しているマナー文化でもあるのでしょう。
しかし、せっかく礼儀正しく挨拶するにもはっきり言わないと効果が薄いです。挨拶をする時は恥ずかしくても、しっかりとした声ではっきりと喋るようにしましょう。