「させていただきました」の例文・敬語・「頂きました」との違い

ビジネススキル

「させていただきました」という言葉の認識

「させていただきました」という言葉はビジネスシーンでも日常生活でも非常に多くの場面で使われていますが、この「させていただきました」という表現は必ず「その言葉を使ってもよいタイミング」を見計らった上で使う必要があります。

つまり、その言葉を投げ掛ける相手と初対面で、何のコミュニケーションを取り交わしていないうちにいきなり「○○させていただきました」と言った場合には、いくら「させていただく」という謙譲語表現を使っていても失礼に当たる場合が多々あります。

「させていただきました」の使い方

先述の引き続きの内容になりますが、この「させていただきました」という言葉は必ず「相手との何らかのセッションがあった後に使われる言葉」としてあり、そのコミュニケーションにおいて「相手からの(その行動への)許可を得手から対応する」といった経過を含めておく必要があります。

・「コピー機の購入をお願いします。」「わかりました。では、そのようにさせていただきます。」
・先日お約束しておりましたように、本日、書類をお送りさせていただきました。
・兼ねてよりのお約束どおりに、先週の土曜日にお送りさせていただきました。

このように、相手との何らかのセッションが事前にあり、その上で相手から「させていただく内容」への許可を得ていることが必須の条件となります。

「させていただきました」を使うタイミング

先述のおさらいの内容になりますが、「させていただきました」という言葉を使う場合は、まず「相手の許可を得ていること・そのさせていただく言動への認可をもらっていること」が必須条件となります。

そのため、いきなり初対面で「○○させていただきました」と言ってしまうと相手は「何か頼んだかな」と疑問になる上で、一方的に「何かされたような気持ち」がして、不適切な表現と見なされてしまう場合があります。

「させていただきました」の例文

日本語や外国語を学ぶ際には、その「覚えるべき言葉や表現」を実際に使って覚えるという「実践的な学習方法」をぜひ身に付けておきましょう。そうすることによって、あらゆる言葉・表現を場面や状況に応じ、適切なセレクトをもって使い分けることが可能となります。

それでは

「それでは○○させていただきます」という表現についてですが、これは先述しました「させていただきました・させていただきます」という表現を使う際のタイミングを確認するための練習・例文となります。

・わかりました。それではお約束どおりに、今週末にその書類をお送りさせていただきます。
・○○さまのご希望どおりに、ご予約させていただきました。
・兼ねてよりのお約束どおり、彼らを目的地までお送りさせていただきました。

お電話

「お電話させていただきました」という表現についてですが、これは「いきなり見ず知らずの人から掛けてこられる場合」も現実に見られます。たとえば、勧誘の電話にしても「○○さまのご自宅ですか、こちら△△株式会社ですが、××の件でお電話させていただきました」などと表現されることがあるでしょう。

しかし、基本的にこの場合の表現は先述のように間違った表現であり、本来は使えない表現として認められます。誰も頼んだ覚えはないのに「いきなり電話を掛けてこられる」といったニュアンスが普通に残るため、この場合でも必ずタイミングを見計らった上で「させていただきました」を使うようにしましょう。

・先日にご連絡をいただきました○○会社の者ですが、折り返しの形でお電話させていただきました。
・ご予約されておられました○○の件でお電話させていただきました。
・先週のアポイントにお応えする形で、本日にお電話させていただきました。

応募

「応募させていただきました」という表現ですが、この場合は「あらかじめ応募要項が事前に発布されている状態」が想定されるため、先述の「お電話させていただきました」という場合と比べて「いきなりの訪問・質問・発言」の形にはなりません。

・貼り紙を見て、ご応募させていただきました。
・新聞に書かれてあった応募欄を見ましたので、本日、ご応募させていただきました。
・電話での応募が可能と書いてありましたので、応募させていただきました。

通り

「○○のとおりにさせていただきました」や「○○させていただきましたとおりに」などの使い方でこの「とおり」という言葉は使い分けられます。

・ご連絡させていただきましたとおり、本日はお休みでございます。
・プリントにご記載がありましたとおりに、今週中にお渡しさせていただきます。
・アンケートでお応えくださいましたとおり、本日にご希望の品をお送りさせていただきました。

この場合も相手と話者との「事前の打ち合わせ」が必須になっています。

次第です

「○○させていただきました次第です」などの使い方で表現されますが、この表現も日常生活において非常に多くの場面で聞かれる慣用的な表現になります。

・先日にお約束させていただいておりましたので、本日、お電話させていただきました次第でございます。
・ご予約がございましたので、本日にお送りさせていただきました次第です。
・先ほど彼女から電話が入りましたので、迎えにこさせていただきました次第です。

勝手ながら

「勝手ながら○○させていただきました」という表現についてですが、この場合は「勝手ながら」という表現が事前に説明されているため、相手との特定のコミュニケーション・セッションがない場合でも普通使うことが可能です。

・誠に勝手ながら、本日は閉店させていただきました。
・ご勝手ながら、本日で営業を終了させていただきました。
・勝手ながら、とても心配でしたので、本日にご連絡させていただきました。誠に申し訳ございません。

ご用意

「ご用意させていただきました」という表現もビジネスシーンや日常生活において非常によく使われます。特にこの場合も「相手と話者とのセッション・コミュニケーションによる事前の打ち合わせ」が必要とされます。

・先日にお話しいただきました書類をご用意させていただきました。
・ご予約をいただいておりましたので、本日にその品をご用意させていただきました。
・兼ねてよりの打ち合わせどおり、資金をご用意させていただきました。

ご支援

「ご支援させていただきました」という表現は特にビジネスシーンで使われる表現となるでしょうか。この場合でも必ず事前の打ち合わせ・相手からの許可が必要となります。

・先日よりご依頼いただきましたAプラン用の資金をご支援させていただきました。
・新しい事業計画におきまして、ご依頼いただいておりましたご支援をさせていただきました。
・約束どおりにご支援させていただきましたので、今後のご協力をよろしくお願いいたします。

ご対応

「ご対応させていただきました」という表現ですが、これも先述の「ご支援させていただきました」という場合と同じく、その多くはビジネスシーンで使われる表現となるでしょう。この場合も当然「相手との打ち合わせ・相手からの(その対応への)許可を得ておくこと」が必要です。

・兼ねてよりのご承諾どおり、本日、その件につきましてご対応させていただきました。
・午前中にご連絡がございましたので、そのようにご対応させていただきました。
・ご要望どおりにご対応させていただきました。

お送り

先述でもご紹介しきました「お送りさせていただきました」という表現ですが、「物を送る」というのは必ず「相手との打ち合わせ・相手からの許可を得ていること」が前提となるため、この場合も「いきなり送る・送らせていただきました」と言うのはNGになります。

・ご希望どおりにお品をお送りさせていただきましたが、いかがでしょうか。
・兼ねてよりご所望でしたマッサージ機をお送りさせていただきましたが、ご満足されましたでしょうか。
・先日にお話しさせていただいておりました支援金を、本日、お送りさせていただきました。

「させていただきました」の敬語

「させていただきました」という言葉の成り立ちは、「いただきました」という部分においてすでに相手に対する謙譲語による敬語表現が含まれています。その上で「ました」ということで「です・ます」をもって敬意を示す丁寧語表現が含まれ、2つの敬語表現によって示されます。

この場合、二重敬語への懸念があがるでしょうが、「させていただきました」という表現はすでに一般用語として広く浸透しているため、非常に多くの場面においてすでに多用されており、その場合でも話者・相手にとって違和感のない表現に落ち着いているため、特に問題なく使われています。

「させて頂きました」との違い

この「させていただきました」と言う場合によく疑問になるのが、この「させて頂きました」という漢字表記との差異についてです。意味としてはどちらも同意になりますが、場合によってはその表現の仕方によって「間違った表現になりはしないか」という疑問が湧きます。

結論から言えば、「させて頂きました」という表現も正解になります。特に表現上・文法上で間違った箇所は認められず、「させていただきました」と言う場合と同じく、ビジネスシーンでも日常生活でも普通に使うことができます。

しかしここで注意すべき点は「補助動詞の使い方」についてで、日本語文法においては「補助動詞は平仮名表記することが望ましい」とあるため、どちらかと言えば「させていただきました」と平仮名表記する方がベターとなります。補助動詞というのは動詞を補助する言葉となり、「させて」がメインの動詞であれば、「いただく」はそれを補助する動詞となります。

漢字表記のルール

日本語文法における漢字表記についてですが、基本的に補助動詞というのは特別な理由がない限り、その多くは「平仮名表記すること」が基本となります。これは漢字が連語の形で別の漢字と表記されることによって「言葉の意味を曲解すること」を防ぐためであり、また文体そのものを簡潔に示すための工夫によります。

「させて頂きました」は間違いではない

先述でもご紹介しましたたが、「させて頂きました」と表記することはとりわけ「絶対に間違っている」と指摘されることはありません。文意はそれでも十分伝わるため、特に「その前後の文体において漢字が連語の形で連なってしまう場合」はあらかじめ平仮名表記と漢字表記のバランスに配慮し、わかりやすく相手に伝えるという工夫は必要です。

「させていただきました」のメールでの使い方

「させていただきました」のメールでの使い方についてですが、この場合でも先述のように「させていただきました」という表現を使う上でのルールを念頭に置く形で使用すれば、特に問題はありません。

まず「相手からその行動への許可」を得ておくため、事前にその「させていただく内容」についての事前のコミュニケーションをとっておくことが前提となります。基本的にメールでの文語表現の場合も会話表現(口語表現)の場合でも、その表現方法・言葉の使い方に関しては同じであるため、文法をきちんと学んでおくことが大切になります。

「させていただきました」と「いたしました」の違い

「させていただきました」と「いたしました」の違いについてですが、これは文体にその違いが表れています。

「させていただく」と言う場合は「相手からの許可を得てからする」という経緯がありますが、「いたしました」と言う場合は、同じ謙譲語表現においても、「話者が自発的にそのことをする」という形になります。このように「その行動に至るまでの経緯の違い」にが明白な用法の差異が見られます。

「させていただきました」の英語表記と意味

「させていただきました」という言葉を英語に直す場合、それぞれの英単語の意味合い・用法に配慮した上で以下のようにピックアップされます。

・let me done it(させていただきました、すでにそれをしました)
・did it(させていただきました、しました、いたしました)
・please give permission(認可してください、させていただきます)
・let me try(させてください、してもよいでしょうか)
・let me tried(させていただきました、挑戦しました)
・please request(どうぞご依頼ください、許可してください)
・I did it by his request(彼の依頼でそれをしました、させていただきました)
・we have done it by permission(許可を受けた上でしました、させていただきました)

「させていただきました」の英語表現と意味(1)

先でご紹介しました「させていただきました」の英語表記を参考にして、「させていただきました」の英語の例文をいくつかご紹介します。

・I sent the document today as requested the other day today.
「先日のご要望どおりに、本日、その書類をお送りさせていただきました。」
・As you wish, we have introduced a new computer.
「ご希望どおりに、新しいコンピューターを導入させていただきました。」
・I received a message, so I will send it.
「ご連絡がありましたので、お送りさせていただきました。」

「させていただきました」の英語表現と意味(2)

先述しました「させていただきました」の英語表現に引き続き、さらに具体的な「させていただきました」の例文をご紹介します。

・Since last week’s Tuesday there was his message “I want new materials”, so I will send the document late at the latest today, one week later.
「先週の火曜日に「新しい資料がほしい」と彼の伝言がございましたので、その一週間後の本日に、遅ればせながら当該資料をお送りさせていただきました。」
・In order to hope that his mother “want me to send it,” he sent him for the purpose.
「彼の母親が「どうしても送ってほしい」と希望するため、彼を目的までお送りさせていただきました。」

「させていただきました」の英語表現と意味(3)

先述の具体的な「させていただきました」の例文に引き続き、今度はいろいろな場面で使われる「させていただきました」の例文をご紹介します。

・In order to express “I am allowed to do”, firstly “permission from the partner” is necessary.
「「させていただきました」という表現をする場合は、まず「相手からの許可」が必要です。」
・When using the expression “I let you know” in the business scene, it is essential to check the timing.
「ビジネスシーンで「させていただきました」という表現を使う場合は、タイミングを確認することが必須です。」

「させていただきました」の用法を覚えましょう

いかがでしたか。今回は「させていただきました」の例文・敬語・「頂きました」との違いと題して、「させていただきました」の例文・敬語・「頂きました」との違いについての詳細情報のご紹介をはじめ、正しい「させていただきました」の用法・用例をご紹介しました。

「させていただきました」という表現はビジネスシーンでも日常生活でも非常に多くの場面で使用されていますが、必ず「相手からの許可を得ていること・相手との事前の打ち合わせがあること」が前提となります。

いきなり「○○させていただきます」と言う場合は特殊な事情でない限り、必ず相手に対する失礼な表現となってしまうため、その使うタイミングのセレクトは正確にするよう心掛けておきましょう。

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