「応募させていただきました」の敬語
就職活動や転職活動を行う際に「応募させていただきました」という言葉を使った経験はありませんか。就職先の内定が欲しいと思い、できるだけ丁寧な言葉を選んで使っているつもりでも、誤った使い方をしている場合があります。
「応募させていただきました」という言葉の「させていただきました」という表現は、「させてもらう」という言葉の謙譲語です。「させていただきました」とは、相手のためになることをした場合に使う敬語です。
そのため、相手のためになることではない場合には、失礼な表現になる可能性があります。
「応募いたしました」
応募をするのは、相手の都合や希望ではなく、あくまでも自分の都合で行うことです。そのため、「応募させていただきました」という表現がふさわしくないと受け取られるケースもあります。
「応募させていただきました」という表現を使うことで、相手の許可を得ていると判断していたり、相手の利益になると決め込んでいたりするという印象を与えてしまう恐れがあります。
「応募させていただきました」の使い方
「応募させていただきました」の「させていただきました」という敬語表現は、相手の利益になることを行った場合や、相手の許可を得ていることに対して使う敬語表現です。「応募」は自分の都合や希望で行うことなので、「応募いたしました」という表現を使いましょう。
応募をすることは、相手の許可を得ていると考えるケースもありますが、「応募させていただきました」という表現が、強気であったり傲慢であったりする印象を与えてしまう可能性があります。
使い方の例文
「応募いたしました」の使い方の例文をご紹介します。
・今まで身に付けた経験を役立てたいと思い、応募いたしました。
・〇〇の資格を取得したので、その知識や経験を生かして働きたいと考え、応募いたしました。
・事務職に必要なワードやエクセルは前職でも使っていて経験があり、自宅からも近いことから貴社に応募いたしました。
「応募させていただきました」の注意点
「応募させていただきました」は、応募することを相手が許可しているという前提であったり、応募することで相手に必ず利益になったりするという意味を含んでいます。
応募するということは、これから相手に選考してもらうケースが多いため、「応募させていただきました」ではなく「応募いたしました」という表現がふさわしいです。
「応募させていただきました」と、丁寧な敬語表現のつもりで使うことで、相手に別の印象を与えてしまう恐れがあるため、「応募させていただきました」よりも「応募いたしました」を使いましょう。
アルバイト
アルバイトは、比較的年齢が低くても応募できるケースがあるため、敬語の使い方に慣れていなかったり、間違った敬語を使っていることに気づいていなかったりするため「応募させていただきました」という表現を使ってしまう場合があります。
しかし、アルバイトも立派な仕事です。責任を持って働くためには年齢や経験に関係なく正しい言葉遣いができることは大切です。「応募させていただきました」という表現よりも「応募いたしました」という表現を使うことをおすすめします。正しい敬語を使えるというアピールにもなります。
面接
面接で、志望した理由や動機を聞かれた場合の結びの言葉として「応募させていただきました」と使う場合が考えられます。面接では緊張感が高まり、丁寧に話したいという気持ちがあふれてしまうことで、過剰な敬語を使ってしまうことがあります。
面接では話す内容だけではなく、敬語の使い方や話し方なども審査されていることが考えられます。間違った敬語を使ったり、二重敬語になったりしないように心がけましょう。
面接の際にも「応募させていただきました」ではなく、「応募いたしました」という表現を使うことをおすすめします。
履歴書
求職活動ではまずは履歴書を用意する必要があります。履歴書には、名前や連絡先、学歴や職歴のほかに志望動機を書くケースがあります。志望動機を書く際には「応募させていただきました」ではなく「応募いたしました」という表現を使いましょう。
履歴書はまず始めに審査される書類です。履歴書の審査を通過することは、求職活動を大きく前進させるために重要なポイントです。そのため、文字を丁寧に書くだけではなく、正しい敬語を使えることをアピールしましょう。
志望動機
求職活動では、志望動機を書いたり話したりする場面が多くあります。志望した動機をわかりやすく伝えることも大切ですが、正しい敬語を使うように注意しましょう。志望動機を書いたり話したりする際には「応募させていただきました」ではなく「応募いたしました」という表現を使いましょう。
敬語は丁寧であることの他に、正しく使うことが大切です。過剰な敬語にならないように注意して使いましょう。
就活
就職活動では、多くの企業に応募をする場合があります。同じ時期に就職活動が集中するため、正しい敬語を使えることはひとつのポイントになります。志望動機を履歴書に書いたり、面接で話したりする際には「応募させていただきました」よりも「応募いたしました」という表現を使いましょう。
就職活動は緊張する場面も多く、集団で順番に面接を受けるケースも考えられます。多くの人の中から自分を選んでもらうためにも、正しい敬語を使うことを心がけましょう。
転職
転職活動を行う場合には、これまでの経験をアピールだけではなく、正しい敬語を使いましょう。今まで使っているからと油断せずに、正しい敬語であるか確認しましょう。
求職活動の中では、転職を希望する会社に連絡をすることがあります。電話や面接で「応募させていただきました」という表現よりも「応募いたしました」を使いましょう。
「いただきました」と「頂きました」の違い
「応募させていただきました」という表現よりも、「応募いたしました」という表現がふさわしいと考えられていますが、「応募させていただきました」という表現も多く使われています。また、「いただきました」をひらがなで書く場合と、「応募させて頂きました」と「応募させて戴きました」と漢字を使っている場合があります。
「いただきました」という言葉は、「いただく」という言葉の敬語表現です。補助動詞として使われているため、ひらがなで表現する必要があります。
漢字「頂きました」
「頂きました」と漢字で表記する場合の意味は、「食べる」「飲む」「もらう」の謙譲語です。「応募させていただきました」という場合には、「頂きました」と漢字で表記すると意味が異なるため、ふさわしくありません。
漢字「戴きました」
「戴きました」と漢字で表記する場合の意味は、品物などをもらったときに使う謙譲語です。「戴く」という漢字は常用漢字ではないため、「頂く」と比べて使われることは少ないです。
「応募させていただきました」という場合には、「戴きました」と漢字で表記すると意味が異なるため、ふさわしくありません。
「応募させていただきました」を正しく使いましょう
「応募させていただきました」という表現について、お分かりいただけましたか。就職活動では、就職を希望する会社に連絡をしたり、履歴書や面接で志望理由を説明したりする場合に、「応募させていただきました」という表現を使っていませんか。
「応募させていただきました」という表現は、相手の許可を得ていると判断していたり、相手の利益になると決め込んでいたりするという印象を与えてしまう恐れがあります。
「応募させていただきました」という表現よりも「応募いたしました」という表現を使いましょう。敬語を正しく使って、応募した希望の会社への就職を目指しましょう。